この記事の情報
研修の決まりは旅客自動車運送事業運輸規則とタクシー業務適正化特別措置法(e-Govの条文)、国土交通省の告示、適性診断はナスバ(自動車事故対策機構)の公式ページ、講習と試験は東京タクシーセンターの公式ページの原文です。いずれも2026年9月24日に確認しています。筆者の体験は、都内で乗務を始めた2018年当時のものです。
「タクシー会社に入ったら、最初にどんな研修を受けるのだろう」「道を知らなくても大丈夫なのか」「研修の間の給料は出るのか」。未経験からタクシーの仕事を考えると、まずここが気になると思います。
タクシーの研修には、法律で決まっていて、どの会社でも同じ部分と、会社ごとに違う部分があります。前者は、会社が新人を運転者にする前に済ませなければならない指導と適性診断、そして東京などで必要な講習と試験です。後者は、二種免許の取らせ方、社内研修の日数、先輩の同乗の回数、研修中の給料などです。
この記事では、法律で決まっている部分を条文と公的機関のページの原文で確かめ、入社から独り立ちまでの順番に並べます。会社ごとに違う部分は、特定の会社の例を一般化せず、入社前に何を確かめればよいかの形で書きます。最後に、筆者が2018年に受けた研修の記録も載せます。

結論。タクシーの研修は法律で決まった部分と会社ごとの部分に分かれる
先に要点を並べます。細かい中身と出典は、このあとの章で書きます。
- 会社は、新人に指導と適性診断を済ませてからでないと運転者にできない。運輸規則36条2項の決まりです。
- 会社が行う特別な指導は6時間以上。国土交通省の告示で、安全な運転の基本や危険の予測など5つの項目を合計6時間以上と決めています。
- 適性診断は初任診断。ナスバの初任診断は約1時間40分、手数料は4,800円です。合否をつける試験ではなく、運転のクセを見つけて助言する診断です。
- 東京で運転者になるには、3日間の新規講習と試験が要る。試験は法令・安全・接遇の45問で、36問以上で合格です。
- 地理試験は2024年2月29日に廃止された。代わりに講習の3日目に地理の効果測定(10問・〇×)があり、別に任意の新人地理基礎研修もあります。
- 会社から義務づけられた研修の時間は労働時間。厚生労働省のガイドラインがそう定めています。研修中の給料の額や研修費の負担は会社によって違います。
旧版のこの記事は、特定のタクシー会社4社の研修を紹介する形で、地理試験があった時代の内容のままでした。直した点は、記事の最後の「この記事で訂正したこと」にまとめています。

入社から独り立ちまでの順番
未経験でタクシー会社に入った人が、実際にお客さんを乗せて走るまでの流れを、法律の決まりに沿って並べると次のようになります。

| 段階 | 中身 | 決めているもの |
|---|---|---|
| 入社 | 会社に雇われる。試用期間中でも14日を超えて続けて使われていれば選任できる | 運輸規則36条1項 |
| 二種免許 | 普通二種免許を持っていなければ教習所へ | 道路交通法 |
| 初任診断 | ナスバなどの適性診断。選任の前に受ける | 運輸規則36条2項・告示1676 |
| 新規講習と試験 | 東京は3日間。試験は法令・安全・接遇 | タクシー業務適正化特別措置法7条 |
| 登録 | 東京などの指定地域では、登録を受けた人でないと乗務させられない | タクシー業務適正化特別措置法3条 |
| 特別な指導 | 6時間以上。地理と接客、非常用具の扱いの指導も | 運輸規則36条2項・38条・39条・告示1676 |
| 選任、乗務開始 | 先輩の同乗などの社内研修は会社による | 会社の決まり |
どこで、だれから受けるのか
研修は、会社の中で受けるものと、外の機関に出向いて受けるものに分かれます。場所と費用の目安を並べると次のとおりです。
| 研修 | 受ける場所 | 行う人 | 公的な費用(税込) |
|---|---|---|---|
| 特別な指導(6時間以上) | 会社(外部の機関を使う会社もある) | 会社 | 決まりはない |
| 地理と接客の指導 | 会社 | 会社 | 決まりはない |
| 初任診断 | ナスバなど | ナスバのカウンセラーなど | 4,800円 |
| 新規講習(東京) | 東京タクシーセンター(1日目と2日目はオンラインもある) | 東京タクシーセンター | 通所2,200円、オンライン1,650円 |
| 法令・安全・接遇の試験 | 東京タクシーセンター | 東京タクシーセンター | 3,400円 |
初任診断、新規講習、会社の指導の順番は会社によって前後します。法律が求めているのは、運転者に選任する前に指導と適性診断が終わっていることです。二種免許の取り方と費用は二種免許の取り方と費用に、仕事の全体像はタクシー運転手の仕事内容にまとめています。
法律が会社に求めていること(運輸規則36条2項・38条・39条)
タクシー会社の研修の土台になっているのは、旅客自動車運送事業運輸規則です。新しく雇った人について、36条2項は次のように決めています。
一般乗用旅客自動車運送事業者(個人タクシー事業者を除く。以下この章において同じ。)は、新たに雇い入れた者については、第三十八条第一項、第二項及び第五項並びに第三十九条に規定する事項(中略)について、指導、監督及び特別な指導を行い、並びに適性診断を受診させた後でなければ、前条の運転者その他事業用自動車の運転者として選任してはならない。
(旅客自動車運送事業運輸規則36条2項。e-Govで2026年9月24日に確認)
読みくだくと、タクシー会社は新しく雇った人に、決められた指導をして適性診断を受けさせてからでないと、運転者に選任できません。研修は会社の好意でするものではなく、運転者にするための条件です。

指導の中身は4つの条文に分かれている
| 条文 | 中身 |
|---|---|
| 38条1項 | 営業区域の状態、それに対処できる運転技術、法令に定める運転に関する事項の指導監督。日時や内容を記録し、営業所で3年間保存する |
| 38条2項 | 新しく雇った人などへの特別な指導と、適性診断の受診 |
| 38条5項 | 非常信号用具、非常口、消火器を備えた車なら、その扱いの指導 |
| 39条 | 営業区域内の地理と、お客さんや公衆への応接の指導監督 |
39条は、地理試験がなくなったいまも残っています。地理と接客を教える義務は会社にあるということです。また、特別な指導と適性診断を受けたかどうかは、会社が備える乗務員等台帳(37条)に記録されます。
タクシー経験者は一部だけでよい
36条2項には、経験者のための決まりもあります。他社でタクシーの運転者に選任されたことがある人は、38条1項の指導監督と、39条のうち地理の指導だけで足ります。さらに、同じ営業区域で雇入れ前2年以内に通算90日以上タクシーの運転者だった人は、36条2項の対象から外れます。

ただし、次の章の特別な指導と初任診断は、告示の別の決まりで要否が決まります。転職の場合は、前の会社での経験の年数を会社に正確に伝えてください。
試用期間と選任の関係
36条1項は、運転者に選任してはならない人も決めています。研修に関係するのは、試用期間中の人(14日を超えて引き続き使われるようになった人を除く)です。研修の期間が試用期間に重なっていても、14日を超えて続けて雇われていれば、運転者に選任することはできます。
会社の特別な指導は6時間以上(国土交通省告示1676号)
38条2項の特別な指導の中身は、国土交通省告示第1676号(平成13年12月3日)で決まっています。タクシーのように貸切バス以外の車の運転者になる人には、次の①から⑤を合計6時間以上行うことになっています。

| 項目 | 告示の中身(要約) |
|---|---|
| ① 安全な運転に関する基本的事項 | 道路運送法などの法令で守るべきことと交通ルール、安全に運転する基本的な心構え |
| ② 車の構造上の特性と日常点検の方法 | 事業用自動車の基本的な構造と装置、日常点検の方法 |
| ③ 運行と旅客の安全のために留意すべき事項 | シートベルトの着用を徹底させることなど |
| ④ 危険の予測と回避 | 事故につながるおそれのある主な危険と、それを避ける運転方法 |
| ⑤ 安全装置を備えた車の適切な運転方法 | 装置の機能への過信や誤った使い方が事故の原因になりうること |
| ⑦ 安全運転の実技 | タクシーでは「可能な限り実施することが望ましい」 |
⑥のドライブレコーダーを使った指導は貸切バスの運転者向けです。貸切バスは①から⑥を10時間以上、⑦を20時間以上と、タクシーより長く決められています。
初任運転者とはだれか
告示でいう初任運転者は、タクシーの場合、雇入れ前3年間に他の会社で同じ種類の事業の運転者に選任されたことがない人です。未経験の人はもちろん、以前にタクシーをしていても3年以上あいていれば当てはまります。特別な指導は、その会社で初めて運転者に選任される前に行うことになっています。

話し合いながら指導し、レポートで確かめる
告示は、指導のやり方にも触れています。適性診断の結果で分かった運転のクセも踏まえて、「当該運転者と話し合いをしつつきめ細かな指導を実施することが必要である」とし、本人が気づいていない問題は「運転者としてのプライドを傷つけないように配慮しつつ」指摘するよう求めています。指導の終わりには、安全な運転の心構えなどをレポートにまとめさせて効果を確かめることが望ましい、とも書かれています。
入社後の研修でレポートを書く時間があったら、それはこの告示に沿ったものです。また告示は、外部の専門的な機関を「可能な限り活用するよう努める」としています。社内だけでなく、外の研修施設で指導を受ける会社もあるのはこのためです。
事故歴の確認もある
同じ告示で、会社は新しく雇った人の事故歴を、自動車安全運転センターの無事故・無違反証明書や運転記録証明書などで確かめることになっています。入社の書類として、これらの証明書を求められることがあります。
初任診断(ナスバの適性診断)
36条2項の適性診断は、新しく雇われた人の場合、告示で初任診断と決まっています。選任の前に受けるもので、雇入れ前3年間に初任診断を受けたことがある人は対象外です。代表的な受診先はナスバ(独立行政法人自動車事故対策機構)で、東京の窓口は墨田区錦糸の東京主管支所です。
ナスバの初任診断のページによると、診断時間は約1時間40分、手数料は4,800円(税込)です。この時間は、ナスバネットという機械で受けた場合の目安とされています。診断の結果をもとに、ナスバのカウンセラーが「事業用自動車の運転者としての自覚、事故の未然防止のための留意点等について」指導と助言を行います。

| 診断 | 時間 | 手数料(税込) | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 初任診断 | 約1時間40分 | 4,800円 | 新しく雇われ、運転者に選任される前の人 |
| 一般診断 | 約1時間20分 | 2,400円 | 普通免許以上を持っていればだれでも |
| 適齢診断 | 約1時間40分 | 4,800円 | 65歳以上の運転者 |
| 特定診断I | 約2時間 | 9,300円 | 死亡・重傷事故などを起こした人の一部 |
| 特定診断II | 約5時間 | 29,900円 | 事故の前1年間にも事故を起こしていた人など |
65歳以上の人は、初任診断とは別に適齢診断があります。告示では、65歳になってから1年以内に1回、その後75歳までは3年以内ごとに1回、75歳からは1年以内ごとに1回です。種類の一覧はナスバの運転者適性診断の種類で確かめられます。
適性診断に落ちることはあるのか
ナスバは適性診断を、運転の長所と短所といった「運転のクセ」をさまざまな測定で見つけ、クセに応じた助言をするものだと説明しています。ページには合格や不合格という区分は出てきません。ナスバのサービス紹介のページでは、年間約46万人が利用しているとしています。
ただ、診断の結果をどう扱い、採用や配属にどう生かすかは会社が決めることです。「診断の結果で採用されないことは絶対にない」とまでは言えません。気楽に受けてよいものですが、結果の用紙に書かれた助言は、そのあとの特別な指導でも使われます。
東京タクシーセンターの新規講習(3日間)
東京などの指定地域でタクシーの運転者になるには、タクシー業務適正化特別措置法の登録を受けなければなりません。登録の条件の1つが、国の認定を受けた講習の修了です(7条1項3号)。東京では東京タクシーセンターの新規講習がこれに当たります。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 期間と時間 | 3日間。9時から17時 |
| 費用(税込) | 通所2,200円、オンライン1,650円 |
| 申し込み | 会社から。予約の受付は実施日の2か月前から |
| 持ち物 | 研修申込書、運転免許証など本人と分かるもの、筆記用具、研修費用 |
| 注意 | 車やバイク、自転車での来所は禁止。服装と身だしなみも求められる |
2024年2月5日からは講習の期間と時間が見直され、研修生は午前8時50分までに来所し、9時から点呼が始まります。筆者が受けた2018年当時は4日間でした。
なお、法律と施行規則は、講習を「地方運輸局長の認定を受けた講習」とだけ決めていて、何日間・何時間とは書いていません(タクシー業務適正化特別措置法施行規則3条の2)。3日間という日数は、東京タクシーセンターの講習の設計です。ほかの地域では日数や中身が違うことがあります。
3日間の時間割
東京タクシーセンターが公開している新規講習カリキュラムをもとに、時間割を図にしました。1時限は40分です。

- 1日目 午前は法令を3時限、午後は地理を4時限、最後に安全を1時限
- 2日目 午前は安全を3時限、午後は接遇を5時限。接遇はバリアフリー対応が中心
- 3日目 朝から法令・安全・接遇の試験と合格発表。午後に地理の効果測定、車いすなどの実技を含む接遇、修了証の交付
科目ごとに数えると、法令3時限、地理4時限、安全4時限、接遇7時限の合計18時限です。40分をかけると720分、12時間になります(試験と効果測定の時間は含めていません)。いちばん長いのは接遇で、7時限あります。

3日目に持っていくもの
講習の案内では、3日目の持ち物として、バリアフリー対応(ユニバーサルドライバー研修)の講習テキスト、試験のマークシートに記入するための鉛筆と消しゴム、試験費用3,400円、運転免許証が挙がっています。試験の費用は講習の費用とは別に、3日目に持っていく形です。
オンラインで受けられるのは1日目と2日目だけ
オンライン新規講習は、3日間のうち試験と効果測定などを除く2日間を、会社の会議室などでライブ配信で受ける形です。3日目はセンターに通います。オンラインで実施できるのは、センターにオンライン講習事業所として登録した会社だけで、登録の基準の1つにはタクシー評価制度でAAA、AA、Aのいずれかの評価を受けていることが挙がっています。

どちらで受けるかは本人ではなく会社が決めます。入社する会社がオンラインで実施しているかどうかは、面接で聞けば教えてもらえるはずです。
3日目の午後は地理の効果測定
地理試験の廃止に合わせて、2024年2月29日から3日目の午後に地理の効果測定が置かれました。講習で使う地理教本から10問が出て、〇×で答えます。

正答率70%以上なら修了、60%以上70%未満なら補講を受けて修了、60%未満なら補講のあとにもう一度効果測定を受けます。点数で落として不合格にする試験ではなく、足りないところを補講で補う仕組みです。
法令・安全・接遇の試験と登録
新規講習の3日目の朝に受けるのが、輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験です。東京タクシーセンターのページでは、筆記試験で45問、合格は36問以上(正答率80%)、手数料は3,400円、合格証の有効期限は合格の日から2年間です。

講習と一緒に受ける新規講習時受験のほか、一般受験と再試験もあります。3日目で合格できなかった場合は、予約して受け直すことになります。なお、同じ指定地域で申請前2年以内に通算90日以上タクシーかハイヤーの運転者だった人は、試験の代わりにその経歴で登録を受けられます(施行規則4条)。
登録と運転者証
講習の修了と試験の合格がそろったら、東京タクシーセンターで登録を申請します。登録手続きのページでは、法人の運転者の新規登録の手数料は3,740円です。東京などの指定地域では、この登録を受けた人でないと、会社はタクシーの運転者として乗務させられません(法3条)。
公的にかかる費用の合計
東京で通所の新規講習を受けた場合、公的な手数料は講習2,200円、試験3,400円、登録3,740円で合計9,340円です。初任診断の4,800円を足すと14,140円になります。オンライン講習なら講習が1,650円なので、それぞれ8,790円と13,590円です。

この費用を会社と本人のどちらが払うかは、法律には書かれていません。二種免許の教習費と合わせて、入社前に書面で確かめておくのが安全です。試験の詳しい中身と、廃止された地理試験の経緯はタクシーの地理試験は廃止されましたにまとめています。
地理試験がなくなって、地理はどう教わるのか
旧版のこの記事では「地理試験に受からないと東京でタクシー運転手になれない」と書いていました。2024年2月29日に地理の科目試験は廃止され、いまの試験は法令・安全・接遇の45問です。

いま地理を学ぶ場は3つです。1つ目は新規講習の地理4時限と効果測定。2つ目は、運輸規則39条に基づいて会社が行う地理の指導。3つ目が、東京タクシーセンターが新しく始めた任意の新人地理基礎研修です。
新人地理基礎研修
新人地理基礎研修は、地理に不安のある新人と、これから運転者になろうとする人向けの1日の研修です。9時から17時まで、費用は4,500円(税込)、最少催行人数は10名。申し込みは会社からで、予約の受付は実施日の1か月前から先着順です。
センターのページは、始めた理由を次のように説明しています。
令和6年2月29日に地理科目試験が廃止になるとともに、地図の備え付けが電子地図へ変更となったことにより事業者からは、新人タクシー運転者の地理知識の低下が懸念され、新たに地理知識の向上を図る研修の要望がありました。また、新規講習生からも都内の地理に特化した研修を希望する意見が寄せられました。
(東京タクシーセンター「新人地理基礎研修」。2026年9月24日に確認)

内容は、地理の覚え方と幹線道路から始まり、主要交差点、主要施設、首都高速道路の路線と出入口、主要ターミナル駅での営業の仕方、銀座乗車禁止地区、地理に関する苦情の事例と続きます。内堀通りを一周した動画を見ながら通り沿いの建物を覚えたり、銀座乗車禁止地区の範囲を間違えた事案の動画を見たりする、実際の営業に寄せた中身です。
任意の研修なので、受けるかどうかは会社しだいです。道に不安がある人は、入社前に「新人地理基礎研修を受けさせてもらえるか」を聞いてみてください。
新人が受けられるそのほかの研修
東京タクシーセンターの研修・検定のページには、新規講習のほかにもいくつかの研修が並んでいます。新人に関係の深いものをまとめました。

| 研修 | 期間 | 中身 |
|---|---|---|
| 新規講習 | 3日 | 東京で新しく運転者になる人が受ける |
| 新人地理基礎研修 | 1日 | 幹線道路、主要施設、主要ターミナル、銀座乗車禁止地区など |
| 新人特別接遇研修 | 1日 | 外部講師による社会人としてのマナー、傾聴、クレームにならない対応など |
| 外国人旅客接遇研修 | 半日 | 外国人のお客さんへの接遇 |
| 自主一般研修 | 1日か2日 | 運転者の資質の向上のための研修 |
| 自主UD研修 | 1日 | ユニバーサルデザインの車での対応 |
新人特別接遇研修は、2022年5月13日の道路交通法の改正で、二種免許が19歳以上、普通免許などを持って1年以上から受けられるようになったことを受けた研修です。若い世代の新人向けに、アイスブレイク、傾聴力、クレームにならないための対応、利用者からの苦情の事例などを1日で学びます。費用は2,200円(税込)です。
研修中の給料と研修費
研修の間に給料が出るか、いくら出るかは会社によって違います。ただ、考え方の目安になる国の決まりがあります。
義務づけられた研修は労働時間
厚生労働省の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインは、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、労働時間として扱わなければならない時間の例として、次を挙げています。
参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間
(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」。2026年9月24日に確認)

ガイドラインは、「自主的な研修」と報告されていても、実際には会社の指示で業務をしていたと認められる時間は労働時間として扱わなければならない、とも書いています。会社の指示で受ける新規講習や社内研修の時間に、給料が出るかどうかは確かめておきたいところです。
研修費を返す約束には注意する
もし入社のときに、「一定の期間内に辞めたら研修や教習の費用を返す」という約束を求められたら、まず次の条文を知っておいてください。労働基準法16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と決めています。
ただ、個々の約束がこの条文に当たるかどうかは、契約の中身によって判断が分かれます。この記事ではどちらとも決めつけません。入社前に、研修費を誰が払うのか、返す約束があるならその条件は何かを、書面で確かめておくのが安全です。労働基準法15条で、会社は賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければならないことになっています。
給料の保障期間
研修が終わって独り立ちしたあとの給料の決まり方も、会社ごとに違います。独り立ち直後の給料に保障があるかどうかも、入社前に聞いておくと安心です。歩合の仕組みはタクシーの歩合と営収に、年収の統計はタクシー運転手の年収にまとめています。
筆者の研修体験(2018年)
ここからは、筆者が都内の会社で乗務を始めた2018年当時の記録です。いまと制度が違うところがあり、1社の例にすぎません。当時は地理試験があり、新規講習も4日間でした。

前の仕事を1月末で辞めて、二種免許の教習所に約2週間通いました。教習所に通っている間も、会社から研修費として日給1万円が出ていました。二種免許を自費で取れば25万円ほどかかると聞いていました。
地理試験は3回目で合格し、地理の科目合格通知書の日付は2018年3月8日、試験の合格証は3月13日付けです。そのあと会社の研修が1週間ほどあり、3月28日に修了しました。退職から独り立ちまでは約2か月。土日の休みも含めての2か月なので、実際に研修や教習を受けていた日数だけなら1か月ちょっとでした。
会社の研修で教わったこと
会社の研修は、主に接客と、どこでお客さんを乗せるかでした。お金の決済の方法を覚えたり、お客さんを乗せたつもりで実際に街に出て、重要な施設や駅を回ったりしました。
研修を終えて1年ほどたった2019年ごろには、月12出番で総営収(税抜き)70万円以上を続けて出せるようになり、調子のよい月は80万円ほど。手取りは35〜40万円くらいでした。これはあくまで当時の筆者の数字で、会社の歩合率や働き方によって大きく変わります。新人のころの1日ごとの売上は新人の1日の売上100回分にそのまま載せています。
入社前に確かめたいこと
法律で決まっている研修は、どの会社に入っても受けます。会社を比べるときに見るべきなのは、会社ごとに違う部分です。面接や入社前の説明で、次のことを聞いておくと安心です。

- 研修中の給料は日給か月給か。いくらか。教習所に通う間も出るか
- 二種免許の教習費、講習費、試験と登録の手数料を誰が払うか
- 早く辞めたときに費用を返す約束があるか。あるなら条件は何か
- 社内研修の日数と中身。先輩の同乗は何回あるか
- 新人地理基礎研修などセンターの任意の研修を受けさせてくれるか
- 独り立ちのあと、給料の保障はあるか。期間と額はいくらか
口頭の説明だけで決めず、労働条件の通知書や研修の案内など書面で受け取っておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
この記事で訂正したこと
この記事は2019年7月3日に公開したものを、2026年9月24日に書き直しました。以前の版には、地理試験があった時代の説明や、根拠を示せない言い切りがありました。主なものを並べます。
| 以前の版の記述 | いまの事実 |
|---|---|
| タクシーセンターで地理試験などを行う | 地理試験は2024年2月29日に廃止。タクシーセンターで受けるのは法令・安全・接遇の試験(45問、36問以上で合格) |
| 都内地理の研修は主に地理試験に関する研修 | いまの地理は新規講習の4時限と3日目の効果測定(10問・〇×・70%以上で修了)。会社には運輸規則39条で地理を教える義務がある |
| 地理試験に受からないと東京でタクシー運転手になれない | いま必要なのは講習の修了、法令・安全・接遇の試験の合格(または2年以内に通算90日以上の経歴)、登録 |
| 適性診断は一般診断2300円から特定診断10100円 | ナスバ公式では一般診断2,400円、初任診断4,800円、特定診断I 9,300円、特定診断II 29,900円 |
| 研修の費用はすべて会社負担 | 誰が払うかは会社による。法律には書かれていない。入社前に書面で確かめる |
| 研修は2種免許、地理試験、適性診断、売上、接客、メーターの6つ | 法律で決まっているのは特別な指導(6時間以上)、初任診断、地理と接客の指導、非常用具の扱い、東京などでは新規講習と試験 |
また、以前の版にあった特定のタクシー会社の名前と研修の紹介、講師の名前、会社の関連施設の名前と動画は削除しました。会社ごとの研修は内容が変わることがあり、1社の例を一般化できないためです。

よくある質問
タクシー会社の研修期間はどのくらいですか
法律で決まっている部分だけなら、東京の新規講習が3日間、会社の特別な指導が6時間以上、初任診断が約1時間40分です。これに二種免許の教習や社内研修が加わるので、全体の期間は会社によって違います。筆者の場合は2018年に、退職から独り立ちまで約2か月でした。
研修中も給料は出ますか
会社によります。会社から義務づけられた研修の時間は、厚生労働省のガイドラインで労働時間として扱うことになっています。額や支払い方は会社の決まりなので、入社前に書面で確かめてください。筆者の会社では、2018年当時、教習所に通う間も日給1万円の研修費が出ていました。
地理試験がなくなったのに、地理の勉強は必要ですか
必要です。新規講習には地理が4時限あり、3日目の効果測定で正答率70%以上が修了の基準です。会社にも運輸規則39条で地理を教える義務があります。カーナビがあっても、主要な施設やターミナル、乗車禁止地区は覚えておくと仕事が楽になります。
適性診断で落ちることはありますか
ナスバの適性診断は、運転のクセを見つけて助言をする診断で、ページに合格や不合格の区分は出てきません。ただし、結果を採用や配属にどう使うかは会社が決めるので、絶対に影響しないとまでは言えません。
初任診断の費用は誰が払いますか
ナスバの初任診断の手数料は4,800円です。受けさせる義務は会社にありますが、費用の負担をどうするかは法律に書かれていません。会社が払うかどうかは、入社前に確かめてください。
タクシー経験者も研修を受けますか
他社でタクシーの運転者だった人は、運輸規則36条2項で、指導監督と地理の指導だけでよいことになっています。同じ営業区域で雇入れ前2年以内に通算90日以上タクシーの運転者だった人は、この条項の対象から外れます。初任診断と特別な指導は、雇入れ前3年間の経験や受診で要否が決まります。
新規講習は自分で申し込めますか
東京タクシーセンターの新規講習は、会社からの申し込みです。オンラインで受けるかどうかも会社が決めます。3日目の試験で合格できなかったときの一般受験や再試験は、予約制で受けられます。
研修の途中で辞めたら、費用を返さないといけませんか
約束の中身によります。労働基準法16条は違約金や損害賠償額をあらかじめ決める契約を禁じていますが、個々の約束がこれに当たるかは契約の中身で判断が分かれます。入社前に、返す約束があるか、あるなら条件は何かを書面で確かめておいてください。
東京以外でも同じ研修ですか
運輸規則と告示の決まり(選任前の指導、6時間以上の特別な指導、初任診断)は全国共通です。講習と試験は、法律で指定された地域の制度で、講習の中身や日数はそれぞれのタクシーセンターなどによって違います。この記事では東京の講習を例にしています。
まとめ
タクシーの研修は、法律で決まっている部分と会社ごとに違う部分に分けて考えると分かりやすくなります。
- 会社は、新人に指導と適性診断を済ませてからでないと運転者にできない(運輸規則36条2項)
- 特別な指導は6時間以上。安全な運転の基本、車の構造と点検、運行と旅客の安全、危険の予測と回避、安全装置の使い方
- 初任診断はナスバで約1時間40分・4,800円。合否ではなく、運転のクセへの助言
- 東京の新規講習は3日間・18時限。3日目に法令・安全・接遇の試験(45問・36問以上)と地理の効果測定
- 地理試験は2024年2月29日に廃止。地理は講習、会社の指導、任意の新人地理基礎研修(1日・4,500円)で学ぶ
- 東京で公的にかかる手数料は講習・試験・登録で9,340円、初任診断を含めて14,140円
- 義務づけられた研修の時間は労働時間。研修中の給料と研修費の負担は会社によるので、入社前に書面で確かめる
制度と金額は、ここに書いた2026年9月24日の時点のものです。講習の日程や費用は東京タクシーセンターの、適性診断の手数料はナスバのページで最新の値を確かめてください。




