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タクシー運転手とバス運転手の違い【2026年版】年収・拘束時間・免許・働き方を一次情報で比べました

2019 11/17
転職・就職
2019年11月17日2026年9月26日
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タクシーとバス転職するなら?

この記事の情報

賃金は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年の原表(e-Stat 公開 2026年3月24日)、拘束時間は2024年4月1日から適用されている改善基準告示、免許は警察庁「運転免許統計(令和7年版)」、人手の見通しは「令和7年版 国土交通白書」を使いました。条文は e-Gov の現行版で確認しています。2026年9月23日に確認した内容です。統計は毎年入れ替わり、会社ごとの条件は求人票でしか分からないので、応募の前にその会社の募集要項を確かめてください。

運転の仕事に移ろうと思ったとき、タクシーとバスのどちらにするかで止まる人は多いはずです。どちらも人を乗せて運ぶ仕事で、二種免許が要る点も同じ。それなのに、調べ始めると「バスのほうが安定している」「タクシーのほうが稼げる」と、言っていることが正反対のページが並びます。

そこで、この記事では感想を並べる代わりに、厚生労働省と警察庁と国土交通省が公表している数字を横に並べました。年収、給与の決まり方、拘束時間の上限、必要な免許、人の足りなさ。どれも公表された原表と条文から引いています。

先に断っておくと、この記事はどちらが良いという結論を出しません。理由は、調べていくうちに「どちらが上か」が住む場所と年齢と数え方で入れ替わることが分かったからです。全国平均ではバスがわずかに上、都道府県別では47のうち41でバスが上、ところが東京だけはタクシーが124.0万円上。年齢階級で切ると今度はタクシーが上の階級のほうが多い。ひとつの答えが出ない以上、条件で分けて示すほうが役に立つと考えました。

タクシー運転手とバス運転手の要点。全国平均の年収はバス453.1万円とタクシー450.8万円でほぼ同じ。東京はタクシーが124.0万円高い。年間賞与はバスが2.98倍。必要な免許は大型二種と普通二種
4つの数字で見た2つの仕事の違い(出典 厚生労働省 賃金構造基本統計調査 令和7年・警察庁 運転免許統計)

なお、年収そのものを細かく知りたい方はタクシー運転手の年収と手取り、大型二種免許の取り方と費用は大型二種免許の取り方と費用、タクシー運転手になる手順はタクシー運転手になるには、歩合の計算はタクシーの歩合の仕組みにまとめてあります。この記事は「2つの仕事がどう違うか」に絞ります。

目次
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先に結論。どちらが上かは「どこで、何歳で、どう数えるか」で変わる

最初に、この記事で分かったことを5行でまとめます。

切り口結果
全国平均の年収バス453.1万円、タクシー450.8万円。差は2.3万円でほぼ同じ
都道府県別47のうち41でバスが高い。タクシーが高いのは栃木・千葉・東京・福井・滋賀・大阪の6つ
東京タクシー570.4万円、バス446.3万円。タクシーが124.0万円高い
年齢階級別比べられる11階級のうち9階級でタクシーが高い。20代前半はタクシーが90.3万円高い
収入の幅所定内給与の上下の開きはタクシーがバスの2.18倍

同じ統計から、これだけ違う答えが出ます。平均をひとつ取り上げて「こちらが高い」と書くことはできますが、読む人がどこに住んでいて何歳かで当てはまらなくなります。だからこの記事では、5つの切り口を全部そのまま出します。

答えが変わる3つの窓。全国平均で見るとバスがわずかに高い、都道府県で見ると41対6でバス、東京で見るとタクシーが124.0万円高い
同じ統計でも、どの窓で見るかで答えが入れ替わる

もうひとつ、数字の外にある違いも先に書いておきます。タクシーは自分で客を見つける仕事、バスは決められた時刻に決められた場所へ着ける仕事です。収入の形も、拘束時間の上限も、必要な免許も、この違いから枝分かれしています。

路線バスの運転席でハンドルを握る運転士
バスは時刻表という決められた枠の中で走る仕事(イメージ)

年収を5つの切り口で比べる

使った統計と年収の出し方

賃金の数字は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の令和7年分を使いました。「バス運転者」と「タクシー運転者」はどちらも職種の小分類として集計されていて、同じ表の中で比べられます((職種)第1表)。

この調査は年収そのものを公表していません。公表されているのは「きまって支給する現金給与額(月)」と「年間賞与その他特別給与額」なので、次の式で年収を計算します。全国ハイヤー・タクシー連合会が年間推計額として使っている式と同じです。

この記事の年収の出し方

年収=きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額

全国平均はほぼ同じ

令和7年の全国平均(企業規模計10人以上、男女計)は次のとおりです。

項目バス運転者タクシー運転者全産業
平均年齢56.0歳56.8歳44.4歳
勤続年数12.3年8.3年12.7年
所定内実労働時間数168時間169時間162時間
超過実労働時間数30時間23時間11時間
きまって支給する現金給与額328.4千円359.2千円370.5千円
年間賞与その他特別給与額590.1千円197.8千円1009.6千円
年収(計算)453.1万円450.8万円545.6万円
労働者数96,280人170,210人(掲載なし)

年収はバス4,530.9千円、タクシー4,508.2千円。差は22.7千円で、月にすると2千円足らずです。平均で見るかぎり、この2つの仕事の年収はほとんど同じだと言えます。どちらも全産業の545.6万円には届きません。

全国平均の年収比較。バス運転者453.1万円、タクシー運転者450.8万円、全産業545.6万円
全国平均はほぼ同じ(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年)

ただし、中身の組み立てが違います。月々の給与はタクシーのほうが30.8千円高く、年間賞与はバスのほうが392.3千円高い。月給で追い抜かれる分を、バスは賞与で取り返している形です。

働いた時間で割ると順番が変わる

月の総実労働時間は、所定内と超過を足すとバスが198時間、タクシーが192時間、全産業が173時間です。きまって支給する現金給与額をこの時間で割ると、1時間あたりは次のようになります。

総実労働時間(月)きまって支給する現金給与額1時間あたり(計算)
バス運転者198時間328,400円1,658.6円
タクシー運転者192時間359,200円1,870.8円
全産業173時間370,500円2,141.6円

年収はほぼ同じでも、時間あたりで見るとタクシーが212.2円高いことになります。バスは超過実労働時間が30時間とタクシーより7時間長く、この分が効いています。どちらも全産業より月に20時間以上長く働いています。

月の総実労働時間と時間あたりの金額。バス198時間で1,658.6円、タクシー192時間で1,870.8円、全産業173時間で2,141.6円
働いた時間で割ると順番が入れ替わる

都道府県別では41対6でバスが高い

次に、都道府県別第3表から47都道府県を1つずつ計算しました。結果はバスが高いのが41、タクシーが高いのが6です。

タクシーが高い6都府県タクシーバス差
栃木461.3万円414.6万円46.7万円
千葉448.8万円420.4万円28.4万円
東京570.4万円446.3万円124.1万円
福井414.6万円336.0万円78.6万円
滋賀396.8万円370.0万円26.8万円
大阪479.0万円426.0万円53.0万円
47都道府県のうちバスが高いのが41、タクシーが高いのが6。タクシーが高いのは栃木・千葉・東京・福井・滋賀・大阪
都道府県別に計算すると41対6でバスが高い(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年 都道府県別第3表)

全国平均ではバスがわずかに高いだけなのに、都道府県別だと41対6になる。この差が出るのは、タクシー運転者の27.1%が東京に集まっているからです。東京の46,160人は全国170,210人の4分の1以上で、しかも東京のタクシーは全国でいちばん賃金が高い。全国平均のタクシー側は、東京の重みで押し上げられています。

バスは逆です。東京のバス運転者は7,340人で、全国96,280人の7.6%にすぎません。バスの全国平均は、地方の数字がそのまま反映されています。

東京だけを見るとタクシーが124.0万円高い

東京の原表を並べると、2つの仕事の性格の違いがはっきり出ます。

東京(男女計)バス運転者タクシー運転者
平均年齢58.1歳53.6歳
勤続年数10.4年7.1年
所定内実労働時間数171時間171時間
超過実労働時間数45時間27時間
きまって支給する現金給与額343.9千円467.2千円
年間賞与その他特別給与額336.3千円97.1千円
年収(計算)446.3万円570.4万円
労働者数7,340人46,160人

東京のタクシーは月の給与が467.2千円で、バスより123.3千円高い。賞与は逆にバスのほうが239.2千円多いのですが、月々の差が大きすぎて逆転しません。年収の差は124.0万円です。

東京の年収比較。タクシー運転者570.4万円、バス運転者446.3万円、差は124.0万円
東京だけはタクシーが大きく上回る(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年)

一方で、東京のバス運転者は超過実労働時間が45時間と全国平均の30時間より長く、それでも年収は全国平均の453.1万円を下回ります。東京はバスにとって有利な土地ではないという読み方もできます。

地方はどうかというと、バスの最高は神奈川の558.8万円、最低は青森の323.3万円。タクシーの最高は東京の570.4万円、最低は石川の254.0万円です。タクシーのほうが地域差が大きく出ています。

地域差の幅。バスは神奈川558.8万円から青森323.3万円まで。タクシーは東京570.4万円から石川254.0万円まで
地域差はタクシーのほうが大きい

年齢階級で切ると、今度はタクシーが上の階級が多い

(職種)第5表から年齢階級別に年収を計算すると、また違う絵になります。

年齢階級バス 年収タクシー 年収高いほう
20〜24歳393.1万円483.4万円タクシー
25〜29歳467.9万円482.9万円タクシー
30〜34歳454.6万円517.9万円タクシー
35〜39歳466.1万円491.9万円タクシー
40〜44歳490.0万円498.6万円タクシー
45〜49歳506.8万円521.3万円タクシー
50〜54歳499.9万円494.3万円バス
55〜59歳487.5万円481.4万円バス
60〜64歳433.0万円440.1万円タクシー
65〜69歳346.0万円379.1万円タクシー
70歳〜295.9万円347.6万円タクシー

比べられる11階級のうち9階級でタクシーが高い。とくに20〜24歳は90.3万円、30〜34歳は63.3万円もタクシーが高いのです。バスが上回るのは50代の2つの階級だけでした。

年齢階級別の年収。20〜24歳はバス393.1万円・タクシー483.4万円、30〜34歳はバス454.6万円・タクシー517.9万円、50〜54歳はバス499.9万円・タクシー494.3万円
若い年代ほどタクシーが大きく上回る(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年 第5表)

ではなぜ全体の平均ではバスが上になるのか。答えは年齢の構成です。労働者数を数えると、60歳以上の割合はタクシーが43.0%、バスが36.4%。タクシーは年収の低い高齢層に人数が偏っているので、階級ごとに勝っていても全体の平均で追い抜かれます。

バス運転者タクシー運転者
60歳以上の労働者の割合36.4%43.0%
70歳以上の労働者数5,380人24,430人
50歳未満の労働者数20,860人42,220人
平均年齢56.0歳56.8歳
年齢構成の違い。60歳以上の割合はバス36.4%、タクシー43.0%
タクシーは高齢層の比率が高い

この読み方は転職を考える人にとって大事です。全体の平均は、自分と同じ年齢の人の数字ではありません。40歳で転職するなら40〜44歳の階級を見るべきで、そこではタクシー498.6万円、バス490.0万円です。

経験年数の効き方が逆を向いている

(職種)第14表は、経験年数の階級ごとに所定内給与額と年間賞与を出しています。ここが2つの仕事のいちばん大きな違いかもしれません。

経験年数バス 所定内給与バス 年間賞与タクシー 所定内給与タクシー 年間賞与
0年249.1千円59.5千円307.0千円21.9千円
1〜4年244.4千円429.3千円330.0千円216.9千円
5〜9年253.8千円594.9千円315.3千円287.7千円
10〜14年255.1千円582.6千円310.3千円193.6千円
15年以上279.0千円719.8千円273.6千円186.1千円

所定内給与だけを追うと、バスは0年249.1千円から15年以上279.0千円へ29.9千円上がるのに対し、タクシーは0年307.0千円から15年以上273.6千円へ33.4千円下がる。向きが逆です。

経験年数別の所定内給与。バスは0年249.1千円から15年以上279.0千円へ上がる。タクシーは0年307.0千円から15年以上273.6千円へ下がる
経験年数の効き方が逆を向いている(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年 第14表)

入った年の月給はタクシーのほうが57.9千円高く、1〜4年ではその差が85.6千円まで開きます。長く続けるとバスに追い抜かれますが、これは「タクシーは長く働くと下がる」というより、タクシーで15年以上続けている人に高齢の方が多いことの反映だと考えられます。第14表は年齢で分けていないので、そこまでは読み取れません。

賞与は差がもっとはっきりしています。バスは経験0年59.5千円から15年以上719.8千円へ12.1倍。タクシーは21.9千円から186.1千円へ8.5倍ですが、額はバスの4分の1です。

年間賞与の比較。バス運転者590.1千円、タクシー運転者197.8千円、全産業1009.6千円
年間賞与はバスがタクシーの2.98倍(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年)

収入の幅はタクシーがバスの2.18倍

最後の切り口が分布です。(職種)第17表には、所定内給与額の分布特性値が載っています。

所定内給与額(月)の分布バス運転者タクシー運転者
第1・十分位数(下から10%の位置)200.2千円174.7千円
第1・四分位数224.5千円212.2千円
中位数257.9千円286.3千円
第3・四分位数294.0千円371.4千円
第9・十分位数(上から10%の位置)333.8千円466.0千円
上下の開き(計算)133.6千円291.3千円
十分位分散係数0.260.51

下から10%の位置と上から10%の位置の開きは、バスが133.6千円、タクシーが291.3千円。タクシーの幅はバスの2.18倍です。ばらつきの度合いを表す十分位分散係数も、バス0.26に対してタクシー0.51と倍近くあります。

所定内給与の分布。バスは第1十分位200.2千円・中位数257.9千円・第9十分位333.8千円。タクシーは174.7千円・286.3千円・466.0千円
タクシーは上も下も外に広い(出典 賃金構造基本統計調査 令和7年 第17表)

階級別の人数で見ると、もっと具体的になります。

所定内給与(月)バス 人数バス 割合タクシー 人数タクシー 割合
400千円以上1,430人1.5%32,520人19.1%
200千円未満9,540人9.9%34,440人20.2%

月の所定内給与が40万円を超えている人は、タクシーでは5人に1人近い19.1%いるのに、バスでは1.5%しかいません。逆に20万円に届かない人も、タクシーは20.2%、バスは9.9%です。上に行く道と下に落ちる道が、どちらもタクシーのほうが広い。

所定内給与が月400千円以上の人の割合はバス1.5%・タクシー19.1%。200千円未満の人の割合はバス9.9%・タクシー20.2%
上も下も、タクシーのほうが人数が多い

この分布の違いは、次に書く給与の形の違いから来ています。

雨の夜に都心を走るタクシーの運転席から見た風景
タクシーは走る場所も休憩の時間も自分で決める(イメージ)

給与の形の違い

タクシーは歩合が中心

タクシーの給与体系については、国土交通省が進める「働きやすい職場認証制度」の公式サイトに解説があります(自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度)。A型、B型、AB型の3つに分けて説明されています。

体系中身(引用元の説明)
A型賃金固定給+歩合給+各種手当+賞与。「固定給の割合が高めの設定になっているのが大きな特徴」「首都圏でA型賃金を採用するタクシー会社は少なくなっています」
B型賃金完全歩合制。「売上から諸経費を差し引いて、歩合率をかけたものが収入となります」「総売上の50〜60%というところが多い傾向です」「賞与がないこともB型賃金のデメリット」
AB型賃金「近年、タクシー会社で多く取り入れられている給与体系」「歩合の一部は、その月の給与ではなく賞与として積み立てられ、年2〜3回に分けて支給されます」

同じページには「AB型賃金の定義は曖昧で、給与における固定給と歩合給の割合は企業によって異なります」とも書かれています。タクシーの給与は会社ごとに違うというのが前提です。

筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろも、勤務先の歩合率は60%でした。ただ、同じ60%でも事故を起こしたときの負担が運転手側にある会社と、一律の金額で済む会社がありました。数字だけを見て決めると当てが外れます。

タクシーの給与体系3つ。A型は固定給の割合が高め、B型は完全歩合で総売上の50から60%、AB型は歩合の一部を賞与として積み立てる
タクシーの給与体系は3つに分かれる(出典 働きやすい職場認証制度)

バスは月例賃金と一時金で決まる

バス側は、日本バス協会の日本のバス事業2025に、毎年の春季労使交渉の結果が載っています。令和7年4月15日までに妥結の報告があったのは125社で、そのうち123社(98.4%)が何らかの賃上げを行ったと書かれています。

賃上げの額が報告された事業者の平均賃上げ額は10,686円、賃上げ率は4.46%で、前年同期(9,436円、4.07%)と比較すると、金額で1,250円で0.39ポイントの増加となっている(いずれも単純平均)。

同じ資料には、労働組合側の要求も載っています。全国交通運輸労働組合総連合(交通労連)の2025年度方針は、月例賃金が「定昇相当分(3.90%)8,800円+α2.0%(4,500円以上)」、一時金が「目標5.0ヶ月以上、最低3.50ヶ月以上」となっています。

定期昇給があり、一時金を月数で決める。これは歩合給とはまったく違う組み立て方です。前に見た「経験年数が増えると所定内給与が上がる」「賞与がタクシーの2.98倍ある」という統計の形とも合います。

バスの賃金の決まり方。令和7年は125社が妥結し123社が賃上げ。平均賃上げ額10,686円・賃上げ率4.46%。組合の要求は定昇相当分8,800円と一時金5.0ヶ月以上
バスは労使交渉で月例賃金と一時金が決まる(出典 日本バス協会 日本のバス事業2025)

ただし、個々のバス会社の賃金規程までは確認できていません。バスにも歩合や出来高に連動する手当を置いている会社はあります。この記事で言えるのは「業界全体として定期昇給と一時金という仕組みが労使交渉の土台にある」ところまでです。

法令で決まっていること

歩合制について、法令と通達で決まっていることが2つあります。どちらもタクシーだけの話ではなく、自動車運転者全体に向けたものです。

1つ目は保障給です。労働基準法27条は次のように定めています。

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

さらに、改善基準告示の通達(基発1223第3号)は「歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること。」としています。売上がゼロでも給与がゼロになることはありません。

2つ目は累進歩合の禁止です。同じ通達にこう書かれています。

自動車運転者の長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念されることから、廃止すべきであること。

対象になるのは、歩合給の額が非連続的に増減する「累進歩合給」のほか、一部の人しか達成できない高い売上を出した人だけに払う「トップ賞」、売上を数段階に区分して区分ごとに一定額を加算する「奨励加給」です。求人票で「売上◯万円達成で+◯万円」という書き方を見たら、この通達に照らしてどういう仕組みなのかを確認する材料になります。

歩合について法令で決まっていること。労働基準法27条の保障給、通達の通常の賃金の6割以上、累進歩合制度は廃止すべき
歩合でも守られていること(出典 労働基準法27条・基発1223第3号)

歩合の細かい計算や、売上からどう給与になるかはタクシーの歩合の仕組みに書いてあります。

働き方の違い。拘束時間の上限は別々に決まっている

改善基準告示はバスとタクシーで別の表になっている

運転の仕事には「改善基準告示」という厚生労働大臣の告示があり、拘束時間の上限と休息期間が決められています。2022年12月に見直され、2024年4月1日から新しい基準が適用されています。

大事なのは、この告示がトラック、バス、ハイヤー・タクシーで別々の表を持っていることです(厚生労働省 バス運転者の改善基準告示・同 ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示)。同じ旅客運送でも、上限が違います。

項目バスタクシー(隔日勤務)タクシー(日勤)
1か月の拘束時間281時間
(例外294時間・年6か月まで)
262時間
(労使協定で270時間・年6か月まで)
288時間
1年の拘束時間3,300時間
(例外3,400時間)
定めなし定めなし
1回の勤務の拘束時間1日13時間
(最大15時間)
2暦日22時間
(2回平均21時間)
1日13時間
(最大15時間)
休息期間継続11時間を基本
9時間を下回らない
継続24時間を基本
22時間を下回らない
継続11時間を基本
9時間を下回らない
運転時間の上限2日平均1日9時間
4週平均1週40時間
定めなし定めなし
連続運転時間4時間定めなし定めなし
拘束時間の上限の比較。バスは1か月281時間・1年3,300時間・1日13時間。タクシーの隔日勤務は1か月262時間・2暦日22時間。タクシーの日勤は1か月288時間・1日13時間
改善基準告示はバスとタクシーで別の表になっている(出典 厚生労働省)

用語もそろえておきます。告示の説明では、拘束時間は「使用者に拘束されている時間のこと。(「労働時間」+「休憩時間」)(会社へ出社(始業)し、仕事を終えて会社から退社(終業)するまでの時間)」、休息期間は「使用者の拘束を受けない期間のこと。(業務終了時刻から、次の始業時刻までの時間)」です。拘束時間は労働時間より長いので、求人票の数字を見るときに混ぜないでください。

バスにあってタクシーにない規制

表で目を引くのは、バスにだけ「運転時間」と「連続運転時間」の上限があることです。告示のQ&Aはこう説明しています。

2日を平均し、1日当たり9時間、4週を平均して1週当たり40時間を超えないものとします。

4時間を超えないものとします。ただし、高速バス、貸切バスの高速道路(貸切バスの夜間運行では高速道路以外も含む)の実車運行区間での連続運転時間はおおむね2時間までとするよう努めなくてはなりません。

タクシーの表にはこの2つがありません。タクシーは拘束時間だけで管理され、バスは拘束時間に加えて運転そのものの時間でも管理されるという違いです。バスは同じ経路を長時間運転し続けるため、運転時間そのものに上限が置かれていると考えられます。

バスにだけある規制。運転時間は2日平均1日9時間・4週平均1週40時間、連続運転時間は4時間、高速バスなどの実車運行区間はおおむね2時間
バスは運転時間そのものにも上限がある(出典 厚生労働省 バス運転者の改善基準告示)

1年の拘束時間に上限があるのもバスだけです。原則3,300時間、例外でも3,400時間。1か月の281時間を12倍すると3,372時間になるので、毎月上限いっぱいまで働かせることはできない仕組みになっています。

バスには2人乗務の特例がある

長距離の高速バスなどで使われる特例です。告示のQ&Aによると、1台に2人以上乗務する場合で、身体を伸ばして休息できるリクライニング方式の専用座席が1座席以上あるときは最大拘束時間を19時間まで延長し休息期間を5時間まで短縮でき、車両内ベッドがある場合やカーテン等で他の乗客からの視線を遮る措置がある場合は最大拘束時間20時間・休息期間4時間まで認められます。

バスにも隔日勤務の特例があります。2暦日の拘束時間は21時間を超えないものとし、4時間以上の仮眠時間を与える場合は2週につき3回を限度に24時間まで延長でき、2週の総拘束時間は126時間を超えないとされています。勤務終了後は継続20時間以上の休息期間が必要です。

バスの特例。2人乗務は最大拘束19時間または20時間、休息5時間または4時間。バスの隔日勤務は2暦日21時間・仮眠4時間以上で2週3回まで24時間・2週126時間・休息20時間以上
バスの2人乗務と隔日勤務の特例(出典 厚生労働省 バス運転者の改善基準告示)

タクシーの隔日勤務は1回で2日分

タクシーで多いのが隔日勤務です。1回の勤務が2暦日にまたがり、終わると丸1日以上休む形になります。

筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろは、9時に出庫して翌朝までに戻るという1回の勤務で、月に11回から13回の出勤でした。月の労働時間は160時間から180時間くらいで、一般的な会社員と大きく変わらない感覚です。出勤の回数が少ないぶん、1回が長い。

ただし、当時と今では上限が変わっています。当時は2暦日の拘束時間が21時間、休息期間が継続20時間以上でした。2024年4月からは2暦日22時間(2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内)、休息期間は継続24時間を基本として22時間を下回らない、に変わっています。5年以上前のページに書かれている「最大21時間」という数字は、今の基準ではありません。

タクシーの隔日勤務2024年3月31日まで2024年4月1日から
1か月の拘束時間262時間以内262時間以内(労使協定で270時間・年6回まで)
2暦日の拘束時間21時間以内22時間以内、かつ2回を平均し1回あたり21時間以内
休息期間継続20時間以上継続24時間を基本とし、22時間を下回らない
タクシーの隔日勤務の新旧比較。2暦日の拘束時間は21時間から22時間へ、休息期間は継続20時間以上から継続24時間基本・22時間下限へ
2024年4月に変わった隔日勤務の基準(出典 厚生労働省 ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示)

なお、告示には休憩の時間数そのものを定める規定はありません。筆者の勤務先では20時間の勤務のうち3時間は休憩を取る決まりでしたが、これは当時の会社のルールであって、法令で決まっている数字ではありません。

休息期間は隔日勤務のほうが長い

休息期間で比べると、タクシーの隔日勤務は継続24時間が基本で22時間が下限。バスとタクシーの日勤は継続11時間が基本で9時間が下限です。1回の勤務が長いぶん、次の勤務までが長く空く形になっています。

休息期間の比較。バスとタクシーの日勤は継続11時間基本・9時間下限。タクシーの隔日勤務は継続24時間基本・22時間下限
勤務が長いぶん休息も長い

どちらが体に合うかは人によります。1回の勤務が短く毎日出る形がよいのか、1回が長くても出勤日数が少ない形がよいのか。ここは収入では比べられないところです。

1日の流れの違い

点呼とアルコール検査は両方に義務がある

出勤してすぐに行うのが点呼です。旅客自動車運送事業運輸規則24条1項は、業務に従事しようとする運転者に対して点呼を行い、次の3つについて報告を求め確認することを事業者に義務づけています。

  • 道路運送車両法47条の2第1項及び第2項の規定による点検の実施又はその確認
  • 運転者に対しては、酒気帯びの有無
  • 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無

同じ条文の2項は、業務を終了した運転者にも点呼を行うことを定めています。事業用自動車、道路、運行の状況の報告を求め、酒気帯びの有無を確認する。この規定はバスとタクシーで共通で、どちらかが免除される仕組みはありません。

アルコール検知器についても4項に定めがあります。

旅客自動車運送事業者は、アルコール検知器…を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、第一項及び第二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。

筆者が乗務していた2018年から2020年ごろは、専用の機械にストローを刺して息を吹き込む形でした。出勤時と退勤時に行い、その前後に自分が担当する車のエンジンオイルとタイヤの状態を確認する。整備士がいる営業所でも、運転手が自分で見るところは同じです。

点呼で確認する3つのこと。車両の点検の実施または確認、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足の有無。業務前と業務後の両方で行う
点呼はバスもタクシーも業務前と業務後(出典 運輸規則24条)

渡されるものが違う

点呼のあとに渡されるものが、2つの仕事の性格の違いをそのまま表しています。筆者の記憶では、タクシーは乗務員証とETCカード、バスは運行指示書(運行ダイヤ)でした。タクシーは自分で走る場所を決め、バスは決められた時刻表を受け取るということです。

乗務員証については運輸規則50条9項に定めがあります。一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー)の運転者は、乗務中は乗務員証を携行し、乗務を終了したら返還しなければなりません。

業務記録はタクシーのほうが細かい

1回の勤務が終わったあとに書く記録も違います。運輸規則25条3項は、タクシーについてだけ追加の記録を求めています。

一般乗用旅客自動車運送事業者は、運転者等が事業用自動車の運行の業務に従事したときは、第一項第一号から第七号までに掲げる事項のほか、旅客が乗車した区間並びに運行の業務に従事した事業用自動車の走行距離計に表示されている業務の開始時及び終了時における走行距離の積算キロ数を運転者等ごとに記録させ、かつ、その記録を事業用自動車ごとに整理して一年間保存しなければならない。

旅客が乗車した区間と、走行距離計の積算キロ数。決まった経路を走るバスにはこの規定がありません。どこからどこまで乗せたかが毎回変わるタクシーだからこそ必要な記録です。

業務記録の違い。共通の7項目に加えて、タクシーは旅客が乗車した区間と走行距離計の積算キロ数を記録する
タクシーだけに追加の記録義務がある(出典 運輸規則25条3項)

回送板と乗務距離の最高限度はタクシーだけ

運輸規則50条6項と7項は、タクシーの運転者に回送板の掲出を義務づけています。食事や休憩で運送の引受けができないとき、または乗務の終了などで車庫や営業所に戻るときは回送板を出さなければならず、それ以外のときは出してはならない、と定められています。休憩しているのか営業しているのかを、外から見て分かるようにしておけということです。

もうひとつ、22条1項には「乗務距離の最高限度」があります。地方運輸局長が指定する地域では、局長が定めた距離を超えて運転者を乗務させてはならない、という規定です。バスにはこの規定がありません。

タクシーだけにある義務。休憩や回送のときは回送板を掲出する、それ以外のときは掲出してはならない、指定地域では乗務距離の最高限度を超えて乗務してはならない
タクシーだけにある2つの規定(出典 運輸規則50条6項7項・22条1項)

バスはダイヤ、タクシーは流し

走っているときの違いを、筆者の記憶から書きます。

タクシーは都内の道を幅広く覚える必要があります。営業できるのは東京の場合、23区と武蔵野市と三鷹市の範囲で、その中をどう走るかは自分で決めます。到着時刻を決められているわけではないので、そこは気が楽です。代わりに、客がいる場所を自分で探さなければ売上になりません。

バスは一度ルートを覚えれば走ること自体は難しくないはずですが、運行ダイヤがあるので時計を頻繁に見ながら運転することになります。乗せる人数も違います。タクシーは一般的に4人まで、車によっては5人や6人。バスは1人から40人くらいまでの幅があります。

1日の流れの比較。バスは点呼・車両点検・ダイヤに沿って運行・休憩・運行・終業点呼。タクシーは点呼・車両点検・自分で営業・自由な時間に休憩・帰庫・終業点呼
1日の組み立て方が違う

休憩の取り方も違います。タクシーは自分の好きな時間に取れます。バスはダイヤによって休憩の時間が決まり、仮眠室で休める会社もあります。自分で組み立てたい人はタクシー、決まった枠のほうが落ち着く人はバスという分かれ方になります。

燃料は、次の日も車を使うので満タンにして返すのがどちらも基本でした。タクシーの1回の勤務の詳しい流れはタクシー運転手になるにはに書いてあります。

仕事の中身の違いを表にする

項目タクシーバス
事業の種類(道路運送法3条)一般乗用旅客自動車運送事業路線バスは一般乗合、観光バスは一般貸切
乗せる人数一般的に4人まで(車によっては5人や6人)1人から40人くらいまでの幅
走る場所決められた営業区域の中を自分で選ぶ決められたルートを往復する
時刻到着時刻の決まりはない運行ダイヤに合わせる
覚えること営業区域の道を幅広く担当するルートを確実に
客を見つける自分で探す(流し、付け待ち、配車)バス停で待っている人が乗る
渡されるもの乗務員証、ETCカードなど運行指示書(運行ダイヤ)
追加の記録義務旅客が乗車した区間と積算キロ数なし
回送板義務(運輸規則50条6項7項)なし
乗務距離の最高限度指定地域で適用(22条1項)なし

事業の種類は道路運送法3条で分かれています。路線バスは「一般乗合旅客自動車運送事業(乗合旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)」、観光バスは「一般貸切旅客自動車運送事業」、タクシーは「一般乗用旅客自動車運送事業」。3つとも道路運送法4条1項で国土交通大臣の許可が必要な事業です。

事業の種類。一般乗合が路線バス、一般貸切が観光バス、一般乗用がタクシー。どれも国土交通大臣の許可が必要
3つとも許可が必要な事業(出典 道路運送法3条・4条)

必要な免許の違い

バスは大型二種、タクシーは普通二種

道路交通法86条1項は、旅客自動車を旅客運送の目的で運転するには、車の種類に応じた第二種免許が必要だと定めています。大型自動車なら大型第二種免許、普通自動車なら普通第二種免許です。

覚えておきたいのは86条2項です。

(大型第二種免許を受けた者にあつては旅客自動車である中型自動車、準中型自動車又は普通自動車を、中型第二種免許を受けた者にあつては旅客自動車である普通自動車を当該目的で運転することを含む。)

大型二種を持っていればタクシーも運転できます。逆に、普通二種でバスを運転することはできません。免許の範囲としては大型二種のほうが広い。

受験資格そのものは同じ条文(96条5項1号)で、原則21歳以上、普通免許などの経歴が通算3年以上です。受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・1年以上でも受けられます(2022年5月13日から)。

必要な免許の違い。バスは大型二種、タクシーは普通二種。大型二種があればタクシーも運転できるが、普通二種でバスは運転できない
免許の範囲は大型二種のほうが広い(出典 道路交通法86条1項2項)

取り方と費用は大型二種免許の取り方と費用と二種免許の取り方と費用(普通二種)にまとめてあるので、この記事では重ねません。

大型二種は減り、普通二種は増えている

警察庁「運転免許統計(令和7年版)」で免許の保有数を追うと、2つの免許はまったく逆の動きをしています。

年末大型二種中型二種普通二種
令和3年824,732件844,567件67,611件
令和4年802,143件795,254件80,082件
令和5年782,694件749,929件102,714件
令和6年765,936件706,561件136,453件
令和7年749,150件664,156件169,395件

4年で大型二種は75,582件減り(9.2%減)、普通二種は101,784件増えて2.51倍になりました。

運転免許現在数の推移。大型二種は令和3年824,732件から令和7年749,150件へ減少。普通二種は67,611件から169,395件へ増加
大型二種は減り、普通二種は増えている(出典 警察庁 運転免許統計 令和7年版)

ただし、この増減をそのまま「普通二種の人気が上がった」と読むのは早いかもしれません。統計の注には、平成29年3月11日までに取った普通第二種免許は中型第二種免許として数えられると書かれています。中型二種が減って普通二種が増えているのは、この世代の入れ替わりを含んだ動きです。

年齢で見ると、もっと違いがはっきりします。

区分大型二種普通二種
保有者数(計)749,150人165,873人
65歳以上355,446人12,172人
65歳以上の割合(計算)47.4%7.3%
75歳以上168,346人540人

大型二種を持つ人の半分近くが65歳以上です。普通二種は7.3%しかいません。この表の数字は2種類以上の免許を持つ人を上位の免許の欄に数える方式なので、大型二種を持ってタクシーに乗っている人も大型二種の側に入っています。

65歳以上の割合。大型二種は47.4%、普通二種は7.3%
大型二種を持つ人の半分近くが65歳以上(出典 警察庁 運転免許統計 令和7年版)

新しく取っている人は普通二種が3.37倍

免許試験の合格者数も見ておきます。

年大型二種 合格者普通二種 合格者
令和3年6,473人10,978人
令和4年5,982人13,023人
令和5年7,556人23,224人
令和6年9,743人34,544人
令和7年10,002人33,740人

令和7年は普通二種が大型二種の3.37倍です。どちらも令和4年を底に増えていて、合格者のうち指定教習所の卒業者が占める割合は大型二種96.1%、普通二種95.9%。どちらもほぼ全員が教習所を出て取っています。

令和7年の免許試験合格者数。大型二種10,002人、普通二種33,740人。どちらも教習所卒業が9割以上
新しく取っている人は普通二種のほうが多い(出典 警察庁 運転免許統計 令和7年版)

免許の費用は会社が出すことが多い

二種免許を自分で取ってから応募しなければいけないのか、という質問をよく受けます。筆者が乗務していた2018年から2020年ごろは、入社後に会社が指定する教習所で取る形が一般的で、費用も会社が負担していました。

バス側も似た制度があります。日本バス協会のバスのお仕事にはこう書かれています。

バス会社によっては、「普通免許等取得後3年以上」の方を採用して一定の条件のもとに大型二種運転免許を取得させたり、また、高校新卒者(普通免許未取得)を採用し、大型二種免許等が取得できる年齢になるまで営業所業務を中心に経験を積ませ、免許取得後にバス運転士として運転業務に従事させる制度を設けているところがあります。

同じページには採用の流れも書かれていて、「多くのバス会社では、面接のほかに適性試験、運転技能試験などを実施して、総合的な判断として、採用を決定しています。」とあります。運転技能試験があるという点は、応募前に知っておいたほうがよい情報です。

ただし、条件は会社ごとに違います。一定期間より前に辞めた場合に費用の返還を求める規定を置いている会社もあると聞きますが、この記事では一次情報を確認できていないので、その有無と内容は募集要項で確かめてください。

免許の費用の扱い。入社後に会社が指定する教習所で取る形、高校新卒を採用して年齢に達してから取らせる制度。採用時に適性試験と運転技能試験があることが多い
免許を会社が取らせる制度はどちらにもある(出典 日本バス協会 バスのお仕事)

入りやすさと人手の状況

有効求人倍率はタクシーが3.01、バスが2.04

どちらが入りやすいかを示す数字として、有効求人倍率があります。厚生労働省の職業安定業務統計をもとにしたグラフが、統計からみるバス運転者の仕事と統計からみるハイヤー・タクシー運転者の仕事に載っています。

年度バス運転者ハイヤー・タクシー運転者全職業平均
令和2年度1.263.461.01
令和3年度1.423.311.05
令和4年度1.953.811.19
令和5年度2.283.961.17
令和6年度2.073.381.14
令和7年度2.043.011.10

どちらも全職業平均の1.10を大きく上回っています。タクシーは1人の求職者に3.01件の求人があり、バスは2.04件。求人倍率だけで見ればタクシーのほうが採用されやすい状況です。

有効求人倍率の推移。令和7年度はバス運転者2.04、ハイヤー・タクシー運転者3.01、全職業平均1.10
どちらも全職業平均を大きく上回る(出典 厚生労働省 職業安定業務統計)

ただし、タクシーは令和5年度の3.96から2年続けて下がっています。バスも令和5年度の2.28がピークで、そこから少し下がっている。いちばん人が足りなかった時期は過ぎつつあるという読み方もできます。

運転者の数はどちらも底を打った

実際の人数で確かめます。法人タクシーの運転者数は、全国ハイヤー・タクシー連合会が国土交通省調べの推移を公表しています。

年度法人タクシーの運転者数
平成16年度381,943人(ピーク)
平成26年度308,706人
令和元年度261,671人
令和2年度240,494人
令和3年度221,849人
令和4年度214,972人(底)
令和5年度217,161人
令和6年度224,428人

ピークの平成16年度から157,515人減って、令和6年度は平成16年度の58.8%です。ただし令和4年度の214,972人を底に2年続けて増えています。

法人タクシーの運転者数の推移。平成16年度381,943人から令和4年度214,972人まで減り、令和6年度224,428人へ2年続けて増加
タクシーの運転者数は令和4年度を底に増えている(出典 全国ハイヤー・タクシー連合会・国土交通省調べ)

バスも同じ形です。日本バス協会の日本のバス事業2025に載っている乗合バスの推移を見ます。

年度乗合バスの従業員総数うち運転者
平成29年度125,611人84,224人
令和元年度123,677人83,834人
令和2年度117,984人80,980人
令和3年度109,961人74,340人
令和4年度100,354人73,445人(底)
令和5年度107,608人77,720人

平成29年度から令和5年度で6,504人減っていますが、こちらも令和4年度を底に戻り始めています。

乗合バスの運転者数の推移。平成29年度84,224人から令和4年度73,445人まで減り、令和5年度77,720人へ回復
バスの運転者数も令和4年度が底(出典 日本バス協会 日本のバス事業2025)

バスは2030年に3万6千人足りなくなる見込み

先の見通しも公表されています。令和7年版 国土交通白書は、日本バス協会の資料をもとに次のように書いています。

地域公共交通において、特に担い手不足が大きな問題となっているバスの運転手数については、2021年には11万6千人のところ、2030年には9万3千人にまで減少するとされている。この将来推計に基づくと、2022年の輸送規模を維持したと仮定した上で、時間外労働の上限規制の影響を考慮した場合、2030年には、必要人員が3万6千人(必要人員全体の28%)不足する見込みであると示されている。

同じ白書には「既に、路線バス会社においては、担い手不足等が影響し、約8割の会社が2023年中に減便・廃止を行っている状況である。」とも書かれています。2008年度から2023年度にかけて廃止された路線の延長は、バスが約23,193キロメートル、鉄軌道が約625キロメートルです。

バス運転手数の将来推計。2021年11万6千人から2030年9万3千人へ減少し、2030年に必要人員が3万6千人・必要人員全体の28%不足する見込み
2030年の見通し(出典 令和7年版 国土交通白書)

国土交通省のバスの運転者の確保及び育成に向けた検討会のページにも、「厳しい経営環境、労働時間の長時間化、大型二種免許取得者の減少、高齢化等を背景として、運転者の要員不足が深刻な問題となり、運転者不足を原因とした運行回数の削減といった事例も散見される現状にあります。」と書かれています。

人が足りないことは、求職者にとって追い風でもあり、向かい風でもあります。採用されやすい一方で、減便や路線廃止が起きている地域では働く場そのものが減ります。応募する前に、その地域のバス路線がどうなっているかを見ておく価値はあります。

高齢の運転者の比率

日本バス協会が令和6年7月末日現在で行った調査(回答698者)では、満60歳以上の運転者が19,120人、回答事業者の運転者総数73,222人に対する構成率は26.1%でした(前年25.0%)。民営が26.7%、公営が20.3%です。

女性の運転者は、同じ調査で405者が雇用していて合計1,872人。前年度の1,696人から176人増えています。賃金構造基本統計調査で計算した女性の割合は、バスが3.9%、タクシーが6.0%です。

高齢運転者と女性運転者。バス事業者の回答698者で60歳以上が19,120人・構成率26.1%。女性運転者は1,872人。賃金統計での女性の割合はバス3.9%・タクシー6.0%
働く人の構成(出典 日本バス協会 日本のバス事業2025・賃金構造基本統計調査 令和7年)
面接の場で向かい合って話す応募者と担当者
採用の条件は会社ごとに違う。求人票で確かめるのがいちばん早い(イメージ)

公営バスと民営バス

バスを選ぶとき、公営を目指す人がいます。自治体の交通局などが運営しているバスの運転手は、その自治体の職員なので地方公務員です。国家公務員ではありません。

地方公務員法3条1項は、地方公務員を「地方公共団体及び特定地方独立行政法人の全ての公務員」と定義しています。採用にあたっては、同法16条の欠格条項に当たらないことが条件になります。現行の条文では、拘禁刑以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者や、その地方公共団体で懲戒免職の処分を受けて2年を経過しない者などが挙げられています。

公営バスは、いまも全国にあります。日本のバス事業2025の収支状況の表(高速バスと定期観光バスを除く)によると、令和5年度の乗合バス事業者は民営211者、公営16者、合計227者です。

令和5年度の乗合バス民営公営
事業者数211者16者
収入5,436億円1,352億円
支出5,888億円1,531億円
損益マイナス452億円マイナス179億円
経常収支率92.3%88.3%
黒字の事業者62者3者
赤字の事業者149者13者

公営も民営も、事業としては赤字のほうが多いのが実情です。公営16者のうち黒字は3者。安定という言葉から受ける印象と、事業の収支は別の話として見ておいたほうがよいと思います。

令和5年度の乗合バス事業者。民営211者・公営16者。経常収支率は民営92.3%・公営88.3%。黒字は民営62者・公営3者
公営も民営も赤字の事業者のほうが多い(出典 日本バス協会 日本のバス事業2025)

なお、公営バスの採用条件や給与額については、この記事では一次情報を取得できていません。募集の有無も年によって変わります。受けたい自治体の交通局の採用ページで確かめてください。

入社してからの研修の違い

免許を取れば明日から客を乗せられる、というわけではありません。運輸規則38条2項は、新しく雇い入れた運転者に対して特別な指導を行い、国土交通大臣が認定した適性診断を受けさせることを事業者に義務づけています。

指導の時間は国土交通省告示第1676号で決まっています。

貸切バス以外の一般旅客自動車及び特定旅客自動車の運転者に対しては、①から⑤までについて合計6時間以上実施すること。

貸切バスの運転者に対しては、①から⑥までについて合計10時間以上、⑦について20時間以上実施すること。

整理すると次のようになります。

対象特別な指導の時間安全運転の実技
タクシー6時間以上可能な限り実施することが望ましい
路線バス(乗合)6時間以上可能な限り実施することが望ましい
観光バス(貸切)10時間以上20時間以上

観光バスだけが飛び抜けて長い。指導の内容にも、バス特有の項目が入っています。告示には「乗合バス又は貸切バス等の運転者にあっては車高、視野、死角及び内輪差等の他の車両との差異を理解させる」と書かれています。大きな車を扱うぶん、覚えることが増えるということです。

新しく雇い入れた運転者への特別な指導。タクシーと路線バスは6時間以上、観光バスは10時間以上と実技20時間以上
観光バスだけ研修が長い(出典 国土交通省告示第1676号)

タクシーの場合はこれに加えて、運輸規則36条2項により、指導と適性診断を終えるまで運転者として選任できないという規定があります。この流れはタクシー運転手になるにはに詳しく書いてあります。

向いている人を条件で分ける

ここまでの数字を、決める側の視点で並べ直します。どちらが良いという結論は出しません。条件が違えば答えも変わるからです。

収入の形で選ぶなら

こう考える人向いている可能性が高いほう根拠にした数字
自分の動き方で収入が変わるほうがよいタクシー所定内給与の上下の開きが291.3千円(バスは133.6千円)。月40万円超が19.1%
毎月の金額が読めるほうがよいバス十分位分散係数0.26。上下の開きが133.6千円に収まる
初年度から収入がほしいタクシー経験0年の所定内給与307.0千円(バスは249.1千円)
長く勤めて上げていきたいバス経験0年から15年以上で所定内給与が29.9千円上がる。賞与は12.1倍
賞与を重く見るバス年間賞与590.1千円(タクシーは197.8千円)
収入の形での向き不向き。動き方で収入が変わるほうがよいならタクシー、毎月の金額が読めるほうがよいならバス
収入の形で分けるとこうなる

住む場所で選ぶなら

住んでいる地域数字の上で有利なほう年収の差
東京タクシー124.1万円
大阪タクシー53.0万円
千葉タクシー28.4万円
栃木・福井・滋賀タクシー26.8万円から78.6万円
上記以外の41道府県バス地域によって幅がある

タクシーは人口が密集している地域ほど客が見つかります。統計でも、タクシーの最高(東京570.4万円)と最低(石川254.0万円)の開きは316.4万円で、バスの開き(神奈川558.8万円から青森323.3万円で235.5万円)より大きい。タクシーは土地を選ぶ仕事だと数字が示しています。

働き方で選ぶなら

こう考える人向いている可能性が高いほう根拠
1回の勤務は短く、毎日出たいバス、またはタクシーの日勤1日13時間(最大15時間)
1回が長くても出勤日数を減らしたいタクシーの隔日勤務2暦日22時間、休息は継続24時間が基本
休憩を自分の判断で取りたいタクシー取る時間を自分で決められる
時間が決まっているほうが落ち着くバス運行ダイヤに沿って動く
長時間の運転そのものを避けたいタクシーバスは2日平均1日9時間まで運転する前提

免許の状況で選ぶなら

いまの状況現実的な選択肢
普通免許を取って3年以上、二種免許なしどちらも受けられる。費用を会社が出す制度がある
普通二種を持っているタクシー。バスには大型二種が別に必要
大型二種を持っているどちらも運転できる(道路交通法86条2項)
19歳から20歳、免許歴1年以上受験資格特例教習を修了すれば受けられる
できるだけ早く乗務したい教習時間が短い普通二種のほうが早い
免許の状況で見た選択肢。普通二種を持っているならタクシー、大型二種を持っているならどちらも運転できる
いま持っている免許で選択肢が変わる

教習の時限数と費用は大型二種免許の取り方と費用と二種免許の取り方と費用(普通二種)で比べられます。

応募する前に確かめておくこと

求人票と募集要項で確認しておきたい項目を並べます。どちらの仕事でも共通です。

  • 賃金の内訳(固定給と歩合の割合、手当の種類と金額)
  • 賞与の有無と、直近の支給実績(月数または金額)
  • 保障給の金額(歩合制の場合。通常の賃金の6割以上が通達の基準)
  • 売上や運行本数に応じた加算がある場合、その計算の仕方(累進歩合に当たらないか)
  • 勤務形態(日勤か隔日勤務か、バスなら早番と遅番の組み方)
  • 1か月の拘束時間の目安と、労使協定で上限を延長しているか
  • 休息期間の実際の取り方
  • 免許の取得費用を会社が出すか、条件と返還の規定はあるか
  • 入社後の研修の期間と、その間の賃金
  • 配属される営業所と担当する路線または営業区域
  • その地域で減便や路線廃止が起きていないか(バスの場合)
応募前に確かめること。賃金の内訳、賞与の実績、保障給、加算の計算方法、勤務形態、拘束時間、休息期間、免許費用、研修、配属先
求人票で確かめる項目

よくある思い違い

よくある思い違い。タクシーの拘束時間は最大21時間ではなく22時間、公営バスの運転手は国家公務員ではなく地方公務員、公営バスは東京と長崎だけではない、平均年収はどちらが高いか一言では決まらない
5年前の情報のまま残っているもの

「タクシーの拘束時間は最大21時間」。2024年3月31日まではそうでしたが、2024年4月1日からは2暦日22時間(2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内)に変わっています。休息期間も継続20時間以上から、継続24時間を基本として22時間を下回らない形になりました。

「都バスの運転手は国家公務員」。自治体が運営するバスの運転手は地方公務員です。地方公務員法3条1項が、地方公務員を地方公共団体の全ての公務員と定義しています。

「公営バスは東京と長崎だけ」。日本バス協会の資料では、令和5年度の公営の乗合バス事業者は16者です。

「タクシーの終業点呼はない」。運輸規則24条2項は、業務を終了した運転者にも点呼を行うことを定めています。バスもタクシーも同じです。

「平均年収はバスのほうが高い」「いやタクシーだ」。全国平均ではバスが2.3万円高く、都道府県別では41対6でバス、年齢階級別では11階級中9階級でタクシー、東京ではタクシーが124.0万円高い。一言では決まりません。

よくある質問

未経験でもどちらに入れますか

令和7年度の有効求人倍率は、ハイヤー・タクシー運転者が3.01、バス運転者が2.04で、どちらも全職業平均の1.10を大きく上回っています。ただし求人倍率は採用の保証ではありません。日本バス協会のページには、多くのバス会社が面接のほかに適性試験や運転技能試験を実施していると書かれています。

二種免許は自分で取ってから応募したほうがいいですか

どちらの業界にも、入社後に会社の負担で取らせる制度があります。筆者が乗務していた2018年から2020年ごろのタクシー会社もその形でした。バス側も、普通免許取得後3年以上の人を採用して大型二種を取らせる制度や、高校新卒を採用して年齢に達してから取らせる制度を持つ会社があると日本バス協会が説明しています。条件と返還の規定は会社ごとに違うので、募集要項で確かめてください。

大型二種を取れば、あとでタクシーにも移れますか

道路交通法86条2項により、大型第二種免許を受けた人は旅客自動車である中型・準中型・普通自動車も旅客運送の目的で運転できます。免許の上ではタクシーにも移れます。逆に、普通二種だけでバスを運転することはできません。

バスのほうが労働時間は短いですか

令和7年の統計では、月の総実労働時間はバスが198時間、タクシーが192時間で、バスのほうが6時間長い数字になっています。ただしこれは平均で、隔日勤務のタクシーは1回の勤務が2暦日にわたる形なので、感じ方は人によって変わります。改善基準告示の上限も、バスは1日13時間、タクシーの隔日勤務は2暦日22時間と枠の切り方が違います。

タクシーは歩合だから収入がゼロになることはありますか

労働基準法27条が出来高払制の保障給を定めており、通達では歩合給制度の場合に通常の賃金の6割以上が保障されるよう保障給を定めるものとされています。働きやすい職場認証制度の解説にも「完全歩合制のB型賃金であっても、法令によって最低賃金は保障されているため、給与がゼロになることはありません」と書かれています。

バスの給料は完全に固定給ですか

この記事では個々のバス会社の賃金規程までは確認できていません。言えるのは、業界全体として定期昇給と一時金という仕組みが労使交渉の土台にあること、そして統計上は年間賞与がタクシーの2.98倍あり、経験年数とともに所定内給与が上がっていることです。会社ごとの内訳は募集要項で確かめてください。

年齢が高くても採用されますか

賃金構造基本統計調査の令和7年の数字では、バス運転者の60歳以上が36.4%、タクシー運転者は43.0%です。日本バス協会の調査でも、回答した698者で満60歳以上の運転者が19,120人、構成率26.1%と報告されています。どちらの業界も高い年齢層が働いています。ただし採用の条件は会社ごとに違います。

将来なくなる仕事ではありませんか

国土交通白書は、バス運転手数が2021年の11万6千人から2030年に9万3千人まで減り、2030年には必要人員が3万6千人(必要人員全体の28%)不足する見込みだと示しています。人が減っているのは事実ですが、それは仕事がなくなるのではなく担い手が足りないという話です。一方で、路線バス会社の約8割が2023年中に減便や廃止を行ったとも書かれているので、地域によって状況が違います。

東京でバスに乗るのは損ですか

令和7年の統計では、東京のバス運転者の年収は446.3万円で、全国平均の453.1万円を下回っています。超過実労働時間は45時間と全国平均の30時間より長い。数字の上では東京はバスにとって有利な土地ではありません。ただしこれは平均で、会社ごとの条件は別です。

どちらが体は楽ですか

統計では比べられません。バスは運転時間そのものに上限(2日平均1日9時間、4週平均1週40時間)と連続運転時間の上限(4時間)がありますが、その枠の中で運転し続ける前提の仕事です。タクシーの隔日勤務は1回の拘束が2暦日22時間まで伸びる代わりに、次の勤務まで継続24時間を基本とする休息期間が入ります。どちらが合うかは生活のリズム次第です。

まとめ

この記事で並べた数字を、もう一度整理します。

項目バス運転者タクシー運転者
全国平均の年収(令和7年・計算)453.1万円450.8万円
東京の年収(計算)446.3万円570.4万円
年収が高い都道府県の数41道府県6都府県
年収が高い年齢階級の数2階級9階級
年間賞与590.1千円197.8千円
所定内給与の上下の開き133.6千円291.3千円
経験0年の所定内給与249.1千円307.0千円
1か月の拘束時間の上限281時間262時間(隔勤)/288時間(日勤)
必要な免許大型二種普通二種
有効求人倍率(令和7年度)2.043.01
運転者数(直近)77,720人(乗合・令和5年度)224,428人(法人・令和6年度)

平均だけを見れば、この2つの仕事の年収はほとんど同じです。違うのは形のほうでした。タクシーは月々の給与が高く、上下の幅が広く、入った年から収入が立つ。バスは月々が低めでも賞与が厚く、経験年数とともに上がり、幅が狭い。

そして、住む場所で答えが変わります。東京ならタクシーが124.0万円高く、それ以外の41道府県ではバスが高い。年齢でも変わります。20代ならタクシーが90.3万円高い。

だから、どちらが良いかは決められません。決められるのは、自分がどの条件に当てはまるかを確かめることだけです。この記事の表を使って、自分の年齢の階級と、自分の都道府県の行を見てください。そのうえで、応募しようとしている会社の求人票で賃金の内訳と勤務形態を確かめる。平均値はそこまでしか教えてくれません。

次に読むなら、年収をもっと細かく見たい方はタクシー運転手の年収と手取り、免許から入りたい方は大型二種免許の取り方と費用、タクシーの手順を知りたい方はタクシー運転手になるにはへどうぞ。

参考にした一次情報

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」ファイル一覧(e-Stat)
  • 同 令和7年 一般労働者 (職種)第1表(職種別の賃金)
  • 同 (職種)第5表(年齢階級別)
  • 同 (職種)第14表(経験年数階級別)
  • 同 (職種)第17表(所定内給与額の分布特性値)
  • 同 都道府県別第3表(都道府県別)
  • 同 一般労働者 産業大分類 第1表(全産業)
  • 厚生労働省「バス運転者の改善基準告示」
  • 厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示」
  • 厚生労働省「統計からみるバス運転者の仕事」
  • 厚生労働省「統計からみるハイヤー・タクシー運転者の仕事」
  • 厚生労働省 通達 基発1223第3号
  • 道路交通法(e-Gov)
  • 旅客自動車運送事業運輸規則(e-Gov)
  • 道路運送法(e-Gov)
  • 労働基準法(e-Gov)
  • 地方公務員法(e-Gov)
  • 警察庁「運転免許統計(令和7年版)」
  • 国土交通省「令和7年版 国土交通白書」
  • 国土交通省「バスの運転者の確保及び育成に向けた検討会」
  • 国土交通省告示第1676号(指導及び監督の指針)
  • 公益社団法人日本バス協会「日本のバス事業2025」
  • 公益社団法人日本バス協会「バスのお仕事」
  • 全国ハイヤー・タクシー連合会「運転者数の推移(法人タクシーに限る)」
  • 自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度「タクシードライバーの給与体系とは」
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