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タクシー運転手の魅力と大変なこと【2026年版】良い面6つと大変な面6つを統計と乗務経験でそろえて解説

2020 5/01
仕事内容
2020年5月1日2026年9月26日
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タクシー運転手の魅力とやりがい

この記事の情報

賃金は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年の原表、勤務時間の上限は厚生労働省が公開しているハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示(2024年4月1日施行の内容)、保障給と歩合の扱いは労働基準法と通達 基発1223第3号、事故と安全の数字は国土交通省「事業用自動車総合安全プラン2030」、運転者数と輸送人員は国土交通省調べの資料、東京の数字は東京ハイヤー・タクシー協会の資料によります。条文は e-Gov の現行版で確認しました。すべて2026年9月23日に確認した内容です。制度も運賃も賃金も変わるので、応募の前に会社と、住所地の運輸支局や都道府県警察の案内をあわせて確認してください。記事に出てくる乗務の体験は、筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろのものです。

タクシー運転手の仕事を調べると、正反対の言葉が同じ画面に並びます。「未経験でも年収1000万円」と書いてあるページの隣に「やめとけ」と書いてあるページが出てくる。どちらも本当のことを言っているように見えるので、結局どう判断すればいいのか分からなくなります。

原因ははっきりしています。良い面を集めたページと、大変な面を集めたページが、別々に作られているからです。ひとつの記事の中で両方を同じ深さで並べているものが、ほとんどありません。この記事はそこを埋めるために書きました。良い面を6つ、大変な面を6つ、同じ数だけ、同じ量の根拠を付けて並べます。

数字はすべて出どころと年次を書きます。あわせて、筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろに実際に何が起きていたかも書きます。統計だけでは分からない部分と、体験だけでは危ない部分の両方があるので、どちらも載せるのがいちばん正直だと考えました。

この記事の要点。年収は令和7年で450.8万円、隔日勤務の拘束時間の上限は2暦日22時間と1か月262時間、月の総実労働時間は192時間、良い面6つと大変な面6つ
この記事の要点(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年・改善基準告示)

先に結論を書きます。統計上の年収は450.8万円で、よく見かける「平均300万円」という数字はもう実態と合っていません。ただし平均が上がったぶん、上限も下限も広がったわけではなく、月20万円に届かない層が20.2%います。勤務は隔日勤務が中心で、1回の拘束は最長22時間、月の総実労働時間は192時間と全産業より19時間多くなっています。そして働いている人の43.0%が60歳以上です。この4つを頭に入れてから、良い面と大変な面を見ていくのがいちばん早いと思います。

目次
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先に全体像。良い面も大変な面も、元は同じ4つの特徴から出ている

タクシー運転手の良い面と大変な面を並べていくと、途中で気づくことがあります。ほとんどが同じ特徴の裏と表になっているということです。特徴は4つしかありません。

タクシー運転手の4つの特徴。歩合で賃金が決まる、隔日勤務で1回が長く休みが多い、走っている間は1人、年齢の幅が広い。それぞれに良い面と大変な面がある
4つの特徴から、良い面と大変な面の両方が出てくる
特徴良い面として出るとき大変な面として出るとき
賃金が歩合で決まる自分の動きがそのまま収入に出る売上が振れると収入も振れる
隔日勤務で1回が長い乗務しない日が月18日ある1回の拘束が最長22時間になる
走っている間は1人細かい指示を受けない。休憩も自分で決める困ったときにその場で助けてくれる人がいない
年齢の幅が広い何歳からでも始められて、長く続けられる同世代の同僚が少ない。体調の管理が成績に直結する

つまり「良いか悪いか」ではなく、この4つが自分に合うかどうかが判断の中身になります。以下では良い面6つ、大変な面6つの順に並べますが、最後にもう一度この表に戻ってきます。

この記事で使う数字の出どころ

賃金の数字は厚生労働省の賃金構造基本統計調査の令和7年の原表から取りました。この調査は「タクシー運転者」という職種の小分類を持っていて、全国で17,021十人(170,210人)分のデータが載っています。年収はこの調査が出している「きまって支給する現金給与額」を12倍して「年間賞与その他特別給与額」を足した値です。全国ハイヤー・タクシー連合会も同じ計算方法を「年間推計額」と呼んで使っています。

勤務時間の上限は厚生労働省が公開しているハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示(2024年4月1日施行の内容)、事故と安全の数字は国土交通省の事業用自動車総合安全プラン2030(計画期間は令和8年度から12年度)です。条文はすべて e-Gov の現行版を見ています。

分野使った資料年次
賃金・労働時間厚生労働省 賃金構造基本統計調査令和7年
勤務時間の上限厚生労働省 改善基準告示2024年4月1日施行
歩合と保障給労働基準法27条/通達 基発1223第3号令和4年12月23日
事故・健康・安全国土交通省 事業用自動車総合安全プラン2030令和6年の実績を引用
運転者数・輸送人員国土交通省調べ(全国ハイヤー・タクシー連合会が掲載)令和6年度
東京の数字東京ハイヤー・タクシー協会の資料令和7年度
売上の振れ筆者の乗務100回分の実記録2018年4月から12月

良い面① 自分の動きがそのまま収入に出る

令和7年の年収は450.8万円。300万円ではありません

最初に、いちばん誤解が多いところを直しておきます。タクシー運転手の平均年収を「300万円ほど」と書いているページが今でも多く残っていますが、これは古い数字です。賃金構造基本統計調査 令和7年(職種)第1表のタクシー運転者(男女計・企業規模計10人以上)は、きまって支給する現金給与額が359.2千円、年間賞与その他特別給与額が197.8千円です。

359.2千円かける12か月で4,310.4千円、そこに197.8千円を足して4,508.2千円、つまり450.8万円になります。同じ表の平均年齢は56.8歳、勤続年数は8.3年です。

年収450.8万円の内訳。きまって支給する現金給与額359.2千円かける12か月で4,310.4千円、年間賞与その他特別給与額197.8千円を足して4,508.2千円
年収450.8万円の内訳(賃金構造基本統計調査 令和7年)

この450.8万円という数字は、ここ数年で大きく動きました。

調査年きまって支給(千円)年間賞与(千円)年収(計算・千円)
2015年(平成27)238.7224.63,089.0
2019年(令和元)281.7195.43,575.8
2021年(令和3)225.3100.42,804.0
2023年(令和5)338.5127.94,189.9
2024年(令和6)327.3220.94,148.5
2025年(令和7)359.2197.84,508.2

2021年の2,804.0千円から2025年の4,508.2千円まで、4年で1,704.2千円増えています。全国ハイヤー・タクシー連合会の資料は、この動きを「令和4年以降の運賃の引上げやアプリ利用率の増加等を背景とした売上の増加に伴う賃金額の増加があったことが想定される。」と説明しています。

ひとつだけ注意があります。2020年に調査の職種区分と表が変わっているので、2019年以前と2020年以降は厳密には接続しません。長期の推移として見るときは、この段差があることを頭に置いてください。

タクシー運転者の年収の推移。2015年308.9万円、2019年357.6万円、2021年280.4万円、2023年419.0万円、2025年450.8万円
年収の推移(賃金構造基本統計調査。2020年に職種区分が変わっている)

金額の内訳、月収や手取りの考え方、都道府県ごとの差はタクシー運転手の年収は450.8万円に詳しく書いてあります。ここでは全体像の話に進みます。

20代前半だけは全産業を上回ります

平均だけを見ると、タクシー運転者の450.8万円に対して全産業は同じ調査の産業計で545.6万円です。差は947.4千円で、タクシーは全産業の82.6%にあたります。この数字だけ見ると「やっぱり低い」と感じると思います。

タクシー運転者と全産業の年収比較。タクシー450.8万円、全産業545.6万円。差は947.4千円でタクシーは全産業の82.6%
タクシー運転者と全産業の比較(賃金構造基本統計調査 令和7年)

ところが年齢で切ると、景色が変わります。

年齢タクシー運転者の年収(計算)全産業の年間推計額差
20〜24歳483.4万円361.4万円+122.0万円
25〜29歳482.9万円448.2万円+34.7万円
30〜34歳517.9万円507.3万円+10.6万円
35〜39歳491.9万円556.7万円△64.8万円
45〜49歳521.3万円613.6万円△92.3万円
65〜69歳379.1万円401.7万円△22.7万円
70歳以上347.6万円352.9万円△5.3万円

全国ハイヤー・タクシー連合会の資料は、この部分をはっきり書いています。「20~34歳まではタクシー運転者の方が賃金が高く、特に20~24歳では100万円以上の差が生じている。」「20代前半で年間推計額が400万円を超えているのはタクシー運転者のみとなっている。」

20歳から24歳の年収比較。タクシー運転者483.4万円、全産業361.4万円。差は122.0万円
20代前半はタクシー運転者のほうが高い(賃金構造基本統計調査 令和7年・全タク連)

理由は賃金の決まり方にあります。同じ資料はこうも書いています。「歩合給制度では、経験年数に応じて賃金が段階的に上昇する仕組みは一般的に取り入れられておらず」。つまり年功で上がる仕組みがないぶん、若いうちは相対的に高く、年齢が上がると相対的に低くなるという形です。

年齢階級別の年収。20代前半483.4万円、30代前半517.9万円、45歳から49歳521.3万円で最高、65歳から69歳379.1万円、70歳以上347.6万円
年齢階級別の年収(賃金構造基本統計調査 令和7年・月給かける12に賞与を足した計算)

経験年数で見ても同じことが起きています。経験年数階級別の表で所定内給与を12倍して賞与を足すと、経験0年が3,705.9千円、1年から4年が4,176.9千円、15年以上が3,469.3千円です。長く続けたから上がる、という職種ではありません。

ただし「売上で決まる」は言いすぎです。保障給という下支えがあります

歩合の仕事だと聞くと「売れなかった月は給料が出ないのでは」と不安になると思います。そこは法律で止められています。

労働基準法27条は「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」と定めています。この条文を受けて、厚生労働省の通達 基発1223第3号(令和4年12月23日)が具体的な水準を示しています。

歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること。

実務の計算方法も同じ通達に書かれていて、「各人ごとに過去3箇月程度の期間において支払われた賃金の総額…を当該期間の総労働時間数で除して得た金額の 100分の60以上の金額をもって充てることとして差し支えなく」とされています。

保障給の仕組み。固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上を保障する。計算は過去3か月の賃金の総額を総労働時間で割り、その100分の60以上
保障給は労働基準法27条と通達で決まっている(基発1223第3号)

もうひとつ、同じ通達は累進歩合制度の廃止も求めています。売上がある線を超えた瞬間に歩合率が跳ね上がるような仕組みのことです。

自動車運転者の長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念されることから、廃止すべきであること。

対象は累進歩合給だけではありません。「水揚高等の最も高い者又はごく一部の労働者しか達成し得ない高い水揚高等を達成した者のみに支給するいわゆる「トップ賞」、水揚高等を数段階に区分し、その水揚高の区分の額に達するごとに一定額の加算を行ういわゆる「奨励加給」(図2)が該当する」と書かれています。求人票に「売上◯万円達成で◯万円上乗せ」といった段差のある仕組みが書いてあったら、この通達に照らしてどうなっているかを面接で聞いてみてください。

歩合率の相場、売上から何が引かれるのか、1日の営収がどう作られるのかはタクシーの歩合と営収の仕組みにまとめてあります。

給与明細と電卓を並べて計算している様子(イメージ)
歩合率の数字だけを比べても意味がない。差し引かれるものを全部並べて比べる(イメージ)

良い面② 乗務しない日が月18日ある

月11回から13回という数字は、拘束時間の上限から逆算した数字です

タクシーの求人でよく見る「月11回から13回の乗務」という条件は、会社が親切で決めているわけではありません。法令の上限から逆算すると、だいたいそこに落ち着くという話です。

改善基準告示の隔日勤務の上限は、2024年4月1日以降こうなっています。

項目日勤隔日勤務
1か月の拘束時間288時間以内262時間以内(労使協定で年6か月まで270時間)
1日・2暦日の拘束時間1日13時間以内(上限15時間。14時間超は週3回までが目安)2暦日22時間以内、かつ2回の隔日勤務を平均し1回あたり21時間以内
休息期間継続11時間与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない継続24時間与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回らない

1か月262時間を、1回あたりの平均の上限である21時間で割ると12.4回になります。11回から13回という求人の条件は、ここから出ている数字です。

1か月の拘束時間262時間を1回あたり21時間で割ると12.4回。求人でよく見る月11回から13回はこの上限から出ている
月11回から13回という条件は拘束時間の上限からの逆算(改善基準告示)

30日の月に12回乗務すると、乗務日でない日は18日です。既存の記事で筆者が「月18日は休日」と書いていたのは、この形の勤務でした。ただし隔日勤務では乗務が明けた日の午前中は帰宅して寝る時間になるので、18日がまるごと自由に使える18日ではないことは先に言っておきます。

なお、この告示には注記があって「「ハイヤー」の運転者については上記表は適用されません。」とされています。求人でハイヤー乗務員を見ている人は、勤務の形が別の枠組みになる点に気をつけてください。勤務形態の違いはタクシー運転手のシフト勤務体系に整理してあります。

休みの日に何ができるか(2018年から2020年ごろの体験)

筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろ、乗務しない日にやっていたのは、日雇いのアルバイトのようにすぐ始められることから、記事を書くような時間のかかることまで、いろいろでした。既存の記事にはこう書いていました。

月に18日も休みがあると、様々なことができます。プライベートを満喫することもできますが、もっと稼ぎたい人は副業をするといいでしょう。

ここで正直に付け加えておくと、副業ができるかどうかは会社の就業規則次第です。自動車運送事業は過労防止が厳しく見られる分野なので、副業を禁止している会社も、届け出を求める会社もあります。入る前に必ず確認してください。

もうひとつ、隔日勤務は「乗務した日は何もできない」という形でもあります。朝に出庫して翌朝に帰庫するので、乗務日とその翌日の午前中は生活の中から消えます。休みの日数だけを見て決めると、ここでずれます。

良い面③ 年齢と経歴の入口が低い

経験年数0年の人が1割います

経験年数階級別の表を人数の構成比に直すと、経験年数0年の人が11.1%います。1年から4年が27.9%、5年から9年が19.9%、10年から14年が13.8%、15年以上が27.4%です。

つまり10人に1人はその年に入った人という職場です。未経験で入ってくる人が常にいるので、未経験であること自体が不利になりにくい。ここは他の職種と比べたときの、はっきりした違いだと思います。

経験年数の構成比。0年11.1%、1年から4年27.9%、5年から9年19.9%、10年から14年13.8%、15年以上27.4%
経験年数の構成比(賃金構造基本統計調査 令和7年・労働者数からの計算)

年齢のほうも幅があります。年齢階級別の労働者数から計算すると、40歳未満が11.1%、60歳以上が43.0%、65歳以上が26.3%、70歳以上が14.4%です。20代から70代まで同じ職場にいるという構成になっています。

二種免許は入社後でよく、地理試験は2024年2月29日に廃止されました

必要な免許は普通第二種免許です。道路交通法96条5項1号の受験資格は原則として21歳以上で、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許または大型特殊免許を受けていた期間が通算3年以上あることです。

2022年5月13日からは受験資格特例教習という制度ができて、これを修了すれば19歳以上・経歴1年以上でも受けられるようになりました。国土交通省の資料も、この改正の背景を「運転者の不足や高齢化が進むタクシー業界及びバス業界から、若年者の雇用拡大につなげる観点から、第二種自動車運転免許の受験資格要件引下げの要望がなされたことを踏まえ」と説明しています。

そして入口をいちばん広げたのが、指定地域の試験の変更です。

タクシー業務適正化特別措置法施行規則39条は、改正前は「一 タクシー事業に係る法令、安全及び接遇 二 当該指定地域に係る地理」の二科目を挙げていました。これが2024年2月29日の令和六年国土交通省令第十五号で改められ、現行の条文は「タクシー事業に係る法令、安全及び接遇に関し告示で定める事項に関する知識について筆記試験の方法により行うものとする。」となっています。地理の科目がなくなりました。

入口の3点。二種免許は入社後に会社の費用で取れる場合が多い、受験資格特例教習で19歳以上でも受験できる、指定地域の地理試験は2024年2月29日に廃止
入口はこの数年で広がっている(道路交通法・タクシー法施行規則)
項目以前現在
二種免許の受験資格21歳以上・経歴3年以上特例教習を修了すれば19歳以上・経歴1年以上(2022年5月13日から)
指定地域の試験科目法令、安全及び接遇/当該指定地域に係る地理法令、安全及び接遇のみ(2024年2月29日から)
免許を取る順番取ってから応募すると考えられがち入社後に会社の費用で取れる場合が多い

筆者が乗務を始めたころは、この地理試験が最初の関門でした。東京で働くなら避けて通れず、何度も受け直す人もいました。当時の受験記は地理試験って難しい?簡単?に残してあります。いまは科目そのものがないので、ここでつまずくことはありません。

免許の取り方、教習の時限数、費用の目安は二種免許の取り方と費用に、入社から独り立ちまでの流れはタクシー運転手の仕事内容となるまでの全体像にまとめてあります。

面接で向かい合って話している様子(イメージ)
未経験で入ってくる人が常にいる職場(イメージ)

良い面④ 走っている間、横に上司がいない

決まっているのは入口と出口だけです

旅客自動車運送事業運輸規則を読むと、会社が守らせなければならないことは細かく決まっています。乗務の前後には点呼があり、業務記録(日報)を付ける義務があり、休憩や睡眠の施設を整備する義務もあります。

ところが、走っている間にどこを流すかを決める条文はありません。迎車の指示が入れば向かいますが、それ以外の時間は自分で決めます。既存の記事で筆者はこう書いていました。

迎車指示以外の細かい指示はありませんので、お客さんがいそうな場所であれば、どこを走っていても問題ありません。多少姿勢を崩しても問題ありませんし、ラジオを聴くのも自由です。

1乗務のうち、決まっている部分と自由な部分。出庫前の点呼と帰庫後の点呼、業務記録は義務。走っている間の場所と時間の使い方は自分で決める
決まっているのは入口と出口。間は自分で決める(運輸規則)

休憩を自分で決められます

運輸規則21条2項は、会社に対して施設を整えることを義務づけています。原文はこうです。

旅客自動車運送事業者は、乗務員等が有効に利用することができるように、営業所、自動車車庫その他営業所又は自動車車庫付近の適切な場所に、休憩に必要な施設を整備し、及び乗務員等に睡眠を与える必要がある場合又は乗務員等が勤務時間中に仮眠する機会がある場合は、睡眠又は仮眠に必要な施設を整備し、並びにこれらの施設を適切に管理し、及び保守しなければならない。

ここで押さえておきたいのは、この条文に「何時間休憩を与える」という時間の定めがないことです。既存の記事には「隔日勤務の場合は1日3時間の休憩が自由に決められます」と書いてありましたが、この3時間という数字は法令の数字ではありません。筆者が乗務していた会社のルールです。改善基準告示にも休憩3時間という規定はありません。会社ごとに違うので、面接で確かめてください。

実際の使い方は自由でした。当時の記事にはこう書いています。

私のように運転する時はして疲れたらタクシープールでお客様を待つといったスタイル。休憩のつもりで1時間寝ようと思ったら5時間近く寝てしまったことがあります。それでも会社からは何か言われることはありませんでした。なぜなら、単純に私の給料が減るだけだから。

この最後の一文が、良い面と大変な面の境目です。自由であるということは、結果が全部自分に返ってくるということでもあります。

良い面⑤ 人と土地に出会う

年に何人乗せるのかを、今の数字で計算し直しました

既存の記事には「2018年のデータでは、タクシーの輸送人員は約14億人」「これを30万人のタクシー運転手が担当した」「1人あたり年間5,000人弱」と書いてありました。どれも当時の数字なので、今の数字で計算し直します。

国土交通省調べの輸送人員は、平成30年度が1,390,797千人(13.9億人)、令和6年度が1,050,663千人(10.5億人)です。法人タクシーの運転者数は平成30年が273,126人、令和6年が224,428人です。

令和6年度で割ると、1,050,663千人 ÷ 224,428人 で約4,681人になります。ただし輸送人員には個人タクシーの分も含まれる一方、運転者数は法人タクシーだけなので、実際の1人あたりはこれより少なくなります。目安として見てください。

年に何人乗せるかの計算。令和6年度の輸送人員10億5,066万3千人を法人タクシーの運転者数22万4,428人で割ると約4,681人。ただし輸送人員には個人タクシーの分も含まれる
1人あたりの年間輸送人員の目安(国土交通省調べ・令和6年度)
平成30年度令和6年度
輸送人員1,390,797千人1,050,663千人
法人タクシーの運転者数273,126人224,428人
単純に割った1人あたり約5,092人約4,681人

交通機関全体の中での位置も見ておきます。令和6年度の輸送人員は全体で286億4,700万人、そのうちタクシーは10億5,100万人で3.7%です。民鉄が147億500万人で51.3%、JRが86億7,300万人で30.3%、バスが40億3,500万人で14.1%と続きます。

タクシーの輸送人員の推移。平成元年度33億人、平成30年度13.9億人、令和2年度7.4億人、令和6年度10.5億人
輸送人員の推移(国土交通省調べ)

東京(特別区・武三地区)の実働1日1車あたりで見ると、令和7年度の輸送回数は25.3回、1回あたりの運送収入は2,477.9円、総走行キロは244.9km、そのうちお客さんを乗せていた実車キロは117.0kmです。既存の記事に書いてあった「1回の乗務で30人から40人」という感覚は、回数であって人数ではないので、そのまま人数に置き換えないでください。1回で2人以上乗ることもあります。

区長さんと、4回の有名人(2018年から2020年ごろの体験)

数字で見ると年に4,681人ほどですが、乗っている側の感覚はまた別です。既存の記事に書いていた体験をそのまま残します。

実際に私が住んでいる所の区長さんを乗せてお話ししたこともあります。ちなみに、私は今までに4回有名人を乗せたことがあります。

この「4回」は筆者個人の体験の回数であって、確率でも平均でもありません。乗せた人の仕事の話を聞ける日もあれば、一言も交わさずに終わる日もあります。ここは期待値として数えないほうがいいところです。

土地に詳しくなるのは確実です。目的地が毎回違うので、走っているうちに道と場所が頭に入ります。お客さんのほうからルートを指定されることもあって、そこで裏道を覚えることもありました。

食事もそうです。乗務中は昼も夜も外食になるので、店の情報は自然にたまります。ただし都内は駐車場が少ないので、コインパーキングを使うことになります。これも良い面と大変な面が裏表になっている例です。

お客さんとの会話については、必要かどうかも含めてタクシー運転手との会話は必要?不必要?に書いてあります。

良い面⑥ 続けられる期間が長い

年齢階級別の労働者数から構成比を計算すると、60歳以上が43.0%、65歳以上が26.3%、70歳以上が14.4%です。70代の人が7人に1人いる職場は、そう多くありません。

タクシー運転者の年齢構成。40歳未満11.1%、40歳から59歳46.0%、60歳から64歳16.7%、65歳から69歳12.0%、70歳以上14.4%
年齢構成(賃金構造基本統計調査 令和7年・労働者数からの計算)

年齢が上がると収入は下がります。65歳から69歳の年収は379.1万円、70歳以上は347.6万円で、45歳から49歳の521.3万円と比べると差があります。全国ハイヤー・タクシー連合会の資料は、この理由を「高齢層で若干低下が見られる背景には、勤務形態の変化(売上が高い隔日勤務や深夜勤務から日勤への移行等)が影響している可能性がある。」と書いています。体力に合わせて勤務の形を変えられるから続けられる、という読み方ができます。

ただし「何歳まででも働ける」と言い切るのは違います。ここは大変な面④と⑤で改めて書きます。定年と再雇用の実際はタクシー運転手は何歳から何歳まで働ける?に、年金との関係はタクシー運転手で年金を貰いながら働ける?にまとめてあります。

ここから大変な面。良い面と同じ数だけ並べます

ここまでが良い面6つです。ここから大変な面6つに入ります。読み飛ばさずに、同じ量だけ読んでください。求人の情報だけで決めると、この6つは入ってこないまま入社することになります。

大変な面① 1回の拘束が長い

2暦日22時間・1か月262時間という上限

良い面②で「乗務しない日が月18日ある」と書きました。その裏にあるのが、1回の勤務の長さです。

改善基準告示の隔日勤務は、2暦日の拘束時間が22時間以内、かつ2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内です。拘束時間の定義は告示の説明にこう書かれています。

拘束時間…使用者に拘束されている時間のこと。(「労働時間」+「休憩時間」)(会社へ出社(始業)し、仕事を終えて会社から退社(終業)するまでの時間)

休憩時間を含めて22時間ということです。朝に出庫して翌朝に帰庫するまで、会社の管理下にいる時間がそれだけ続きます。

隔日勤務の拘束時間の上限。2暦日22時間以内、2回を平均して1回21時間以内、1か月262時間以内、労使協定で年6か月まで270時間
隔日勤務の拘束時間の上限(改善基準告示・2024年4月1日以降)

この上限は2024年4月1日に変わりました。それまでは2暦日21時間でしたが、休息期間を長く取ることとセットで22時間になっています。休息期間は「継続24時間与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回らない」とされました。改正前は継続20時間以上だったので、帰ってから次に出るまでの時間は長くなっています。

項目2024年3月31日まで2024年4月1日以降
1か月の拘束時間(日勤)299時間以内288時間以内
1か月の拘束時間(隔勤)262時間以内262時間以内(労使協定で年6か月まで270時間)
1日の拘束時間(日勤)13時間以内(上限16時間)13時間以内(上限15時間。14時間超は週3回までが目安)
2暦日の拘束時間(隔勤)21時間以内22時間以内、かつ2回を平均し1回21時間以内
休息期間(日勤)継続8時間以上継続11時間を基本とし9時間を下回らない
休息期間(隔勤)継続20時間以上継続24時間を基本とし22時間を下回らない

なお、車庫待ち等の要件を満たす場合は、1か月の拘束時間に10時間を加えた時間まで、2暦日の拘束時間を24時間まで延長できるという例外があります。要件は「ア 夜間に4時間以上の仮眠時間を与えること。」「イ …2暦日の拘束時間の上限を超える回数が1か月7回以内。」です。求人の勤務時間がこの形になっていないか、確認しておいて損はありません。

実際の労働時間は月192時間。全産業より19時間多い

上限だけでなく、実績も見ておきます。賃金構造基本統計調査のタクシー運転者(令和7年)は、所定内実労働時間が169時間、超過実労働時間が23時間で、月の総実労働時間は192時間です。全産業は162時間と11時間で173時間なので、差は19時間あります。

月の総実労働時間の比較。タクシー運転者192時間(所定内169時間と超過23時間)、全産業173時間(所定内162時間と超過11時間)。差は19時間
月の総実労働時間の比較(賃金構造基本統計調査 令和7年)

1時間あたりに直すと、もう少しはっきりします。きまって支給する現金給与額を総実労働時間で割ると、タクシー運転者は359,200円÷192時間で1,870.8円、全産業は370,500円÷173時間で2,141.6円です。年収の差947.4千円は、働く時間の差も込みの数字だということになります。

東京はさらに長くなります。東京のタクシー運転者は171時間と27時間で198時間。東京ハイヤー・タクシー協会の資料は、東京都全産業の169時間との差を「約30時間差」と書いています。

月間労働時間年収
タクシー運転者(全国)192時間450.8万円
タクシー運転者(東京)198時間570.4万円
全産業(全国)173時間545.6万円
全産業(東京都)169時間677.9万円
東京の月間労働時間の推移。東京都タクシー乗務員は令和7年で198時間、東京都全産業は169時間。約30時間差
東京の月間労働時間(東京ハイヤー・タクシー協会の資料・令和7年)

既存の記事には「タクシー運転手は週に50時間程度は仕事で運転をします」と書いてありましたが、これは統計ではなく当時の感覚です。拘束時間と運転している時間は別のものなので、この記事では統計の数字に置き換えました。

夜の街を走るタクシーの車内から前方を見た様子(イメージ)
朝に出庫して翌朝に帰庫するまで、会社の管理下にいる時間が続く(イメージ)

大変な面② 売上が振れる

100回の実記録で測った振れ幅

歩合の仕事なので、売上が振れれば収入も振れます。どのくらい振れるのかを、平均値の話ではなく実際の記録で見てみます。

筆者が都内で乗務していた2018年4月5日から12月16日までの100回分の営業収入を、そのまま記録に残してあります。東京23区と武蔵野市と三鷹市が営業区域の隔日勤務です。

項目値
100回の合計6,153,130円
100回の平均61,531円
99回(体調不良で早退した1回を除く)の平均62,091円
99回の中央値60,620円
99回の最大91,710円(80回目・乗務20時間15分)
99回の最小41,690円(16回目・乗務17時間09分)
最大と最小の差50,020円
99回の標準偏差11,214円(平均の18.1%)
99回の乗務時間の平均18時間6分
99回の拘束1時間あたり3,430円
乗務100回の記録。99回の平均62,091円、中央値60,620円、最大91,710円、最小41,690円、標準偏差11,214円で平均の18.1%
乗務100回分の実記録(2018年4月から12月・東京23区と武蔵野市と三鷹市)

標準偏差が11,214円、平均の18.1%というのが、この仕事の振れ方です。良い日は9万円を超え、悪い日は4万円台前半になります。同じ時間だけ車に乗っていても、これだけ違います。

乗務100回の営業収入の分布。4万円台から9万円台まで広がり、6万円台が最も多い
100回の営業収入の分布(2018年の実記録)

これを月で考えると、12回乗務した月の売上は最良と最悪で大きく変わります。歩合率が60%なら、1回あたり5万円の差は取り分で3万円の差です。それが重なる月と重ならない月があります。

長く乗れば売れるわけではありません

「もっと長く走れば売れるのでは」と考えたくなりますが、記録を取ってみると、そう単純ではありませんでした。

99回分の乗務時間と営業収入の相関係数は0.334です。弱い相関はありますが、時間を延ばせば売上が付いてくるという関係ではありません。

乗務時間と営業収入の関係。相関係数は0.334で弱い相関。17時間台30回の平均は56,015円で最も低く、18時間以上58回の平均は65,687円
乗務時間と営業収入の関係(99回の実記録・相関係数0.334)

乗務時間の帯で束ねると、17時間未満の11回は平均59,701円で拘束1時間あたり3,771円、17時間台の30回は平均56,015円で3,185円、18時間以上の58回は平均65,687円で3,494円でした。拘束1時間あたりでいちばん低いのは17時間台です。中途半端に長く走った回がいちばん効率が悪かった、ということになります。

25回ずつに区切ると、慣れの効果も見えます。

区間回数平均の営業収入乗務時間の平均拘束1時間あたり
1〜25回25回57,399円18時間21分3,127円
26〜50回25回66,284円18時間21分3,611円
51〜75回25回59,942円17時間52分3,353円
76〜100回24回64,848円17時間48分3,641円

最初の25回と最後の25回を比べると、売上は+7,449円(1.130倍)、乗務時間は33分短く(0.970倍)、拘束1時間あたりは1.164倍になっています。ただし前半50回と後半49回で半分に割ると平均の差は504円しかなく、25回刻みで見ないと動きが見えません。上がったり下がったりしながら、少しずつ良くなるという形です。

この記録は2018年のものなので、今の目安としてそのまま使えません。東京(特別区・武三地区)の実働1日1車あたりの運送収入は、平成30年度が51,582円、令和7年度が62,731円です。記録の99回の平均62,091円は、当時の東京の平均を1.20倍上回っていましたが、令和7年度の平均62,731円とはほぼ同じ(差640円)になります。当時としては平均より上だった数字が、今では平均並みだということです。

100回分の記録は1回ずつ全部タクシー新人の1日の売上を100回分そのまま公開に載せてあります。

分布で見ると、月20万円未満が20.2%

平均の話ばかりしていても実態は見えないので、分布も見ておきます。所定内給与額階級別の表で、タクシー運転者の所定内給与(月)の分布特性値はこうなっています。

分布特性値所定内給与額(月)
第1・十分位数(下から10%の位置)174.7千円
第1・四分位数(下から25%の位置)212.2千円
中位数286.3千円
第3・四分位数(上から25%の位置)371.4千円
第9・十分位数(上から10%の位置)466.0千円

帯ごとの人数に直すと、月20万円未満が20.2%、20万円台から30万円未満が35.2%、30万円台が25.5%、40万円台が12.6%、50万円以上が6.6%です。40万円以上は19.1%で、およそ5人に1人になります。

所定内給与(月)の分布。20万円未満20.2%、20万円台から30万円未満35.2%、30万円台25.5%、40万円台12.6%、50万円以上6.6%
所定内給与(月)の分布(賃金構造基本統計調査 令和7年)

既存の記事には「800万円から1,000万円の年収を得ている運転手もいます」と書いてありました。いないわけではありません。ただし月の所定内給与が70万円以上の帯は合計で1,740人、労働者数170,210人の1.0%です。100人に1人なので、目指す目標にはなっても、入る前の見込みにはできない数字だと考えてください。

同じ既存記事の「平均が300万円程度であるということは、年収200万円稼げない運転手がいるということになります」という書き方も直しておきます。これは平均値から分布を想像しただけで、根拠がありませんでした。実際の分布は上の表のとおりです。

全国ハイヤー・タクシー連合会の資料も、平均だけで比べることに注意を促しています。「歩合給制度によるタクシー運転手の賃金と他産業の年功賃金制による賃金の差は賃金制度の性質による分布構造の違いの影響を受けるものであり、平均賃金のみで単純比較することには留意が必要である。」

大変な面③ 生活のリズムと体調

健康に起因する事故は令和6年で398件

隔日勤務は生活のリズムを崩します。これは感覚の話ではなく、事故の統計に出ています。国土交通省の事業用自動車総合安全プラン2030はこう書いています。

運転者の健康状態に起因する事故報告件数は近年増加傾向にあり、令和6年(2024 年)には 398 件発生している。これらの健康起因事故を発生させた運転者の年齢層は令和6年(2024 年)では、乗合バスが 55~59 歳、貸切バス、ハイヤー・タクシーは 65 歳以上、トラックでは 60~64 歳と、高年齢層に多いことが判明している。

398件という数字は事業用自動車全体のものですが、その中でハイヤー・タクシーは65歳以上に多いと名指しされています。良い面⑥で「長く続けられる」と書いたことの、そのまま裏側にある話です。

健康に起因する事故報告件数は令和6年で398件。年齢層はハイヤー・タクシーで65歳以上、乗合バスで55歳から59歳、トラックで60歳から64歳に多い
健康起因事故は増加傾向(国土交通省 事業用自動車総合安全プラン2030)

国土交通省はこれを受けて、「主要な疾病に関するスクリーニング検査について、医学的知見を踏まえ事業者としてとるべき対応を含めたガイドライン等を作成し、その活用によるスクリーニング検査の導入拡大に取り組んでいるほか、健康起因事故の防止を図るため、令和7年(2025 年)から運転者を対象としたスクリーニング検査の実施を支援する補助事業を開始している。」としています。業界として、ここが弱点だと認識されているということです。

休息期間のルールは「寝る時間」を守るためにあります

改善基準告示が2024年に改正されたときの説明は、こうなっています。

改善基準告示は、法定労働時間の短縮を踏まえて見直しが行われた平成 9 年以降、改正は行われていませんでしたが、令和 4 年 12 月に自動車運転者の健康確保等の観点により見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間等が改正されました。(令和6年4月1日施行)

「健康確保等の観点」とはっきり書かれています。隔日勤務の休息期間が継続20時間以上から「継続24時間与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回らない」に変わったのは、帰ってから次に出るまでに寝る時間を確保するためです。

隔日勤務の休息期間。2024年3月まで継続20時間以上、2024年4月から継続24時間を基本とし22時間を下回らない。改正の理由は健康確保
休息期間のルール(改善基準告示・2024年4月1日以降)

それでも、乗務した日の夜は寝ていません。翌日の午前中に寝て、午後から動くという形になります。既存の記事にも「勤務日は9時から翌朝3時くらいまで働きますから、起床は8時、就寝は4時くらいになるでしょう」と書いていました。この生活が合うかどうかは、やってみないと分からない部分が大きいです。合わない人は、日勤や夜勤を選べる会社を探したほうがいいと思います。

腰痛についても書いておきます。統計は見つけられませんでしたが、筆者の体験としては確実にありました。既存の記事にはこう書いています。

タクシー運転手は一日中座りっぱなしですので、職業病として腰痛が起きやすいです。休日や休憩時間にストレッチなどをして、極力腰痛にならない、もしくは悪化しないように心がけましょう。

当時使っていたものは腰痛に悩んでいるタクシー運転手にオススメのクッションに書いてあります。トイレと休憩場所の確保も、意外と生活の質に効きます(タクシー運転手のトイレ問題)。

大変な面④ 人を相手にする危なさ

深夜の客(2018年から2020年ごろの体験)

既存の記事で、筆者はこう書いていました。

特に深夜の時間帯に出会うお客さんは、高い確率でアルコールが入っていますので、受け答えの質も悪くなりがちです。ひどい場合だと、暴行などの事件に巻き込まれる可能性もあります。特に危険なのが女性と新人さんです。

深夜は割増があるので売上は伸びます。東京(特別区・武三交通圏)は22時から5時まで2割増です(令和8年3月19日公示の公定幅運賃)。ただし割増の時間帯と率は地域ごとに違うので、働く場所の運賃を確認してください。

稼ぎたいなら深夜に走ることになり、酔ったお客さんに当たる回数も増えます。これも良い面と大変な面がそのまま裏表になっている部分です。既存の記事の結論は今も変わりません。

酔っ払いを極力避けたい場合は昼勤が良いでしょう。売り上げを考えると隔日勤務をオススメしますが。

危険性の具体的な中身はタクシー運転手は危険な仕事なのか?に、女性が働く場合の話はタクシー運転手は女性でもできる仕事なのか?に分けて書いてあります。

雇い入れ後1年未満の事故比率は13.1%まで上がっています

新人のほうが事故を起こしやすいというのは、統計に出ています。国土交通省の資料はこう書いています。

自動車事故報告規則(昭和 26 年 12 月 20 日運輸省令第 104 号)に基づく事故報告によると、事故件数全体のうち、雇い入れ後1年未満の運転者が事故を生じさせた比率は、貸切バス及びタクシーにおいて顕著であり、貸切バスでは 4.8%(令和3年度)から 9.1%(令和6年度)、タクシーでは 4.0%(令和3年度)から 13.1%(令和6年度)と上昇している傾向が見受けられる。

タクシーは4.0%から13.1%へ、3年で3倍以上になっています。未経験の入口が広がったことと、この数字は無関係ではありません。入った最初の1年がいちばん危ないと考えて、会社の研修と指導をどれだけ受けられるかを確認してください。

事故件数全体のうち雇い入れ後1年未満の運転者が起こした比率。タクシーは令和3年度4.0%から令和6年度13.1%へ。貸切バスは4.8%から9.1%へ
雇い入れ後1年未満の事故比率(国土交通省 事業用自動車総合安全プラン2030)

見通しの悪さも書かれています。「タクシーの交通事故死者数について、夜間や早朝における路上横臥者との事故が令和6年において過去5年で最多の 18 件発生しており、タクシー運転者は安全運転義務を負うものの、視認困難な状況下では事故防止が極めて困難な場合も想定される。」路上に人が横たわっているという状況が、深夜のタクシーでは現実に起きます。

なお、この資料が示しているタクシーの事故削減目標は、令和12年までに死者数25人以下、重傷者数500人以下、人身事故件数6,600件以下、出会い頭衝突事故件数950件以下、乗客の死者数ゼロ、飲酒運転ゼロです。これは目標であって実績ではありません。実績値は同じ資料には載っていませんでした。

タクシーの事故削減目標。令和12年までに死者数25人以下、重傷者数500人以下、人身事故件数6,600件以下、出会い頭衝突事故件数950件以下、乗客の死者数ゼロ、飲酒運転ゼロ
タクシーの事故削減目標(国土交通省 事業用自動車総合安全プラン2030。目標であって実績ではない)

カスタマーハラスメント対策で、氏名と写真の掲示はなくなりました

ここ数年で変わったこともあります。同じ資料に、こう書かれています。

近年は自動車運送事業の担い手確保等の観点からカスタマーハラスメントへの対策が重要性を増していることから、これまでもバス・タクシーの運転者等が安心して働くための環境を整備するため、氏名・写真等の掲示を廃止するといった制度改正や…

注記には「道路運送法施行規則等の一部を改正する省令(令和5年国土交通省令第61号)」とあります。現行の運輸規則37条3項は、指定地域で運転者証を表示する場合を除いて、乗務員証を携行させると定めています。以前のように車内へ大きく掲示する形ではなくなりました。

カスタマーハラスメント対策。令和5年国土交通省令第61号で氏名と写真等の掲示を廃止。現行の運輸規則37条3項は乗務員証を携行させると定めている
氏名と写真の掲示は廃止された(国土交通省・運輸規則37条3項)

制度がここまで動いているということは、それだけ問題が起きていたということでもあります。良い方向の変化として受け取りつつ、そういう仕事なのだという前提は持っておいてください。

大変な面⑤ 職場の年齢構成が高い

良い面⑥の裏側です。60歳以上が43.0%、40歳未満は11.1%という構成は、20代30代で入ると、同世代の同僚がほとんどいないということでもあります。

国土交通省の資料も、高齢化そのものを課題として挙げています。「直近の事業用自動車の運転者における年齢層別事故の推移データを参照すると、バス及びトラックは 50 歳以上、タクシーでは 70 歳以上の運転者による事故の割合が増加傾向にある。」

良い面⑥では「70代の人が7人に1人いる」と書きました。同じ事実が、安全の側から見ると70歳以上の運転者による事故の割合が増えているという話になります。年齢を重ねても続けられる仕事であることと、年齢を重ねると事故のリスクが上がることは、両方とも本当です。

女性の比率も低いままです。賃金構造基本統計調査のタクシー運転者は男女計170,210人のうち女性が10,270人で、6.0%にとどまります。東京は増えていて、女性乗務員数は平成28年の1,239人から令和7年の2,191人になりました。東京の乗務員数は令和7年で59,369人なので、割合にすると3.7%です。10年で約1,000人増えたとはいえ、まだ少数です。

女性の割合。全国のタクシー運転者170,210人のうち女性10,270人で6.0%。東京の女性乗務員は平成28年1,239人から令和7年2,191人へ
女性の割合(賃金構造基本統計調査 令和7年・東京ハイヤー・タクシー協会の資料)
人数割合
タクシー運転者(全国・男女計)170,210人100%
うち女性10,270人6.0%
60歳以上73,180人43.0%
70歳以上24,430人14.4%
40歳未満18,860人11.1%

大変な面⑥ 住んでいる場所で条件が変わる

東京570.4万円と石川254.0万円

タクシーの仕事は、全国どこでも同じ条件ではありません。都道府県別の表から年収を計算すると、いちばん高い東京が570.4万円、いちばん低い石川が254.0万円です。2.2倍以上の差があります。

都道府県年収(計算)
東京570.4万円
大阪479.0万円
神奈川448.9万円
愛知422.5万円
福岡383.5万円
沖縄294.8万円
石川254.0万円
都道府県別の年収。東京570.4万円、大阪479.0万円、神奈川448.9万円、愛知422.5万円、福岡383.5万円、沖縄294.8万円、石川254.0万円
都道府県別の年収(賃金構造基本統計調査 令和7年・月給かける12に賞与を足した計算)

東京と全国の差は1,195.3千円です。ただし全国ハイヤー・タクシー連合会の資料は、この比較に2つの注意を付けています。「小規模都道府県については、調査対象事業所が非常に少数とされた結果、各都道府県の実情が正確に反映されていない可能性があることに留意することが必要。」「東京都と地方の賃金額の比較の際には、住居費の支出額に大きな差があることを考慮することが必要。」

東京の570.4万円をそのまま自分の地元に当てはめないでください。逆に、地方の数字を見て諦める必要もありません。住居費まで含めて考える話です。地域ごとの実情は地方でタクシー運転手になることに書いてあります。

人も車も減っています

もうひとつ、業界全体の動きも見ておきます。法人タクシーの運転者数はこう動いています。

年法人タクシーの運転者数
平成元年358,638人
平成16年381,943人(最多)
平成26年308,706人
令和元年261,671人
令和4年214,972人(最少)
令和6年224,428人

平成16年から令和4年までで166,971人減りました。令和4年から令和6年にかけては9,456人増えて、下げ止まってはいます。ただし平成16年の水準からはまだ大きく離れています。

法人タクシーの運転者数の推移。平成16年381,943人が最多、令和4年214,972人が最少、令和6年224,428人で下げ止まり
法人タクシーの運転者数の推移(国土交通省調べ)

事業者と車両も減っています。法人タクシー事業者数は平成17年の7,076社から令和6年の5,398社へ、法人タクシー車両数は221,571両から167,404両へ、個人タクシー車両数は平成元年の47,221両から25,009両へ動きました。

事業者と車両の推移。法人タクシー事業者数は平成17年7,076社から令和6年5,398社へ、法人タクシー車両数は221,571両から167,404両へ、個人タクシー車両数は平成元年47,221両から25,009両へ
事業者数と車両数の推移(国土交通省調べ)

見方は2つあります。人が減っているぶん1人あたりの仕事は増えるという見方と、市場そのものが縮んでいるという見方です。営業収入は平成元年度の2,582,121百万円から令和6年度の1,442,532百万円へ、輸送人員は3,300,500千人から1,050,663千人へ減っています。令和2年度の底(営業収入907,361百万円)からは戻していますが、平成元年度の水準ではありません。

この先どうなるかは、タクシー業界(運転手)の将来性と今後なくなる可能性に整理してあります。

よく「きつい」と言われるけれど、統計では測れない5つ

ここまでの大変な面①〜⑥は、統計や条文で大きさを示せるものでした。「タクシー運転手 きつい」と調べると、それ以外にも必ず出てくる話があります。数字の裏付けが無いので、筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろの体験として書きます。感じ方は人によって違うので、判断材料の1つとして読んでください。

よく「きつい」と言われる5つと当時の筆者の体験。吐かれるのは乗務1年で1回、洗車は専門の洗車場で1回1,000円・10分ほど、売上ノルマは会社によって違う、住宅ローンは20代・独身で通った、職業を言いにくいのは考え方しだい
よく「きつい」と言われる5つ(筆者の2018年から2020年ごろの体験。統計ではない)

お客さんに吐かれる

筆者は乗務を始めて1年のあいだに、吐かれたのは1回だけでした。お店の人に「潰れているお客さんがいるので来てほしい」と呼ばれて乗せたときです。毎回のように起きることではありませんが、終電のあとの繁華街やナイトクラブの近くを走れば、当たる回数は増えます。避けたいなら東京駅やオフィス街を中心に走るやり方もあります。それでも起きないとは言えないので、起きたら洗って切り替える、くらいの構えでいるのが現実的でした。

帰庫したあとの洗車

長い乗務のあとに自分で洗車をするのは、正直に言って面倒です。冬は水も冷たい。筆者は途中から、タクシー専門の洗車場に頼んでから会社に戻るようにしていました。当時は1回1,000円、10分ほどで終わりました。会社に戻って自分で洗うか、お金を払って任せるかは人それぞれです。料金は当時のもので、今の額は確認していません。

会社の売上ノルマ

ノルマがあるかどうか、どのくらいの額かは会社によって違います。ノルマを置いていない会社もあります。求人票に書いていなければ、面接で直接聞いてください。給与の形そのものの確かめ方は、下の「決める前に確かめる10項目」にまとめています。

住宅ローンやクレジットカードの審査

「タクシー運転手は社会的な信用が無いので審査に通らない」という話もよく見ます。筆者は20代・独身のときに住宅ローンの審査が通りました。周りにも、タクシーの仕事をしながら家を買った人が何人かいました。ただ、歩合給は固定給より収入が月ごとに動くので、金融機関がそこを見ることはあります。審査は人ごと・金融機関ごとに決まるので、通るとは言い切れません。

職業を人に言いにくい

正直に書くと、筆者もこの仕事を深く知るまでは、そういう目で見ていました。ただ、乗ってみると、法律で決められた研修と点呼を受け、税金を納めて働く、ほかの仕事と変わらない仕事でした。人にどう思われるかは自分では決められないので、最後は自分がどう受け止めるかだと思います。

良い面と大変な面は、同じことの裏表

6つと6つを並べ終わったので、冒頭の表に戻ります。1つずつ対応させると、こうなります。

良い面と大変な面の対応。自分の動きが収入に出ると売上が振れる、休みが多いと1回の拘束が長い、上司がいないと助けもいない、長く働けると体調と年齢のリスクがある
良い面と大変な面は、同じことの裏表
良い面対応する大変な面元になっている特徴
① 自分の動きがそのまま収入に出る② 売上が振れる賃金が歩合で決まる
② 乗務しない日が月18日ある① 1回の拘束が長い隔日勤務で1回が長い
④ 走っている間、横に上司がいない④ 人を相手にする危なさ走っている間は1人
⑥ 続けられる期間が長い③ 生活のリズムと体調/⑤ 職場の年齢構成が高い年齢の幅が広い
③ 年齢と経歴の入口が低い④ 雇い入れ後1年未満の事故比率13.1%未経験が常に入ってくる
⑤ 人と土地に出会う⑥ 住んでいる場所で条件が変わる走る場所で仕事の中身が決まる

片方だけを消すことはできません。歩合をやめれば振れは減りますが、自分の動きが収入に出る面もなくなります。隔日勤務をやめれば1回は短くなりますが、月18日の乗務しない日もなくなります。「良いところだけ取る」という選び方はできない仕事だ、というのがいちばん正直な結論です。

できるのは、自分がどちら側を重く見るかを決めることです。次の章で、その判断材料を並べます。

向いている人と、向いていない人

向いている人の特徴

既存の記事に書いていた4つを、そのまま残します。どれも筆者が乗務していた2018年から2020年ごろに、実際に稼いでいた人に共通していたものです。

  • 自分でやった分だけ給料に反映される歩合給がいい人 → 固定給のほうが安心だと感じる人は、そもそも前提が合いません
  • 運転が好きな人 → 月192時間のうち、ほとんどが運転席にいる時間です
  • 観察力がある人 → 人がどこから出てきてどこへ向かうかを見ている人は、待つ場所が変わります
  • 分析力がある、分析することが好きな人 → 100回の記録を取って初めて、17時間台がいちばん効率が悪いと分かりました
向いている人は歩合給がいい人、運転が好きな人、観察力がある人、分析が好きな人。向いていない人はストレス耐性がない人、すぐにキレてしまう人、やる気がない人
向いている人と向いていない人(筆者の乗務体験・2018年から2020年ごろ)

統計の側から足すなら、20代から30代前半の人は数字の上でも相性がいいと言えます。20歳から24歳の年収は483.4万円で全産業の361.4万円を122.0万円上回り、30歳から34歳でも517.9万円と507.3万円で上回っています。年功で上がる仕組みがないので、若いうちに始めるほど他の職種との差が出ます。

向いていない人の特徴

  • ストレス耐性がない人 → 深夜に酔ったお客さんと向き合う日が必ず来ます
  • すぐにキレてしまう人 → ルートのことで文句を言われることがあります。そこで言い返すと、次の日に呼ばれます
  • やる気がない人 → 誰も指示を出さないので、やらなければやらないだけの売上になります

統計の側から足すなら、収入が毎月一定でないと生活が組み立てられない人は慎重に考えたほうがいいと思います。100回の記録の標準偏差は11,214円、平均の18.1%でした。保障給があるので0円にはなりませんが、月によって手取りが動くことは前提になります。

統計では測れない「きつい」の話は上の「よく『きつい』と言われるけれど、統計では測れない5つ」に、離職の理由はタクシー運転手の離職率が高いと言われている原因にまとめてあります。

「話し上手でないと無理」は本当か

よく挙がる条件ですが、ここは違うと思っています。話が続く人は指名をもらいやすいのは確かです。ただし黙っていてほしいお客さんのほうが多いというのが、乗っていたときの実感でした。

道についても同じです。既存の記事にはこう書いています。

道が不安、方向音痴だとかも仕事をしていくうちに必ず克服できます。私もまだまだ、知らない道だらけですがお客様に聞けば99%優しく教えてくれます。

この99%は体験の実感であって統計ではありません。ただ、地理試験が2024年2月29日に廃止された今、道を知らないことを理由に諦める必要はさらに薄くなりました。カーナビもアプリ配車も当時より進んでいます。

道の覚え方はタクシー運転手の道の覚え方に書いてあります。

決める前に確かめる10項目

最後に、応募する前と面接のときに確かめておくことを並べます。歩合率の数字だけを比べても意味がありません。差し引かれるものと、働く形を全部並べてから比べてください。

決める前に確かめる10項目。二種免許の費用、教習中の支給、固定給と歩合と保障給、勤務形態と乗務回数、休憩の決まり、事故の自己負担、高速代とカード手数料、研修の期間、累進歩合の有無、営業区域
決める前に確かめる10項目
#確かめることなぜ
1二種免許の費用は全額負担か。一定期間内に辞めた場合の返還の定めはあるか条件は会社ごとに違う
2教習所に通っている間、いくら支給されるか免許を取るまでの期間の生活に直結する
3固定給と歩合の組み合わせ。保障給はどう計算されるか労働基準法27条と通達 基発1223第3号の水準に照らす
4売上の段差で歩合が跳ね上がる仕組みはないか累進歩合制度は通達で廃止すべきとされている
5隔日勤務か日勤か。1か月の乗務回数と拘束時間はどうなっているか1か月262時間・2暦日22時間の上限との関係を見る
61乗務あたり何時間の休憩を、どう取る決まりか休憩の時間は法令ではなく会社のルール
7事故を起こしたときの自己負担はどうなっているか。上限はあるか会社によって扱いが大きく違う
8高速代、クレジットカードの手数料、チケットの扱いは会社負担か歩合率が同じでも手取りが変わる
9研修の期間と内容。最初の1年の指導体制はどうなっているか雇い入れ後1年未満の事故比率は13.1%
10営業区域はどこか。深夜の割増は何時から何割か地域で運賃も割増も違う

筆者が乗務していた2018年から2020年ごろ、勤務先は基本給18万円に歩合60%という形でした。周りの会社の話を聞くと、歩合率62%だけれど事故のお金が運転手負担というところもあれば、歩合率は60%だけれど事故に関しては一律15000円というところもありました。率だけ見ていると、この違いが見えません。

この記事は特定の会社を勧めるものではありません。上の10項目を自分で聞いて、自分で比べてください。

よくある質問

タクシー運転手の平均年収はいくらですか

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年のタクシー運転者(男女計・企業規模計10人以上)で計算すると450.8万円です。きまって支給する現金給与額359.2千円かける12か月に、年間賞与その他特別給与額197.8千円を足した値です。東京は570.4万円、石川は254.0万円と地域差が大きいので、働く場所の数字を見てください。「平均300万円」という数字を載せているページがまだありますが、令和7年の統計とは合いません。

未経験でも本当に稼げますか

必ず稼げるとは書けません。分布で見ると、所定内給与が月20万円未満の層が20.2%、月40万円以上が19.1%います。ただし年齢で切ると20歳から24歳は483.4万円で全産業の361.4万円を上回り、経験年数0年の人が11.1%いる職場でもあります。入りやすさと稼ぎやすさは別の話なので、保障給の計算方法と研修の中身を面接で確認してください。

隔日勤務はどのくらいきついですか

改善基準告示では2暦日の拘束時間が22時間以内で、休憩時間を含めた時間です。朝に出庫して翌朝に帰庫します。月の総実労働時間は全国平均で192時間、全産業より19時間多くなっています。乗務が明けた日の午前中は寝る時間になるので、休みの日数だけを見ると実感とずれます。

何歳まで働けますか

年齢構成では70歳以上が14.4%、65歳以上が26.3%です。ただし国土交通省の資料は「タクシーでは70歳以上の運転者による事故の割合が増加傾向にある」と書いており、健康に起因する事故ではハイヤー・タクシーは65歳以上に多いとされています。長く続けられることと、年齢とともにリスクが上がることは両方とも本当です。定年と再雇用の扱いは会社ごとに違うので確認してください。

地理試験は今もありますか

東京地域を含む指定地域の試験から、地理の科目は2024年2月29日の令和六年国土交通省令第十五号で廃止されました。現在の試験はタクシー事業に係る法令、安全及び接遇に関するものです。道を知らないことを理由に応募をためらう必要は、以前より小さくなっています。

女性でもできますか

できます。ただし全国のタクシー運転者170,210人のうち女性は10,270人で6.0%と、まだ少数です。東京の女性乗務員は平成28年の1,239人から令和7年の2,191人へ増えています。深夜の安全については、カスタマーハラスメント対策として令和5年国土交通省令第61号で氏名と写真等の掲示が廃止されるなど、制度の側も動いています。

売上はどのくらい振れますか

筆者の乗務100回分の記録(2018年4月から12月・東京)では、99回の平均が62,091円、最大91,710円、最小41,690円、標準偏差11,214円で平均の18.1%でした。乗務時間と営業収入の相関係数は0.334で、長く走れば売れるという関係ではありませんでした。なお2018年の金額なので、今の目安としてそのまま使えません。東京の実働1日1車あたりの運送収入は令和7年度で62,731円です。

結局、向いているのはどんな人ですか

自分で決めて自分で結果を引き受けるのが苦でない人です。走る場所も休憩の取り方も自分で決められる代わりに、結果はそのまま収入に出ます。収入が毎月一定でないと生活が組み立てられない人、深夜に人と向き合うのが強いストレスになる人は、日勤を選ぶか、別の職種を考えたほうがいいと思います。

まとめ

良い面6つと大変な面6つを並べてきました。最後にもう一度まとめます。

この記事のまとめ。年収450.8万円、月20万円未満が20.2%、隔日勤務は2暦日22時間、標準偏差11,214円、60歳以上43.0%、健康起因事故398件、地理試験は2024年2月29日に廃止
この記事のまとめ(2026年9月23日確認)
この記事で書いたこと
年収令和7年で450.8万円。東京570.4万円、石川254.0万円。20代前半だけは全産業を上回る
分布月20万円未満が20.2%、月40万円以上が19.1%、月70万円以上は1.0%
勤務隔日勤務は2暦日22時間・1か月262時間が上限。月の総実労働時間は192時間で全産業より19時間多い
振れ乗務100回の記録で標準偏差11,214円(平均の18.1%)。乗務時間との相関は0.334
年齢60歳以上43.0%、70歳以上14.4%、40歳未満11.1%、女性6.0%
安全健康起因事故は令和6年で398件。雇い入れ後1年未満の事故比率はタクシーで13.1%
入口二種免許は入社後でよい場合が多い。地理試験は2024年2月29日に廃止

「必ず稼げる」とは書けません。ただし、どこを見て判断すればいいかは、ここまでの数字でだいたい出そろったと思います。次にやることは、気になる会社に「決める前に確かめる10項目」を聞いてみることです。答え方で、その会社のこともある程度分かります。

年収の中身をもっと詳しく知りたい人はタクシー運転手の年収は450.8万円、仕事の1日の流れとなるまでの手順はタクシー運転手の仕事内容となるまでの全体像、売上がどう作られるかはタクシーの歩合と営収の仕組み、免許の取り方は二種免許の取り方と費用へどうぞ。未経験からの実際のところはタクシー運転手は未経験でも稼げる職業なの?にも書いてあります。

仕事内容
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  • タクシー運転手と結婚する前に確かめたい年収、勤務の時間、育休の決まり【2026年版】
  • タクシー運転手のアルコール検知と前日のお酒|0.15未満でも乗務できない理由と抜ける時間の目安【2026年版】

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