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法令は e-Gov の現行版(貨物自動車運送事業法は2026年5月21日施行、貨物自動車運送事業輸送安全規則は2026年4月1日施行、道路運送法は2025年6月1日施行、旅客自動車運送事業運輸規則は2025年4月1日施行の版)で確認しました。あわせて国土交通省の「運行管理者について」のページと、運輸規則・輸送安全規則の「解釈及び運用について」(通達。最終改正 令和8年6月26日)、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)の講習の案内、運行管理者試験センターの資料を読み、2026年9月25日に確認した内容です。講習の料金や試験の日程は変わることがあるので、申し込む前に各機関の案内を確認してください。
タクシーやバス、トラックの会社で働いていると、毎日の点呼で顔を合わせるのが運行管理者です。乗務の前にアルコール検知器を通し、体調を聞き、その日の注意を伝える。乗務が終われば報告を受ける。ドライバーから見ると「点呼をする人」ですが、法律の上では、営業所ごとに置かなければならない安全の責任者で、仕事の範囲も必要な人数も細かく決まっています。
この記事では、運行管理者について、貨物自動車運送事業法と道路運送法、その下にある輸送安全規則と運輸規則の条文、国土交通省の通達を読み、ドライバーが知っておくと役に立つ順に並べ直しました。「何をする人か」「何人必要か」「補助者とは何か」「どうすればなれるか」「なったら何を受けるか」の5つです。試験の詳しい日程や出題の中身は別の記事で扱うので、ここでは要点だけにしています。
先に結論を書きます。運行管理者は、運送会社が営業所ごとに、運行管理者資格者証を持つ人の中から選任しなければならない人です(貨物自動車運送事業法16条、道路運送法23条)。仕事の中心は点呼、乗務割の作成、酒気帯びや体調不良の人を乗せない判断、運転者の指導監督、記録の管理です。必要な人数は、タクシーは車両数÷40(端数切り捨て)+1、トラックは車両数÷30(端数切り捨て)+1。なり方は試験に合格するか、実務経験5年以上と講習5回以上の2通りです。

運行管理者とは(貨物自動車運送事業法16条・道路運送法23条)
営業所ごとに選ばなければならない安全の責任者
運行管理者は、事業用自動車の運行の安全を確保するために、運送会社が選ぶ人です。トラックの会社については貨物自動車運送事業法16条1項が、次のように定めています(貨物自動車運送事業法 e-Gov)。
一般貨物自動車運送事業者は、第三条の許可を受けた後、速やかに、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定めるところにより、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
バスとタクシーの会社については、道路運送法23条1項にほぼ同じ規定があります(道路運送法 e-Gov)。
一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定める営業所ごとに、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
ポイントは2つです。1つは「選任しなければならない」という義務であること。もう1つは、選べるのが「運行管理者資格者証の交付を受けている者」に限られることです。会社の中で経験が長い人でも、資格者証がなければ運行管理者にはなれません。選任したときと解任したときは、国に届け出ることになっています(貨物自動車運送事業法16条3項、道路運送法23条3項)。トラックについて国の通達は、遅くとも1週間以内に届け出るよう指導するとしています。
会社は権限を与え、運転者は指導に従う
運行管理者の立場を支えているのが、貨物自動車運送事業法20条(バス・タクシーは道路運送法23条の5)です。1項は「運行管理者は、誠実にその業務を行わなければならない。」、2項は、会社は運行管理者に業務を行うため「必要な権限を与えなければならない」と定めています。そして3項が、会社と運転者の両方に向けた規定です。
一般旅客自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う助言を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。
つまり運行管理者は、会社に対しては助言をする立場、運転者に対しては指導をする立場です。点呼で「今日は乗務させられない」と判断されたら、運転者はそれに従う義務があります。会社の側も、運行管理者の職務と権限を「運行管理規程」として定めなければなりません(運輸規則48条の2、輸送安全規則21条)。

運行管理者の決まりは、法律と省令に分かれて書かれています。法律が「選任しなければならない」と決め、省令が「何人選ぶか」「何をさせるか」を決める形です。トラックとバス・タクシーで法令が分かれているので、対応を表にまとめます。
| 内容 | トラック | バス・タクシー |
|---|---|---|
| 選任の義務 | 貨物自動車運送事業法16条 | 道路運送法23条 |
| 資格者証の交付 | 同法17条 | 同法23条の2 |
| 会社と運転者の義務 | 同法20条 | 同法23条の5 |
| 必要な人数 | 輸送安全規則18条 | 運輸規則47条の9 |
| 仕事の範囲 | 輸送安全規則20条 | 運輸規則48条 |
| 点呼 | 輸送安全規則7条 | 運輸規則24条 |
| 講習 | 輸送安全規則23条 | 運輸規則48条の4 |

運行管理者の仕事内容(運輸規則48条・輸送安全規則20条)
運行管理者の仕事は、省令に号ごとに列挙されています。バス・タクシーは運輸規則48条1項に1号から21号まで(枝番を含めるとさらに多い)、トラックは輸送安全規則20条1項に1号から17号まで(枝番あり)です(旅客自動車運送事業運輸規則 e-Gov、貨物自動車運送事業輸送安全規則 e-Gov)。量は多いのですが、中身を分けると次の6つになります。

点呼(いちばん中心の仕事)
運輸規則48条1項6号は、運行管理者の仕事として「事業用自動車の運転者等に対し、第二十四条の点呼を行い、報告を求め、確認を行い、指示を与え、記録し、及びその記録を保存し、並びに運転者に対して使用するアルコール検知器を常時有効に保持すること」を挙げています。点呼そのもののやり方は運輸規則24条(トラックは輸送安全規則7条)です。
乗務の前の点呼では、対面か、対面と同等の効果があるものとして国土交通大臣が定める方法で、次の3つについて報告を求め、確認します。
- 道路運送車両法47条の2の日常点検の実施またはその確認
- 運転者の酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
乗務を終えたときにも点呼があり、車両・道路・運行の状況の報告を求め、酒気帯びの有無を確認します(運輸規則24条2項)。トラックの輸送安全規則7条3項は、乗務前と乗務後のどちらも対面などで点呼できない業務では「当該業務の途中において少なくとも一回」点呼をすると定めています。長距離の運行などで行う中間点呼です。点呼の記録は1年間保存します(運輸規則24条5項、輸送安全規則7条5項)。

アルコール検知器については、運輸規則24条4項が、営業所ごとに備えて常時有効に保ち、酒気帯びの確認では運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて行うよう定めています。ここで知っておきたいのが、国の通達の次の一文です(国土交通省 旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について)。
「酒気帯びの有無」は、道路交通法施行令第44条の3に規定する血液中のアルコール濃度0.3mg/mℓ又は呼気中のアルコール濃度0.15mg/ℓ以上であるか否かを問わないものである。
道路交通法で罰則の対象になる濃度に届いていなくても、点呼では「酒気を帯びているかどうか」を見る、ということです。そして、酒気を帯びた状態の乗務員を運行の業務に従事させないことは、運行管理者の仕事として省令に書かれています(運輸規則48条1項4号)。トラックの通達にも同じ文があります。

点呼を受ける側の決まり、つまり運転者が点呼で何を申し出なければならないかは、タクシー運転手の仕事内容で運輸規則50条の遵守事項としてまとめています。

乗務割の作成
運輸規則48条1項3号は「第二十一条第一項の規定により定められた勤務時間及び乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従い運転者を事業用自動車に乗務させること」を運行管理者の仕事にしています。乗務割とは、誰がいつ乗務するかを決めた勤務の割り振りです。会社はまず、過労の防止を考えて国土交通大臣の告示の基準に従って勤務時間と乗務時間を定め(運輸規則21条1項)、運行管理者はその範囲の中で乗務割を組みます。
タクシーの場合、この告示がいわゆる改善基準告示です。2024年4月1日以降の数字は次のとおりです。
| 項目 | 日勤 | 隔日勤務 |
|---|---|---|
| 1か月の拘束時間 | 288時間以内 | 262時間以内 |
| 2暦日の拘束時間 | 22時間以内(2回平均で21時間以内) | |
| 休息期間 | 継続11時間を基本とし、9時間を下回らない | 継続24時間を基本とし、22時間を下回らない |

残業や休日出勤の上限の話はタクシー運転手の36協定に書いています。
乗務させてはいけない人を乗せない
運行管理者の仕事には「〜させないこと」という形の号がいくつもあります。運輸規則48条1項でいえば、酒気を帯びた状態の乗務員等を運行の業務に従事させないこと(4号)、健康状態の把握に努め、疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運行できないおそれがある乗務員等を従事させないこと(4号の2)、運転者として選任された人以外を従事させないこと(13号)、運転者の要件を備えない人に運転させないこと(20号)です。トラックの輸送安全規則20条1項にも同じ趣旨の号があります。

交替の運転者を配置すること(5号)や、休憩・睡眠のための施設を管理すること(3号の2)も運行管理者の仕事です。
指導監督・適性診断・台帳
運転者への指導と監督も運行管理者の仕事です。運輸規則48条1項16号は運輸規則38条の指導・監督と特別な指導を行い、その記録を保存すること、17号は運転者に38条2項の適性診断を受けさせることを挙げています。13号の2は乗務員等台帳を作って営業所に備えること、19号は補助者に対する指導と監督、21号は事故防止対策に基づく従業員への指導と監督です。
記録の管理
点呼の記録のほかにも、運行管理者が管理する記録があります。運転者に業務の記録(日報)をさせて保存すること(7号)、運行記録計を管理してその記録を保存すること(8号)、運行記録計で記録できない車を運行に使わないこと(9号)、事故の記録を保存すること(9号の2)です。

タクシーの運行管理者にだけある仕事
運輸規則48条1項には、事業の種類ごとの号もあります。タクシー(一般乗用)の運行管理者に関係するのは14号と15号です。14号は運転者に乗務員証を携行させ、乗務を終えたら返還させること。15号は、タクシー業務適正化特別措置法13条により運転者証を表示しなければならない車に運転者証を表示し、乗務を終えたら保管しておくことです。
国の通達は、乗務員証を携行させ、返還させるのは「業務前及び業務後の点呼の際が適当と考えられる」とし、その励行のために点呼等の記録に記入するよう指導するとしています。タクシーの点呼で乗務員証を受け取り、帰ってきたら返すのは、この号と通達にもとづく流れです。

バス・トラックならではの仕事
路線バス(一般乗合)の運行管理者は、運行基準図を作って営業所に備え、運行表を作って運転者に携行させます(10号・11号)。観光バス(一般貸切)の運行管理者は、経路の調査と運行指示書の作成・携行・保存を行います(12号・12号の2)。トラックの輸送安全規則20条1項には、貨物の積載方法を含む従業員への指導監督(7号の2)や運行指示書(12号の2)があります。
省令の列挙は「最低限」の範囲
国の通達は、運輸規則48条1項は「運行管理者に行わせるべき最低限の業務の範囲を定めたもの」で、これらの業務の処理を妨げない範囲でこれ以上の職務を会社が定めることは差し支えなく、定めた場合は運行管理規程に書くよう指導するとしています。会社によって運行管理者の仕事の幅が違うのはこのためです。
運行管理者は何人必要か(選任数)
運行管理者を何人置くかは、営業所が管理する車両の数で決まります。国土交通省のページは「配置基準が強化され、保有車両数に応じて一定人数以上選任しなければならないこととされました。」と説明しています(国土交通省 運行管理者について)。式は省令に、早見表は通達に書かれています。
タクシー(法人)は5両以上の営業所で「÷40+1」
運輸規則47条の9第1項の表で、一般乗用(タクシー)は「事業用自動車五両以上の運行を管理する営業所」が対象です。人数は次のとおりです。
事業用自動車の数を四十で除して得た数(一未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に一を加算して得た数
通達の早見表では、5両以上39両まで1人、40両から79両まで2人、80両から119両まで3人と、40両ごとに1人ずつ増えます。4両以下の営業所は、この表の「五両以上」に当たりません。

路線バスは「÷40+1」、観光バスは19両以下でも2人
路線バス(一般乗合)は、乗車定員11人以上の車の運行を管理する営業所と、乗車定員10人以下の車5両以上の営業所が対象で、式はタクシーと同じ「÷40+1」です。観光バス(一般貸切)は別の式で、より多く置くことになっています。
| 観光バス(一般貸切)の営業所 | 選任すべき数 |
|---|---|
| 19両以下 | 2人(4両以下で地方運輸局長が認める場合は1人) |
| 20両以上99両以下 | 車両数÷20(端数切り捨て)+1 |
| 100両以上 | (車両数−100)÷30(端数切り捨て)+6 |
国土交通省のページの言い方では、貸切は「保有車両39両まで2名、以降20両ごとに1名追加(保有車両100両以降は、30両ごとに1名追加)」、乗合と乗用は「保有車両39両まで1名、以降40両ごとに1名追加」です。

トラックは「÷30+1」
トラックは輸送安全規則18条1項で、被けん引自動車を除く事業用自動車の数を「三十で除して得た数(その数に一未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に一を加算して得た数以上」の運行管理者を選任します。ただし、5両未満の営業所で、地方運輸局長が安全の確保に支障がないと認めるものは、この限りではありません。通達の早見表では、29両まで1人、30両から59両まで2人、60両から89両まで3人です。

計算してみる
式に当てはめると次のようになります。どれも通達の早見表と一致します。
| 営業所 | 計算 | 必要な人数 |
|---|---|---|
| タクシー100両 | 100÷40=2.5 → 切り捨て2 → 2+1 | 3人 |
| タクシー39両 | 39÷40=0.975 → 切り捨て0 → 0+1 | 1人 |
| タクシー40両 | 40÷40=1 → 1+1 | 2人 |
| トラック50両 | 50÷30=1.66… → 切り捨て1 → 1+1 | 2人 |
| 観光バス25両 | 25÷20=1.25 → 切り捨て1 → 1+1 | 2人 |
| 観光バス120両 | (120−100)÷30=0.66… → 切り捨て0 → 0+6 | 6人 |
タクシーでは39両と40両の間で必要な人数が1人から2人に変わります。路線バスと観光バスの両方を持つ営業所について、通達は乗合28両と貸切5両の合計33両の営業所の例を挙げ、貸切の定めに従って「33/20+1=2」としています。

複数いる営業所は統括運行管理者を選ぶ
一つの営業所で複数の運行管理者を選任する会社は、それらの業務を統括する「統括運行管理者」を選任しなければなりません(運輸規則47条の9第2項、輸送安全規則18条2項)。統括運行管理者は運行管理者の業務を統括します(運輸規則48条3項)。
また、国の通達は「運行管理者は、他の営業所の運行管理者又は本条第3項に規定する補助者を兼務することはできない。」としています(路線バスの管理の受委託などの例外はあります)。原則として、運行管理者は一つの営業所に1人ずつ張り付く形です。

補助者とは(運行管理者の業務を補助する人)
なれるのは資格者証を持つ人か、基礎講習を修了した人
運行管理者とは別に、会社は「補助者」を選任できます。運輸規則47条の9第3項は、資格者証を持つ人か、国土交通大臣が告示で定める講習で認定を受けたものを修了した人のうちから、「運行管理者の業務を補助させるための者(以下「補助者」という。)を選任することができる。」と定めています。トラックも輸送安全規則18条3項に同じ定めがあります。
NASVA の講習の案内には「基礎講習を修了した方については、運行管理者の補助者に選任することができます。」とあります(NASVA eラーニング講習)。資格者証がなくても、基礎講習を修了すれば補助者になれるということです。補助者を選ぶ場合、会社は選任方法と職務、遵守事項などを運行管理規程に明記しておく必要があります。
できるのは「補助」まで。代理はできない
補助者ができることの範囲は、通達にはっきり書かれています。
補助者は、運行管理者の履行補助を行う者であって、代理業務を行える者ではない。ただし、第24条の点呼に関する業務については、その一部を補助者が行うことができるものとする。
補助者は運行管理者の指導と監督のもとで補助業務を行います。そのうえで、補助業務の中で次のおそれを確認したら、直ちに運行管理者に報告し、運行してよいかどうかの指示を仰ぎ、その結果に基づいて運転者に指示しなければなりません(バス・タクシーの通達)。
- 運転者が酒気を帯びている
- 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができない
- 無免許運転
- 最高速度違反行為
トラックの通達では、無免許運転に「大型自動車等無資格運転」が加わり、「過積載運行」も入って5項目です。

点呼の3分の1以上は運行管理者自身が行う
補助者に点呼の一部を任せる場合にも上限があります。通達は次のように定めています。
補助者を選任し、点呼の一部を行わせる場合であっても、当該営業所において選任されている運行管理者が行う点呼は、点呼を行うべき総回数の少なくとも3分の1以上でなければならない。
たとえば、ある営業所で点呼を行うべき回数が合計90回だとすると、90÷3=30で、運行管理者が自分で30回以上の点呼をしなければなりません(回数は説明のための例です)。点呼をすべて補助者に任せきりにはできない、ということです。

補助者に講習の受講義務はない
NASVA の Q&A には「補助者には受講義務はございません。運行管理者として選任されている方のみが対象です。」とあります(NASVA 指導講習Q&A 共通)。後で書く定期的な講習は、運行管理者に選任されている人だけが対象です。
運行管理者になるには(資格者証を取る2つのルート)
運行管理者になるには、まず運行管理者資格者証が必要です。貨物自動車運送事業法17条1項(バス・タクシーは道路運送法23条の2第1項)は、国土交通大臣が資格者証を交付する相手を次の2つとしています。
一 運行管理者試験に合格した者 二 事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者

ルート1 運行管理者試験に合格する
試験を受けるには、試験の日の前日において、事業用自動車の運行の管理に関し1年以上の実務の経験があることが必要です(運輸規則48条の12第1項、輸送安全規則31条)。この経験は、国土交通大臣が認定した講習の修了で代えられます(同2項)。NASVA の Q&A の言い方では「試験を受けるための要件は、「基礎講習を修了している」または「運行管理関係の業務に 1 年以上携わっている」の 2 つになります。」です。
試験の出題は、事業法(トラックは貨物自動車運送事業法、バス・タクシーは道路運送法)、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法と、運行管理者の業務に必要な実務上の知識及び能力です(運輸規則48条の10、輸送安全規則29条)。運行管理者試験センターの案内から要点だけを並べると、次のとおりです(運行管理者試験センター 試験の概要)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方式 | CBT(筆記試験は実施しない)。年2回 |
| 試験時間・問題数 | 90分・30問 |
| 合格の基準 | 原則として総得点が満点の60%(30問中18問)以上、かつ分野ごとの正解数の基準を満たすこと |
| 費用(新規) | 受験手数料6,000円(非課税)+システム利用料660円(税込) |
| 令和8年度第1回の合格率 | 貨物41.1%、旅客42.7% |

合格したら、合格の日から3か月以内に資格者証の交付を申請します(運輸規則48条の6第3項、輸送安全規則25条3項)。試験センターは「3ヵ月以内に申請を行わないと合格は無効」と案内しています。交付手数料は270円(オンライン申請は260円)です。
ルート2 実務経験5年以上と講習5回以上
試験を受けずに資格者証をもらう道もあります。トラックの輸送安全規則24条1項は、運行の管理に関し「五年以上の実務の経験を有し、その間に、」国土交通大臣の認定を受けた講習を「五回以上受講した者」としています。通達は、講習のうち少なくとも1回は基礎講習を受講すること、基礎講習か一般講習を同じ年度に受講した場合は1回と数えることを定めています。
ここで言う実務経験について、通達は「運行管理者等として実際に運行管理に携わっていた経験」とし、「個人タクシー事業者としての経験は含まない。」としています。実務経験を証明する書類の例には、補助者として実際に運行管理に携わっていた経験について、その間に属していた会社が証明した書面が挙がっています。
バス・タクシーは取り方で使える資格者証が違う
バス・タクシーでは、取り方によって資格者証の種類が変わります。通達は「旅客自動車運送事業運行管理者資格者証は、運行管理者試験を合格した者に交付するものであり、その他の種類の資格者証は、第48条の5第1項に規定する一定の実務の経験その他の要件を備える者に交付するものである。」としています。
| 取り方 | 資格者証 | 運行管理者になれる営業所 |
|---|---|---|
| 試験に合格 | 旅客自動車運送事業運行管理者資格者証 | 路線バス・観光バス・タクシーのどれでも |
| 一般乗合の実務5年+講習5回 | 一般乗合旅客自動車運送事業運行管理者資格者証 | 路線バス |
| 一般乗用の実務5年+講習5回 | 一般乗用旅客自動車運送事業運行管理者資格者証 | タクシー |
運輸規則47条の9第1項の表で、観光バス(一般貸切)の営業所に選任できるのは「旅客自動車運送事業運行管理者資格者証」だけです。国土交通省のページの表でも、実務経験のルートには「(貸切を除く)」と書かれています。観光バスの運行管理者を目指すなら、試験のルートになります。

ドライバーの乗務経験は「実務経験」になるか
ドライバーとしていちばん気になるのは、長く乗務してきた経験が受験資格の「1年以上の実務の経験」や、ルート2の「5年以上の実務の経験」に数えられるかどうかでしょう。条文と通達を読んだ範囲では、ここに答えは書かれていません。通達にあるのは「運行管理者等として実際に運行管理に携わっていた経験」という言い方だけで、乗務経験だけで数えられるとは読めません。一方で、補助者として運行管理に携わった経験は、証明書類の例に挙がっています。
試験センターの案内によると、実務経験で申し込む場合は、実務経験承認者からのメールによる承認が必要です。自分の経験が当たるかどうかは、承認者になる会社の担当者と、試験センターに確かめてください。はっきりしない場合は、基礎講習を修了して受験資格を得るのが確実です。試験センターも、会社が倒産して実務経験の証明を受けられない場合は、試験の種類に応じた基礎講習を受講するよう案内しています。
選任されたら講習を受ける義務(運輸規則48条の4)
会社が講習を受けさせる3つの対象
運行管理者に選任されると、講習を受けることになります。義務を負うのは会社で、運輸規則48条の4第1項(トラックは輸送安全規則23条1項)は、次の運行管理者に国土交通大臣の認定を受けた講習を「受けさせなければならない」と定めています。
- 死者もしくは重傷者が生じた事故を引き起こした車の運行を管理する営業所、または輸送の安全に係る処分の原因となった違反行為が行われた営業所で選任している者
- 運行管理者として新たに選任した者
- 最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者
3つ目により、選任されている運行管理者は定期的に講習を受けることになります。国土交通省のページは「自動車運送事業者は、選任する運行管理者について、運行管理者講習を2年に1回受講させなければいけません。」と説明しています。

転職すると新しい会社で「新たに選任」になる
通達は「新たに選任した運行管理者」について、その会社で初めて選任された人のことで、「他の事業者において運行管理者として選任されていた者であっても当該事業者において運行管理者として選任されたことがなければ新たに選任した運行管理者とする。」としています。運行管理者として転職した場合、新しい会社では新たに選任された扱いです。
NASVA の案内には、会社で新たに(その会社で初めて)運行管理者に選任され、以前に基礎講習を受講していない人は、選任届出をした年度内に基礎講習の受講が必要と書かれています。
講習の種類と時間・料金
国土交通省のページには、講習の種類が次のように整理されています。
| 種類 | 対象者 | 講習時間 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 基礎講習 | 運行管理者及び補助者になろうとする者 | 16時間 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する必要な基礎知識の習得 |
| 一般講習 | 運行管理者 | 5時間 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する知識の習得 |
| 特別講習 | 事故を惹起した運行管理者 | 13時間 | 事故の再発防止を図るための知識の習得 |
NASVA の e ラーニング講習の受講料は、基礎講習が9,560円(税込)、一般講習が3,860円(税込)です。どちらもテキストの配送料660円(税込)を含みます(NASVA 指導講習Q&A eナスバ)。e ラーニングは1日に受けられるのが6単元までなので、基礎講習は最短でも修了まで3日かかります。対面の基礎講習は3日間連続で、途中で早退すると未修了になります(NASVA 指導講習Q&A 対面講習)。講習は NASVA のほか、国土交通大臣が認定した機関でも行われています。

受講料の助成については、NASVA の Q&A は、バス協会やトラック協会などの団体の助成金は各都道府県の団体によって対応が違う、としています。
資格者証を持っているだけなら受講義務はない
NASVA の Q&A には、資格者証を取った人は講習を受けないといけないのか、という質問に対して「運行管理者資格者証のみを持っている方には、受講義務はありません。講習会を定期的に受ける義務は自動車運送事業者において運行管理者に選任されている方のみに発生します。」と答えています。資格者証を取っておいて、まだ選任されていない間は、講習の義務はかかりません。
なお、資格者証を持つ人が法律や命令に違反したときは、国土交通大臣が資格者証の返納を命じることができます(貨物自動車運送事業法18条、道路運送法23条の3)。返納を命じられてから5年を経過しない人には資格者証を交付しないことができ、補助者にも選任できません。
ドライバーからのキャリアとして見た運行管理者
法令の上でつながっている道筋
ここまでの条文をドライバーの側から並べ直すと、運転者から運行管理者までの道筋は、法令の上でつながっています。
- 運転者として乗務し、点呼を受ける側で仕事の流れを知る
- 基礎講習を修了する。補助者に選任できる人になり、同じ種類の運行管理者試験の受験資格も得る
- 補助者として、運行管理者の指導と監督のもとで点呼の一部などを行う
- 運行管理者試験に合格し、3か月以内に資格者証の交付を申請する
- 運行管理者に選任される。その後は会社が講習を受けさせる
試験センターの案内では、基礎講習(貨物)は運行管理者試験(貨物)の、基礎講習(旅客)は運行管理者試験(旅客)の受験資格になります。タクシーやバスで働く人は旅客、トラックで働く人は貨物を選ぶことになります。


ドライバーのうちに役立つこと
運行管理者の仕事は、ドライバーが毎日受けている点呼の裏側です。運転者の側にも、点呼を受けて報告すること、酒気を帯びているときや体調が悪いときはその旨を申し出ることが、運輸規則50条1項で義務づけられています。点呼で何を聞かれ、何を記録されているかを知っておくと、補助者や運行管理者になったときに、そのまま仕事の基礎になります。
タクシーとバスのどちらで働くかを考えている人はタクシーとバスの比較を、バスの運転に必要な免許は大型二種免許の取り方と費用を、タクシーの二種免許は二種免許の取り方と費用を参考にしてください。

運行管理者の給料の統計は見つからなかった
運行管理者の年収や資格手当について、公的な統計を探しましたが、確認できた範囲では見つかりませんでした。厚生労働省の賃金構造基本統計調査にも「運行管理者」という職種の区分は見当たりません。求人に書かれた額は会社ごとにばらばらなので、この記事では数字を書いていません。タクシー運転手の給料の統計はタクシー運転手の給料にまとめています。
よくある質問
Q. 運行管理者はどの会社にも必要ですか?
トラックの一般貨物自動車運送事業者と、バス・タクシーの一般旅客自動車運送事業者に選任の義務があります(貨物自動車運送事業法16条、道路運送法23条)。タクシーは運輸規則47条の9の表で、5両以上の車の運行を管理する営業所が対象です。
Q. タクシー100両の営業所には何人必要ですか?
100÷40=2.5で、端数を切り捨てて2、これに1を足して3人です。国の通達の早見表でも80両から119両は3人です。
Q. 補助者だけで点呼をしてもいいですか?
できません。補助者ができるのは点呼の一部で、運行管理者が行う点呼は総回数の少なくとも3分の1以上でなければならないと、国の通達で決められています。補助者は代理業務もできません。
Q. 補助者になるには試験に合格する必要がありますか?
必要ありません。資格者証を持つ人のほか、国土交通大臣が認定した基礎講習を修了した人も補助者に選任できます(運輸規則47条の9第3項、輸送安全規則18条3項)。
Q. ドライバーの経験だけで試験を受けられますか?
受験資格は運行の管理に関する1年以上の実務の経験か、基礎講習の修了です。乗務経験だけが「実務の経験」に数えられるかは、条文と通達には書かれていません。基礎講習を修了すれば、実務経験がなくても受験資格を得られます。
Q. 資格者証を取ったら講習を受けないといけませんか?
資格者証を持っているだけなら受講義務はありません。講習を受ける義務は、会社で運行管理者に選任されている人について会社に発生します(NASVA 指導講習Q&A)。
Q. 講習の費用はいくらですか?
NASVA の e ラーニングでは、基礎講習が9,560円、一般講習が3,860円です(どちらも税込、テキスト配送料660円を含む)。対面講習と民間の認定機関の料金は、この記事では確認できていません。
Q. 合格したあと、いつまでに申請すればいいですか?
合格の日から3か月以内に資格者証の交付を申請します(運輸規則48条の6第3項、輸送安全規則25条3項)。申請しないと合格は無効になります。
Q. 実務5年と講習5回で取った資格者証で観光バスの運行管理者になれますか?
なれません。観光バス(一般貸切)の営業所に選任できるのは、試験に合格して交付される旅客自動車運送事業運行管理者資格者証だけです(運輸規則47条の9第1項の表)。
まとめ
運行管理者は、運送会社が営業所ごとに、資格者証を持つ人の中から選ばなければならない安全の責任者です。点呼、乗務割、乗せない判断、指導監督、記録の管理が仕事の中心で、必要な人数はタクシー・路線バスが車両数÷40+1、トラックが÷30+1、観光バスは19両以下でも2人です。補助者は基礎講習の修了でなれますが、できるのは点呼の一部までで、運行管理者自身が総回数の3分の1以上の点呼を行います。
なり方は、試験に合格するか、実務経験5年以上と講習5回以上の2通りで、観光バスは試験のルートだけです。選任されたら会社が講習を受けさせ、資格者証を持っているだけなら講習の義務はありません。ドライバーから見れば、基礎講習、補助者、試験、選任という道筋が法令の上でつながっています。
参考にした一次情報
いずれも2026年9月25日に確認しました。
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov 法令検索)
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov 法令検索)
- 道路運送法(e-Gov 法令検索)
- 旅客自動車運送事業運輸規則(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省「運行管理者について」
- 国土交通省「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」
- 国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」
- 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)eラーニング講習
- NASVA 指導講習Q&A(共通)
- NASVA 指導講習Q&A(対面講習)
- NASVA 指導講習Q&A(eナスバ)
- 運行管理者試験センター「試験の概要」
自分の経験が受験資格に当たるか、講習をいつ受けるかは、勤め先の会社と運行管理者試験センター、講習機関に直接確かめてから進めてください。





