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免許の条件は警察庁の説明と道路交通法の条文、賃金と年齢の構成は厚生労働省の賃金構造基本統計調査、新卒者等の人数は全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の調査、東京の平均年齢は東京ハイヤー・タクシー協会の資料、労働の決まりはe-Govの条文と厚生労働省の資料です。いずれも2026年9月24日に確認しています。
「20代でタクシー運転手になるのは早すぎるだろうか」「若いうちに選んで、あとで困らないだろうか」。タクシーの求人を見ている20代の人は、給料の高さに惹かれながらも、こうした迷いを抱えていると思います。
筆者は26歳だった2018年に、それまでのWebエンジニアの仕事から移って都内でタクシーに乗り始めました。
この記事では、20代でタクシー運転手になるかどうかを決めるための材料を、公的な統計と法令の原文で並べます。何歳から乗れるのか、20代は実際にいくらもらっているのか、若い運転手はどのくらいいるのか、入社前に何を確かめればよいのかの順です。「20代なら必ず稼げる」「若手が急増している」とは書きません。数字がどこまで言えるのかも含めて書きます。

結論。20代でもタクシー運転手になれる。数字の読み方に注意
先に要点を並べます。細かい根拠と出典は、このあとの章で示します。
- 二種免許は19歳から受けられる。2022年5月13日から、特例の教習を修了すれば、19歳以上で普通免許などを通算1年以上持っていれば受験できます。原則は21歳以上で3年以上です。
- 21歳までは若年運転者期間。特例で免許を取った人は、違反の点数が合計3点以上になると9時間の講習を受ける義務があり、受けなければ免許が取り消されます。
- 20代の年収は全年齢より高い。令和7年の統計で、20〜24歳は483.4万円、25〜29歳は482.9万円。全年齢の平均は450.8万円です。
- ただし賞与は少なく、幅も大きい。20〜24歳の年間賞与は38.4千円で、勤続は0.9年。会社の規模で毎月の給与に129.3千円の差があります。
- 20代は運転者全体の4.0%。年ごとの値は1.0%から7.9%まで大きく振れていて、「急増」と言い切れる数字ではありません。
- 新卒者等の乗務員は1,481人。令和7年3月末の値で、前回の調査から413人増えました。うち1,224人が東京です。
- 入社前に確かめたいのは給料と費用の条件。研修中の給料、歩合の保障給、二種免許の費用を返す条件は、書面で確かめてください。
何歳からタクシー運転手になれるか。19歳から乗れる
タクシーでお客さんを乗せて運賃をもらうには、普通自動車第二種免許(二種免許)が必要です。この二種免許を受けられる年齢が、2022年に変わりました。
原則は21歳以上、特例なら19歳以上
道路交通法96条5項では、二種免許の受験資格は原則として21歳以上で、普通免許などを受けていた期間が通算3年以上の人です。これに対して、警察庁の説明では、2022年5月13日から「特別な教習を修了すると、19歳以上であり、かつ、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上あれば」二種免許の試験を受けられるようになりました。
つまり、18歳で普通免許を取った人は、1年たって19歳になれば、特例の教習を修了することで受験資格がそろいます。高校を卒業してすぐにタクシー会社へ入り、19歳で乗務を始める道も、制度の上では開かれています。

特例のための教習は2種類ある
特例の教習は、年齢の条件を下げるためのものと、免許の期間の条件を下げるためのものに分かれています。警察庁の説明では、年齢の特例のための教習は「自己制御能力」に関する7時限以上、免許の期間の特例のための教習は「危険予測・回避能力」に関する29時限以上で、どちらも座学と実車を含みます。
20歳で普通免許を取って2年の人のように、年齢も免許の期間も足りない人は、2つの教習の両方が必要です。実施している教習所は、都道府県警察の窓口で確かめられると警察庁は案内しています。取得までの流れと費用は二種免許の取り方に、年齢の上限や定年の話はタクシー運転手の年齢制限にまとめています。

21歳までは若年運転者期間。違反に厳しい
特例で免許を取った人には、21歳になるまで若年運転者期間があります。道路交通法102条の3は、この期間を「特例取得免許を最初に受けた日から二十一歳に達するまでの間」と定めています。警察庁の説明では、この期間に違反をして合計の点数が3点以上になると、若年運転者講習(9時間)を受ける義務があります。1回の違反で3点になった場合は除かれます。
講習の通知を受けて受けなかった場合は、特例で取った免許が取り消されます。講習を受けたあとに、期間中にもう一度合計3点以上になった場合も取り消しです。19歳や20歳で乗務を始める人は、ふつうの運転手より違反に厳しい決まりの中で働くことになります。
筆者が乗務していたころ、お客さんから違反につながる指示を受けたことが何度かあります。深夜、目的地の手前の赤信号で「進んで」と言われたこと、左折専用の車線から直進するよう言われたこと、よく知らない地域で時間帯によって右折禁止の交差点を右折するよう指示されたことです。若年運転者期間の人は、こうした場面で断る判断がとくに大切になります。

20代のタクシー運転手の年収。令和7年の統計で見る
ここからは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の職種別の表で、タクシー運転者の賃金を年齢別に見ます。この統計は会社に雇われて働く人の統計で、法人タクシーの運転手が対象です。年収は、毎月きまって支給される給与を12倍し、年間の賞与を足して計算しています。
20代の年収は全年齢の平均より30万円ほど高い
20〜24歳の年収は483.4万円、25〜29歳は482.9万円でした。全年齢の平均は450.8万円なので、20〜24歳は32.5万円、25〜29歳は32.1万円高い計算です。年齢別に並べると、いちばん高いのは45〜49歳の521.3万円で、30〜34歳の517.9万円が続きます。60歳を過ぎると下がっていき、70歳以上は347.6万円です。

| 20〜24歳 | 25〜29歳 | 全年齢 | |
|---|---|---|---|
| 年収(計算) | 483.4万円 | 482.9万円 | 450.8万円 |
| きまって支給する給与(月) | 399.6千円 | 395.1千円 | 359.2千円 |
| うち所定内給与(月) | 343.7千円 | 344.6千円 | 306.4千円 |
| 年間賞与 | 38.4千円 | 87.5千円 | 197.8千円 |
| 勤続年数 | 0.9年 | 2.0年 | 8.3年 |
| 1か月の労働時間 | 197時間 | 189時間 | 192時間 |
表で分かるとおり、20代は毎月の給与が高い一方で、賞与は全年齢よりずっと少なくなっています。20〜24歳の賞与は38.4千円で、全年齢の197.8千円の5分の1ほどです。20〜24歳の勤続年数は0.9年で、入って1年たたない人が中心です。賞与の決め方は会社によるので、「勤続が短いから少ない」とまでは統計から言えませんが、20代の年収は毎月の給与でかせいでいる形だと読めます。
残業代などを含まない所定内給与で計算し直すと、20〜24歳は416.3万円、25〜29歳は422.3万円です。求人票の月給と比べるときは、どちらの数字なのかをそろえてください。

1時間あたりでも20代のほうが高い
労働時間の違いも見ておきます。1か月の労働時間は、20〜24歳が197時間、25〜29歳が189時間、全年齢が192時間です。毎月の給与を労働時間で割ると、20〜24歳は2,028.4円、25〜29歳は2,090.5円、全年齢は1,870.8円になります。賞与は含めていません。長く働いているから高いのではなく、1時間あたりでも20代のほうが高い結果です。

年収の全体像や歩合の仕組みはタクシー運転手の年収に、歩合で稼ぐ人と稼げない人の違いは稼げる運転手と稼げない運転手に書いています。
同じ20代のほかの仕事と比べるとどうか
全タク連は、同じ賃金構造基本統計調査をもとに、タクシー運転者と全産業、ほかの産業の賃金を年齢別に比べた資料を出しています。その資料には「20~34歳まではタクシー運転者の方が賃金が高く、特に20~24歳では100万円以上の差が生じている。」とあります。
全産業との差は20代前半で122.0万円
全産業の年収は、20〜24歳が361.4万円、25〜29歳が448.2万円です。タクシー運転者との差は、20〜24歳で122.0万円、25〜29歳で34.7万円。20代前半ではっきりした差がありますが、20代後半になると差はかなり小さくなります。

20代後半では建設業がタクシーを上回る
産業ごとに見ると、20〜24歳ではタクシーの483.4万円に対し、建設業383.2万円、製造業366.4万円、卸売・小売業352.5万円、社会福祉・介護事業330.0万円、宿泊・飲食サービス業316.5万円でした。全タク連の資料も「20代前半で年間推計額が400万円を超えているのはタクシー運転者のみとなっている。」と書いています。

25〜29歳になると、建設業が493.9万円でタクシーの482.9万円を上回ります。卸売・小売業438.6万円、製造業437.4万円とも差は50万円を切ります。「20代ならどの仕事よりタクシーが稼げる」とまでは言えず、有利がはっきりしているのは20代前半だと読むのが正確です。
| 産業 | 20〜24歳 | 25〜29歳 |
|---|---|---|
| タクシー運転者 | 483.4万円 | 482.9万円 |
| 全産業 | 361.4万円 | 448.2万円 |
| 建設業 | 383.2万円 | 493.9万円 |
| 製造業 | 366.4万円 | 437.4万円 |
| 卸売・小売業 | 352.5万円 | 438.6万円 |
| 社会福祉・介護事業 | 330.0万円 | 372.0万円 |
| 宿泊・飲食サービス業 | 316.5万円 | 368.0万円 |

なお、同じ資料は注記で、タクシーは「歩合給が主である賃金形態により一律に高賃金であるとはいえない」とも書いています。平均が高いことと、自分が平均をもらえることは別の話です。
平均の中の幅。会社の規模と経験年数で違う
20〜24歳の毎月の給与は規模で129.3千円違う
同じ統計を会社の規模別に見ると、20〜24歳の毎月の給与は、従業員100〜999人の会社で421.8千円、10〜99人の会社で292.5千円でした。差は129.3千円です。1,000人以上の会社は、表に値がありません。
20〜24歳は集計された人数が少ない区分です。「大きな会社に入れば稼げる」とまでは言えませんが、20代の平均483.4万円の中には大きな幅があると考えておくのが安全です。

経験を積んでも給料が上がり続けるわけではない
経験年数別の表(令和7年)で、所定内給与を12倍して賞与を足すと、経験0年が370.6万円、1〜4年が417.7万円、5〜9年が407.1万円、10〜14年が391.7万円、15年以上が346.9万円でした。1〜4年がいちばん高く、0年との差は47.1万円です。その後は上がっていません。
全タク連の資料も「歩合給制度では、経験年数に応じて賃金が段階的に上昇する仕組みは一般的に取り入れられておらず」と書いています。経験年数の長い人には年齢の高い人が多いので、経験だけの影響とは言えませんが、20代で入って慣れた1年目から数年のうちに、収入が一段上がって横ばいになる形が読み取れます。

2019年に旧版を書いた筆者も、給料が自然に上がっていく仕事ではないことを弱みに挙げていました。統計でも、経験で段階的に上がる仕組みは一般的でないと確かめられます。20代で入る人は、30代以降の収入をどう伸ばすかを、入る前から考えておいたほうがよいと思います。未経験から入った1年目の実際は未経験からタクシー運転手になるに、筆者の1年間の記録はタクシー運転手1年目の記録にあります。
20代のタクシー運転手はどのくらいいるか
20代は全体の4.0%
令和7年の賃金構造基本統計調査で、タクシー運転者に占める20代の割合は4.0%でした。内訳は20〜24歳が1.2%、25〜29歳が2.8%です。40歳未満を合わせても11.1%で、60歳以上が43.0%、70歳以上が14.4%を占めます。平均年齢は56.8歳です。

年ごとの割合は大きく振れる。急増とは言えない
同じ表を令和3年から令和7年まで並べると、20代の割合は2021年1.0%、2022年7.9%、2023年3.3%、2024年2.8%、2025年4.0%でした。1年で7倍以上になった年もあれば、半分以下に減った年もあります。
この統計は会社を抽出して調べた標本調査からの推計で、20代のように人数の少ない区分は年ごとに大きく動きます。令和7年の表で集計された人数は、20〜24歳が推計2,080人、25〜29歳が推計4,780人です。どれか1年を選べば「増えた」とも「減った」とも言えてしまうので、この数字だけで若手が急増しているとは言えません。旧版のタイトルにあった「急増中」は、統計では確かめられませんでした。
| 年 | 20代の割合 | 40歳未満の割合 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|
| 2021年(令和3年) | 1.0% | 3.9% | 60.7歳 |
| 2022年(令和4年) | 7.9% | 11.0% | 58.3歳 |
| 2023年(令和5年) | 3.3% | 6.8% | 59.7歳 |
| 2024年(令和6年) | 2.8% | 7.0% | 60.2歳 |
| 2025年(令和7年) | 4.0% | 11.1% | 56.8歳 |

全国の平均年齢は56.8歳に下がった
平均年齢は、2015年の58.9歳から2021年の60.7歳まで上がり気味でしたが、2024年の60.2歳から2025年は56.8歳に下がりました。全タク連の資料も「平均年齢は、56.8歳であり、前年と比較して3.4歳減少した」と書いています。ただし平均年齢も年ごとに上下していて、1年の下がり方だけで先を見通すことはできません。

新卒でタクシー運転手になる人は1,481人
若い運転手の数をより安定して示しているのが、全タク連の新卒者等の調査です。ここでいう新卒者等は「新卒者及び卒業後3年以内の者」で、年齢の区分ではありません。
令和7年3月末の新卒者等の乗務員は1,481人で、全タク連は「前回調査(令和4年度)と比較して413名増」「38.7%増加」と書いています。前回は1,068人だった計算です。回答のあった事業者は全国で155でした。

8割以上が東京。いない県は19県
地域の偏りは大きく、東京が1,224人で全体の82.6%を占め、前回から53.2%増えました。次いで愛知57人、大阪45人、京都30人、神奈川22人、福岡19人と続きます。新卒者等がいない県は19県あり、前回から5県減りました。
東京以外で新卒として入る場合、同期の新卒がほとんどいない職場になる可能性があります。応募先の会社が新卒や20代を何人採っているかは、面接で聞いておくとよいと思います。

東京の平均年齢は55.5歳まで下がった
東京ハイヤー・タクシー協会の資料では、東京の法人タクシー乗務員の平均年齢は、平成28年度の58.6歳から下がり続け、令和7年度は55.5歳でした。9年で3.1歳の低下です。資料は、その背景として「積極的な新卒ドライバー採用などによる新規労働力の確保」を挙げています。東京で運転者証を交付されている乗務員は、令和7年度で59,369人です。

女性の若い乗務員も、全タク連の調査(令和8年3月末)で25歳未満が388人、25〜29歳が874人、合わせて1,262人います。女性の働き方については女性のタクシー運転手で詳しく書いています。全タク連の運転者数の推移では、法人タクシーの運転者は平成16年の381,943人から令和4年の214,972人まで減り、令和6年は224,428人でした。令和4年から令和6年で9,456人増えています。
20代で入る前に確かめたいこと
ここからは、20代で応募するときに、入社前に確かめておきたい条件をまとめます。どれも20代の平均年収には表れない、会社ごとの違いです。
乗務員は雇われて働く人。労働の決まりが当てはまる
旧版では「会社は車やETCなどを貸し出し乗務員の売上の何%かを持っていくだけの仕組み」と書きましたが、これは正確ではありませんでした。法人タクシーの乗務員は会社に雇われて働く労働者で、賃金構造基本統計調査もその人たちを集計しています。労働基準法の保障給や、厚生労働省の改善基準告示が当てはまります。
研修中の給料と、歩合の保障給
入社してすぐは、二種免許の取得や会社の研修で、お客さんを乗せない期間があります。厚生労働省の労働時間の把握のガイドラインでは、参加が義務づけられている研修の時間は「労働時間として扱わなければならない」とされています。筆者が研修を受けたときは、当時の会社の条件で日給約1万円でした。1社の当時の例なので、いまの相場としては使えません。研修の中身はタクシー会社の研修に書いています。
乗務を始めてからは歩合の割合が大きくなります。労働基準法27条は、歩合で働く人にも「労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と定めています。タクシーについて国の通達は、歩合給の場合に「通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定める」ことを求めています。
求人票に書かれている、入社後の一定の期間だけ給料を保証する制度は、会社が独自に決めているもので、法律の保障給とは別のものです。金額と期間は会社ごとに違い、相場を示す公的な資料は見つかりませんでした。

二種免許の費用を返す条件
二種免許の費用を会社が出すと書いた求人がありますが、その費用が会社の負担なのか、本人への貸付(立替)なのかは会社によって違います。貸付の場合、早く辞めると返すよう求められることがあります。
労働基準法16条は、労働契約の不履行について「違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。厚生労働省のQ&Aは、会社が立て替えたお金の返済について、本人に返済の義務が残る場合でも「その返済を退職の条件とすることはできません」としています。この記事では個別の約束が違法かどうかは判断しませんが、入社前に次の6つを書面で確かめておくと、あとで困りません。

勤務の形と時間の上限
タクシーの勤務には、2日分をまとめて乗る隔日勤務と、1日ずつ乗る日勤があります。東京ハイヤー・タクシー協会の資料では、隔日勤務の乗務は「月11 ~ 13回」です。同じ資料は、東京の法人タクシーの隔日勤務を「実労働時間15時間(拘束18時間、休憩3時間)」と説明しています。旧版では「残りの17〜19日はお休み」と書きましたが、隔日勤務の乗務の翌日(明け)は休日ではなく休息の時間です。
時間の上限は、2024年4月1日からの改善基準告示で、隔日勤務は2暦日の拘束22時間以内、1か月262時間以内、日勤は1日の拘束13時間以内(最大15時間)、1か月288時間以内と決まっています。勤務と勤務の間の休息も決まっていて、隔日勤務は継続24時間を基本に22時間を下回らないこと、日勤は継続11時間を基本に9時間を下回らないこととされています。勤務の形ごとの1日の流れはタクシー運転手の仕事内容に、短い時間で働く方法はタクシーのパートやアルバイトにまとめています。

筆者の場合、乗務を始めてから曜日の感覚がなくなり、会社員のころに感じていた日曜日の夜の憂うつがなくなりました。平日に出かけられるので、行ってみたかった店や場所がすいているのもよかった点です。一方で、1回の乗務の拘束時間は長いものでした。
| 確かめること | どこを見るか | 関係する決まり |
|---|---|---|
| 研修中の給料 | 日給か月給か、研修が労働時間か | 労働時間の把握のガイドライン |
| 歩合の保障給 | 保障給の額と計算のしかた | 労働基準法27条、国の通達 |
| 二種免許の費用 | 負担か貸付か、返す条件 | 労働基準法16条 |
| 勤務の形 | 隔日勤務か日勤か、選べるか | 改善基準告示 |
| 賞与 | 有無と決め方 | 会社の就業規則 |

20代で始めると個人タクシーを早く目指せる
旧版では「個人タクシーになるには10年以上法人での実務経験が必要」と書きましたが、実際の基準は年齢によって違います。関東運輸局の審査基準では、35歳未満の人は、申請する営業区域で「継続して10年以上同一のタクシー又はハイヤー事業者に運転者として雇用されていること」と、「申請日以前10年間無事故無違反であること」が求められます。
35歳以上40歳未満の人は、運転を職業とした期間が10年以上で、そのうちタクシーかハイヤーが5年以上、その区域で継続して3年以上という別の基準です。申請日に65歳未満であること、設備資金と運転資金がそれぞれ80万円以上あることも必要です(関東運輸局の基準で、運輸局ごとに違います)。
21歳で乗り始めて同じ会社・同じ区域で10年続ければ、31歳で35歳未満の基準の運転経歴を満たします。筆者のように26歳で始めた場合は10年で36歳になり、35歳以上の基準で判断されます。20代前半で入るほど、個人タクシーを早い年齢で目指せるのは確かです。ただし35歳未満の基準は「同じ会社で継続10年」なので、途中で会社を移ると数え直しになる点に注意が必要です。

旧版を書いた2019年の時点で、筆者は30代のうちに個人タクシーを取りたいと考えていました。個人タクシーの収入を示す公的な統計は見つからなかったので、この記事では個人タクシーの年収は書きません。
筆者が20代でタクシーを始めて考えたこと
ここからは統計ではなく、筆者が2018年に乗り始めたころの体験と、2019年に旧版を書いた時点の考えです。当時の一人の経験として読んでください。
26歳で乗務を始めた2018年4月から、100回目の乗務は同じ年の12月でした。早退した1回を除く最初の99回の平均売上は、1回あたり62,091円です。前職はWebエンジニアで、3年働いてからの転職でした。

当時、タクシーで生活の基盤を作りながら別の目標を追っている人たちに会いました。お笑い芸人を目指している人、弁護士の資格を目指して勉強している人、若いうちにお金をためて起業を目指している人です。乗務のない日を使えるので、時間とお金の両方を確保しやすい働き方だと当時は感じていました。
一方で、旧版では、若いうちからタクシーだけをしていると30代で別の業界へ移るときに苦労するのではないか、とも書きました。名刺の渡し方や電話の受け方のような会社員の基本を身につける機会が少ないからです。これは統計で確かめた話ではなく、当時の筆者の考えです。辞める理由や、ほかの仕事へ移った人の話はタクシー運転手が辞める理由にまとめています。
タクシーの仕事の良い面と大変な面の全体はタクシー運転手の魅力と大変なことに書いています。
この記事で訂正したこと
この記事は2019年6月24日に公開したものを、2026年9月24日に書き直しました。以前の版には、制度の変更で古くなった記述や、根拠を示せない数字がありました。主なものを並べます。
| 以前の版の記述 | いまの事実 |
|---|---|
| タクシー運転手を20歳からやりたくてもできない | 2022年5月13日から、特例の教習を修了すれば19歳以上・免許の期間1年以上で二種免許を受けられる(警察庁、道路交通法96条)。21歳までは若年運転者期間 |
| 20代でも年収400万から800万円くらいまで狙える | 根拠を示せない幅だった。令和7年の平均は20〜24歳483.4万円、25〜29歳482.9万円(賃金構造基本統計調査) |
| 会社ごとの新卒採用人数 | 特定の会社の名前と人数は削除。全国の新卒者等の乗務員は1,481人(全タク連、令和7年3月末) |
| 20代タクシー運転手が急増中 | 20代の割合は令和7年で4.0%。年ごとに1.0%から7.9%まで振れ、急増とは言えない |
| 個人タクシーには10年以上法人での実務経験が必要 | 35歳未満は同じ区域・同じ会社で継続10年以上と10年間無事故無違反。35歳以上は別の基準(関東運輸局) |
| 個人になれば年収1000万円も夢ではない | 根拠がないため削除 |
| 会社は車を貸して売上の何%かを持っていくだけ | 乗務員は雇われて働く労働者。保障給や改善基準告示が当てはまる |
| 残りの17〜19日はお休み、1日で2日分働く | 隔日勤務の乗務は月11〜13回。拘束は2暦日で22時間以内で、明けの日は休日ではなく休息 |

よくある質問
タクシー運転手は何歳からなれますか
二種免許は原則21歳以上で、普通免許などを通算3年以上持っていることが条件です。2022年5月13日からは、特例の教習を修了すれば、19歳以上で通算1年以上から受けられます。18歳で普通免許を取った人は、最短で19歳から受験資格がそろいます。
高校を卒業してすぐにタクシー運転手になれますか
卒業してすぐには二種免許を受けられません。18歳で普通免許を取った場合、免許を持って1年たち、19歳になった時点で、特例の教習を修了すれば二種免許の試験を受けられます。高校卒業から乗務を始めるまでの期間をどう過ごすかは会社によって違うので、応募先に確かめてください。
20代のタクシー運転手の年収はいくらですか
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で計算すると、20〜24歳は483.4万円、25〜29歳は482.9万円です。全年齢の平均450.8万円より高い一方で、年間賞与は20〜24歳で38.4千円と少なく、会社の規模によって毎月の給与に大きな差があります。
20代でタクシー運転手になると、ほかの仕事より稼げますか
20代前半でははっきり高く、全産業の361.4万円より122.0万円高い数字です。20代後半になると全産業との差は34.7万円に縮み、建設業の493.9万円はタクシーの482.9万円を上回ります。どの仕事よりも稼げるとまでは言えません。
20代のタクシー運転手は本当に増えていますか
賃金構造基本統計調査での20代の割合は令和7年で4.0%ですが、2021年からの5年間で1.0%から7.9%まで年ごとに大きく振れていて、増えているとは言い切れません。一方で、全タク連の調査で新卒者等の乗務員は前回から413人増えて1,481人になり、東京の平均年齢も下がっています。
新卒でタクシー会社に入る人はどのくらいいますか
全タク連の調査で、令和7年3月末の新卒者等(新卒者と卒業後3年以内の人)の乗務員は1,481人でした。そのうち1,224人、82.6%が東京です。新卒者等がいない県は19県ありました。
19歳や20歳で乗務すると、何か制限はありますか
特例で二種免許を取った人は、21歳まで若年運転者期間になります。この期間に違反の点数が合計3点以上になると9時間の若年運転者講習を受ける義務があり、受けなければ特例で取った免許が取り消されます。講習のあとにまた合計3点以上になった場合も取り消しです。
研修中も給料は出ますか
参加が義務の研修は労働時間として扱うよう、厚生労働省のガイドラインで決まっています。研修中の給料の額は会社ごとに違うので、日給か月給か、いくらかを求人票と面接で確かめてください。
二種免許の費用は会社が払ってくれますか
会社が負担する場合と、本人への貸付として立て替える場合があります。貸付の場合、早く辞めると返済を求められることがあります。返す場合の金額の上限、何か月働けば返さなくてよいか、書面になっているかを入社前に確かめてください。
20代で入ると個人タクシーは何歳で目指せますか
関東運輸局の基準では、35歳未満の人は同じ区域で同じ会社に継続10年以上雇われ、10年間無事故無違反であることが必要です。21歳で乗り始めて同じ会社で続ければ31歳で運転経歴の基準を満たします。26歳で始めた場合は36歳になり、35歳以上の基準で判断されます。
経験を積めば給料は上がり続けますか
経験年数別の統計(令和7年)では、経験1〜4年の417.7万円がいちばん高く、5〜9年は407.1万円、10〜14年は391.7万円でした。全タク連も、歩合給では経験年数に応じて段階的に上がる仕組みは一般的でないと書いています。
まとめ
20代でタクシー運転手になる道は、制度の上でも広がっています。20代前半の賃金はほかの産業と比べてはっきり高い一方で、平均の中の幅や、その後の伸び方には注意が必要です。
- 二種免許は、特例の教習を修了すれば19歳から受けられる(2022年5月13日から)
- 特例で取った人は21歳まで若年運転者期間。合計3点以上で9時間の講習、受けなければ取り消し
- 20代の年収は、20〜24歳483.4万円、25〜29歳482.9万円(令和7年)。全年齢は450.8万円
- 20代前半は全産業より122.0万円高い。20代後半は34.7万円差で、建設業が上回る
- 20〜24歳の賞与は38.4千円と少なく、会社の規模で毎月の給与に129.3千円の差
- 経験年数では1〜4年がいちばん高く、その後は上がっていない
- 20代は運転者全体の4.0%。年ごとの振れが大きく、急増とは言えない
- 新卒者等の乗務員は1,481人。うち1,224人が東京
- 研修中の給料、保障給、二種免許の費用を返す条件は、入社前に書面で確かめる
数字と制度は、ここに書いた2026年9月24日の時点のものです。賃金構造基本統計調査は毎年公表されるので、20代の数字も年ごとに変わります。応募する会社の研修中の給料と費用の条件は、面接で自分の目で確かめてください。




