この記事の情報
法令は e-Gov の現行版(道路交通法、同法施行規則、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律と同法施行令・施行規則)で確認しました。警察庁・国土交通省の資料、全国運転代行協会の説明とあわせて、2026年9月26日に確認した内容です。給与の数字は国土交通省の実態調査で、回答した事業者の数が少ないなどの条件つきの数字です。条件は本文に書いています。
運転代行の仕事に興味があっても、二種免許がないと働けないのか、随伴車の運転なら普通免許でよいのか、二種を取るにはいくらかかるのか。ここがはっきりしないと、応募する求人も、免許を取るかどうかも決められません。
この記事では、道路交通法と自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(この記事では運転代行業法と書きます)の条文を、原文のまま確認しました。あわせて、警察庁と国土交通省の資料から、運転代行の仕事の決まりと、給与について分かっていることを整理しています。
先に結論を書きます。二種免許が必要なのは、お客さんの車(普通自動車)を運転する人です。道路交通法86条5項が「代行運転普通自動車を運転しようとする者は、普通第二種免許を受けなければならない。」と定めています。一方で、業者の車(随伴用自動車)を運転する人に二種免許を求める条文は、道路交通法にも運転代行業法にも見当たりません。普通二種の教習は、普通免許を持つ人なら2025年9月の改正後で技能12時限・学科17時限、教習所4校の公開料金は215,050円から255,000円でした。

運転代行で二種免許が必要なのは誰か
お客さんの車を運転する人は普通二種(86条5項)
運転代行で二種免許を求めているのは、道路交通法の3つの条文です(道路交通法 e-Gov)。まず85条12項が、一種の免許ではお客さんの車を運転できないと定めています。
大型免許、中型免許、準中型免許又は普通免許を受けた者は、第二項の規定にかかわらず、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成十三年法律第五十七号)第二条第六項に規定する代行運転自動車(普通自動車に限る。以下「代行運転普通自動車」という。)を運転することはできない。
そのうえで、86条5項が「代行運転普通自動車を運転しようとする者は、普通第二種免許を受けなければならない。」と定めています。代行運転自動車とは、運転代行業法2条6項で「自動車運転代行業を営む者による代行運転役務の対象となっている自動車」、つまり運転代行を頼んだお客さんの車のことです。そのうち普通自動車が「代行運転普通自動車」で、これを運転するには普通二種免許が要ります。
大型二種・中型二種でも運転できる(86条6項)
86条6項は「大型第二種免許又は中型第二種免許を受けた者は、第二項に規定するもののほか、代行運転普通自動車を運転することができる。」と定めています。バスの運転手が持つ大型二種や、中型二種を持っていれば、普通二種を別に取らなくても運転代行でお客さんの車を運転できます。大型二種については大型二種免許の取り方と費用にまとめています。
仮免許や国際運転免許証では運転できない
87条5項は「仮免許を受けた者は、第二項の規定にかかわらず、代行運転普通自動車を運転することはできない。」と定めています。二種の教習中に仮免許を取っても、その仮免許でお客さんの車を運転することはできません。また107条の2では、国際運転免許証などで日本の道路を運転できる規定に「代行運転普通自動車を運転する場合は、この限りでない。」という除外が付いています。
| 持っている免許 | お客さんの車(代行運転普通自動車) | 根拠 |
|---|---|---|
| 普通免許・準中型・中型・大型(一種) | 運転できない | 85条12項 |
| 普通第二種免許 | 運転できる | 86条5項 |
| 中型第二種・大型第二種免許 | 運転できる | 86条6項 |
| 仮免許 | 運転できない | 87条5項 |
| 国際運転免許証など | 運転できない | 107条の2 |

随伴車の運転者は、条文上は二種を求められていない
では、お客さんの車の後ろをついていく業者の車(随伴用自動車)の運転者はどうでしょうか。e-Gov の道路交通法の全文を検索すると、「随伴」という言葉は1か所も出てきません。運転代行業法にも、運転者の免許の種類を決める条文はありません。条文の並びから言えるのは、二種免許が必要とされているのはお客さんの車の運転で、随伴用自動車の運転者に二種を求める規定は見当たらない、ということです。
全国運転代行協会の説明も「客車を運転するドライバーは二種免許が必要です。」という書き方です(全国運転代行協会 自動車運転代行業とは)。警察庁の取締りに関する通達にある様式でも、運転者の免許種別に「二種」と「一種」の両方の欄があり、車両区分に「随伴用自動車」と「代行運転自動車」が分かれています(警察庁 交通指導取締り上の留意事項等について)。
ただし、随伴用自動車の運転者でも、その車を運転できる一種免許は当然必要です。また、実際にどちらの車を担当するかは事業者の運用で決まります。応募の前に、どちらの運転を担当するのかを求人票や面接で確かめてください。
二種が必要になったのは2004年6月から
運転代行業法は2002年(平成14年)6月1日に施行されました。お客さんの車の運転者に二種免許が必要になったのは、その2年後です。警察白書 平成17年は「平成16年6月から、代行運転普通自動車の運転者は第二種免許を受けなければならないこととする改正道路交通法の規定が施行された。」と書いています(警察白書 平成17年 自動車運転代行業)。2026年の時点で、22年たっています。
白書には、改正直後の事例も載っています。2004年6月に、二種免許を受けずにお客さんの車を運転していた運転手が道路交通法違反(無免許運転)で検挙されました。その後、経営者に対する罰金30万円の略式命令が確定し、同年7月に運転代行業の認定が取り消されています(福島)。二種を持たない人にお客さんの車を運転させることは、働く人だけでなく、事業そのものを失う違反です。


運転代行の仕組みを条文で確認する
運転代行業法2条の3つの条件
運転代行業法2条1項は、運転代行を次の3つの条件のすべてに当てはまる営業だと定めています(自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律 e-Gov)。
一 主として、夜間において客に飲食をさせる営業を営む者から酒類の提供を受けて酒気を帯びた状態にある者(以下この条において「酔客」という。)に代わって自動車を運転する役務を提供するものであること。
二 酔客その他の当該役務の提供を受ける者を乗車させるものであること。
三 常態として、当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること。
まとめると、夜にお酒を飲んだ人の代わりに、その人を乗せてその人の車を運転し、業者の車が後ろからついていく営業です。3つすべてに当てはまることが条件なので、たとえばお客さんを乗せずに車だけを運ぶ場合は、この定義に当てはまりません。
2人1組で動く
全国運転代行協会は、仕組みを「通常はドライバーが2名1組となって、1名がお客様の車にお客様を乗せ、それにもう1名が運転する随伴車が追走し、お客様を目的地までお届けした後、そのドライバーを随伴車に回収して営業所に戻る」と説明しています。国土交通省の資料でも、運転代行の特徴として「1 回のサービスで最低2名を動員する必要があること」「勤務時間帯は主に深夜であること」「正社員(専従者)の他にアルバイトが存在すること」が挙げられています(国土交通省 料金原価及び収入等に関する実態調査)。
運転代行業法2条4項は、代行運転自動車(お客さんの車)と随伴用自動車(業者の車)のどちらを運転する仕事も「運転代行業務」としています。どちらを担当しても、運転代行業法の決まりを守る運転代行業務従事者です。
普通二種の取り方と費用(要点)
お客さんの車を運転するために普通二種を取る場合の要点です。取り方の詳しい流れ、試験の中身、教習所ごとの料金は二種免許の取り方と費用に、同じ出典と同じ数字でまとめています。
受験資格は21歳・3年(特例教習で19歳・1年)
普通二種を受けられるのは、原則として21歳以上で、普通免許などを受けていた期間が通算3年以上の人です(道路交通法96条5項1号)。2022年5月13日からは、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・1年以上で受けられます(警察庁 第二種免許等の受験資格の見直しについて)。特例教習は、年齢の特例が7時限以上、経歴の特例が29時限以上です。

教習は技能12時限・学科17時限(2025年9月から)
指定教習所に通う場合、普通免許を持つ人の技能教習は、2025年9月1日の施行規則の改正で21時限から12時限に、学科教習は19時限から17時限に短くなりました(道路交通法施行規則 e-Gov、改正前は2025年6月1日施行の版)。1時限は50分で、技能12時限を1日4時限ずつ受けると、技能教習だけで3日分です。普通二種の教習は9か月以内に修了する決まりです(施行規則33条5項1号ラ)。
| 普通免許を持つ人の教習 | 改正前 | 2025年9月1日から |
|---|---|---|
| 技能教習 | 21時限 | 12時限 |
| 学科教習 | 19時限(学科一7・学科二12) | 17時限(学科一6・学科二11) |

試験の合格基準と適性の基準
学科試験の合格基準は90%以上(施行規則25条)、直接受ける場合の技能試験は80%以上です(施行規則24条10項)。二種は深視力の検査があり、基準は「三桿法の奥行知覚検査器により二・五メートルの距離で三回検査し、その平均誤差が二センチメートル以下であること」です(施行規則23条)。視力は「両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上」です(警視庁 二種免許試験(指定教習所を卒業された方))。
費用は教習所で215,050円から255,000円
driverlicenseflow の記事で確認した教習所4校の公開料金(税込・普通免許を持つ人の普通二種)は、215,050円から255,000円でした。試験場の手数料は、警視庁の場合、教習所の卒業者が4,150円(受験料1,800円、免許証交付料2,350円)です。教習所に通わず試験場で直接受ける場合は9,800円(受験料4,500円、試験車使用料2,950円、免許証交付料2,350円)で、別に取得時講習の受講料30,300円がかかります(警視庁 二種免許試験(直接試験場で受験される方))。一度で合格した場合でも、合計40,100円です。
| 取り方 | かかるお金(警視庁の例) |
|---|---|
| 指定教習所に通う | 教習所の料金 215,050円から255,000円(4校の公開料金)+試験場の手数料 4,150円 |
| 試験場で直接受ける | 手数料 9,800円+取得時講習 30,300円=40,100円(一度で合格した場合。技能の再試験はその都度) |


運転代行の仕事で守る決まり
運転代行の仕事では、運転の技術のほかに、法律で決まった手順があります。働く人が現場で関わるものを順に見ていきます。
乗る前にお客さんへ5つのことを説明する
運転代行業法15条は、代行を始める前に料金や約款の概要などを説明することを義務にしています。説明する中身は、国土交通省関係の施行規則7条に5つ書かれています(国土交通省関係 施行規則 e-Gov)。
- 代行運転役務を提供する事業者の名前と、運転代行業務従事者の氏名
- 営業所に掲示した料金
- お客さんが支払う料金の概算額
- 約款の概要
- 「随伴用自動車により旅客自動車運送事業…に該当する行為はできないこと。」
説明は「口頭及び書面の交付により行うこととする。」とされ、料金の概算額だけは口頭で足ります。標準自動車運転代行約款では、損害を賠償するための措置の概要も書面で示して説明するとしています(国土交通省 標準自動車運転代行約款)。

随伴車にお客さんを乗せない
5つ目の説明項目にあるとおり、随伴用自動車でお客さんを運ぶことはできません。お金をもらってお客さんを運ぶのはタクシーなどの旅客自動車運送事業で、随伴車でこれをすると、いわゆる白タク行為になります。警察庁の通達は、健全化対策の1つ目に「随伴用自動車による白タク行為等の悪質な違法行為の根絶」を挙げ、「依然として白タク行為を始めとする違法行為が絶えないとの指摘等もなされている」と書いています(警察庁 自動車運転代行業の更なる健全化対策)。
運転代行業法施行令5条の営業停止の基準では、道路運送法4条・43条・78条の違反は3点です(運転代行業法施行令 e-Gov)。お客さんに「随伴車に乗せてほしい」と頼まれても断るのが決まりです。

お客さんの車に標識、随伴車に表示
お客さんの車には、代行運転中であることを示す標識を付けます(運転代行業法16条)。国家公安委員会関係の施行規則12条で、位置は前面と後面の「地上〇・四メートル以上一・二メートル以下の位置」と決まっています(国家公安委員会関係 施行規則 e-Gov)。
随伴用自動車には、事業者の名称又は記号、認定した公安委員会の名称と認定番号、「代行」、「随伴用自動車」を表示します(国土交通省関係施行規則8条)。国土交通省の告示では、表示は「ペンキ等による横書きとし、車体の両側面に行うこと。」、「着脱が容易に行えるマグネット等によるものを除くこと。」、文字は「縦横それぞれ 5 センチメートル以上」とされています(国土交通省告示 損害賠償責任保険契約等の補償限度額及び随伴用自動車の表示事項等)。タクシーと間違えられる表示をしてはいけないことも、施行規則8条に書かれています。

運転前後のアルコールチェックと乗務記録
運転代行の事業者は、営業所ごとに安全運転管理者を選ぶ決まりです(後で説明します)。安全運転管理者の業務には、運転しようとする運転者と運転を終えた運転者の酒気帯びの有無をアルコール検知器を使って確認し、その記録を1年間保存することが含まれます(道路交通法施行規則9条の10)。お酒を飲んだお客さんを乗せる仕事なので、運転者自身がお酒を飲んでいないことは、毎回機械で確かめられます。
事業者は乗務記録も付けます。国家公安委員会関係の施行規則14条では、始業と終業の時刻、お客さんの車と随伴用自動車のどちらを運転したか、随伴用自動車の登録番号、一緒に動いた従事者、休憩や仮眠、交通事故などを記録し、2年間保存します。従事者の名簿には、受けている運転免許の種類と免許証の番号、有効期間の末日も書かれます。
料金は掲示した額で受け取る
料金は、事業者が営業を始める前に決めて営業所に掲示し、ウェブサイトでも公開します(運転代行業法11条)。国土交通省の料金制度のガイドラインでは、料金の種類は距離制・時間制・定額の3つで、「料金の適用は、基本的に距離制料金を適用することとする」とされています(国土交通省 料金制度に関するガイドライン)。国土交通省の利用料金の調査では、1キロごとに足される加算料金を「200 円台」に設定している事業者が「7割近く」でした(国土交通省 利用料金等に関する実態調査)。
運転代行を開業するときの要件
ここからは、自分で運転代行を始める場合の要件です。働く側にとっても、勤め先がきちんと認定を受けているかを見分ける目安になります。
都道府県公安委員会の認定(4条)
運転代行業法4条は「自動車運転代行業を営もうとする者は、前条各号のいずれにも該当しないことについて、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の認定を受けなければならない。」と定めています。申請は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署長を通して出します(国家公安委員会関係施行規則3条)。公安委員会は、認定の前に国土交通大臣に協議して同意を得ます(運転代行業法5条4項)。運転代行は、警察と国土交通省の両方が関わる仕事です。
3条の欠格事由には、破産して復権を得ない人、一定の刑を受けて期間がたっていない人、心身の故障で業務を適正にできない人などのほか、七号「損害を賠償するための措置が第十二条の国土交通省令で定める基準に適合すると認められないことについて相当な理由がある者」、八号の安全運転管理者を選ぶと認められない者が並んでいます。保険と安全運転管理者の準備が、認定を受ける前提になっています。

お客さんの車の事故に備える保険(12条)
運転代行業法12条は、お客さんの車の運行で生じた損害を賠償するための措置を講じておくことを義務にしています。国土交通省の告示で、補償の限度額は、生命や身体の損害が「一人につき 八千万円」、財産の損害が「一事故につき二百万円」以上と決まっています。国土交通省関係の施行規則4条では、随伴用自動車の台数で契約する場合は「すべての随伴用自動車の台数分」とされています。
さらに標準約款では、随伴用自動車についても「対人八千万円以上、対物二百万円以上」の保険(共済)を結ぶとしています。国土交通省は2016年の利用者保護の対策で、随伴用自動車の事故に備える保険を標準約款で義務付けると書いています(国土交通省 利用者保護に関する諸課題への対策)。

営業所ごとに安全運転管理者(19条)
運転代行業法19条は、道路交通法の安全運転管理者の規定を読み替えて、「自動車運転代行業者は、その自動車運転代行業の営業所」ごとに選ぶとしています。台数に関係なく、営業所ごとに必要です。
安全運転管理者は、20歳以上(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上)で、運転の管理について2年以上の実務経験がある人などです(道路交通法施行規則9条の9)。副安全運転管理者は、内閣府令の読み替えで、随伴用自動車が10台以上20台未満なら1人、20台以上なら10台ごとに1人を足します(運転代行業法による道路交通法施行規則の特例を定める内閣府令 e-Gov)。読み替える前の基準(20台以上40台未満で1人)の半分の台数から必要になります。

標識・料金・約款の掲示とウェブでの公開
認定を受けたら、認定を受けたことを示す標識を主たる営業所に掲示し(6条)、料金(11条)と約款(13条)も営業所に掲示します。約款は国土交通大臣に届け出ますが、国土交通省の標準約款と同じ約款にすれば、届け出たものとみなされます(13条4項)。
標識・料金・約款はウェブサイトでも公開します。2024年4月1日からは、「随伴用自動車の台数が一台以下である場合」と、事業者が管理するウェブサイトを持っていない場合は、ウェブでの公開が除かれます(国家公安委員会・国土交通省関係 施行規則 e-Gov)。
罰則は3段階
運転代行業法の罰則は、主に3つの段階に分かれています。
| 条文 | 罰則 | 主な違反 |
|---|---|---|
| 31条 | 一年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金 | 営業停止や廃止の命令に違反 |
| 32条 | 三十万円以下の罰金 | 認定を受けずに営業、名義貸し、損害賠償措置を講じない、指示に違反 |
| 33条 | 二十万円以下の罰金 | 標識・料金・約款の掲示、標識や表示、帳簿などの義務に違反 |
このほか、公安委員会は6月を超えない範囲で営業停止を命じることができます(23条)。先ほどの白書の事例のように、二種免許を持たない人にお客さんの車を運転させると、道路交通法の無免許運転の違反にもなります。

運転代行の給与を示す統計はあるか
国の賃金統計に「運転代行」の区分はない
運転手の給与を調べるときによく使われる厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」には、職種別の賃金が載っています。令和7年の表で自動車の運転に関わる職種を確認すると、バス運転者、タクシー運転者、乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)、営業用大型貨物自動車運転者などが並んでいますが、「運転代行」という名前の区分はありません(厚生労働省 賃金構造基本統計調査 令和7年(職種)第1表)。運転代行の給与だけを取り出した公的な統計は、今回の確認では見つかりませんでした。
国土交通省の実態調査にある数字
給与の数字が載っている一次情報として、国土交通省が令和3年2月から8月に行った「自動車運転代行業の料金原価及び収入等に関する実態調査」があります(国土交通省 調査結果(料金原価及び収入等))。平成29年度から令和元年度の3年分を、事業者に答えてもらったものです。
この調査では、運転者(専従者)1人1か月の給与平均支給額の全国中央値が171千円、運転者(アルバイト)は59千円でした。国土交通省は、タクシー運転者の給与月額(全国平均284千円)と比べて「代行運転者の給与水準は低いと言える」としつつ、運転代行の従業員の1か月の乗務時間は20.9時間で、タクシーの月間労働時間195時間とは「単純比較はできない」とも書いています。
| 項目(全国中央値・平成29年度から令和元年度の平均) | 金額 |
|---|---|
| 運転者(専従者)1人1か月の給与平均支給額 | 171千円 |
| 運転者(アルバイト)1人1か月の給与平均支給額 | 59千円 |
| (参考)タクシー運転者の給与月額(全国平均) | 284千円 |

数字を読むときの3つの注意
この数字は、そのまま「運転代行の給料の相場」とは言えません。理由は3つあります。
- 回答が少ない。調査対象1,453社のうち、回答は106者(回収率約7%)でした
- 地域に偏りがある。東京都を含む1都7県(秋田県、東京都、群馬県、三重県、広島県、香川県、佐賀県、大分県)の事業者からは有効回答がありませんでした
- 時期が古い。平成29年度から令和元年度の数字で、その後の変化は入っていません
また同じ調査では、退職金・厚生費率の全国中央値が0%で、国土交通省は「退職金や福利厚生費等はほぼ支払われていないことが読み取れる」と書いています。応募するときは、時給や日給のほかに、社会保険や交通費、深夜の割増しがどう扱われるかも確かめてください。
タクシーなど、ほかの運転の仕事の給与はタクシー運転手の給料に、副業やアルバイトとして運転の仕事をする場合はタクシーのアルバイト・副業にまとめています。

運転代行で働く前のチェックリスト
- 担当するのはお客さんの車か、随伴車か、両方か(お客さんの車なら普通二種・中型二種・大型二種のどれかが必要)
- 二種を持っていない場合、取得にかかる費用をだれが負担するか
- 勤め先が公安委員会の認定を受けている(営業所に標識が掲示されている)
- 随伴車の両側面に、名称・認定番号・「代行」・「随伴用自動車」がペンキ等で表示されている
- お客さんの車と随伴車の両方に、対人8,000万円以上・対物200万円以上の保険や共済が付いている
- 運転の前後にアルコール検知器で確認する体制がある
- 随伴車にお客さんを乗せる運用をしていない
- 給与の形(時給・日給・歩合)、深夜の割増し、社会保険、交通費の扱いを確かめた

よくある質問
Q. 運転代行は普通免許(一種)だけでもできますか?
お客さんの車を運転することはできません。道路交通法85条12項は、普通免許などの一種の免許ではお客さんの車(代行運転普通自動車)を運転できないと定めています。随伴用自動車の運転者に二種を求める条文は見当たりませんが、担当がどちらかは、求人票や面接で確かめてください。
Q. 大型二種を持っていれば運転代行ができますか?
できます。道路交通法86条6項は「大型第二種免許又は中型第二種免許を受けた者は、第二項に規定するもののほか、代行運転普通自動車を運転することができる。」と定めています。
Q. 二種の教習中の仮免許でお客さんの車を運転できますか?
できません。道路交通法87条5項は「仮免許を受けた者は、第二項の規定にかかわらず、代行運転普通自動車を運転することはできない。」と定めています。
Q. 普通二種は何日で取れますか?
普通免許を持つ人の技能教習は12時限で、1日4時限ずつ受けると技能だけで3日分です。学科教習17時限、検定、試験場での試験があるので、実際の日数は教習所の予約状況で変わります。教習は9か月以内に修了する決まりです。
Q. 普通二種の費用はいくらですか?
教習所4校の公開料金は215,050円から255,000円でした。これに試験場の手数料(警視庁は4,150円)がかかります。試験場で直接受ける場合は手数料9,800円と取得時講習30,300円で、一度で合格しても40,100円です。
Q. 二種免許が必要になったのはいつからですか?
2004年(平成16年)6月からです。警察白書 平成17年に「平成16年6月から、代行運転普通自動車の運転者は第二種免許を受けなければならないこととする改正道路交通法の規定が施行された。」とあります。
Q. 随伴車にお客さんを乗せてもいいですか?
いけません。国土交通省関係の施行規則7条で、乗る前に「随伴用自動車により旅客自動車運送事業…に該当する行為はできないこと。」を説明することになっています。お金をもらって随伴車でお客さんを運ぶと、いわゆる白タク行為になります。
Q. 運転代行の給料はどのくらいですか?
国の賃金統計には運転代行の区分がありません。国土交通省の実態調査では、運転者(専従者)1人1か月の給与平均支給額の全国中央値が171千円、アルバイトが59千円でした。ただし回答は106者(回収率約7%)で、平成29年度から令和元年度の数字です。
Q. 運転代行を始めるには何が必要ですか?
都道府県公安委員会の認定(運転代行業法4条)が必要です。あわせて、お客さんの車の事故に備える保険や共済(対人1人8,000万円・対物1事故200万円以上)、営業所ごとの安全運転管理者、料金と約款の掲示、随伴用自動車の表示などを整えます。
Q. 運転代行とタクシーはどう違いますか?
タクシーは会社の車にお客さんを乗せて運ぶ旅客自動車運送事業です。運転代行は、お客さんの車にお客さんを乗せて運転し、業者の車が随伴する営業で、運転代行業法で公安委員会の認定を受けて営みます。どちらもお客さんを乗せて運転する人には二種免許が必要です。タクシーの仕事はタクシー運転手の仕事内容にまとめています。
参考にした一次情報
いずれも2026年9月26日に確認しました。
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則 2025年6月1日施行の版(改正前の教習時間)
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(e-Gov 法令検索)
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省関係自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行規則(e-Gov 法令検索)
- 国家公安委員会関係自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行規則(e-Gov 法令検索)
- 国家公安委員会・国土交通省関係自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行規則(e-Gov 法令検索)
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の規定により読み替えて適用される道路交通法施行規則の規定の特例を定める内閣府令(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省告示 自動車運転代行業者が締結すべき損害賠償責任保険契約等の補償限度額及び随伴用自動車の表示事項等の表示方法等を定める告示
- 国土交通省「自動車運転代行業」
- 国土交通省「自動車運転代行業における適正な業務運営に向けた「利用者保護」に関する諸課題への対策」
- 国土交通省「自動車運転代行業の料金制度に関するガイドライン」
- 国土交通省「標準自動車運転代行約款」
- 国土交通省「自動車運転代行業の利用料金等に関する実態調査」
- 国土交通省「自動車運転代行業の料金原価及び収入等に関する実態調査」
- 警察庁「警察白書 平成17年」自動車運転代行業
- 警察庁「安全・安心な利用に向けた自動車運転代行業の更なる健全化対策」の策定について
- 警察庁「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律に係る交通指導取締り上の留意事項等について」
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」
- 警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(指定教習所を卒業された方)」
- 警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)」
- 全国運転代行協会「自動車運転代行業とは」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年(職種)第1表
働く前の条件は応募する事業者に、免許の受験は住所地の都道府県警察に、開業の手続きは主たる営業所を管轄する警察署に、最後は直接確かめてから進めてください。





