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e-Gov の法令、国土交通省の通達、厚生労働省の改善基準告示・パンフレット・賃金構造基本統計調査・職業情報提供サイト(job tag)、東京ハイヤー・タクシー協会と全国ハイヤー・タクシー連合会の公表資料を、2026年9月26日に確認した内容です。特定の会社のすすめや比較はしていません。運賃や労働時間のルールは改正されることがあるので、働く前に最新の資料と求人票を確かめてください。
ハイヤーという言葉は知っていても、タクシーと何が違うのかを説明できる人は多くないと思います。法律の上でハイヤーがどう決められていて、タクシーと何が違うのかを、条文まで確かめて説明しているページはあまり多くありません。年収についても、その数字がどの統計から来ているのかがはっきりしない説明が少なくありません。
この記事では、ハイヤー運転手について、次の3つだけを一次情報で確かめて整理しました。1つ目はタクシーとの制度の上での違い、2つ目は仕事の中身、3つ目は賃金の統計で分かることと分からないことです。
先に結論を書きます。ハイヤーは、法律の上では運送の引受けが営業所のみにおいて行われる車のことで、事業の種類はタクシーと同じです。流し営業はできず、運賃はタクシーとは別建てで運輸局長の認可を受けます。運転者の労働時間には、タクシーのような拘束時間の上限の数字が適用されません。そして、国の賃金統計にはハイヤー運転者だけの区分が無く、タクシー運転者の数字の中に含まれています。

ハイヤーとは何か。法律の上の定義
定義はタクシー業務適正化特別措置法2条にある
ハイヤーという言葉の定義は、タクシー業務適正化特別措置法(以下、適正化法)の2条に書かれています(タクシー業務適正化特別措置法 e-Gov)。2条2項の原文は次のとおりです。
この法律で「ハイヤー」とは、一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者がその事業の用に供する自動車で当該自動車による運送の引受けが営業所のみにおいて行なわれるものをいう。
そして同じ条の1項は、タクシーを、一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者がその事業に使う自動車で「ハイヤー以外のもの」と定めています。つまり、ハイヤーとタクシーは、同じ一般乗用の事業に使う車のうち、運送の引受けが営業所のみかどうかで分けられています。道で手を挙げた人を乗せる流し営業ではなく、営業所で予約や契約を受けて走る車がハイヤーです。
全国ハイヤー・タクシー連合会の用語集も、ハイヤーを「運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものです。流し営業はできません。」と説明しています(全国ハイヤー・タクシー連合会 用語集)。

道路運送法に「ハイヤー事業」という別の種類は無い
事業の許可を定める道路運送法では、ハイヤーもタクシーも「一般乗用旅客自動車運送事業」です。3条1号ハは、この事業を「一個の契約により」国土交通省令で定める乗車定員未満の自動車を「貸し切つて旅客を運送する」事業と定めています(道路運送法 e-Gov)。
e-Gov の法令データで本文を数えると、「ハイヤー」という語は、道路運送法、道路運送法施行規則、旅客自動車運送事業運輸規則(以下、運輸規則)、道路交通法の4本には1回も出てきませんでした。出てくるのは適正化法の4回と、適正化法施行規則の3回です(道路運送法施行規則 e-Gov、運輸規則 e-Gov、適正化法施行規則 e-Gov、道路交通法 e-Gov)。ハイヤーは独立した事業の種類ではなく、一般乗用の事業の中の、引受けのしかたが決まった車の呼び名だと考えると分かりやすいです。

ハイヤーとタクシーの違い。制度の上で何が変わるか
では、定義が違うことで、ルールの上では何が変わるのでしょうか。法令と通達の原文で違いが確かめられたものを、先に表にまとめます。
| 項目 | タクシー | ハイヤー | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 運送の引受け | 営業所に限らない | 営業所のみ | 適正化法2条 |
| 流し営業 | できる | できない | 全国ハイヤー・タクシー連合会 用語集 |
| 運賃 | タクシーの運賃制度 | 別建て。地方運輸局長の認可 | 国自旅第100号、厚生労働省パンフレット |
| 車内の運賃・料金の表示 | 義務 | 対象外 | 運輸規則4条3項 |
| 電子地図の機器 | 指定地域の営業所の車は義務 | 対象外 | 運輸規則29条2項 |
| 拘束時間・休息期間の上限 | 告示で数字が決まっている | 適用されない | 改善基準告示2条5項 |

運賃はタクシーとは別建てで、運輸局長の認可
タクシーの初乗り運賃や加算の決め方は、国土交通省の通達(国自旅第100号)で決められています。この通達の本文は、冒頭で対象を「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金(ハイヤー及び福祉輸送サービスに係る別建運賃及び料金を除く。)」としています(国土交通省 国自旅第100号)。ハイヤーの運賃は、タクシーの運賃制度の対象から外れた別建てです。
厚生労働省のパンフレットは、ハイヤーを「各地方運輸局長(沖縄総合事務局長を含む。)からハイヤー運賃の認可を受けた自動車のことをいいます。」と説明しています(厚生労働省 タクシー・ハイヤー運転者の改善基準のポイント)。運賃を届け出るだけで決められるわけではなく、認可を受けるという点はタクシーと同じです。道路運送法9条の3も、一般乗用の事業者は運賃と料金を定めて国土交通大臣の認可を受けなければならないと定めています。
東京ハイヤー・タクシー協会の冊子「東京のタクシー2026」には、東京のハイヤー運賃(大型車、令和6年4月30日より実施)が載っています(東京ハイヤー・タクシー協会 東京のタクシー2026)。上限の運賃と下限の運賃だけを抜き出すと、次のとおりです。
| 運賃 | 単位 | 上限運賃 | 下限運賃 |
|---|---|---|---|
| 時間制 初乗り | 1時間又は15km | 7,390円 | 6,740円 |
| 時間制 加算 | 30分又は7.5km | 3,360円 | 3,070円 |
| 長期間契約運賃A 初乗り | 1時間又は15km | 6,360円 | 5,800円 |
| 長期間契約運賃A 加算 | 30分又は7.5km | 3,170円 | 2,890円 |
| 長期間契約運賃B 初乗り | 8時間又は120km | 35,860円 | 32,730円 |
| 長期間契約運賃B 加算 | 30分又は7.5km | 2,860円 | 2,610円 |
| 距離制 初乗り | 7.5km | 5,150円 | 4,700円 |
| 距離制 加算 | 424m(上限)から465m(下限)ごと | 250円 | 250円 |
| 待料金 | 2分35秒(上限)から2分50秒(下限)ごと | 250円 | 250円 |
東京のタクシー(特別区・武三、普通車)の運賃は、2026年4月20日の改定で、上限運賃が初乗り1.0km 500円、232mごとに100円です(東京ハイヤー・タクシー協会 タクシー運賃料金表)。ただ、ハイヤーの表は大型車、タクシーの表は普通車なので、金額の大小をそのまま比べることはできません。比べて分かるのは、ハイヤーには時間で貸し切る運賃や、8時間単位の長期間契約の運賃があるという仕組みの違いです。タクシーのメーターのしくみはタクシーメーターのしくみの記事にまとめています。

車内の運賃表示と電子地図の機器は対象外
運輸規則には、ハイヤーを外していることが条文から読み取れる規定が2つあります(旅客自動車運送事業運輸規則 e-Gov)。1つ目は4条3項で、一般乗用の事業者は事業用自動車に運賃と料金を「旅客に見やすいように表示しなければならない」と定めています。2つ目は29条2項で、指定地域の営業所に置く車には、電子地図などの機能を持つ機器を備えなければならないと定めています。
どちらの条文にも、対象の車のあとに次の文言が付いています。
(運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものを除く。)
これはハイヤーの定義と同じ言い回しです。条文の上では、ハイヤーは車内の運賃表示と電子地図の機器の義務の対象から外れています。なお、29条1項は2項の対象でない車に営業区域の道路や地名を示した地図を備えることを求めているので、条文の上ではハイヤーは1項の地図の備付けの対象になると読めます。タクシーの電子地図と地理の試験の関係はタクシーの地理試験の記事で扱っています。

表示灯と車ごとの届出
適正化法は、指定地域の営業所に車を置くとき、あらかじめ「自動車登録番号、タクシー又はハイヤーの別」などを届け出ることを求めています(44条)。45条1項も「タクシー又はハイヤーである旨の表示」などを求めています。一方で、適正化法施行規則29条の表示の定めは、「タクシー」又は「TAXI」、個人タクシーなら「個人」といった、タクシーについての書き方で、ハイヤーの表示灯についての号はありません。ハイヤーの車にどんな表示をするかは、この記事では断定しません。
運転者の登録は条文の上では「タクシー」に掛かる
指定地域でタクシーに乗るには、運転者の登録を受けることが必要です。適正化法3条は「タクシー事業者は、タクシーには」登録運転者以外の者を運転者として乗務させてはならないと定めています。2条1項でタクシーはハイヤー以外の車と定義されているので、条文の上では、この義務はタクシーに掛かる書き方です。
一方で、登録の要件になる運転の経歴を定めた適正化法施行規則4条は、「当該指定地域内において登録の申請前二年以内に通算九十日以上タクシー又はハイヤーの運転者であつたこととする。」としています(タクシー業務適正化特別措置法施行規則 e-Gov)。同じ地域でのハイヤーの運転も、登録の経歴に数えるということです。
ただ、実際にハイヤーだけで働く運転者に、会社が登録や試験を求めているかどうかは、今回確かめた一次情報では分かりませんでした。ハイヤーだけで働く場合に登録が必要かは、入る会社と、地域のタクシーセンターで確かめてください。

ハイヤーだけの会社には、業務の範囲の条件が付く
会社が一般乗用の事業の許可を申請するときの処理方針(国自旅第72号)には、ハイヤーだけの事業について次の定めがあります(国土交通省 国自旅第72号)。
道路運送法施行規則第4条第8項第3号に規定するハイヤーのみを配置して行う事業については、業務の範囲を当該事業に限定する旨の条件を付すこと。
ハイヤーだけを置いて事業をする会社には、許可に、業務の範囲をその事業に限るという条件が付くということです。求人を見るときは、その会社がハイヤーだけを置いているのか、タクシーとハイヤーの両方を置いているのかも、確かめておくとよいでしょう。
タクシーと同じ条文が掛かるもの
反対に、一般乗用の事業としてハイヤーにもタクシーと同じ条文が掛かるものも多くあります。道路運送法の事業の許可(4条)、運賃の認可(9条の3)、運送の引受けの義務(13条)、発地と着地のどちらも営業区域の外になる運送の禁止(20条)、運転者の制限(25条)、運輸規則の点呼(24条)と業務記録(25条)、新たに雇い入れた運転者への指導と適性診断(36条2項)は、ハイヤーを外す文言がありません。旅客を運ぶので、道路交通法86条の第二種免許も必要です。

労働時間のルールの違い
働く人にとって大きいのが、労働時間のルールです。タクシーの運転者には、厚生労働省の改善基準告示で、拘束時間と休息期間の上限が数字で決められています。ところが、告示2条5項は、ハイヤーに乗務する自動車運転者について「第一項から前項までの規定は適用しない。」としています(厚生労働省 改善基準告示 全文)。
厚生労働省のパンフレットは、その扱いを「ハイヤー運転者には、その勤務の実態を踏まえ、タクシー運転者に適用される拘束時間、休息期間等の規定は適用されません。」と説明しています(厚生労働省 改善基準のポイント)。代わりに決められているのは次の3つです(厚生労働省 ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示)。
- 時間外労働は、限度時間(1か月45時間、1年360時間)を超えない時間に限る
- 臨時的な特別の事情で限度時間を超える場合でも、時間外労働は1年960時間を超えない範囲
- 必要な睡眠時間が確保できるよう、勤務終了後に一定の休息期間を与える(告示3条3項)
タクシーの数字と並べると、次のようになります。いずれも2024年4月1日(令和6年4月1日)から施行された内容です。
| 項目 | タクシー(日勤・隔勤) | ハイヤー |
|---|---|---|
| 1か月の拘束時間 | 日勤288時間以内、隔勤262時間以内 | 規定なし |
| 1日の拘束時間 | 日勤13時間以内(上限15時間)、隔勤は2暦日22時間以内 | 規定なし |
| 休息期間 | 日勤は継続11時間を基本とし9時間を下回らない、隔勤は継続24時間を基本とし継続22時間を下回らない | 勤務終了後に一定の休息期間 |
| 時間外労働 | 36協定による | 1か月45時間、1年360時間まで |
| 臨時の場合 | 36協定による | 1年960時間まで |
告示が理由として書いているのは「その勤務の実態を踏まえ」という言葉だけです。拘束時間の上限の数字が無いぶん、実際にどのくらい働くかは会社の36協定と勤務の決め方で変わります。36協定の読み方はタクシーの36協定、タクシーとバスの拘束時間の比較はタクシーとバスの比較の記事にまとめています。

ハイヤー運転手の仕事内容
一次情報で分かる仕事の形
ハイヤー運転手の1日の流れを細かく書いた公的な資料は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。そこで、ここまでの原文から分かる仕事の形だけを並べます。まず、運送の引受けは営業所のみなので、仕事は予約や契約で決まります。次に、東京のハイヤー運賃には時間制や8時間単位の長期間契約の運賃があるので、時間で貸し切られる運送が仕事の中心の1つです。全国ハイヤー・タクシー連合会の用語集は、ハイヤーを「冠婚葬祭や会社の重役の方々にご利用いただいております。黒塗りの車両が多く」と説明しています。
何時に出て、どこで何時間待つかは、会社と契約の内容によって違います。具体的な時間割は、求人票と面接で確かめてください。

タクシーと共通する乗務の流れ
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「タクシー運転手」は、職業分類が「タクシー・ハイヤー運転手(介護タクシーを除く)」で、別名に「ハイヤー運転手」も入っています(厚生労働省 job tag タクシー運転手)。タクシーとハイヤーをまとめた職業の説明なので、流しを前提にした部分はハイヤーには当てはまりません。共通する部分として、次の説明があります。
タクシー会社に勤めている場合は、担当の時刻に会社に出勤し、乗務服に着替えて点呼を受け、車の運行前点検を行ってから、営業を開始する。
終業のときは「終業時刻に帰社し1日の記録を整理」し、「車両の異常の有無を報告し、車を洗い、車庫に車両を格納する。」と書かれています。job tag の仕事の内容の実施率を見ると、「車内と車外の清掃をする。」「車両の運行前点検をする。」「大きな荷物を受け取ってトランクに預かる。」は100.0%、「ドアを開けてお客の乗降を助ける。」は94.0%です。一方、「乗客を探すために、施設の近くで待機したり、道路を巡回する。」(96.0%)は流しの仕事なので、ハイヤーには当てはまりません。

点呼と業務記録は、運輸規則24条と25条で一般乗用の事業者全体に決められていて、ハイヤーを外す文言はありません。タクシーの仕事の流れと入社後の研修はタクシー運転手の仕事内容の記事、身だしなみはタクシー運転手の服装の記事にまとめています。

東京のハイヤーは何台あるか
東京ハイヤー・タクシー協会の「東京のタクシー2026」には、関東運輸局調べの令和8年3月31日現在の台数が載っています(東京ハイヤー・タクシー協会 東京のタクシー2026)。
| 営業区域 | 法人タクシー | ハイヤー | 個人タクシー |
|---|---|---|---|
| 特別区・武三交通圏 | 26,747台 | 8,558台 | 8,554台 |
| 北多摩交通圏 | 1,587台 | なし | 123台 |
| 南多摩交通圏 | 1,189台 | なし | 230台 |
| 西多摩交通圏 | 163台 | なし | なし |
| 島地区 | 46台 | なし | なし |
| 合計 | 29,732台 | 8,558台 | 8,907台 |
東京の総台数は47,197台で、ハイヤーの8,558台はその18.1%にあたります(8,558÷47,197で計算)。表の上では、ハイヤーの台数は特別区・武三交通圏の欄にだけあり、この地区の35,305台の中では24.2%です。

特別区・武三地区のハイヤーは平成28年度の2.2倍
同じ冊子の年度別の表で、特別区・武三地区のハイヤーの台数を並べると次のとおりです。
| 年度 | ハイヤー | 同じ地区の法人タクシー |
|---|---|---|
| 平成28年度 | 3,829台 | 27,608台 |
| 29年度 | 4,070台 | 27,576台 |
| 30年度 | 4,397台 | 27,541台 |
| 令和元年度 | 4,713台 | 27,464台 |
| 2年度 | 4,166台 | 27,437台 |
| 3年度 | 4,155台 | 27,302台 |
| 4年度 | 4,587台 | 26,983台 |
| 5年度 | 5,377台 | 26,766台 |
| 6年度 | 7,085台 | 27,241台 |
| 7年度 | 8,558台 | 26,747台 |
ハイヤーは平成28年度の3,829台から令和7年度の8,558台まで4,729台増え、2.2倍になりました。令和元年度から2年度は547台減りましたが、令和5年度から6年度に1,708台、6年度から7年度に1,473台増えています。同じ期間に、同じ地区の法人タクシーは27,608台から26,747台へ861台減りました。冊子は、ハイヤーが増えた理由を書いていません。この記事でも理由は推測しません。

全国の統計はハイヤーを除いていることが多い
タクシーの事業者数や車両数の全国の数字を見るときは注意が必要です。全国ハイヤー・タクシー連合会が公表している国土交通省調べの都道府県別の表には「法人タクシー事業者数及び車両数は、一般タクシー(ハイヤー、福祉輸送限定車両を除く)のみ。」という注があります(全国ハイヤー・タクシー連合会 都道府県別事業者数及び車両数)。国土交通省の事前確定運賃の通達も、提出する輸送実績を「ハイヤー及び福祉輸送事業限定を除いた」運送に限っています(国土交通省 国自旅第31号)。全国のハイヤーの台数は今回の資料からは取れなかったので、この記事では東京の数字だけを使っています。地方のタクシーの台数は地方のタクシー運転手の記事で扱っています。
賃金統計で分かること、分からないこと
ハイヤー運転者はタクシー運転者(1612)に入る
国の賃金の統計である賃金構造基本統計調査には、ハイヤー運転者だけの区分がありません。厚生労働省の令和8年調査の「業種別主な職種早見表」には、次のように書かれています(厚生労働省 業種別主な職種早見表)。
タクシー運転者、ハイヤー運転者 →[1612 タクシー運転者]
ハイヤー運転者は、タクシー運転者と同じ「1612 タクシー運転者」に数えられています。「令和2年以降の職種一覧」を見ると、隣の「1613 乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)」には送迎運転者、役員運転者、代行運転者が入ります(厚生労働省 令和2年以降の職種一覧)。役員運転者は1613で、ハイヤー運転者とは別の区分です。1613はハイヤーではないので、1612と1613を「ハイヤーとそれ以外」のように比べることはできません。

タクシー運転者(1612)の賃金
令和7年の賃金構造基本統計調査(企業規模計10人以上、男女計、全国)で、1612 タクシー運転者の数字は次のとおりです(厚生労働省 賃金構造基本統計調査 令和7年 職種 第1表)。
| 項目 | タクシー運転者(1612) |
|---|---|
| 平均年齢 | 56.8歳 |
| 勤続年数 | 8.3年 |
| 所定内実労働時間 | 169時間 |
| 超過実労働時間 | 23時間 |
| きまって支給する現金給与額 | 359.2千円 |
| 所定内給与額 | 306.4千円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 197.8千円 |
| 労働者数 | 170,210人 |
月のきまって支給する現金給与額を12か月分にして年間賞与を足すと、359.2千円×12+197.8千円で4,508.2千円、年収にして450.8万円です。これはタクシー運転手の年収の記事と同じ統計、同じ計算です。
ただし、この450.8万円はハイヤーとタクシーを合わせた数字で、ハイヤー運転者だけの年収ではありません。170,210人のうち何人がハイヤー運転者なのかも、統計からは分かりません。ハイヤー運転者の賃金を知るには、応募する会社の求人票で、給与の決め方と実際の金額を確かめるしかありません。

求人票と面接で確かめること
ハイヤーの給与の決め方(固定給か、歩合があるか)や、待機の時間の扱いについて、公的な資料は見つかりませんでした。ここは会社ごとに違うところなので、応募する前に次の項目を確かめておきましょう。
- 給与の決め方。固定給か、歩合があるか、手当は何があるか
- 予約と予約のあいだの待機の時間が、労働時間としてどう扱われるか
- 36協定で決めている時間外労働の時間数(ハイヤーは1か月45時間、1年360時間が限度で、臨時でも1年960時間まで)
- 勤務終了後の休息期間をどのくらい取るか
- ハイヤーだけの乗務か、タクシーの乗務もあるか。会社がハイヤーだけを置いているか
- 二種免許を持っていない場合に、取得を会社が支援するか

未経験から乗務を始める人の流れは未経験からタクシー運転手になるの記事、年齢と採用の関係はタクシー運転手の年齢の記事も参考にしてください。
ハイヤー運転手になるまでの順番
ハイヤーもタクシーも旅客を運ぶ事業用の車なので、道路交通法86条により、普通車なら普通第二種免許が必要です(道路交通法 e-Gov)。道路交通法には「ハイヤー」という語が出てこないので、ハイヤー専用の免許はありません。二種免許の受験資格は、原則として21歳以上で、普通免許などの期間が通算3年以上です。令和4年5月13日からは、受験資格特例教習を修了すると19歳以上・1年以上で受けられるようになりました(警察庁 第二種免許等の受験資格の見直しについて)。
会社に入ったあとは、乗務を始める前に、運輸規則36条2項の新たに雇い入れた運転者への指導と適性診断を受けます。ただし書で、同じ営業区域で雇入れの日前二年以内に通算九十日以上、一般乗用の事業用自動車の運転者だった人は除かれます。二種免許の取り方は二種免許の取り方の記事にまとめています。

ハイヤーでよくある思い違い
最後に、ハイヤーについてよく見かける説明のうち、一次情報と合わないものを4つ整理します。
- 「ハイヤーは道路運送法で別の事業」→ 事業の種類はタクシーと同じ一般乗用。違いは運送の引受けが営業所のみかどうか
- 「ハイヤーの運賃は届け出るだけ」→ タクシーとは別建てで、地方運輸局長の認可を受ける
- 「ハイヤーには労働時間の決まりがない」→ 拘束時間の上限は適用されないが、時間外労働は1年960時間まで。勤務終了後の休息期間も必要
- 「統計でハイヤーの年収が分かる」→ ハイヤーだけの区分はなく、タクシー運転者(1612)に含まれる

よくある質問
Q. ハイヤーとタクシーの違いを一言でいうと何ですか?
法律の上では、運送の引受けが営業所のみかどうかです(適正化法2条)。事業の種類はどちらも一般乗用で、ハイヤーは流し営業ができません。そのため、運賃が別建てで認可されることや、車内の運賃表示の義務から外れることなど、ルールにもいくつか違いがあります。
Q. タクシーの経験がないとハイヤー運転手になれませんか?
法令の上で必要なのは、二種免許と、会社が運転者として選任できることです。タクシーの経験を求めるかどうかは会社の採用条件なので、求人票で確かめてください。
Q. ハイヤー運転手の平均年収はいくらですか?
国の賃金統計にハイヤー運転者だけの区分はないので、ハイヤーだけの平均年収は出せません。ハイヤー運転者を含むタクシー運転者(1612)の年収は、令和7年の統計から計算して450.8万円です。くわしくはタクシー運転手の年収の記事にまとめています。
Q. ハイヤーに拘束時間の上限がないのは本当ですか?
改善基準告示2条5項で、タクシーの拘束時間と休息期間の規定はハイヤーには適用されません。ただし、36協定の時間外労働は1か月45時間、1年360時間が限度で、臨時的な特別の事情があっても1年960時間までです。勤務終了後には一定の休息期間を与えることになっています。
Q. ハイヤー専用の免許はありますか?
ありません。道路交通法に「ハイヤー」という語は出てこず、普通車のハイヤーなら普通第二種免許が必要です。
まとめ
ハイヤーは、適正化法2条2項で、運送の引受けが営業所のみにおいて行われる車と定められています。事業の種類はタクシーと同じ一般乗用で、流し営業はできません。運賃はタクシーとは別建てで運輸局長の認可を受け、運輸規則の車内の運賃表示と電子地図の機器の規定からは外れています。運転者の労働時間には拘束時間の上限の数字が適用されず、時間外労働は1年960時間までで、勤務終了後の休息期間が求められます。東京のハイヤーは8,558台で、総台数の18.1%です。賃金統計にハイヤー単独の区分はなく、タクシー運転者(1612)の数字に含まれます。給与の決め方や待機の扱いは会社ごとに違うので、求人票と面接で確かめてから決めましょう。タクシーの仕事そのものの良さはタクシー運転手の魅力の記事も参考にしてください。

参考にした一次情報
いずれも2026年9月26日に確認しました。
- 道路運送法(e-Gov 法令検索)
- 道路運送法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 旅客自動車運送事業運輸規則(e-Gov 法令検索)
- タクシー業務適正化特別措置法(e-Gov 法令検索)
- タクシー業務適正化特別措置法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省 国自旅第100号「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について」
- 国土交通省 国自旅第72号「法人タクシー事業の申請に対する処理方針」
- 国土交通省 国自旅第31号「一般乗用旅客自動車運送事業の事前確定運賃に関する認可申請の取扱いについて」
- 厚生労働省 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)全文
- 厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示」
- 厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
- 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 令和7年 一般労働者(職種)第1表
- 厚生労働省 令和8年賃金構造基本統計調査「業種別主な職種早見表」
- 厚生労働省 賃金構造基本統計調査「令和2年以降の職種一覧」
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「タクシー運転手」
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」
- 東京ハイヤー・タクシー協会「東京のタクシー2026」
- 東京ハイヤー・タクシー協会「タクシー運賃料金表」
- 全国ハイヤー・タクシー連合会「用語集」
- 全国ハイヤー・タクシー連合会「都道府県別事業者数及び車両数(令和7年3月31日現在)」
運賃や労働時間のルールは改正されることがあります。働く前に、最新の資料と応募する会社の求人票を直接確かめてください。




