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法令は e-Gov の現行版(労働安全衛生法・同施行令・労働安全衛生規則・道路交通法・同施行規則・道路運送車両法施行規則)で確認しました。講習の時間は安全衛生情報センターに載っている告示、災害の件数は厚生労働省の労働災害統計(令和7年)です。いずれも2026年10月11日に確認した内容です。講習の料金と日数は登録教習機関ごとに違うため、この記事には書いていません。
倉庫や物流センター、トラックの積み下ろしの求人を見ると「フォークリフト免許」と書かれていることがよくあります。ところが、フォークリフトの運転を決めている法律を読むと、運転免許のような「免許」という言葉は出てきません。
この記事では、労働安全衛生法と道路交通法の条文、講習の時間を定めた告示、厚生労働省の統計だけを使って、フォークリフトに必要な資格、講習の時間、持っている運転免許による短縮、道路を走るときの免許、資格なしで運転したときの罰則、修了証をなくしたときの手続き、事故の多い場面と検査の決まりまでを整理しました。
先に結論を書きます。フォークリフトの運転は、最大荷重1トン以上なら「フォークリフト運転技能講習」の修了、1トン未満なら「特別教育」が必要です(労働安全衛生法61条・59条3項)。技能講習は学科11時間と実技24時間の合計35時間で、普通免許などを持っている人は31時間、大型特殊免許を持っている人は11時間になります。ただし、これは倉庫や工場の中での話で、道路を走らせるには大型特殊か小型特殊の運転免許が別に要ります。

フォークリフトの「免許」は法律では何と呼ぶか
労働安全衛生法61条の就業制限
フォークリフトの資格の大もとは、労働安全衛生法61条の「就業制限」です(労働安全衛生法 e-Gov)。
事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。
この条文には、資格の種類が3つ並んでいます。都道府県労働局長の「免許」、登録を受けた機関が行う「技能講習」の修了、厚生労働省令で定めるその他の資格です。どの業務がどれに当たるかは政令と省令で決まっていて、フォークリフトは「技能講習」の側に入っています。
政令(労働安全衛生法施行令)20条11号は、就業制限の対象になる業務として次のように書いています(労働安全衛生法施行令 e-Gov)。
最大荷重(フオークリフトの構造及び材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重をいう。)が一トン以上のフオークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務
そして労働安全衛生規則41条と別表第三が、この業務に就ける人を「フォークリフト運転技能講習を修了した者」などと定めています(労働安全衛生規則 e-Gov)。求人の「フォークリフト免許」は、多くの場合この技能講習の修了を指していると読むのが自然です。
別表第三が挙げている資格は次の3つです。
- フォークリフト運転技能講習を修了した者
- 職業能力開発促進法による港湾荷役科の訓練を修了した者で、フォークリフトについての訓練を受けたもの
- その他厚生労働大臣が定める者
一般の人が取る方法は、1つめの技能講習です。2つめは港湾の荷役の職業訓練を受けた人のための道で、運転職を目指す人の多くには関係がありません。
働く人にも向いた決まり
61条には続きがあります。2項は「前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない」。3項は、資格のある人が運転するときは「免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない」と定めています。
つまり、資格のない人を運転させてはいけないのは会社の側(1項)ですが、資格のない人が自分から運転することも禁止されています(2項)。「会社に言われたから」「少し動かすだけだから」でも、1トン以上のフォークリフトを資格なしで運転すれば本人が違反になります。罰則はあとの章で書きます。

最大荷重1トンで技能講習と特別教育に分かれる
1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育
1トン未満のフォークリフトは、61条の就業制限ではなく、59条3項の「特別教育」の対象です。労働安全衛生規則36条5号は、特別教育が必要な業務として「最大荷重一トン未満のフオークリフトの運転(道路交通法…第二条第一項第一号の道路…上を走行させる運転を除く。)の業務」を挙げています。
| 最大荷重1トン以上 | 最大荷重1トン未満 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 安衛法61条・施行令20条11号 | 安衛法59条3項・安衛則36条5号 |
| 必要なもの | フォークリフト運転技能講習の修了 | 特別教育 |
| 誰が行うか | 都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関 | 事業者(勤め先など) |
| 時間 | 35時間(免除あり) | 12時間 |
| 修了の証明 | 技能講習修了証(労働安全衛生法76条) | 事業者が行う教育 |
技能講習は登録教習機関が行い、修了すると修了証が交付されます(労働安全衛生法76条)。特別教育は事業者が行う教育で、あとで書く技能講習修了証明書発行事務局も特別教育の情報は扱っていません。求人で「フォークリフト免許」とあれば、どちらを求めているのかを確かめておくと安心です。

「最大荷重」は荷の重さではない
ここでいう1トンは、運ぶ荷の重さではありません。施行令20条11号のかっこ書きのとおり、最大荷重は「フオークリフトの構造及び材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重」で、その車がどれだけ持ち上げられるかという能力です。0.5トンの荷しか運ばない現場でも、最大荷重が1トン以上の車なら技能講習が必要です。
これとは別に、使うときの上限として「許容荷重」があります。労働安全衛生規則151条の20は「フオークリフトについては、許容荷重…その他の能力を超えて使用してはならない」と定めています。許容荷重は荷の重心の位置に応じた最大の荷重で、同じ車でも荷の載せ方で変わります。

技能講習の時間は35時間
学科11時間と実技24時間
技能講習の中身は、厚生労働大臣が定める「フオークリフト運転技能講習規程」で決まっています(フオークリフト運転技能講習規程 安全衛生情報センター)。学科と実技の科目と時間は次のとおりです。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 4時間 |
| 学科 | 荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 4時間 |
| 学科 | 運転に必要な力学に関する知識 | 2時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | 走行の操作(定められたコースによる基本走行及び応用走行) | 20時間 |
| 実技 | 荷役の操作(フオークの抜き差し、荷の配列及び積み重ね) | 4時間 |
| 合計 | 35時間 |

実技のうち20時間が走行の操作です。運転免許を持っていない人にとっては、ハンドルとアクセル、ブレーキの扱いから覚える時間になります。規程2条3項は、学科を「おおむね百人以内」、実技を「十人以内」の受講者で1単位として行うと定めています。

修了試験は学科と実技
規程4条は「技能講習においては、修了試験を行なうものとする」と定め、修了試験は学科試験と実技試験の2つです。学科試験は筆記か口述で行います。講習を受けたうえで試験に合格し、登録教習機関から技能講習修了証を受け取ると、1トン以上のフォークリフトを運転できるようになります(労働安全衛生法76条)。

運転免許や経験があると講習が短くなる
免除の3つのパターン
規程3条は、持っている運転免許やフォークリフトの運転経験に応じて、科目の一部を免除できると定めています(規程3条の表)。免除される科目から計算した、受ける時間は次のとおりです。
| 持っている免許・経験 | 免除される科目 | 受ける時間 |
|---|---|---|
| なし | なし | 35時間 |
| 普通・準中型・中型・大型免許(または第二種免許) | 走行に関する装置の知識(4時間) | 31時間 |
| フォークリフトの運転経験6月以上 | 走行の操作(20時間) | 15時間 |
| 大型特殊免許(カタピラ限定を除く) | 走行に関する装置の知識と走行の操作(24時間) | 11時間 |
| 普通免許などに加えて運転経験3月以上 | 走行に関する装置の知識と走行の操作(24時間) | 11時間 |
トラックの運転手や、これから運転職に就こうとしている人の多くは、普通免許か、それより上の免許を持っています。この場合は35時間から4時間を引いた31時間です。実技の走行20時間は免除されないので、講習の大部分は実技になります。
大型特殊免許があると、走行の知識と走行の操作の両方が免除され、11時間になります。普通免許などに3月以上のフォークリフトの運転経験がある人も同じ11時間です。どの運転経験が認められるか、どう証明するかは、受講する登録教習機関に確かめてください。

講習の日数と料金
講習を何日で行うか、料金がいくらかは、法令や告示には書かれていません。登録教習機関ごとに日程と料金が違います。この記事では特定の機関の料金は書かず、申し込む前に機関の案内で確かめることをおすすめします。
中型や準中型の運転免許をこれから取る人は、準中型免許とはや中型免許とはもあわせて読むと、運転免許とフォークリフトの資格をどの順で取るか考えやすくなります。
1トン未満の特別教育は12時間
1トン未満のフォークリフトの特別教育は、安全衛生特別教育規程7条で科目と時間が決まっています(安全衛生特別教育規程7条の表)。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 2時間 |
| 学科 | 荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 2時間 |
| 学科 | 運転に必要な力学に関する知識 | 1時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | 走行の操作 | 4時間 |
| 実技 | 荷役の操作 | 2時間 |
| 合計 | 12時間 |
学科6時間と実技6時間の合計12時間です。技能講習の35時間に比べると、とくに実技の走行が20時間から4時間と短くなっています。


道路を走らせるには運転免許が別に要る
講習の修了証では道路を走れない
施行令20条11号と安衛則36条5号は、どちらも「道路上を走行させる運転を除く」としています。技能講習や特別教育は、倉庫や工場、港の構内での運転の資格で、公道を走らせる運転は対象外です。
道路でフォークリフトを走らせるときは、道路交通法の運転免許が必要です。道路交通法施行規則2条は、大型特殊自動車の例として「フォーク・リフト」を挙げています(道路交通法施行規則 e-Gov)。道路交通法85条1項の表で、大型特殊自動車には大型特殊免許、小型特殊自動車には小型特殊免許が必要です(道路交通法 e-Gov)。
逆に、大型特殊免許だけを持っていても、構内で1トン以上のフォークリフトを運転する資格にはなりません。安衛則の別表第三に運転免許は入っていないからです。大型特殊免許は技能講習の時間を短くするもので、技能講習の代わりにはなりません。

小型特殊なら普通免許で運転できる
フォークリフトのうち、車体の大きさと速度が一定の範囲に収まるものは小型特殊自動車です。施行規則2条の表は、小型特殊自動車を次のように定めています。
特殊自動車で、車体の大きさが下欄に該当するもののうち、一五キロメートル毎時を超える速度を出すことができない構造のもの
| 項目 | 小型特殊自動車の範囲 |
|---|---|
| 長さ | 4.70m以下 |
| 幅 | 1.70m以下 |
| 高さ | 2.00m以下(ヘッドガードなどが付いていて、それを除いた高さが2.00m以下なら2.80m以下) |
| 速度 | 時速15kmを超える速度を出すことができない構造 |
道路交通法85条2項は、普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許・大型特殊免許・大型二輪免許・普通二輪免許で小型特殊自動車も運転できると定めています。小型特殊の範囲に入るフォークリフトなら、普通免許で道路を走らせることができます。範囲を1つでも超えると大型特殊自動車になり、大型特殊免許が必要です。
| 道路を走らせるフォークリフト | 運転できる免許 |
|---|---|
| 小型特殊自動車の範囲のもの | 小型特殊免許、または普通・準中型・中型・大型・大型特殊・大型二輪・普通二輪の免許 |
| 小型特殊自動車の範囲を超えるもの(大型特殊自動車) | 大型特殊免許 |
85条1項の表では、大型特殊自動車に対応する免許は大型特殊免許です。85条2項の表で普通免許の欄に書かれているのは「小型特殊自動車及び一般原動機付自転車」で、大型特殊自動車は入っていません。
自動車の種別を決める道路運送車両法施行規則の別表第一でも、フォーク・リフトは大型特殊自動車に入っていて、小型特殊は長さ4.70m・幅1.70m・高さ2.80m以下、最高速度15キロメートル毎時以下とされています(道路運送車両法施行規則 e-Gov)。高さの決め方など細かな点が道路交通法と同じではないので、車ごとに確かめてください。

免許なしで道路を走らせれば、道路交通法の無免許運転です。117条の2の2第1項1号は「三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」と定めています。大型免許の取り方は大型免許の取り方と費用にまとめていますが、大型免許と大型特殊免許は別の免許なので注意してください。
資格なしで運転したときの罰則
労働安全衛生法の罰則は、会社と本人の両方にかかります。条文の該当部分は次のとおりです。
| 違反 | 条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 資格のない人を1トン以上の運転に就かせた(事業者) | 61条1項・119条 | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 資格がないのに1トン以上を運転した(本人) | 61条2項・120条 | 50万円以下の罰金 |
| 1トン未満で特別教育をしなかった(事業者) | 59条3項・119条 | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 定期自主検査をしなかった(事業者) | 45条1項・2項・120条 | 50万円以下の罰金 |
さらに122条は、従業者が業務に関して119条や120条の違反をしたときは「行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する」と定めています。現場の責任者が資格のない人に運転させれば、その責任者だけでなく会社にも罰金刑がかかるという仕組みです。
なお、61条3項の「資格を証する書面」の携帯については、119条と120条の対象に挙がっていません。それでも携帯は法律上の義務なので、運転するときは修了証を持っておきましょう。

修了証をなくしたとき・登録教習機関の探し方
再交付は修了証を出した機関に申し込む
技能講習修了証をなくしたり傷めたりしたときの手続きは、安衛則82条に書かれています。1項は「技能講習修了証再交付申込書(様式第十八号)を技能講習修了証の交付を受けた登録教習機関に提出し、技能講習修了証の再交付を受けなければならない」。氏名が変わったときは、同じ様式で「書替え」を申し込みます。
申し込む先は、労働局ではなく、講習を受けた登録教習機関です。その機関が講習の業務をやめていたり、登録を取り消されたりしている場合は、厚生労働大臣が指定する機関に申し込みます(82条3項)。
統合カードという方法もある
指定された機関である「技能講習修了証明書発行事務局」は、技能講習の修了を証明するカード(統合カード)を発行しています(技能講習修了証明書発行事務局)。案内によると、統合カードは登録教習機関の修了証と同じく61条3項の「資格を証する書面」に当たります(平成16年2月17日基発第0217003号)。複数の技能講習の修了証を1枚にまとめることもできます。
ただし、発行できるのは登録教習機関から提供されたデータの範囲に限られ、特別教育の情報は扱っていないとされています。特別教育の記録は、受けた機関か勤め先に問い合わせます。2026年3月16日からは、マイナポータルからも統合カードの申請ができるようになりました。

登録教習機関は労働局の一覧で探す
技能講習を行えるのは、都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関だけです。登録教習機関の一覧は各都道府県の労働局が公開していて、たとえば東京労働局は「就業制限関係 登録教習機関一覧」を出しています(東京労働局 登録教習機関一覧・一覧のPDF)。令和8年8月31日現在の一覧では、フォークリフト運転技能講習の登録教習機関は16件でした。
日程や料金は機関ごとに違います。一覧で登録を確かめてから、各機関の案内で日程と料金を確認する、という順番が安全です。

フォークリフトの事故は運送業で多い
令和7年は死亡19人・死傷1,872人
厚生労働省の労働災害統計(令和7年・確定値)で、事故の原因になった物(起因物)がフォークリフトだった件数を見ました(厚生労働省 職場のあんぜんサイト 労働災害統計)。
| 区分 | 全産業 | うちフォークリフト | 割合 |
|---|---|---|---|
| 死亡 | 700人 | 19人 | 2.7% |
| 死傷(休業4日以上) | 135,333人 | 1,872人 | 1.4% |
死亡19人を事故の型で見ると、はさまれ・巻き込まれが6人で最も多く、墜落・転落と激突されが4人ずつでした。業種では一般貨物自動車運送業が4人、港湾荷役業が3人、その他の卸売業が2人です。

激突されとはさまれで6割
休業4日以上の死傷1,872人では、激突されが598人、はさまれ・巻き込まれが564人で、この2つで1,162人、62.1%を占めます。ぶつけられる事故と、はさまれる・巻き込まれる事故が中心だということです。

| 業種 | フォークリフトが起因の死傷 |
|---|---|
| 一般貨物自動車運送業 | 617人 |
| その他の卸売業 | 151人 |
| 倉庫業 | 125人 |
| 陸上貨物取扱業 | 83人 |
| その他の食料品製造業 | 62人 |
業種別では、一般貨物自動車運送業が617人で、1,872人の33.0%でした。一般貨物自動車運送業の死傷者全体は13,802人で、そのうち4.5%がフォークリフトが起因です。トラックの運転手として働く人にとって、フォークリフトは身近な危険の1つです。
厚生労働省は、陸上貨物運送事業の荷役作業で多い災害を「荷役5大災害」として、墜落・転落、荷崩れ、フォークリフト使用時の事故、無人暴走、トラック後退時の事故を挙げています(厚生労働省 荷役災害の防止)。トラックの仕事の事故の全体像はルート配送はきつい?でも整理しています。

運転するときの決まりと毎日の点検
安衛則で決まっている使い方
労働安全衛生規則には、フォークリフトを含む「車両系荷役運搬機械等」の使い方の決まりがあります。運転する人に関係の深いものを挙げます。
- 許容荷重その他の能力を超えて使用しない(151条の20)
- 作業に従事する人を乗車席以外の箇所に乗せない。墜落を防ぐ措置をしたときは除く(151条の13)
- 荷のつり上げや労働者の昇降など、主たる用途以外に使わない。危険を及ぼすおそれのないときは除く(151条の14)
- 運転位置から離れるときは、フォークなどの荷役装置を最低降下位置に置き、原動機を止めてブレーキを確実にかける(151条の11)
151条の11の2項は「前項の運転者は…同項各号に掲げる措置を講じなければならない」と、運転する本人にも義務を課しています。フォークを上げたまま降りる、エンジンをかけたまま離れる、という動作が決まりに反するということです。

毎日の作業開始前の点検
安衛則151条の25は、フォークリフトで作業をするときは「その日の作業を開始する前に」次の4項目を点検することを定めています。
- 制動装置及び操縦装置の機能
- 荷役装置及び油圧装置の機能
- 車輪の異常の有無
- 前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能
異常があれば「直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない」(151条の26)。運転する人も、4項目を知っておくと異常に気づきやすくなります。

定期自主検査は年1回と月1回
フォークリフトは、労働安全衛生法45条の「定期自主検査」の対象です。事業者は、決まった周期で検査をして、その結果を記録しなければなりません。
| 周期 | 条文 | 主な項目 |
|---|---|---|
| 1年以内ごとに1回(年次) | 安衛則151条の21 | 原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、荷役装置、油圧装置、電気系統、車体・ヘッドガード・灯火装置など(9項目) |
| 1月以内ごとに1回(月次) | 安衛則151条の22 | 制動装置・クラッチ・操縦装置、荷役装置・油圧装置、ヘッドガード・バックレスト(3項目) |
| 毎日の作業開始前 | 安衛則151条の25 | 制動・操縦、荷役・油圧、車輪、灯火と警報装置(4項目) |
年次と月次の検査の結果は、検査年月日、方法、箇所、結果、実施した人の氏名、補修の内容を記録して「三年間保存しなければならない」とされています(151条の23)。1年や1月を超えて使わない期間は検査をしなくてよいのですが、使い始めるときに検査が必要です。
年次の検査の9項目を、151条の21の原文の順に並べると次のとおりです。
- 圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無
- デフアレンシヤル、プロペラシヤフトその他動力伝達装置の異常の有無
- タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無
- かじ取り車輪の左右の回転角度、ナツクル、ロツド、アームその他操縦装置の異常の有無
- 制動能力、ブレーキドラム、ブレーキシユーその他制動装置の異常の有無
- フオーク、マスト、チエーン、チエーンホイールその他荷役装置の異常の有無
- 油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無
- 電圧、電流その他電気系統の異常の有無
- 車体、ヘツドガード、バツクレスト、警報装置、方向指示器、灯火装置及び計器の異常の有無
年次の検査は「特定自主検査」
151条の24は「フォークリフトに係る特定自主検査は、第百五十一条の二十一に規定する自主検査とする」と定めています。年1回の検査は特定自主検査で、一定の資格を持つ人か、登録を受けた検査業者が行います。資格の例として「フォークリフトの運転の業務に十年以上従事した経験を有する者」で、厚生労働大臣が定める研修を修了した人が挙がっています。
| 学歴など | 必要な経験(いずれも大臣が定める研修の修了が必要) |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の工学系卒 | 点検・整備2年以上、または設計・工作5年以上 |
| 高等学校・中等教育学校の工学系卒 | 点検・整備4年以上、または設計・工作7年以上 |
| 学歴を問わない | 点検・整備7年以上、または設計・工作10年以上 |
| 学歴を問わない | フォークリフトの運転の業務10年以上 |
長く運転してきた人には、研修を受けて特定自主検査をする側に回る道もある、ということです。また151条の24第3項は、道路を走るフォークリフトで道路運送車両法48条1項の点検をした部分については、年次の自主検査をしなくてよいと定めています。
特定自主検査をしたら、検査をした年月が分かる「検査標章」をフォークリフトの見やすい箇所に貼ります(151条の24第5項)。乗る前に標章の年月を見れば、年次の検査が済んでいるかを確かめられます。定期自主検査をしなかった事業者は、120条で50万円以下の罰金の対象です。

フォークリフトの資格が生きる運転の仕事
倉庫・ルート配送・トラックの積み下ろし
フォークリフトを使う仕事は、倉庫の中だけではありません。トラックの運転手が、発荷主や着荷主の構内でパレットの荷を積み下ろしする場面もあります。死傷の業種で一般貨物自動車運送業が最も多かったことからも、運送の仕事とフォークリフトが近いことが分かります。
トラックの運転手の賃金についてはトラック運転手の年収に、配送先での荷役も含めたルート配送の仕事はルート配送の仕事と1日の流れにまとめています。求人に「フォークリフト免許」と書いてあれば、多くは1トン以上の技能講習の修了を指すと考え、応募の前に条件を確かめておくと安心です。

2023年と2024年に変わったトラックの荷役の決まり
トラックでの荷役の安全対策は、2023年と2024年に強化されています。厚生労働省のリーフレットは次のように説明しています(厚生労働省 トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます)。
労働安全衛生規則(以下「安衛則」といいます)が改正され「昇降設備の設置」「保護帽の着用」「テールゲートリフターの操作に係る特別教育」が義務付けられました。特別教育については令和6年2月から、それ以外の規定は令和5年10月から施行されます。
- 昇降設備 → 最大積載量2トン以上の貨物自動車で荷を積み下ろすとき(安衛則151条の67・2023年10月1日から)
- 保護帽 → 最大積載量5トン以上と、2トン以上5トン未満で荷台の側面が開放・開閉できるものやテールゲートリフターが設置されているもの(安衛則151条の74・2023年10月1日から)
- テールゲートリフターの特別教育 → 操作の業務に就く人(安衛則36条5号の4・2024年2月1日から)
テールゲートリフターの特別教育は6時間
テールゲートリフターは、トラックの荷台の後ろに付いた、動力で動くリフトです。安全衛生特別教育規程7条の4によると、学科は「テールゲートリフターに関する知識」1.5時間、「テールゲートリフターによる作業に関する知識」2時間、「関係法令」0.5時間の合計4時間です(安全衛生特別教育規程7条の4の表)。これに実技2時間が加わり、合計6時間になります。
テールゲートリフターの特別教育とフォークリフトの技能講習は別の資格です。ルート配送や宅配のようにリフト付きのトラックに乗る仕事ではテールゲートリフターの教育、倉庫や物流拠点でパレットを扱う仕事ではフォークリフトの資格、と仕事の中身で必要なものが変わります。


求人の「フォークリフト免許」を読むときの確かめ方
ここまでの条文を、求人を読むときの確かめ方にまとめます。どれも仕事の中身に関わる点なので、分からなければ応募の前に確かめておくと安心です。
- 使うフォークリフトの最大荷重は1トン以上か → 1トン以上なら技能講習の修了が必要。1トン未満だけなら特別教育
- 講習を受けていない場合、入社後に受けられるか → 受ける時間は持っている運転免許で35時間・31時間・11時間などと変わる
- フォークリフトで道路を走ることがあるか → あれば大型特殊か小型特殊の運転免許が要る。どちらに当たるかは車の大きさと速度で決まる
- テールゲートリフター付きのトラックに乗るか → 乗るならテールゲートリフターの特別教育(学科4時間・実技2時間)も要る
- 最大積載量2トン以上のトラックでの積み下ろしがあるか → 昇降設備の決まりがかかる。保護帽は5トン以上のほか、2トン以上5トン未満でも荷台の作りなどによってかかる
修了証は運転するときに携帯する決まりなので、すでに持っている人は、手元にあるかを先に確かめておきましょう。なくしている場合は、先に再交付か統合カードの手続きをしておくと安心です。
よくある質問
Q. フォークリフトの免許は何日で取れますか?
日数は法令に決まっていません。決まっているのは時間で、技能講習は35時間、普通免許などを持っている人は31時間、大型特殊免許を持っている人は11時間です。何日に分けて行うかは登録教習機関ごとに違います。
Q. 運転免許がなくてもフォークリフトの講習は受けられますか?
規程の免除は運転免許を持っている人に向けたもので、運転免許がない人は免除なしの35時間を受けることになります。年齢などの受講の条件は登録教習機関ごとに確かめてください。
Q. フォークリフトの修了証に有効期限はありますか?
労働安全衛生法と労働安全衛生規則に、技能講習修了証の更新の定めは見当たりません。ただし、なくしたり氏名が変わったりしたときは、再交付や書替えの手続きが必要です。
Q. 1トン未満のフォークリフトなら資格はいりませんか?
いります。1トン未満は安衛則36条5号の特別教育の対象で、事業者は特別教育をしなければなりません。しなかった事業者は119条で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
Q. フォークリフトで道路を少しだけ走るのも免許がいりますか?
道路を走らせる運転は、技能講習や特別教育の対象から外れていて、道路交通法の運転免許が必要です。小型特殊自動車の範囲なら普通免許などで、それを超えれば大型特殊免許が必要です。
Q. 修了証をなくしました。どこに連絡すればよいですか?
まず講習を受けた登録教習機関です。その機関がなくなっている場合は、厚生労働大臣が指定する技能講習修了証明書発行事務局に申し込みます。
参考にした一次情報
いずれも2026年10月11日に確認しました。
- 労働安全衛生法(e-Gov 法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov 法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 安全衛生情報センター「フオークリフト運転技能講習規程」
- 安全衛生情報センター「安全衛生特別教育規程」7条の表
- 安全衛生情報センター「安全衛生特別教育規程」7条の4の表
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「労働災害統計」(令和7年)
- 技能講習修了証明書発行事務局
- 東京労働局「登録教習機関一覧」
- 厚生労働省「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」
- 厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役災害等を防止するための留意事項」
講習の日程・料金と受講の条件は登録教習機関ごとに違います。申し込む前に、都道府県労働局の一覧で登録を確かめ、機関の案内を直接確認してください。





