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女性乗務員の人数は全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の調査、防犯設備は業界団体の設置状況、タクシー強盗は警察庁の犯罪統計、賃金は厚生労働省の賃金構造基本統計調査、法律はe-Govの条文の原文です。いずれも2026年9月24日に確認しています。
「女性がタクシーの運転手をして、危なくないのだろうか」「子どもがいても続けられる働き方なのか」「男性と比べて稼げないのではないか」。女性でタクシーの仕事を考えはじめると、まずこうした不安が浮かぶと思います。
結論から言うと、女性のタクシー運転手は少数派ですが、ここ数年でいちばん速く増えている層です。全タク連の調査では、2026年3月末の女性乗務員は全国で14,388人。全体の5.9%で、人数も割合も調査が始まってからの最多と最高を更新しました。
この記事では、女性がタクシーの仕事を選ぶかどうかを判断するための材料を、統計と法令の原文で並べます。車内の安全、働く時間、妊娠や子育てとの両立、収入、国の認定制度、会社の選び方の順です。「女性でも絶対に安全」「必ず稼げる」とは書きません。数字を見て、自分で判断してもらうための記事です。

結論。女性でもタクシー運転手はできる
先に要点を並べます。細かい理由と出典は、このあとの章で書きます。
- 女性乗務員は全国で14,388人、全体の5.9%。2026年3月末の値で、どちらも過去最多と過去最高です。前の年から1,310人増えました。
- いちばん多いのは50歳台。女性乗務員の34.1%が50歳台で、40歳未満も19.8%います。
- 防犯の設備は、ほとんどの車に付いている。ドライブレコーダーは94.2%、防犯カメラは91.1%の車にあります(2026年3月末)。
- タクシー強盗は令和6年に全国で78件。そのうち40件が東京です。ゼロではありませんが、年に数十件の水準です。
- 酔って歩けない客や刃物を持った客は、乗せなくてよい。国の標準運送約款で決まっています。
- 2026年10月1日から、カスハラ対策が会社の義務になる。お客さんからの行き過ぎた言動について、会社は相談の体制を整えなければなりません。
- 法人タクシーの乗務員は会社に雇われる労働者。妊娠中の深夜業の制限や、子育て中の深夜業の制限など、法律上の権利をそのまま使えます。
- 女性の年収は393.3万円、男性は454.5万円(令和7年)。差には勤続年数の違いが混ざっていて、賞与は女性のほうが多い数字です。
旧版のこの記事には、10年ほど前の人数や、根拠を示せない言い切りが含まれていました。直した点は、記事の最後の「この記事で訂正したこと」にまとめています。

女性のタクシー運転手は、全国に何人いるか
2026年3月末で14,388人、全体の5.9%
全タク連の調査は、女性乗務員数について次のように書いています。
「前年度から1,310人増加し、14,388人となり、過去最多を更新しました。」「全体に占める女性乗務員の割合についても5,9%と過去最高を更新しました。」
全タク連の資料「TAXI TODAY 2026」の運転者不足の章は、「タクシードライバーが職業選択の際の想定となっていない層(若年者や女性)や人材供給層(高齢者)」を取り込む対象に挙げています。女性は、業界が新しく担い手になってほしい層として名前が挙がっています。東京ハイヤー・タクシー協会も、勤務体系や女性専用スペースなど労働環境の改善を、女性が増えた理由に挙げています(都道府県の節で引用します)。
前の年に比べた増え方は10.0%です。その前の年(2025年3月末)は16.6%増で、2年続けて1割を超えて増えています。全タク連は「乗務員数総数がおおむね横ばいで推移している中で」と書いていて、運転手全体が増えていないなかで、女性だけが大きく増えていることが分かります。
| 時点(各年3月末) | 女性乗務員数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 平成5年 | 4,601人 | 1.3% |
| 平成10年 | 8,259人 | 2.3% |
| 平成20年 | 8,083人 | 2.5% |
| 平成25年 | 6,799人 | 2.3% |
| 平成27年 | 6,878人 | 2.5% |
| 平成30年 | 9,179人 | 3.1% |
| 令和2年 | 10,108人 | 3.6% |
| 令和5年 | 9,673人 | 4.2% |
| 令和6年 | 11,213人 | 4.8% |
| 令和7年 | 13,078人 | 5.4% |
| 令和8年 | 14,388人 | 5.9% |
表の数字の数え方には注意が要ります。全タク連の注記によると、平成29年以前は全タク連の会員の会社だけを調べていて、平成30年からは運転者証の交付数で数えています。平成29年の7,292人から平成30年の9,179人への増え方には、数え方が変わった分が混ざっています。

旧版の6,878人は、平成27年3月末の数字
この記事の以前の版では、女性乗務員を6,878人(2.5%)と書いていました。これは平成27年3月末の全タク連の調査の値で、当時の数字としては出典どおりですが、11年前のものです。いまの14,388人と比べると7,510人多く、約2.1倍になっています。
また、「男性が26万人なので女性は全体の2%くらい」とも書いていましたが、いまの割合は5.9%です。
運転手全体が減ったなかで、女性は増えている
全タク連の運転者の推移によると、法人タクシーの運転者全体は平成16年の381,943人が最も多く、令和4年の214,972人が最も少なくなりました。令和6年は224,428人で、少し戻しています。
旧版のこの記事にあった「平成16年がピーク」は、運転者全体の話としては合っています。ただし、女性の人数の山とは別の話です。女性は平成10年の8,259人のあと平成25年の6,799人まで減り、そこから増えて、いまは当時を大きく上回っています。運転者全体が20万人台に減ったなかで女性が増えたため、割合は2.3%から5.9%まで上がりました。
国が掲げた目標の約14,000人を上回った
国土交通省の女性ドライバー応援企業のページには、国の交通政策基本計画(平成27年2月閣議決定)の目標として、次の一文が引かれています。
「女性ドライバーの数を2013年度から2020年度にかけて倍増する(約6,700人→約14,000人)」
目標の年の2020年度末(2021年3月末)の実績は9,723人で、このときは届いていませんでした。その後の増加で、2026年3月末の14,388人が、国が掲げた約14,000人を上回っています。

年齢は50歳台がいちばん多い
全タク連の調査には、女性乗務員の年齢の内訳もあります。いちばん多いのは50歳台で34.1%(50〜54歳が17.1%、55〜59歳が17.0%)。60歳台が18.8%、40歳台が18.7%で続きます。40歳未満は合わせて2,849人で、19.8%です。
| 年齢 | 人数 | 年齢 | 人数 |
|---|---|---|---|
| 25歳未満 | 388人 | 50〜54歳 | 2,459人 |
| 25〜29歳 | 874人 | 55〜59歳 | 2,446人 |
| 30〜34歳 | 772人 | 60〜64歳 | 1,742人 |
| 35〜39歳 | 815人 | 65〜69歳 | 970人 |
| 40〜44歳 | 1,136人 | 70〜74歳 | 744人 |
| 45〜49歳 | 1,560人 | 75歳以上 | 482人 |
12の区分を足すと、合計の14,388人に一致します。子育てがひと段落した世代や、別の仕事から転職してきた世代が多い一方で、25歳から39歳までも合わせて2,461人います。25歳未満も388人いて、若い世代がまったくいない仕事ではありません。

都道府県で見ると
人数が多いのは、東京2,191人、北海道1,061人、神奈川967人、大阪926人、福岡869人です。一方で、乗務員に占める女性の割合が高いのは、富山11.9%、群馬11.8%、岐阜11.6%、新潟9.7%、島根9.7%で、地方の県が上位に並びます。前の年から1割を超えて増えたのは18の都道府県でした。
| 人数の多い都道府県 | 人数 | 割合の高い県 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 2,191人 | 富山 | 11.9% |
| 北海道 | 1,061人 | 群馬 | 11.8% |
| 神奈川 | 967人 | 岐阜 | 11.6% |
| 大阪 | 926人 | 新潟 | 9.7% |
| 福岡 | 869人 | 島根 | 9.7% |
東京は人数では全国一ですが、割合は3.7%で全国の5.9%より低めです。東京ハイヤー・タクシー協会の資料では、東京の女性乗務員は平成28年度の1,239人から令和7年度の2,191人に増え、乗務員59,369人の3.7%です。同じ資料は「女性が働きやすい勤務体系や女性専用スペースの設置など、労働環境の改善により女性タクシー乗務員が近年増加しています。」と書いています。
東京の女性乗務員は9年で952人増えて、約1.77倍になった計算です。
前の年からの増え方が大きかったのは、滋賀24.1%、京都20.9%、福岡20.5%、大阪18.7%、石川17.9%でした。人数の多い大都市だけでなく、地方の府県でも女性が増えています。
| 見方 | 上位の都道府県 |
|---|---|
| 人数が多い | 東京2,191人、北海道1,061人、神奈川967人、大阪926人、福岡869人 |
| 割合が高い | 富山11.9%、群馬11.8%、岐阜11.6%、新潟9.7%、島根9.7% |
| 前の年から増えた率が高い | 滋賀24.1%、京都20.9%、福岡20.5%、大阪18.7%、石川17.9% |
住んでいる地域で女性の割合が高い場合は、女性の先輩がいる営業所に入れる可能性も高くなります。ただし、同じ県の中でも会社ごとの差は大きいので、応募する営業所に女性が何人いるかは、面接で聞いて確かめてください。

車内は危なくないか。防犯の設備と数字
女性がタクシーの仕事で最も気にするのは、夜に知らない人と車内で2人になることだと思います。ここは気持ちの話ではなく、設備と件数の数字で確かめます。
防犯カメラは91.1%、ドライブレコーダーは94.2%
全国ハイヤー・タクシー防犯協力団体連合会の防犯設備の設置状況によると、2026年3月31日の時点で調べた145,822両のうち、それぞれの設備が付いている車の割合は次のとおりです。ドライブレコーダーは全タク連の統計の値です。
| 設備 | 設置両数 | 設置率 |
|---|---|---|
| ドライブレコーダー | 137,348両 | 94.2% |
| 防犯カメラ | 132,862両 | 91.1% |
| 車外防犯灯 | 128,847両 | 88.4% |
| GPSなどと連動した緊急通報装置付き無線機など | 109,704両 | 75.2% |
| 防犯仕切板 | 106,292両 | 72.9% |
車外防犯灯は、車の屋根の表示灯などを使って、外に異常を知らせる灯火です。緊急通報装置は、車の位置と一緒に異常を会社などに知らせる仕組みです。防犯仕切板は、運転席と後ろの席のあいだの透明の板で、東京では94.3%の車に付いています。
前の年(2025年3月末)と比べると、防犯カメラは90.7%から91.1%に上がりました。ドライブレコーダーは、全タク連の調べで前の年度の92.2%から94.2%に上がっています。
ただし、仕切板の全国の設置率は前の年の73.8%から72.9%に下がっていて、毎年増えているわけではありません。どの設備が付いているかは会社や車によって違うので、応募する会社の車に何が付いているかは、自分で確かめる必要があります。

面接や会社見学のときは、次の表の聞き方で、応募する会社の車の設備を確かめられます。
| 設備 | 何をするものか | 確かめる聞き方 |
|---|---|---|
| 防犯カメラ | 車内の様子を記録する | 全部の車に付いていますか |
| ドライブレコーダー | 前方などの映像を記録する | 車内も撮るものですか |
| 車外防犯灯 | 外に異常を知らせる灯火 | どう操作すると点きますか |
| 緊急通報装置 | 車の位置と異常を会社などに知らせる | 通報はどこに届き、誰が対応しますか |
| 防犯仕切板 | 運転席と後ろの席を隔てる板 | 私が乗る車には付いていますか |
防犯の設備は、法律で決まっているわけではない
防犯仕切板や防犯カメラは、法律で付けることが決まっていると思われがちです。旅客自動車運送事業運輸規則、道路運送車両の保安基準、その細目の告示を確かめましたが、全国一律に付けなければならないと定めた条文は見当たりませんでした。設置が進んでいるのは、業界団体の防犯基準と、地域ごとの取り組みによるものです。
全タク連の資料は、業界の防犯対策を次のように説明しています。「タクシー事業者は、乗務員に防犯マニュアルを携行させる他、設備面では、防犯仕切板、防犯カメラ及び緊急通報システム等を設置して防犯対策を進めています。更に、警察の協力の下で、防犯責任者や職員を対象に防犯訓練等の指導を進めています。」
タクシー強盗は、令和6年に全国で78件
警察庁の犯罪統計では、強盗の手口の一つとして「タクシー強盗」が別に数えられています。認知件数の推移は次のとおりです。
| 年 | 認知件数 | 検挙件数 |
|---|---|---|
| 平成27年 | 97件 | 88件 |
| 平成28年 | 116件 | 110件 |
| 平成29年 | 94件 | 90件 |
| 平成30年 | 94件 | 89件 |
| 令和元年 | 90件 | 87件 |
| 令和2年 | 79件 | 76件 |
| 令和3年 | 61件 | 67件 |
| 令和4年 | 71件 | 65件 |
| 令和5年 | 56件 | 56件 |
| 令和6年 | 78件 | 82件 |
令和6年の78件のうち、40件が東京で、全国のおよそ半分を占めます。東京に続くのは埼玉8件、神奈川5件、千葉2件などで、首都圏に集まっています。検挙件数が認知件数を上回る年があるのは、前の年までに起きた事件をその年に検挙した分が入るためです。全タク連の資料は「タクシーを対象とした強盗事件は夜間帯を中心に発生しています。」と書いています。
令和6年の78件に対して、法人タクシーの車はおよそ14.6万両あります。ただし、強盗の件数に個人タクシーが含まれるかが統計から分からないため、1両あたりの確率は計算していません。
一方で、被害にあった乗務員の性別は統計にありません。女性の乗務員が強盗にあった件数や、強盗以外の暴行や傷害をタクシーだけで分けた件数も、公表された統計には見当たりませんでした。令和7年のタクシー強盗の件数も、確認した時点では公表されていません。

業界の防犯基準で、乗務員がすること
全タク連がまとめた防犯基準では、営業所は防犯責任者を決めて、乗務員に防犯の指導と訓練をします。乗務員は、車の点検のときに防犯設備も確かめること、声かけをすること、必要最少限度の現金だけを持つこと、車外防犯灯を使うことが求められています。
面接のときには、防犯の訓練をどのくらいの頻度で行っているか、夜の乗務で何かあったときにどこへ連絡が行く仕組みか、を聞いておくと、その会社の取り組みが分かります。

乗せなくてよい客は、約款で決まっている
タクシーは、原則としてお客さんを乗せる義務があります(道路運送法13条)。ただし、国土交通省の標準運送約款の4条は、次のような場合には「運送の引受け又は継続を拒絶することがあります」としています。
- 「旅客が行先を明瞭に告げられないほど又は人の助けなくしては歩行が困難なほど泥酔しているとき。」
- 「旅客が旅客自動車運送事業運輸規則の規定により持込みを禁止された刃物その他の物品を携帯しているとき。」
- 「旅客が車内を汚染するおそれがある不潔な服装をしているとき。」
- 「旅客が付添人を伴わない重病者であるとき。」
- 「旅客が乗務員の旅客自動車運送事業運輸規則の規定に基づいて行う措置に従わないとき。」(原文から一部略)
運輸規則13条にも、泥酔した人で他の旅客の迷惑となるおそれのある人などを、乗せるのを断れる場合として挙げています。また約款の2条は、お客さんは運転者が運送の安全のために行う職務上の指示に従わなければならない、と定めています。
ただし、約款には暴言や暴力そのものを名指しした号はありません。「迷惑な客はすべて断れる」わけではなく、断れるかどうかは約款の各号に当たるかで決まります。具体的な対応は、入社したあとに会社の防犯マニュアルで確かめてください。

2026年10月1日から、カスハラ対策が会社の義務に
お客さんからの行き過ぎた言動(カスタマーハラスメント)について、改正された労働施策総合推進法の33条が2026年10月1日から施行されます(令和7年法律第63号)。条文は、事業主に、顧客などの言動で「社会通念上許容される範囲を超えたもの」によって働く人の就業環境が害されないよう、「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」などの措置を義務づけています。
同じ条の2項は、相談したことを理由に解雇などの不利益な扱いをすることを禁じています。お客さんの側にも、働く人の就業環境を害さないよう注意を払う努力義務が書かれました(34条5項)。タクシー会社も、この義務の対象になる事業主です。
セクシュアルハラスメントについては、すでに男女雇用機会均等法の11条で、会社に相談に応じる体制の整備などが義務づけられています。お客さんから嫌な思いをさせられたときに、会社のどこに相談すればよいかは、入社前に聞いておける項目です。


女性がタクシーの仕事に不安を感じる点
国土交通省が平成27年度に行った女性タクシー運転者のモデル事業の報告書には、子育て世代にタクシーの仕事について聞いた調査があります。2016年2月に名古屋市のイベント会場で行ったもので、有効回答は1,378件です。無作為に選んだ人への調査ではないので、女性全体の意見ではなく、当時の子育て世代の声として読んでください。
タクシーの運転者として「あまり働きたいとは思わない」「決して働きたいとは思わない」と答えた人の理由(当てはまるものすべて)は、長時間労働や勤務時間の調整が難しそう(39.7%)と、交通事故など安全面の不安(39.4%)がほぼ並んで多く、女性が少ない(17.8%)、給料や福利厚生がよくなさそう(12.8%)が続きました。営業所の更衣室などの設備を理由に挙げた人は3.6%でした。

同じ調査で「多くのママに働いてもらうために必要なこと」(3つまで)を聞くと、保育所の併設が71.5%でいちばん多く、勤務時間の調整が49.9%、防犯対策の強化が31.3%でした。
つまり、不安の中心は「時間」と「安全」です。安全については前の章で数字を見ました。次の章では、時間の決まりを見ていきます。

働く時間は、国の上限で決まっている
隔日勤務と日勤の上限
タクシーの働き方は、朝から翌日の未明まで乗って翌日は休みになる隔日勤務と、1日のうちに乗務が終わる日勤に大きく分かれます。どちらにも、厚生労働省の改善基準告示で拘束時間の上限があります。2024年4月1日からの上限は次のとおりです。
| 項目 | 日勤 | 隔日勤務 |
|---|---|---|
| 1回の拘束時間 | 13時間(最大15時間) | 2暦日で22時間(2回平均21時間) |
| 1か月の拘束時間 | 288時間 | 262時間(労使協定で270時間) |
| 休息期間 | 継続11時間が基本、9時間を下回らない | 継続24時間が基本、22時間を下回らない |
日勤の1日の拘束時間は、延長しても15時間までで、14時間を超えるのは週3回までが目安です。隔日勤務の1か月262時間は、労使協定を結べば年に6か月まで270時間に延ばせます。上限の数字は厚生労働省のパンフレットでも確かめられます。
子どもの送り迎えがある人や、夜の乗務を避けたい人は、昼の日勤を選べるかどうかが大事になります。どの時間帯の日勤があるか、月に何日乗るかは会社の就業規則しだいで、全国で決まった時間があるわけではありません。1日の流れはタクシー運転手の仕事内容に、短い時間で乗る働き方はタクシーのアルバイトと定時制にまとめています。
日勤、隔日勤務、短時間の3つを並べると、次のようになります。短時間の欄は、会社に雇われて短い時間で働く女性の統計の平均です。
| 働き方 | 1回の長さ | 1か月 | 夜の乗務 |
|---|---|---|---|
| 日勤 | 拘束13時間まで(最大15時間) | 拘束288時間まで | 時間帯の枠による |
| 隔日勤務 | 2暦日で拘束22時間まで | 拘束262時間まで | 深夜の時間帯をまたぐ |
| 短時間(女性の平均) | 1日6.3時間 | 15.1日 | 時間帯の枠による |
隔日勤務は1回が長いぶん出勤の日数が少なく、休みの日がまとまります。日勤と短時間は毎日の時間が短いぶん、家の予定に合わせやすい働き方です。どれが合うかは、家族の予定と、夜に乗れるかどうかで決まります。

乗務員は、個人事業主ではなく雇われて働く人
この記事の以前の版では、「タクシー会社は車を貸しているだけで、働き方は個人事業主と同じ」と書いていました。これは誤りです。法人タクシーの乗務員は、会社と雇用契約を結んで働く労働者です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査でも、会社に雇われる労働者として数えられています。
雇われて働く人だからこそ、このあとに書く労働基準法や育児介護休業法の権利を使えます。乗務中はひとりで運転するので自分のペースで働ける面はありますが、法律の上では会社員と同じ立場です。

妊娠、出産、子育てのときに使える決まり
妊娠中と産後1年は、請求すれば深夜業をしなくてよい
労働基準法の66条は、妊娠中と産後1年以内の女性(妊産婦)について、次のように定めています。
「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」
同じ条の2項では、請求すれば時間外労働や休日労働もさせてはならないとしています。隔日勤務は深夜の時間帯をまたぐので、妊娠が分かったあとは、請求すれば深夜の乗務を外してもらえるということです。65条3項では、妊娠中の女性が請求すれば、ほかの軽い業務に替えなければならないとも定めています。
出産の前後は、65条で、6週間以内に出産する予定の人が休業を請求すれば働かせてはならず、産後8週間は原則として働かせてはならないと決まっています(産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務を除く)。
妊婦健診の時間と、勤務の軽減
男女雇用機会均等法の12条は、妊婦健診などを受けるために必要な時間を会社が確保することを、13条は、医師の指導を守れるように「勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置」を会社が講じることを義務づけています。
タクシーでいえば、隔日勤務から日勤への切り替えや、乗務時間の短縮がこうした措置に当たりえます。ただし、どの措置をとるかは会社と本人の話し合いで決まり、「必ず日勤に変えてもらえる」とまで法律が決めているわけではありません。
なお労働基準法64条の3は、妊娠中と産後1年以内の女性を、重いものを扱う業務や有害なガスが出る場所での業務など、妊娠や出産に有害な業務に就かせてはならないと定めています。対象の業務は厚生労働省令で決まっていて、タクシーの運転がこれに当たるかは、この記事では確かめられていません。妊娠が分かったら、まず会社と主治医に相談して、66条の深夜業の制限や65条の軽い業務への転換を請求するのが確実です。
また9条は、妊娠や出産を理由とする解雇などの不利益な扱いを禁じ、妊娠中と産後1年以内の解雇は、会社が妊娠などを理由とする解雇ではないと証明しない限り無効としています。

子どもが小学校に入るまでは、深夜業の制限を請求できる
育児介護休業法の19条は、小学校に入る前の子どもを育てる人が請求すれば、会社は午後10時から午前5時までの深夜に働かせてはならない、と定めています。ただし「事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」という例外があり、雇われて1年未満の人や、深夜に子どもを保育できる同居の家族がいる人などは対象外です。請求は1回につき1か月以上6か月以内の期間を決めて、始める日の1か月前までに行います。
| 子どもの年齢 | 請求できること | 条文 |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 短時間勤務(難しい業務では始業時刻の変更などの代わりの措置) | 育児介護休業法23条 |
| 小学校入学前 | 所定の時間を超えて働かない | 育児介護休業法16条の8 |
| 小学校入学前 | 時間外労働を月24時間、年150時間までにする | 育児介護休業法17条 |
| 小学校入学前 | 午後10時から午前5時までの深夜に働かない | 育児介護休業法19条 |
短時間勤務の23条には、業務の性質から短時間勤務が難しい仕事を労使協定で除けるという定めがありますが、その場合でも、始業時刻の変更などの代わりの措置が必要です。昼の日勤だけで働けるかどうかは、会社の就業規則と相談しだいです。

生理休暇
労働基準法68条は「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」と定めています。条文は休ませることまでを決めていて、休んだ日の賃金を払うかどうかは書いていません。有給か無給かは会社の就業規則で確かめてください。

女性の年収と、男性との差
女性393.3万円、男性454.5万円
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で、会社に雇われて働くタクシー運転者の数字は次のとおりです。年収は、毎月の給与(きまって支給する現金給与額)の12か月分に賞与などを足して計算しています。
| 項目 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 50.0歳 | 57.3歳 |
| 勤続年数 | 4.7年 | 8.6年 |
| きまって支給する給与(月) | 309.0千円 | 362.4千円 |
| うち所定内給与(月) | 266.1千円 | 309.0千円 |
| 賞与など(年) | 225.3千円 | 196.0千円 |
| 年収(計算) | 393.3万円 | 454.5万円 |
女性の年収は男性の86.5%です。ただし、女性は勤続年数が4.7年で男性の8.6年より短く、最近になって入った人が多いことが分かります。タクシーの給料は売上に応じた歩合の形が多く、経験を積むと売上が上がりやすい仕事なので、この差を「女性だから低い」と読むことはできません。賞与は、女性のほうが男性より多い数字になっています。
残業代や深夜の手当などを除いた所定内給与で計算しても、女性341.9万円、男性390.4万円で、女性は男性の87.6%です。

毎月の給与は、全産業の女性より少し高い
全産業の女性(民営)と比べると、毎月の給与はタクシーの女性が309.0千円で、全産業の女性の304.7千円をわずかに上回ります。年収で見ると全産業の女性のほうが高くなるのは、賞与の差です(全産業の女性714.3千円、タクシーの女性225.3千円)。
短時間で働く女性の時給は1,285円
短時間で働く人の統計では、女性のタクシー運転者の1時間あたりの所定内給与は1,285円(男女計1,462円)です。女性の平均は1日6.3時間、月15.1日で、この数字で計算すると月に約12.2万円です(統計の平均からの目安で、実際の給与明細の額ではありません)。
短時間で働く女性の平均年齢は52.2歳、勤続は5.8年です。フルタイムの女性(50.0歳、勤続4.7年)と比べて、年齢も勤続も少し上です。短い時間で乗る働き方はタクシーのアルバイトと定時制で詳しく書いています。
年収の詳しい見方はタクシー運転手の年収に、歩合の仕組みはタクシーの歩合と営収にまとめています。

国の「女性ドライバー応援企業」認定制度
認定の3つの基準
国土交通省は、平成28年6月からタクシー会社を対象に「女性ドライバー応援企業」を認定しています。認定の基準は次の3つです。
- 雇用目標 → 「女性ドライバーの雇用目標を設定していること」
- 労働環境 → 「働きやすい施設・勤務形態の整備等に取り組んでいること、または整備に向けた目標が明確であること」(原文から一部略)
- 情報提供 → 「労働環境に係る情報(勤務形態、福利厚生等)を公表していること」
認定された会社は国土交通省のホームページに載ります。3つ目の基準があるので、認定を受けた会社は勤務形態や福利厚生の情報を公表しているはずで、応募する前に比べやすくなります。

一覧に載った会社は延べ約900者
国土交通省の認定事業者の一覧は、認定の回ごとに公表されています。第1回の平成28年6月は276者で、その年だけで572者が認定されました。2026年8月までの一覧の件数を足すと、延べ約900者になります。
| 年 | 一覧に載った件数 |
|---|---|
| 平成28年 | 572 |
| 平成29年 | 50 |
| 平成30年 | 47 |
| 令和元年 | 34 |
| 令和2年 | 26 |
| 令和3年 | 17 |
| 令和4年 | 27 |
| 令和5年 | 53 |
| 令和6年 | 31 |
| 令和7年 | 28 |
| 令和8年(8月まで) | 13 |
この数は回ごとの一覧を足した延べの数で、いま認定を受けている会社の数ではありません。認定の取り消しや、会社の合併などがあったかは一覧に書かれておらず、国土交通省が累計の数を示した資料も見当たりませんでした。応募を考えている会社が載っているかは、一覧で社名を確かめてください。

二種免許の条件に、男女の違いはない
お客さんを乗せるタクシーを運転するには、道路交通法86条により第二種免許が必要です。受験の条件は96条5項で決まっていて、原則は21歳以上で、普通免許などを通算3年以上持っていることです。
ただし、道路交通法施行令34条が定める教習(受験資格の特例のための教習で、一般に受験資格特例教習と呼ばれます)を修了すれば、19歳以上で免許の期間が1年以上から受けられます。条件に男女の違いはありません。
取り方、費用、会社が費用を出す養成制度は二種免許の取り方と費用に詳しく書いています。東京などで必要だった地理試験は、2024年2月29日に廃止されています。

女性が会社を選ぶときに確かめたいこと
ここまでの数字と決まりをふまえて、応募する前や面接で確かめておきたい点を並べます。会社によって差が大きいのは、勤務の時間帯、車の設備、相談の窓口です。
- 昼の日勤はあるか。何時から何時までの枠があり、月に何日乗るか。
- 車にどの防犯設備が付いているか。防犯カメラ、仕切板、緊急通報装置、車外防犯灯。
- 防犯の訓練をしているか。夜の乗務で何かあったとき、どこに連絡が行くか。
- ハラスメントの相談窓口はどこか。お客さんからの言動も相談できるか。
- 妊娠したときや子育て中の勤務はどうなるか。日勤への切り替えや短時間勤務の例があるか。
- 更衣室や休憩室、トイレはどうなっているか。営業所に女性用の場所があるか。
- 給料は歩合か固定給か。入社してしばらくの給与の保障があるか。
- 二種免許の費用を出してもらえるか。女性ドライバー応援企業の一覧に載っているか。
この中で、とくに会社ごとの差が出やすいのは、日勤の枠と相談の窓口です。日勤の時間帯は法律で決まっておらず、就業規則しだいです。子どもの送り迎えがあるなら、朝と夕方の時間に合う枠があるかを、具体的な時刻で聞いてください。
相談の窓口は、セクハラについては均等法で、カスハラについては2026年10月1日から、会社に体制づくりが義務づけられます。義務になっていても、実際に誰に連絡すればよいかは会社によって違います。「お客さんから嫌なことを言われたら、誰に報告しますか」と聞けば、その会社の体制が分かります。
設備と訓練は、車に何が付いているかに加えて、使い方を教わる機会があるかが大事です。緊急通報装置が付いていても、押したあとに誰が動くかが決まっていなければ役に立ちません。面接では、通報がどこに届くかまで聞いておくと安心です。
大変な面も含めたタクシーの仕事の全体像はタクシー運転手の魅力と大変なことにまとめています。

この記事で訂正したこと
この記事は2019年8月14日に公開したものを、2026年9月24日に書き直しました。以前の版には、古い数字や根拠を示せない記述がありました。主なものを並べます。
| 以前の版の記述 | いまの事実 |
|---|---|
| 女性乗務員は6,878人(全体の2.5%) | 2026年3月末で14,388人、全体の5.9%(全タク連)。6,878人は平成27年3月末の値 |
| 男性が26万人なので女性は2%くらい | 女性の割合は5.9%で過去最高 |
| 前回の調査から179人増えて8年ぶりの増加 | 2024年3月末から3年続けて大きく増加(13.7%、16.6%、10.0%)。平成25年の値は、全タク連の後の資料で6,799人に直されている |
| 会社は車を貸しているだけで個人事業主と同じ | 法人タクシーの乗務員は雇われて働く労働者。労働基準法や育児介護休業法の権利を使える |
| 出勤は朝6時から13時30分までのあいだ | 特定の会社の例。全国共通なのは改善基準告示の上限(日勤は拘束1日13時間、最大15時間) |
| お客さんからセクハラされる可能性が非常に高い | 件数の統計は見当たらない。会社には相談体制の義務があり、2026年10月1日からカスハラ対策も義務 |
| 警告灯やGPSで無線室につながる | 仕組みは大筋そのとおり。設置率は車外防犯灯88.4%、緊急通報装置付き無線機など75.2% |
また、以前の版にあった特定のタクシー会社の名前と、その会社の更衣室の写真は削除しました。

よくある質問
女性がタクシー運転手になるのは危なくないですか
危険がゼロとは言えませんが、ドライブレコーダーは94.2%、防犯カメラは91.1%の車に付いています(2026年3月末)。タクシー強盗は令和6年に全国で78件で、夜間が中心です。泥酔して行き先を言えない客や刃物を持った客は乗せなくてよいと約款で決まっています。車の設備と防犯の訓練は会社ごとに違うので、応募前に確かめてください。
女性のタクシー運転手はどのくらいいますか
全タク連の調査で、2026年3月末に全国で14,388人、乗務員全体の5.9%です。どちらも過去最多と過去最高で、前の年から1,310人増えました。年齢は50歳台が34.1%でいちばん多く、40歳未満も19.8%います。
子育てをしながら続けられますか
昼の日勤で働けるかどうかが分かれ目になります。法律では、小学校に入る前の子どもを育てる人は深夜業の制限や時間外労働の制限を請求でき、3歳未満なら短時間勤務も申し出られます。日勤の時間帯の枠は会社ごとに違うので、面接で確かめてください。
妊娠したら夜の乗務はどうなりますか
労働基準法66条で、妊娠中と産後1年以内の人が請求すれば、会社は深夜業をさせてはならないと決まっています。時間外労働と休日労働も同じです。妊婦健診の時間の確保や勤務の軽減も、男女雇用機会均等法で会社の義務になっています。
女性は男性より稼げないのですか
令和7年の統計では、女性の年収は393.3万円、男性は454.5万円です。ただし女性は勤続年数が4.7年で、男性の8.6年より短い人が多く、賞与は女性のほうが多い数字です。歩合の仕事なので、勤続や働き方の違いが差に表れています。
生理休暇は取れますか。有給ですか
労働基準法68条で、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、会社はその日に働かせてはならないと決まっています。条文は休ませることまでを定めていて、賃金を払うかどうかは書いていません。有給か無給かは、会社の就業規則で確かめてください。
女性ドライバー応援企業とは何ですか
国土交通省が平成28年6月から行っている認定制度です。女性ドライバーの雇用目標の設定、働きやすい施設や勤務形態の整備、勤務形態や福利厚生の情報の公表の3つが基準です。2026年8月までの一覧に載った会社は延べ約900者で、会社の名前は国土交通省のページで確かめられます。
地方でも女性のタクシー運転手はいますか
乗務員に占める女性の割合は、富山11.9%、群馬11.8%、岐阜11.6%と、地方の県が上位に並びます。全国の割合5.9%の約2倍です。前の年からの増え方も、滋賀24.1%、京都20.9%など、大都市以外で大きく伸びた府県があります。
夜の乗務だけを避けて働けますか
昼の日勤の枠がある会社なら、夜に乗らない働き方ができます。日勤の時間帯は法律で決まっておらず、会社の就業規則しだいです。妊娠中と産後1年以内、小学校に入る前の子どもを育てている間は、法律に基づいて深夜業の制限を請求できます(子育ての制限には対象外になる人もいます)。
何歳から女性タクシー運転手になれますか
二種免許は原則21歳以上で、普通免許などを通算3年以上持っていることが条件です。受験資格の特例のための教習を修了すれば、19歳以上で免許の期間が1年以上から受けられます。男女で条件の違いはありません。
まとめ
タクシー運転手は、女性も十分に選べる仕事です。女性の乗務員はここ数年で大きく増え、防犯の設備や法律の決まりも整ってきています。
- 女性乗務員は2026年3月末で14,388人、全体の5.9%。過去最多と過去最高
- 年齢は50歳台が34.1%でいちばん多く、40歳未満も19.8%
- ドライブレコーダー94.2%、防犯カメラ91.1%、防犯仕切板72.9%の車に設置
- タクシー強盗は令和6年に78件、うち東京40件。夜間が中心
- 泥酔して行き先を言えない客や刃物を持った客は、乗せなくてよい
- 2026年10月1日から、カスハラ対策が会社の義務に
- 妊娠中と産後1年は、請求すれば深夜業をしなくてよい。子育て中も深夜業の制限を請求できる
- 女性の年収は393.3万円、男性は454.5万円(令和7年)。勤続年数の違いが差に表れている
- 国の女性ドライバー応援企業の一覧に載った会社は延べ約900者
数字と制度は、ここに書いた2026年9月24日の時点のものです。女性乗務員の人数は毎年、全タク連が公表しています。応募する会社の勤務の時間帯と車の設備は、面接で自分の目で確かめてください。




