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法令は e-Gov の現行版(道路交通法は2026年7月21日施行、同法施行規則は2026年9月1日施行の版)と、施行規則の施行予定の版で確認しました。警察庁・警視庁・厚生労働省・全日本トラック協会・東京都トラック協会の資料とあわせて、2026年9月25日に確認した内容です。統計は警察庁「運転免許統計(令和7年版)」を使っています。教習所の料金は首都圏の教習所5校の公開料金ページで確認しました。試験の手数料は東京(警視庁)の場合です。受ける前に、住所地の都道府県警察と教習所の案内を確認してください。
大型トラックやダンプを運転する仕事に就くには、大型免許が必要です。調べ始めると「普通免許しかないけれど直接取れるのか」「教習所に何日通うのか」「費用は40万円を超えるのか」「試験場の一発試験なら安いのか」「会社や国の補助はあるのか」と、疑問が次々に出てきます。
この記事では、大型免許(正式には大型自動車免許。第一種)の取り方を、道路交通法と同法施行規則の条文、警察庁と警視庁の案内から順番に並べ直しました。費用は、首都圏の教習所5校が公開している料金と、試験場の手数料を実際に確認しています。さらに、費用を下げる公的な制度として、厚生労働省の教育訓練給付と、会社が受け取る助成金、トラック協会の免許取得助成の条件を原文で確かめました。
先に結論を書きます。大型免許の受験資格は、原則として21歳以上で、普通免許などを受けていた期間が通算3年以上です。特例の教習を受ければ19歳・1年で受けられます。普通免許を持つ人が教習所に通う場合、技能教習は30時限、学科教習は1時限で、試験場で学科試験を受ける必要はありません。教習所の公開料金は、首都圏の教習所5校で395,010円〜493,020円でした。令和7年に大型免許の試験に合格した人の97.8%は、教習所の卒業者です。

大型免許で運転できる車(道路交通法85条・施行規則2条)
大型自動車は「11,000kg・6,500kg・30人」のどれか
道路交通法施行規則2条の表は、大型自動車を次のように定めています(道路交通法施行規則 e-Gov)。
大型自動車 大型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車以外の自動車で、車両総重量が一一、〇〇〇キログラム以上のもの、最大積載量が六、五〇〇キログラム以上のもの又は乗車定員が三〇人以上のもの
つまり、車両総重量11,000kg以上、最大積載量6,500kg以上、乗車定員30人以上の、どれか1つに当てはまれば大型自動車です。最大積載量が10,000kgある、いわゆる10トントラックはここに入ります。ひとつ下の中型自動車は、車両総重量7,500kg以上11,000kg未満、最大積載量4,500kg以上6,500kg未満、乗車定員11人以上29人以下の車です。
| 区分 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
|---|---|---|---|
| 大型自動車 | 11,000kg以上 | 6,500kg以上 | 30人以上 |
| 中型自動車 | 7,500kg以上11,000kg未満 | 4,500kg以上6,500kg未満 | 11人以上29人以下 |
| 準中型自動車 | 3,500kg以上7,500kg未満 | 2,000kg以上4,500kg未満 | 定めなし |
大型自動車は3つの条件のどれか1つでも当てはまれば大型です。たとえば車両総重量が11,000kgに届かなくても、最大積載量が6,500kg以上なら大型自動車になります。仕事で乗る車が決まっている人は、車検証で車両総重量と最大積載量を見て、どの免許が要るかを確かめてください。
大型免許があれば、中型・準中型・普通自動車も運転できる
道路交通法85条2項は、大型免許を受けた人が大型自動車のほかに運転できる車を「大型免許 中型自動車、準中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車及び一般原動機付自転車」と定めています(道路交通法 e-Gov)。大型免許を取れば、中型や準中型のトラックも、ふだんの乗用車も運転できます。
ただし、大型免許だけでは運転できないものが2つあります。1つはトレーラーです。85条3項は、重被牽引車を引いて運転するには、その車の免許とは別に牽引免許が必要だと定めています。もう1つは、お客さんを乗せて運賃をもらう営業運転です。路線バスや観光バスで乗客を乗せるには大型二種免許が必要で、取り方や費用は別の記事で詳しくまとめています。
バスの運転手を目指す人は大型二種免許の取り方と費用を、タクシーの運転手を目指す人は二種免許の取り方と費用とタクシー運転手の仕事内容を読んでください。この記事は、トラックやダンプを運転するための大型免許(第一種)の話に絞ります。

大型免許を受けられる人(受験資格)
原則は21歳以上・経歴が通算3年以上
大型免許を受けられるのは、21歳以上で、中型・準中型・普通・大型特殊のどれかの免許を受けていた期間が通算3年以上ある人です。警視庁の案内は次のとおりです(警視庁 大型免許試験)。
中型、準中型、普通、大型特殊免許のいずれかの運転免許を現に受けており、かつ、当該いずれかの運転免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して3年以上の方
免許停止の期間は経歴に数えません。「普通免許を取ってちょうど3年」の人は、途中で停止処分を受けていないかを確かめてから申し込むと安心です。大型免許を取るのに、先に中型や準中型を取る必要はありません。普通免許から直接、大型の教習を受けられます。
特例教習を受ければ19歳・経歴1年で受けられる
令和4年5月13日から、受験資格の特例ができました。警察庁は「特別な教習を修了すると、19歳以上であり、かつ、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上あれば、第二種免許、大型免許及び中型免許の運転免許試験を受けることができることとなります。」と説明しています(警察庁 受験資格の特例)。
この受験資格特例教習は、年齢の特例が座学や実車を含む7時限以上、経験年数の特例が29時限以上です。実施している教習所は限られていて、警察庁は都道府県警察の窓口に問い合わせるよう案内しています。
特例で取った人には、本来の年齢(大型免許は21歳)に達するまで「若年運転者期間」があります。この期間に違反をして点数の合計が3点以上になると、若年運転者講習(9時間)を受ける義務があり、受けないと特例で取った免許は取り消されます。道路交通法85条5項は、21歳未満または経歴3年未満の人が、政令で定める大型自動車などを運転できないことも定めています。特例で取る人は、どの車が運転できるかを警察庁のページで確かめてください。
視力と深視力
大型免許には、視力と深視力の基準があります。警視庁の案内では「視力が両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上であること。三桿法の奥行知覚検査器により3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下であること。」です。後半の三桿法の検査が、いわゆる深視力の検査です。深視力に不安がある人は、教習所に申し込む前に確かめておくと、入所後に困りません。

昔の普通免許は、いまの「中型8t限定」
大型免許の教習時限は、いま持っている免許の種類で変わります。ここで注意したいのが、普通免許を取った日です。平成19年6月2日に改正道路交通法(平成16年法律第90号)が施行され、それより前の普通免許は中型免許(中型車(8t)限定)とみなされています。さらに平成29年3月12日の改正で、平成19年6月2日から平成29年3月11日までに取った普通免許は、準中型免許(5t限定)になりました。
普通免許を持っているつもりでも、免許証の種類欄が「中型」や「準中型」になっていることがあります。教習所に申し込む前に、免許証の種類欄と条件欄を見て、自分がどれに当たるかを確かめてください。

大型免許の取り方は2通り
大型免許の取り方は、指定自動車教習所に通って卒業する方法と、運転免許試験場で直接試験を受ける方法(いわゆる一発試験)の2通りです。
教習所を卒業すると、卒業証明書を持って試験場へ行き、試験場の技能試験が免除されます(道路交通法97条の2)。免除されるのは卒業から1年以内です。一方の一発試験は、試験場で大型仮免許を取り、路上練習をしてから、本免許の技能試験を受け、合格後に取得時講習を受けて免許証をもらいます(警視庁 大型免許試験(直接受験))。
普通免許を持つ人に学科試験はない
どちらの取り方でも、普通・準中型・中型などの第一種免許をすでに持っている人は、試験場の学科試験が免除されます(道路交通法施行令34条の5)。大型免許を受ける人は、受験資格の条件からほぼ全員が普通免許などを持っているので、試験場で受けるのは適性試験(視力など)と技能試験だけです。

合格者の97.8%は教習所の卒業者
警察庁の運転免許統計によると、令和7年に大型免許の試験に合格した人の内訳は、合計53,016人のうち指定教習所の卒業者が51,864人で、97.8%でした(警察庁 運転免許統計 令和7年版)。試験場で技能試験を受けて合格した人は1,152人で、2.17%です。平成28年の95.9%から、教習所の卒業者の割合は少しずつ上がっています。
同じ統計で、令和7年の大型免許の合格率は94.1%(受験者61,386人・合格者57,755人)です。ただしこの数字は、技能試験が免除された教習所の卒業者も含めた全体の合格率です。一発試験だけの合格率は、統計に受験者の内訳がないため出せません。「一発試験の合格率は何%」と書かれた記事を見かけても、警察庁の統計からは計算できない数字だと考えてください。
| 年 | 合格者の合計 | 指定教習所の卒業者 | 試験場で技能試験に合格 | 卒業者の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 平成28年 | 53,987人 | 51,768人 | 2,219人 | 95.9% |
| 平成30年 | 57,224人 | 55,305人 | 1,919人 | 96.6% |
| 令和2年 | 60,145人 | 58,443人 | 1,702人 | 97.2% |
| 令和4年 | 58,985人 | 57,415人 | 1,570人 | 97.3% |
| 令和6年 | 50,280人 | 49,055人 | 1,225人 | 97.6% |
| 令和7年 | 53,016人 | 51,864人 | 1,152人 | 97.8% |
表の「試験場で技能試験に合格」は、統計の「学科技能」と「技能のみ」の合格者を足した人数です(計算)。試験場で技能試験に受かる人は、平成28年の2,219人から令和7年の1,152人まで、ほぼ半分に減っています。

教習所で取る場合の時限数と日数
持っている免許ごとの時限数
指定教習所の教習時限は、道路交通法施行規則の別表第四で決まっています(2026年9月1日施行の版)。技能教習は、第一段階(基本操作及び基本走行)と第二段階(応用走行)に分かれます。大型(MT)を取る場合の時限数は次のとおりです。
| 持っている免許 | 技能教習(基本+応用) |
|---|---|
| 普通免許 | 12+18=30時限 |
| AT普通免許 | 16+18=34時限 |
| 準中型免許(5t限定) | 11+15=26時限 |
| 準中型免許 | 10+13=23時限 |
| 中型免許(8t限定) | 8+12=20時限 |
| 中型免許 | 5+9=14時限 |
| 大型特殊免許 | 18+27=45時限 |
学科教習は、中型免許と準中型免許(5t限定を除く)の人は0時限、普通免許と準中型(5t限定)の人は1時限です。普通免許の人の技能30時限は、AT普通免許の人より4時限少なくなっています。

最短の日数は、普通免許の人で12日(計算)
施行規則33条5項は、1日に受けられる技能教習の上限を、第一段階は2時限、第二段階は3時限と定めています。3時限続けて受けることはできません。これで計算すると、普通免許の人は基本12時限を2時限ずつで6日、応用18時限を3時限ずつで6日、合わせて12日が技能教習だけの最短です。
同じ計算で、準中型免許の人(23時限)は10日、中型免許の人(14時限)は6日、中型(8t限定)の人(20時限)は8日です。実際には、入所の手続き、修了検定、卒業検定、予約の空き具合で日数は延びます。教習は開始から9か月以内に修了しなければなりません(同項)。仕事をしながら通う人は、9か月の期限の中で週に何日通えるかを先に決めておくと、計画が立てやすくなります。

卒業したら試験場で適性試験を受ける(警視庁は4,000円)
教習所を卒業したら、卒業証明書を持って試験場で適性試験を受け、免許証の交付を受けます。警視庁の場合、試験場は府中・鮫洲・江東で、手数料は「4,000円(受験料1,650円、免許証交付料2,350円)」です(警視庁 大型免許試験(指定教習所卒業者))。再試験の場合は、その都度受験料がかかります。警視庁は「他府県の卒業証明書でも、住所が都内の方は受験できます。」とも案内しています。

一発試験で取る場合の流れと手数料
仮免許、路上練習、本免許、取得時講習の順
試験場で直接受ける場合は、まず大型仮免許を取ります。警視庁の大型仮免許の手数料は「5,800円(受験料2,950円、試験車使用料1,750円、仮免許証交付料1,100円)」です(警視庁 大型・中型仮免許)。普通免許を持っている人は、仮免許の試験でも学科試験はありません。
次に、大型仮免許で路上練習をします。警視庁は「受験する前の3か月以内に、5日以上の路上練習をしていなければ受験できません。」と案内しています(警視庁 路上練習の申告)。練習の結果は路上練習申告書に書いて、本免許の試験の日に持っていきます。
路上練習を終えたら、本免許の技能試験を受けます。警視庁の場合、試験場は府中と鮫洲で、「技能試験は予約制です。適性試験当日は、技能試験を受験できません。」とされています。手数料は「9,250円(受験料3,900円、試験車使用料3,000円、免許証交付料2,350円)」です(警視庁 大型免許試験(直接受験))。
技能試験に合格したら、取得時講習を受けます。警視庁は「取得時講習を受講しなければ、運転免許証は交付されません。技能試験合格後、受講申込ができます。」と案内していて、大型の取得時講習は24,150円です。講習のうち大型車講習は、施行規則38条で、貨物自動車の危険予測や夜間・路面凍結などの悪条件での運転を、大型貨物車や模擬運転装置で学ぶ4時間の講習と定められています。中型・準中型免許を持っている人などは、施行令33条の5の3で講習が免除されます。

技能試験の中身と合格点
技能試験の中身は、施行規則24条で決まっています。大型免許の試験は、道路における走行、交差点の通行、横断歩道の通過、方向変換又は縦列駐車の4項目です。走行距離は5,000メートル以上(大型仮免許は1,200メートル以上)で、合格基準は70%以上(大型仮免許は60%以上)です。
試験に使う車の大きさも決まっています。24条11項の表は、大型免許の試験車を「最大積載量一〇、〇〇〇キログラム以上の大型自動車で長さが一一・〇〇メートル以上、幅が二・四〇メートル以上及び最遠軸距が六・九〇メートル以上のもの」としています。つまり、試験は最大積載量10,000kg以上、長さ11.00m以上の車で受けます。

路上練習の条件
一発試験でいちばん手間がかかるのが、本免許の前の路上練習です。警視庁の案内から、条件を並べます。
- 受験する前の3か月以内に、5日以上練習する
- 大型仮免許を持って、大型自動車で練習する
- 助手席に、その車を運転できる免許を通算3年以上受けている人、またはその車を運転できる第二種免許を受けている人を乗せる
- 高速自動車国道と自動車専用道路以外の道路で練習する
- 「仮免許 練習中」の標識を、車の前面と後面の地上40センチメートル以上120センチメートル以下の位置に付ける
- 練習の結果を路上練習申告書に書く
つまり、一発試験を受けるには、練習に使える大型自動車と、助手席に乗ってくれる大型免許の経歴3年以上の人を、自分で用意する必要があります。大型車を借りる費用や、同乗を頼む費用については公的なデータがないため、この記事では金額を出していません。

手数料の合計は39,200円(1回ずつ合格した場合)
警視庁の手数料で、仮免許と本免許の試験に1回ずつ合格した場合を計算すると、仮免許5,800円、本免許9,250円、取得時講習24,150円で、合計39,200円です。落ちた場合は、受け直すたびに受験料と試験車使用料がかかり、仮免許は1回4,700円、本免許は1回6,900円です(計算)。
教習所の料金と比べると、手数料だけならずっと安く見えます。ただし、ここには練習用の大型車と同乗者の手配が入っていません。さらに、合格者の97.8%が教習所の卒業者という統計のとおり、一発試験で合格する人は少数です。手数料だけを比べて「一発試験のほうが安い」と決めるのは早いと考えてください。
教習所と一発試験、どちらを選ぶか
ここまでの条文と手数料から、2つの取り方の違いを整理すると次のようになります。
| 教習所 | 一発試験 | |
|---|---|---|
| 練習の車 | 教習所の教習車 | 自分で大型自動車を用意 |
| 同乗者 | 教習所の指導員 | 経歴3年以上の人などを自分で頼む |
| 試験場の技能試験 | 卒業から1年以内なら免除 | 仮免許と本免許の2回 |
| 取得時講習 | 卒業者は免除 | 必要(警視庁24,150円) |
| 試験場の手数料(警視庁) | 4,000円 | 1回ずつ合格して39,200円 |
| 期限 | 教習開始から9か月以内に修了 | 受験前3か月以内に路上練習5日以上 |
一発試験を選べるのは、練習に使える大型自動車と、同乗を頼める人を用意できる場合に限られます。用意できない人は、教習所で取ることになります。どちらにしても、仕事で大型免許が必要になった人は、先に勤め先に免許取得の支援があるかを聞いておくと、費用の負担が変わることがあります。
大型免許の費用(教習所の公開料金)
首都圏の教習所5校で395,010円〜493,020円
大型免許の教習料金には、公定の価格がありません。首都圏の教習所5校が公開している料金ページで、普通免許(MT)を持つ人の大型の教習料金を確認したところ、いちばん安い校で395,010円、いちばん高い校で493,020円でした(2026年9月25日確認)。同じ30時限の教習でも、差は98,010円あります。
料金を比べるときに気をつけたいのは、料金に含まれるものが校ごとに違うことです。規定の時限で卒業できなかったときの追加教習や、検定に落ちたときの再検定、仮免許の申請交付料は、料金に含まれている校もあれば、別にかかる校もあります。途中でやめたときの解約手数料を定めている校もあります。

申し込む前に見積もりで確かめる3点
5校の料金ページを並べると、追加料金の出方がはっきり違いました。1校は「規定時限数をオーバーした場合や再検定になった場合も、追加料金はかかりません」と書いています。一方で、追加の技能教習1時限や再検定が1回10,450円の校、1回12,650円の校もありました。仮に追加教習が2回あると、10,450円の校で20,900円、12,650円の校で25,300円が上乗せになります(計算)。
申し込む前に、見積もりで次の3点を確かめてください。1つめは時限が延びたときの追加料金、2つめは検定に落ちたときの料金、3つめはその教習所の大型のコースが教育訓練給付の指定講座かどうかです。3つめは、次の章の給付を受けられるかどうかに直結します。

費用を下げる公的な制度
大型免許の費用を下げる公的な制度は、自分で費用を払う人向けと、会社が費用を払う場合向けで分かれます。どちらを使えるかは、誰が教習所にお金を払うかで決まります。
自分で払う人は教育訓練給付
厚生労働省の教育訓練給付は、雇用保険の加入期間などの条件を満たす人が、指定された講座を受けたときに、費用の一部が戻る制度です(厚生労働省 教育訓練給付制度)。厚生労働省の講座の種類一覧では、「輸送・機械運転関係」に「大型自動車第一種・第二種免許」が載っています(厚生労働省 講座の種類一覧)。
給付の割合は、講座の区分で違います。一般教育訓練は「教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。」、特定一般教育訓練は「教育訓練経費の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。」です。特定一般教育訓練は、資格を取って訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇われると、50%(上限25万円)まで上がります(令和6年10月以降に開講する講座)。
仮に教習料金が40万円なら、20%で8万円、40%で16万円、50%で20万円です(計算)。大型免許の講座は、一般と特定一般のどちらにも印が付いていて、どちらの区分になるかは講座ごとに違います。受けられる条件は、厚生労働省が「お住まいを管轄するハローワークにお問合せください。」と案内しています。指定講座かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べられます。

給付は訓練修了後に支給されるので、教習所の料金は先に自分で払う形になります。申し込む前にハローワークで、自分が対象になるかどうかと、必要な手続きを確かめてください。
会社が払う場合は、会社が助成を受ける
運送会社に入ってから、会社の負担で大型免許を取る道もあります。この場合に使われる公的な制度は、会社が受け取るものです。厚生労働省の人材開発支援助成金は、社員に訓練を受けさせた事業主が受け取る助成金で、個人が申請するものではありません(厚生労働省 人材開発支援助成金)。
トラック協会にも、会員の運送会社向けの免許取得助成があります。全日本トラック協会は「令和8年度若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業」で、会員事業者が新しく雇った運転者の免許取得を助成しています(全日本トラック協会 運転免許取得支援助成事業)。対象は、中型・大型の受験資格特例教習、準中型の取得、外国免許の切替講習で、事業者が費用を払った場合に限られます。
東京都トラック協会の助成は、条件がはっきり書かれています。男性ドライバーの免許取得助成は、大型免許・中型免許・準中型免許の新規取得に50,000円で、1会員事業者5名が上限です(東京都トラック協会 男性ドライバー免許取得助成)。女性ドライバーの免許取得助成は、免許取得価格の3分の2で、大型免許は267,000円が上限です。取得価格に消費税は含まず、教習時間の超過による延長料金や仮免許の交付・申請料は除かれます(東京都トラック協会 女性ドライバー免許取得助成)。
どちらも、東ト協の会員で中小企業者に限られ、「免許の取得費用を会員事業者が負担していること(運転者個人が免許取得費用を支払った場合には助成金を交付しない)」が条件です。さらに、ドライバーが助成金の交付日から5年以上その会社で働き続けることも条件になっています。

まとめると、自分で払って取るなら教育訓練給付を、会社に払ってもらうなら免許取得の支援がある運送会社を選ぶのが、費用を下げる道です。東京都トラック協会の助成のように、一定期間働くことが条件になっている制度もあるので、会社の支援を使う場合は、入社前に条件を書面で確かめておくと安心です。
申し込むまでの手順
ここまでの内容を、申し込むまでの順番に並べ直します。
- 免許証の種類欄を見て、普通・準中型(5t限定)・中型(8t限定)のどれかを確かめる(時限数が変わる)
- 免許を受けていた期間が通算3年以上あるかを確かめる(停止の期間は数えない)。足りない人は特例教習を実施している教習所を都道府県警察に問い合わせる
- 教習所の見積もりで、追加教習と再検定の料金、教育訓練給付の指定講座かを聞く
- 自分で払うならハローワークで給付の対象になるかを確かめる
- 運送会社に入ってから取る道を考えるなら、応募先に免許取得の支援と、その条件(何年働くかなど)を聞く
2027年4月1日からAT大型免許ができる
警察庁は、AT大型免許等の導入を案内していて、大型免許は「令和9年4月1日」からです(警察庁 AT大型免許等の導入)。e-Gov にある施行予定の施行規則(2027年4月1日施行の版)の別表第四では、AT普通免許の人がAT大型免許を取る場合の技能教習は、基本12時限と応用18時限の30時限です(道路交通法施行規則 2027年4月1日施行予定の版)。
同じ施行予定の版では、AT普通免許の人がMTの大型免許を取る場合は基本12時限と応用22時限の34時限、普通免許(MT)の人がMTの大型免許を取る場合は30時限です。いまAT普通免許の人が大型を取ると34時限なので、AT大型を選べば時限数が減る見込みです。ただし2026年9月25日の時点では未施行で、数字は変わる可能性があります。

大型免許を持つ人は減り、高齢化している
警察庁の運転免許統計によると、大型免許の現在数は令和7年で4,555,515件でした。令和3年の4,834,110件から278,595件減り、5.76%の減少です。令和6年から令和7年の1年だけでも75,636件減っています。このうち女性は162,490件で、3.57%です。

年齢を見ると、高齢化がはっきりしています。大型免許がいちばん上の免許の人(大型二種を持つ人を除く)3,931,437人のうち、65歳以上は1,347,043人で34.3%、40歳未満は445,834人で11.3%でした。50代が1,035,770人で最も多い年代です。
大型免許を持つ人が減っていて、若い世代が少ないことが統計から読み取れます。前の章で見た全日本トラック協会の助成は、名前のとおり若年ドライバー等の確保のための事業で、東京都トラック協会には女性ドライバー向けの助成もあります。


よくある質問
Q. 大型免許は何歳から取れますか?
原則は21歳以上で、中型・準中型・普通・大型特殊のどれかの免許の経歴が通算3年以上必要です。受験資格特例教習を修了すると、19歳以上・経歴1年以上で受けられます(令和4年5月13日から)。
Q. 普通免許から直接、大型免許を取れますか?
取れます。中型や準中型を先に取る必要はありません。普通免許(MT)を持つ人の技能教習は30時限、学科教習は1時限です(施行規則 別表第四)。
Q. 学科試験はありますか?
普通・準中型・中型などの第一種免許を持っている人は、試験場の学科試験が免除されます(施行令34条の5)。教習所では、普通免許の人は学科教習を1時限受けます。
Q. 教習所に何日通いますか?
普通免許の人は、1日の技能教習の上限(第一段階2時限、第二段階3時限)から計算すると、技能教習だけで最短12日です。検定や予約の空きで延びます。教習は開始から9か月以内に修了する決まりです。
Q. 大型免許の費用はいくらですか?
首都圏の教習所5校の公開料金では、普通免許(MT)を持つ人で395,010円〜493,020円でした。これに試験場の手数料(警視庁は4,000円)がかかります。追加教習や再検定の料金の扱いは校ごとに違います。
Q. 一発試験のほうが安いですか?
警視庁の手数料だけなら、1回ずつ合格して39,200円です。ただし練習用の大型自動車と、助手席に乗る経歴3年以上の人を自分で用意する必要があり、落ちるたびに受験料がかかります。令和7年の合格者の97.8%は教習所の卒業者でした。
Q. 費用の補助はありますか?
自分で払う場合は、指定講座なら教育訓練給付(20%・40%・50%、上限あり)を受けられる可能性があります。会社が払う場合は、会社が人材開発支援助成金やトラック協会の助成を受ける仕組みです。東京都トラック協会の助成は、運転者個人が払った場合は対象外です。
Q. AT限定の大型免許はいつからですか?
警察庁によると、AT大型免許は令和9年4月1日(2027年4月1日)からです。施行予定の施行規則では、AT普通免許の人のAT大型の技能教習は30時限です。
Q. 昔の普通免許(中型8t限定)の人は何時限ですか?
平成19年6月1日までに普通免許を取った人は、いまは中型免許(中型車(8t)限定)です。この人が大型を取る場合の技能教習は、基本8時限と応用12時限の20時限です(施行規則 別表第四)。
Q. 中型免許を持っていると何時限ですか?
限定のない中型免許の人は、基本5時限と応用9時限の14時限で、学科教習は0時限です。準中型免許(5t限定なし)の人は23時限です。
Q. 教習所を卒業してから1年を過ぎたらどうなりますか?
試験場の技能試験が免除されるのは、卒業から1年以内です(道路交通法97条の2)。過ぎると、試験場で技能試験を受けることになります。卒業したら早めに試験場へ行ってください。
Q. 東京以外でも手数料は同じですか?
この記事の手数料は警視庁(東京)の案内で確認したものです。ほかの道府県の手数料は確認できていないので、住所地の都道府県警察の案内を見てください。
Q. 大型免許でバスは運転できますか?
大型免許で大型のバスを運転すること自体はできますが、お客さんを乗せて運賃をもらう営業運転には大型二種免許が必要です。詳しくは大型二種免許の取り方と費用にまとめています。
この記事の要点
大型免許は、21歳・経歴3年(特例教習で19歳・1年)で受けられ、普通免許の人は教習所で技能30時限と学科1時限を受けて取るのが一般的です。費用は首都圏の教習所5校の公開料金で395,010円〜493,020円で、追加料金の扱いと給付の対象かどうかを見積もりで確かめることが、総額を下げる近道です。

参考にした一次情報
いずれも2026年9月25日に確認しました。教習所の料金は、首都圏の教習所5校の公開料金ページで確認しています(校名は掲載していません)。
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行令(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則 2027年4月1日施行予定の版(AT大型免許)
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」
- 警察庁「AT大型免許等の導入」
- 警察庁「運転免許統計(令和7年版)」
- 警視庁「大型免許試験(指定教習所を卒業された方)」
- 警視庁「大型免許試験(直接試験場で受験される方)」
- 警視庁「大型・中型仮免許試験」
- 警視庁「路上練習申告書について」
- 厚生労働省「教育訓練給付制度」
- 厚生労働省「教育訓練給付制度 講座の種類一覧」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 全日本トラック協会「令和8年度若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業」
- 東京都トラック協会「男性ドライバー免許取得助成」
- 東京都トラック協会「女性ドライバー免許取得助成」
受験資格や手数料は住所地の都道府県警察、教習の料金と給付の対象かどうかは各教習所とハローワーク、会社の支援の条件は応募する会社に、最後は直接確かめてから進めてください。




