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法令は e-Gov の現行版(道路交通法と道路交通法施行規則)で確認しました。警視庁・大阪府警察・埼玉県警察・神奈川県警察の公式ページ、警察庁の運転免許統計(令和7年版)とあわせて、2026年10月10日に確認した内容です。検査の細かな運用は都道府県で違うことがあるので、受ける前は住所地の運転免許試験場の案内も確かめてください。
大型トラックやバス、タクシーの免許を取ろうとすると、必ず出てくるのが「深視力」です。普通免許を取ったときには受けていない検査なので、どんな検査なのか、どのくらいずれたら落ちるのか、更新のたびに受けるのかが分からず、不安になる人が多い検査です。
この記事では、深視力の基準を定めている道路交通法施行規則の条文を原文で確認し、警察が公式に出している説明だけで、検査の仕組みと基準、対象になる免許、更新で基準に届かなかったときの扱いを整理しました。
先に結論を書きます。深視力の基準は「三桿法の奥行知覚検査器により二・五メートルの距離で三回検査し、その平均誤差が二センチメートル以下であること」です(道路交通法施行規則23条)。対象は大型・中型・準中型・けん引・第二種の免許で、中型8トン限定・準中型5トン限定・普通免許は対象外です。そして深視力は免許を取るときだけでなく、更新のときの適性検査でも同じ基準で測ります(施行規則29条8項)。

深視力とは、奥行きの見え方を測る検査
3本の棒の真ん中が並んだ瞬間にボタンを押す
深視力の検査は「三桿法(さんかんほう)」という方法で行います。大阪府警察の公式ページは、検査の仕組みを次のように説明しています(大阪府警察 免許の種類と視力等の基準)。
3本の棒を使って奥行きがどれくらい見えているかを測る方法です。真ん中の棒は、両側の動かない棒の位置を中心として、前に来たり後ろに行ったりして動きます。真ん中の棒が両側の動かない棒の間を通ったときに、検査器のボタンをすばやく押して棒を止めます。
ふつうの視力検査は、どれだけ小さな形が見分けられるかを測ります。深視力の検査は、それとは別に、物がどれだけ手前にあるか、奥にあるかを見分ける力を測ります。両側の棒は止まっていて、真ん中の棒だけが手前と奥を行き来するので、3本が横一列に並んだと思った瞬間にボタンを押します。止まった位置と、両側の棒の位置との差が「誤差」です。
深視力を求める免許
深視力を求めている免許は、大型・中型・準中型のトラックやバス、けん引車、そしてお客さんを乗せて運転する第二種免許です。施行規則は深視力の基準をこれらの免許にだけ置いていますが、なぜこれらの免許なのかという理由は条文には書かれていません。

深視力の検査がある免許・ない免許
施行規則23条が定める対象
深視力の基準は、道路交通法施行規則23条(適性試験)の表に書かれています(道路交通法施行規則 e-Gov)。原文は次のとおりです。
大型免許、中型免許、準中型免許、大型仮免許、中型仮免許、準中型仮免許、牽引免許及び第二種免許に係る適性試験にあつては、三桿法の奥行知覚検査器により二・五メートルの距離で三回検査し、その平均誤差が二センチメートル以下であること。
つまり、対象は大型免許・中型免許・準中型免許・けん引免許・第二種免許(大型二種・中型二種・普通二種など)と、大型・中型・準中型の仮免許です。普通免許、二輪免許、大型特殊免許、原付と小型特殊の免許には、深視力の基準はありません。

8トン限定と5トン限定は対象外
ここで大事なのが、免許証に「限定」が付いている人です。警視庁の「適性試験の合格基準」は、深視力の対象を「大型第一種免許、中型第一種免許(限定なし)、準中型第一種免許(限定なし)、けん引免許、第二種免許、大型仮免許、中型仮免許、準中型仮免許」と書き、8トン限定の中型と5トン限定の準中型を、普通免許と同じ視力の基準のほうに入れています(警視庁 適性試験の合格基準)。
8トン限定の中型免許は、2007年6月2日より前に普通免許を取った人の免許です。法改正で、それまでの普通免許が中型免許(8トン限定)とみなされました。同じように、2007年6月2日から2017年3月11日までに普通免許を取った人は、準中型免許(5トン限定)とみなされています(警察庁 運転免許統計の用語の注)。免許証の種類の欄に「中型」「準中型」と書かれていても、条件欄に限定があれば、更新で深視力を測ることはありません。
| 免許 | 深視力 | 視力の基準 |
|---|---|---|
| 大型・中型(限定なし)・準中型(限定なし)・けん引 | あり | 両眼0.8以上・一眼0.5以上 |
| 第二種(大型二種・中型二種・普通二種など) | あり | 両眼0.8以上・一眼0.5以上 |
| 大型・中型・準中型の仮免許 | あり | 両眼0.8以上・一眼0.5以上 |
| 中型(8トン限定)・準中型(5トン限定)・普通 | なし | 両眼0.7以上・一眼0.3以上 |
| 二輪・大型特殊 | なし | 両眼0.7以上・一眼0.3以上 |
出典は道路交通法施行規則23条と警視庁「適性試験の合格基準」。神奈川県警察も、免許の種類ごとの受験資格と視力の基準を一覧表で公開しています(神奈川県警察 受験資格・適性試験合格基準(視力))。
合格の基準は2.5メートル・3回・平均2センチ以下
1回ごとの上限はなく、3回の平均で決まる
基準の数字は3つだけです。2.5メートル離れて見る、3回検査する、3回の誤差の平均が2センチメートル以下なら合格。施行規則23条は「平均誤差」で決めていて、1回ごとの誤差の上限は書いていません。

大阪府警察は、合格と不合格の例を図で示しています。原文の例をそのまま表にすると、次のようになります。
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | 結果 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 例1 | 2センチ | 4センチ | 0センチ | (2+4+0)÷3=2.0センチ | 合格 |
| 例2 | 2センチ | 3センチ | 2センチ | (2+3+2)÷3=2.3センチ | 不合格 |
例1は2回目に4センチずれていますが、3回目がぴったり止まったので、平均は2.0センチで基準内です。例2は3回とも大きくは外れていないように見えますが、平均が2.3センチになり、基準を超えます。1回の大きな失敗より、3回とも少しずつずれるほうが不合格になりやすいということが、この2つの例から分かります。

警察によって書き方が少し違う
警視庁と埼玉県警察は「平均誤差が2センチメートル以下」、大阪府警察は「平均の誤差が2センチ以内」「±2センチ以内」と書いています。どれも施行規則23条の同じ基準を説明したもので、基準そのものは全国共通です。
視力の基準も深視力とセットで見る
深視力のある免許は、ふつうの視力の基準も普通免許より高くなっています。施行規則23条は、大型・中型・準中型・けん引・第二種の免許について「視力が両眼で〇・八以上、かつ、一眼でそれぞれ〇・五以上であること」と定めています。普通免許などは「両眼で〇・七以上、かつ、一眼でそれぞれ〇・三以上」です。

この視力には「矯正視力を含む」と条文に書かれていて、眼鏡等で矯正した視力で受けられます。大阪府警察は「眼鏡等による矯正でも可」としたうえで、片方の目の視力が基準に届かない場合は、これらの免許の取得も更新もできないと注意しています。普通免許にある「片方の目が見えない人は、もう片方の視野と視力で判断する」という形の基準は、深視力のある免許にはありません。
眼鏡等を使って基準を満たした人は、免許に眼鏡等を使う条件が付くことがあります。道路交通法91条は、公安委員会が「その免許に係る者の身体の状態又は運転の技能に応じ」て免許に条件を付けられると定めていて、施行規則29条でも「眼鏡等、補聴器又は特定後写鏡等を使用すべきこととするもの」という形の条件が出てきます(道路交通法 e-Gov)。警察庁の運転免許統計では、令和7年末に眼鏡等使用の条件が付いた免許が42,757,838件ありました(警察庁 運転免許統計 令和7年版)。
適性試験は深視力だけではない
深視力は、免許の適性試験の科目の1つです。施行規則23条は、適性試験の科目として視力・色彩識別能力・深視力・聴力・運動能力を並べています。深視力のある免許で求められる基準を、警視庁の案内とあわせて表にまとめます。
| 科目 | 大型・中型・準中型・けん引・二種の基準 | 更新のとき |
|---|---|---|
| 視力 | 両眼0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上(矯正視力を含む) | 測る |
| 深視力 | 2.5メートルの距離で3回検査し、平均誤差2センチメートル以下 | 測る |
| 色彩識別能力 | 赤色、青色及び黄色の識別ができること | 行わない |
| 聴力 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器により補われた聴力を含む) | 測る |
色の見分けについて、警視庁は「現に免許を受けている方、更新手続、失効手続等の方は、行いません。」と書いています。施行規則29条8項が更新の適性検査に23条を準用するときに「色彩識別能力に係る部分を除く」としているのと同じ内容です。聴力の基準は、警視庁の案内では「両耳の聴力(補聴器により補われた聴力を含む)が10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること」です(警視庁 適性試験の合格基準)。
自分の免許が対象かは、免許証の条件欄で見分ける
自分の免許が深視力の対象かどうかは、免許の種類の欄だけでなく、条件欄も見て判断します。大阪府警察は、準中型の5トン限定について次のように説明しています。
準中型(5トン限定)免許とは、免許証の条件欄に「準中型で運転できる準中型車は準中型車(5トン)に限る」と記載されている免許で、車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満の車両まで運転できる免許です。
警察庁の運転免許統計も、中型8トン限定・中型5トン限定・準中型5トン限定・AT限定・眼鏡等使用を「条件付運転免許」としてまとめて数えています。8トン限定も免許の条件なので、条件欄に記載があるかどうかで、深視力の対象かどうかが分かれます。
深視力を測る場面は4つ
教習所の入校と、試験場の適性試験
教習所によっては、申し込むときに深視力を確かめます。東京都内のある教習所は、普通二種の入校資格に深視力の基準として「2センチ以内」と書いています。すべての教習所が入校時に測るとは限りませんが、入校時に確かめておけば、教習を終えたあとで試験場の適性試験に落ちるという事態を避けられます。
そのうえで、試験場での免許の試験には、学科・技能とは別に適性試験があります。警視庁は二種免許の受験資格として、視力とともに「三桿法の奥行知覚検査器により」測る深視力の基準を掲げています(警視庁 二種免許試験)。
更新のときも同じ基準で測る
深視力は取ったら終わりではありません。施行規則29条8項は次のように定めています。
第二十三条第一項の規定(色彩識別能力に係る部分を除く。)は、法第百一条第五項に規定する適性検査について準用する。
法第101条第5項の適性検査とは、免許の更新のときの適性検査のことです。つまり更新のときも、色の見分けを除いて、免許を取るときと同じ視力・深視力の基準が使われます。大型やけん引、二種の免許を持っている限り、更新のたびに深視力を測ることになります。

8トン限定を解除すると、次の更新から深視力
8トン限定の中型免許を持つ人が、仕事のために限定を外すこともあります。警視庁は限定解除の案内で、次のように注意しています(警視庁 中型免許限定解除審査)。
限定解除後の免許更新時における適性検査は、大型免許と同じ基準(視力0.8以上、深視力実施)となります。免許更新時に適性検査に合格しない場合、下位免許にあたる普通免許や原付免許となってしまう可能性があります。
限定を外すと運転できるトラックが大きくなる一方で、更新のたびに深視力の基準を満たす必要が出てきます。限定解除の手続きと費用は中型免許の取り方と8トン限定の解除、準中型については準中型免許の取り方にまとめています。

更新で深視力が基準に届かなかったら
その免許のままでは更新できない
埼玉県警察は「運転免許更新時における適性検査」のページで、次のように案内しています(埼玉県警察 運転免許更新時における適性検査)。
なお、適性検査に合格しない場合は、免許の更新をすることができません。
したがって、準中型、第一種中型免許や第一種大型免許及び第二種免許をお持ちのかたが基準に達しない場合は、それぞれの基準に達した普通免許、又は第一種免許で更新することになります。
たとえば大型二種を持つバスの運転士が、更新で深視力の基準に届かなかった場合、大型二種のままでは更新できず、基準を満たす免許で更新することになります。第一種の大型や普通免許として残せたとしても、第二種免許がなくなれば、お客さんを乗せて運賃をとる運転はできません。

仕事への影響は大きい
深視力が関わる仕事を並べると、運転を仕事にする人の多くが当てはまります。
- タクシー・ハイヤー・運転代行 → 普通二種以上。二種免許はすべて深視力の対象
- 路線バス・観光バス → 大型二種
- マイクロバスで運賃をとって運ぶ仕事 → 中型二種以上
- 中型・大型トラック、トレーラー → 中型・大型・けん引
- 2トン車などの小型トラック → 準中型5トン限定や普通免許なら深視力の対象外

タクシーの仕事に必要な免許は二種免許の取り方、バスは大型二種免許の取り方、トラックは大型免許の取り方とけん引免許の取り方で、それぞれの受験資格と費用をまとめています。

深視力の検査がある免許は何件あるか
警察庁の運転免許統計(令和7年版)から、深視力の対象になる免許の件数を見ておきます。令和7年末の件数は、第一種の大型免許が4,555,515件、第二種免許が大型749,150件・中型664,156件・普通169,395件・大型特殊37,765件・牽引41,469件で計1,661,935件、第一種のけん引免許が1,210,468件でした。2種類以上の免許を持つ人は持っているすべての欄に数えられるので、これは人数ではなく件数です。

第一種の中型免許は97.2%が8トン限定
第一種の中型免許は59,329,498件と大きな数字ですが、そのほとんどが8トン限定です。同じ統計の条件付き免許の表では、中型8トン限定だけの免許が57,216,668件、中型8トン限定と中型二種8トン限定の両方を持つ免許が456,565件で、あわせて57,673,233件でした。第一種中型の件数に占める割合は、57,673,233÷59,329,498で97.2%です。8トン限定の人は更新で深視力を測らないので、中型免許の件数だけを見て「多くの人が深視力を受けている」とは言えません。

深視力の検査で何人が不合格になっているかは、運転免許統計に該当する表がなく、公的な数字は見つかりませんでした。
深視力を受ける前にできること
練習で上がるという公的な根拠は見つからない
深視力の検査について調べると、練習アプリやコツを紹介するページがたくさん出てきます。ただ、練習やトレーニングで深視力の検査の結果が良くなるという公的な資料は、今回確かめた警察と法令の資料の中には見つかりませんでした。この記事では練習法は紹介しません。
警察が公式に案内しているのは、視力を眼鏡等で矯正しておくことです。埼玉県警察は「視力が低下されたかたは、あらかじめ、眼鏡等で矯正していただきますと、手続がスムーズになります。」と書いています。見え方そのものに不安がある場合は、眼科で相談するのが確実です。
更新は期間の初めのほうに
免許の更新期間は、有効期間が満了する日の直前の誕生日の1か月前から、有効期間が満了する日までです(道路交通法101条1項)。期間の終わりぎりぎりに受けると、適性検査で困ったときに眼鏡を作り直すなどの時間がありません。警視庁は、眼鏡等を使っている人は更新に「使用中の眼鏡、補聴器等」を持ってくるよう案内しています(警視庁 指定警察署での更新手続)。


よくある質問
Q. 深視力の検査は何回まで受け直せますか?
施行規則23条は「三回検査し、その平均誤差」で合否を決めると定めているだけで、その場で何回やり直せるかは書いていません。やり直しの扱いは試験場の運用によるので、受ける試験場に確かめてください。
Q. 普通免許の更新でも深視力の検査はありますか?
ありません。深視力の基準があるのは大型・中型・準中型・けん引・第二種の免許と、大型・中型・準中型の仮免許です。中型8トン限定・準中型5トン限定の免許も、警視庁の案内では深視力の対象外です。
Q. 1回でも2センチを超えたら不合格ですか?
いいえ。基準は3回の平均誤差です。大阪府警察の例では、2センチ・4センチ・0センチで平均2.0センチなら合格、2センチ・3センチ・2センチで平均2.3センチなら不合格でした。
Q. 眼鏡やコンタクトをして受けてもいいですか?
視力は「矯正視力を含む」と施行規則23条に書かれていて、眼鏡等で矯正した視力で受けられます。矯正して基準を満たした場合、免許に眼鏡等を使う条件が付くことがあります。
Q. 更新で深視力に落ちたら免許はなくなりますか?
免許がすべてなくなるわけではありません。埼玉県警察は、基準に達しない場合は「それぞれの基準に達した普通免許、又は第一種免許で更新することになります」と案内しています。ただし大型や二種のままでは更新できないので、その免許が必要な仕事は続けられなくなります。
参考にした一次情報
いずれも2026年10月10日に確認しました。
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 警視庁「適性試験の合格基準」
- 警視庁「中型免許限定解除審査(指定教習所で技能審査に合格された方)」
- 警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(指定教習所を卒業された方)」
- 警視庁「指定警察署での更新手続」
- 大阪府警察「免許の種類と視力等の基準」
- 埼玉県警察「運転免許更新時における適性検査」
- 神奈川県警察「受験資格・適性試験合格基準(視力)」
- 警察庁「運転免許統計(令和7年版)」
検査の受け方や受け直しの扱いは、最後は住所地の運転免許試験場に確かめてから進めてください。





