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手順ごとの決まりは、e-Govに載っている旅客自動車運送事業運輸規則・道路運送車両法・自動車点検基準・労働基準法・タクシー業務適正化特別措置法の条文、国土交通省の通達、厚生労働省の改善基準告示の資料、東京タクシーセンターの冊子で確かめました。いずれも2026年9月29日に確認しています。
タクシーの求人を見ると「隔日勤務」「1乗務」という言葉が出てきます。けれども、出社してから家に帰るまでに運転以外で何をするのかは、あまり書かれていません。点呼で何を聞かれるのか、車のどこを点検するのか、休憩は何時間とれるのか、帰ってから何をすれば仕事が終わるのか。応募する前に知っておきたいのは、こうした細かい段取りだと思います。
この記事では、隔日勤務の1回の乗務を出社から退勤まで9つの手順に分けて、順番に説明します。それぞれの手順には、どの法令のどの条で決まっているかを添えました。会社ごとに違う部分は「会社ごと」と書き分けています。筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろの体験も、当時の一例として加えました。
月の休みの数や明けの日の過ごし方、年収はタクシー運転手の生活に、勤務表の組まれ方と月の出番の数はタクシーのシフトと勤務表に書いています。この記事は「1回の乗務の中身」だけを扱います。

先に結論。運転の前にも後にも決まった手順がある
- 隔日勤務の1乗務は、日付をまたいで2日にかかる。拘束時間の上限は2暦日で22時間、2回の平均で21時間です(改善基準告示)。
- 出社したら、まずアルコール検知。検知器は営業所ごとに置く決まりで、乗務の前とあとの2回確かめます(運輸規則24条4項)。
- 日常点検は1日1回、運行を始める前。タクシーのような事業用の車は、道路運送車両法47条の2第2項でそう決まっています。
- 乗務前の点呼で確かめるのは、点検・酒気・体調の3つ。そのうえで運行の指示を受けます(運輸規則24条1項)。
- 休憩3時間という法令の決まりはない。労働基準法34条は、6時間を超えれば45分、8時間を超えれば1時間以上です。
- 帰ってからも仕事は残る。納金と洗車のほかに、乗務後の点呼、日報の記録、乗務員証の返還があります。

図の9つは、法令で決まっている手順と、会社ごとにやり方が違う手順がまざっています。点呼、点検、日報、回送板、乗務員証は条文があります。納金の方法や洗車をだれがするかは、法令では決まっていません。このあと1つずつ、その区別をつけながら説明します。
1乗務の長さ。隔日勤務の上限は2暦日22時間
手順に入る前に、1回の乗務がどのくらいの長さになるのかを確認しておきます。上限を決めているのは、厚生労働省の改善基準告示です。2024年4月1日から、いまの数字が使われています。
隔日勤務とは、告示の言葉では「始業及び終業の時刻が同一の日に属さない業務」のことです。朝に出社して、日付が変わった翌日の未明や朝に仕事を終える働き方を指します。
この働き方の拘束時間は、2暦日で22時間までです。さらに、2回の乗務を平均して1回あたり21時間を超えてはいけません。1か月の合計は262時間までで、労使協定があれば1年のうち6か月までは270時間まで延ばせます。
ここで大事なのは、拘束時間には休憩時間も入ることです。厚生労働省の説明では、拘束時間は「労働時間」と「休憩時間」を足したもので、会社に出社してから退社するまでの時間です。休憩を長くとっても、22時間の枠そのものは広がりません。

乗務を終えたあとは、次の始業まで休息期間をとります。継続24時間を与えるよう努めるのが基本で、どんな場合も継続22時間を下回ってはいけません。
時刻に当てはめるとどうなるか
数字だけでは分かりにくいので、計算のために始業を朝9時と仮に置いてみます。22時間の上限にぶつかるのは、9に22を足して31時間目、つまり翌朝7時です。2回平均の21時間にそろえるなら、30時間目の翌朝6時になります。
翌朝7時に仕事を終えたとすると、休息24時間の基本どおりなら、次の始業はその翌朝7時です。下限の22時間なら、その翌朝5時まで早められます。実際の始業と終業の時刻は、会社が作る勤務表で決まります。

手順1 出社したらアルコール検知
営業所に着いて最初にするのは、息を吹きかけてアルコールを測ることです。運輸規則24条4項は、事業者にアルコール検知器を営業所ごとに備え、いつでも使える状態に保つよう求めています。
同じ項は、酒気帯びの確認のやり方も決めています。運転者の様子を目で見て確かめるだけでは足りず、その運転者が所属する営業所の検知器をあわせて使わなければなりません。確かめるのは乗務の前だけではありません。乗務を終えたときの点呼でも、同じように検知器を使います。
法令のうえでは、この酒気帯びの確認は、乗務前と乗務後の点呼の中で行うものとされています。酒気を帯びた人を乗務させてはいけないのは、事業者の義務です(21条4項)。運転者の側にも、酒気を帯びているときは自分から会社に申し出る義務があります(50条1項3号)。

筆者の勤め先では、検知した時刻が出勤時刻だった
筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろ、勤め先の営業所には床に置く大型の検知器がありました。息を吹くと紙が出てきて、日付と時刻が印字されます。この時刻が、その日の出勤時刻として扱われていました。
出勤できる時刻にも枠がありました。朝6時から9時までが早番、10時から13時30分までが遅番で、その中の決められた時刻に出社します。これは当時の勤め先の決まりです。何時に出社するかは会社と勤務表しだいで、全国で共通のルールはありません。
手順2 日常点検。1日1回、走り出す前に
次は担当する車の点検です。道路運送車両法47条の2第1項は、車の使用者に、灯火装置の点灯やブレーキの作動など、日常的に点検すべき事項を目視などで点検するよう求めています。
自家用車なら「走行距離や運行時の状態から判断した適切な時期」でよいのですが、タクシーのような自動車運送事業の車は違います。同じ条の2項で、1日1回、その運行の開始前に点検しなければならないと決まっています。点検で不具合が見つかり、保安基準に合わなくなるおそれがあるときは、必要な整備をしなければなりません(3項)。
何を点検するかは、自動車点検基準の別表第1に並んでいます。事業用自動車の日常点検基準で、点検する箇所は次の8つです。
| 点検箇所 | 主な点検内容(別表第1) |
|---|---|
| ブレーキ | ペダルの踏みしろと効き、ブレーキ液の量、駐車ブレーキの引きしろ |
| タイヤ | 空気圧、亀裂や損傷、異状な摩耗、溝の深さ |
| バッテリ | 液の量 |
| 原動機 | 冷却水の量、ファンベルトの張りと損傷、エンジンオイルの量、かかり具合と異音、低速と加速の状態 |
| 灯火装置と方向指示器 | 点灯や点滅の具合、汚れと損傷 |
| ウインドウォッシャとワイパー | 液の量と噴射の状態、ふき取りの状態 |
| エアタンク | 凝水がないか |
| 運行中に異状があった箇所 | その箇所に異状がないか |
基準の注には、印の付いた一部の項目(溝の深さ、バッテリ、原動機の各項目、ウォッシャ液とワイパー)は、走行距離や運行時の状態から判断した適切な時期に行えば足りると書かれています。また、エアタンクやブレーキの空気圧の項目は空気ブレーキの車のためのもので、タクシーの乗用車に当てはまらない項目もあります。

運転者の側から見ると、運輸規則50条1項1号が「点検をし、又はその確認をすること」を運転者の義務にしています。整備の担当者が点検する会社もありますが、その場合でも運転者は点検されたことを確認してから乗ります。
筆者が当時見ていた箇所
筆者の勤め先では、出社したあと自分の担当車両を見て回りました。車体の傷や凹み、ライトの異常や球切れ、バッテリー、ウォッシャータンク、タイヤ、ラジエーターの冷却装置、エンジンオイルです。おかしなところがあれば報告し、なければ点検は終わりでした。
いま国の基準と並べてみると、灯火、バッテリ、ウォッシャ、タイヤ、冷却水、オイルは基準の項目と重なります。一方で、基準の最初に書かれているブレーキの効きは、筆者が当時書いた一覧には入っていませんでした。これから乗る人は、別表第1の順番で見ると抜けが減ります。

手順3 乗務前の点呼で確かめる3つ
点検が済んだら点呼です。点呼は、会社が運転者一人ひとりに対して行い、その日に乗務させてよいかを判断する手続きです。運輸規則24条1項は、乗務しようとする運転者に対して、対面か、国が定めた対面と同じ効果のある方法で点呼を行い、次の3つについて報告を求め、確かめるよう事業者に求めています。
- 日常点検を実施したか、またはその確認をしたか
- 酒気帯びの有無
- 病気、疲れ、睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無
そのうえで、運行の安全を確保するために必要な指示を与えます。運転者には、この点呼を受けて報告する義務があり(50条1項2号)、体調が悪くて安全に運転できないおそれがあるときは申し出なければなりません(同項3号の2)。会社には、健康状態を把握し、安全に運転できないおそれのある人を乗務させない義務があります(21条5項)。

点呼は記録に残り、1年間保存される
点呼は口頭のやりとりで終わりではありません。24条5項は、点呼をしたこと、報告と確認と指示の内容、点呼をした人と受けた人の名前、車を識別できる番号、日時、方法などを運転者ごとに記録し、1年間保存するよう求めています。
国土交通省の通達(平成14年1月30日)には、乗務前の点呼で記録しておく項目の例として、点呼執行者名、日時、方法、運転者名、疾病や疲労や飲酒などの状況、乗務する車の番号、日常点検の状況、指示事項が挙げられています。同じ通達は、早朝や深夜に点呼をする人が営業所にいないことは、電話などで済ませてよい理由にならないとも書いています。

筆者の勤め先の点呼
筆者はいつも9時に出庫していたので、点呼も9時でした。当時の勤め先では、全員を集めて連絡事項を伝える形の日と、管理者と1対1で「今日の体調はどうですか」と聞かれる形の日がありました。
全員で集まる形は朝礼に近く見えますが、法令上の点呼の中身は上の3つの確認と指示です。連絡事項の伝達は、会社がそれに合わせて行っているものです。点呼では運転免許証を見せ、乗務員証とETCカードを受け取ってから車に向かいました。
手順4 乗務員証か運転者証を持って出庫する
出庫するときには、自分がその会社の運転者であることを示すものを車に持ち込みます。どれを使うかは、営業所のある地域で分かれます。
運輸規則37条3項は、タクシー会社に、写真を貼った乗務員証を運転者に持たせるよう求めています。乗務員証には作成番号、会社の名前、運転者の名前、運転免許の有効期限が載ります。運転者は乗務中これを持ち、乗務を終えたら返します(50条9項)。
タクシー業務適正化特別措置法で運転者証の表示が必要な地域では、乗務員証の代わりに運転者証を車に表示します(同法13条)。同法の施行規則12条で、運転者証は前面ガラスの内側に、表を車の外に向けて、利用者に見やすいように表示すると決まっています。

東京タクシーセンターの街頭営業ハンドブックには、運転者証の掲出からETCカードの挿入までを出庫前の決まった手順にしていたのに、担当ではない車に乗った日にETCカードを差し忘れてしまった苦情の事例が載っています。出庫前の手順は、毎回同じ順番でこなすと抜けが出にくくなります。
手順5 営業中に運転者が守ること
出庫したら、流し、駅や乗り場での客待ち、無線やアプリの配車でお客さんを乗せて走ります。営業のしかたはタクシー運転手の仕事内容に書いているので、ここでは営業中の決まりだけを取り上げます。
- 体調が悪くなったら申し出る。運行中に病気、疲れ、睡眠不足、天災などで安全な運転を続けられないおそれがあるときは、会社に申し出ます(50条1項3号の3)。
- 重大な故障に気づいたら止める。重大な故障を見つけたときや、重大な事故のおそれがあると認めたときは、ただちに運行を中止します(50条1項4号)。
- 指定地域では走れる距離に上限がある。地方運輸局長が定める乗務距離の最高限度を超えて乗務してはいけません(22条・50条8項)。

関東の指定地域では、隔日勤務1乗務365kmまで
関東運輸局長の公示(平成21年12月17日)は、東京、神奈川、千葉、埼玉の指定された交通圏について、1乗務あたりの乗務距離の最高限度を隔日勤務は365km、日勤は270kmとしています。1乗務とは、出庫から帰庫までの続いた勤務のことです。
高速自動車国道と自動車専用道路を使った距離は差し引けますが、首都高の道は差し引けません。差し引いたときは、路線名、走った区間、距離、時刻、料金を乗務記録に書きます。

国土交通省の通達は、この上限の決め方の例として、1日1車あたりの走行可能時間を「最大拘束時間−(日常点検+点呼・納金+休憩時間)」と置いています。国の考え方でも、1乗務の中には点検、点呼、納金、休憩の時間が最初から入っているということです。
筆者の営業の日々
当時の乗務は、日によってまったく違いました。何事もなく終わる日もあれば、警察が関わる出来事に出くわした日もありました。
手順6 休憩。回送板を出して休む
長い乗務の途中で、食事や休憩をとります。休んでいる間は客を乗せられないので、運転者は回送板を出します。運輸規則50条6項は、食事や休憩のために客を乗せられないとき、または乗務を終えて車庫や営業所に戻るときに、回送板を出さなければならないとしています。
逆に、7項はそれ以外の場面で回送板を出すことを禁じています。回送板は「いまは乗せられない理由がある」ことを示す表示なので、決まった場面でしか使えません。

休憩の長さは法令でどう決まっているか
休憩の長さの下限を決めているのは労働基準法34条です。労働時間が6時間を超えるときは少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければなりません。休憩時間は自由に使わせる決まりです。
「タクシーの隔日勤務は休憩3時間」という説明をよく見かけますが、休憩3時間という数字は、労働基準法にも改善基準告示にもありません。会社が就業規則や勤務のルールで決めている数字です。休憩時間は拘束時間に入るので、休憩を長くとれば、そのぶん22時間の枠の中で走れる時間は短くなります。

会社には、営業所や車庫の近くに休憩の施設を整え、場合によっては睡眠や仮眠の施設も整えて、管理する義務があります(運輸規則21条2項)。休憩や仮眠をしたときは、その地点と日時を日報に書きます(25条1項5号)。国の通達では、10分未満の休憩は記載を省いてもよく、途中で8時間以上車を離れた場合はそこで乗務が終わったとみなすとしています。
筆者の休憩のとり方
当時の勤め先では、隔日勤務の休憩は合わせて3時間というルールでした。どこで何分ずつ使うかは運転者に任されていて、筆者は家に戻ることもあれば、駐車場のあるコンビニで休むこともありました。10分で切り上げる日もあれば、家で2時間ほどしっかり休む日もありました。
困ったのはトイレです。コンビニや公園を借りていましたが、都心のコンビニには駐車場がない店が多く、路上に止めて駐車違反を取られるのが心配で、なるべく避けていました。都心の湾岸にはタクシーがたくさん集まる休憩施設があり、食堂、コンビニ、トイレがそろっていたので、よく使っていました。
手順7 帰庫。乗務の時間が残り少なくなったら戻る
営業を終えるときは、回送板を出して営業所に戻ります。東京タクシーセンターの冊子は、運送を引き受けると決められた乗務時間や乗務距離を超えてしまう場合について、乗務時間が残り少なくなったときは回送板を出して帰庫するよう書いています。
帰りの時刻は、始業の時刻と2暦日22時間の上限から逆算して決まります。上限ぎりぎりまで走ってしまうと、帰ってからの作業の時間がなくなるので、実際には納金や洗車、点呼の時間を残して戻ることになります。
車を次の運転者に引き継ぐときは、乗務中の車、道路、運行の状況を交替する運転者に伝えます(50条1項8号)。引き継ぐ側の運転者は、ブレーキや走行装置など重要な部分の機能を点検します。
手順8 納金と洗車
営業所に戻ったら、その日の売上を納めます。納金の手順を定めた法令の条文は見当たらず、方法は会社ごとです。先ほどの通達の算出例に「点呼・納金」の時間が入っていることから、国も納金を1乗務の中の作業として見ていることが分かります。
筆者の勤め先では、その日の売上を計算して、納金用の機械に入れていました。高速代やクレジットカードで払われた分と、現金で受け取った分を分けて計算し、それぞれ納めます。

洗車はだれがするのか
運輸規則44条は、事業者に事業用自動車を常に清潔に保つよう求めています。国の通達は、この条について「その方法については特に問うものではない」と書いています。つまり、車をきれいにする責任は会社にあり、運転者が自分で洗うか、ほかの人に頼むかは法令では決まっていません。
筆者の勤め先では、洗車を人に頼むことができました。頼み先は、料金を相談して会社の人に洗ってもらうか、タクシー専門の洗車業者に出すかのどちらかです。筆者は8割くらいを業者に頼んでいました。業者の料金は1回1,000円で、スタンプカードの7回目は半額の500円でした。
業者は3〜5人で手分けしていて、1台10分くらいで仕上がりました。洗っている間は待合室で待っていました。テレビがあり、熱いおしぼりも出てきました。

手順9 乗務後の点呼と日報、乗務員証の返還
納金と洗車が済んでも、まだ退勤ではありません。運輸規則24条2項は、乗務を終えた運転者にも点呼を行い、乗務した車、道路、運行の状況について報告を求め、酒気帯びの有無を確かめるよう求めています。出社したときと同じく、営業所の検知器を使います。
乗務後の点呼で報告するのは、たとえば車の不具合、通った道路の状況、運行中に起きたことです。次にその車に乗る人や、会社の運行管理に必要な情報になります。記録は乗務前の点呼と同じく1年間保存されます。
日報(業務記録)に書くこと
乗務の内容は、業務記録に書きます。一般に日報や乗務記録と呼ばれているものです。運輸規則25条3項は、タクシー会社に、1項1号から7号の事項に加えてお客さんが乗った区間と、走行距離計に表示された業務の開始時と終了時の積算キロ数を運転者ごとに記録させ、車ごとに整理して1年間保存するよう求めています。
| 日報に書く項目 | 条文 |
|---|---|
| 運転者の名前、車の番号 | 25条1項1号・2号 |
| 業務の開始と終了の地点と日時、主な経過地点、走った距離 | 25条1項3号 |
| 交替したときの地点と日時 | 25条1項4号 |
| 休憩や仮眠をしたときの地点と日時 | 25条1項5号 |
| 睡眠の施設で眠ったときの施設の名前と位置 | 25条1項6号 |
| 事故や大きな遅れがあったときの概要と原因 | 25条1項7号 |
| お客さんが乗った区間 | 25条3項 |
| 業務の開始時と終了時の走行距離の積算キロ数 | 25条3項 |
記録するのは運転者の義務です(50条1項9号)。一部の項目は、運行記録計の記録で代えられる場合があります(25条4項)。

最後に、乗務中に持っていた乗務員証を会社に返します(50条9項)。ここまで済んで、ようやく1回の乗務が終わります。筆者の場合は、洗車を待って車を戻し、納金を済ませてから退勤していました。
乗務を終えてから次の乗務まで
隔日勤務では、乗務を終えた日を「明け」と呼びます。告示のうえでは、乗務のあとには継続24時間を基本とし、22時間を下回らない休息期間が必要です。休日は、隔日勤務の場合は継続46時間を下回らないようにする必要があると厚生労働省のパンフレットは書いています。

明けの日の過ごし方、月に何回乗るか、何日休めるか、年収がどのくらいかは、タクシー運転手の生活とタクシーのシフトと勤務表で詳しく書いています。残業代や深夜の割増賃金、36協定の上限はタクシーの36協定を見てください。
入社前に会社に聞いておきたいこと
ここまでの手順のうち、法令で決まっているのは点呼、点検、日報、回送板、乗務員証です。これらはどの会社でも同じです。会社によって差が出るのは、次のような点です。
- 出社の時刻と勤務表。始業の時刻は何種類あるか、帰庫の時刻の目安は何時か。
- 休憩の決まり。合計で何時間とるルールか。休憩施設や仮眠室はあるか。
- 日常点検のやり方。運転者が全部見るのか、整備の担当者が見るのか。
- 納金の方法。機械に入れるのか、窓口で渡すのか。キャッシュレスの分はどう扱うか。
- 洗車。自分で洗うのか、頼めるのか。頼むときの費用はだれが持つのか。
- 点呼の形。対面か、国が認めた方法を使うのか。
面接でこれらを聞いておけば、入社してからの1日の段取りがかなり具体的に見えてきます。とくに休憩の時間と洗車の費用は会社で差が出やすいところなので、数字で確かめておくと安心です。
この記事で訂正したこと
この記事は2019年2月14日に公開したものを、2026年9月29日に書き直しました。以前の版には、法令の決まりと会社の決まりを混同した記述がありました。主なものを並べます。
| 以前の版の記述 | いまの事実 |
|---|---|
| 長時間勤務なので3時間の休憩が義務付けられている | 休憩3時間という法令の規定はない。労働基準法34条は6時間超で45分、8時間超で1時間以上。3時間は筆者の勤め先のルール |
| 出勤は朝6時から13時30分のあいだで、同じような会社も多い | 筆者の勤め先の例。全国共通なのは改善基準告示の上限(2暦日22時間など) |
| 点呼は簡単に言えば朝礼のようなもの | 点呼は運輸規則24条1項で、日常点検、酒気帯び、病気や疲れや睡眠不足を確かめて指示を与え、記録を1年保存する手続き |
| 帰ったらやることは納金と洗車の2つ | このほかに乗務後の点呼(24条2項)、日報の記録(25条)、乗務員証の返還(50条9項)がある |
| 法律でタクシーや輸送業の人はアルコール検査が義務 | タクシーは運輸規則24条4項で、営業所の検知器を使い乗務の前とあとに確かめる。ほかの業種の決まりはこの記事では扱わない |
また、以前の版にあった休憩施設の名前と、施設の食堂についての感想は削除しました。

よくある質問
タクシー運転手は出社してすぐに運転できますか
できません。アルコール検知、日常点検、乗務前の点呼を済ませてから出庫します。点呼では日常点検の実施、酒気帯びの有無、病気や疲れや睡眠不足で安全に運転できないおそれの有無を確かめられ、運行の指示を受けます(運輸規則24条1項)。
隔日勤務の1回の乗務は何時間ですか
拘束時間の上限は2暦日で22時間、2回の平均で1回21時間です(改善基準告示、2024年4月1日から)。休憩時間も拘束時間に入ります。実際の始業と終業の時刻は会社の勤務表で決まります。
休憩は必ず3時間とれるのですか
休憩3時間は法令の数字ではなく、会社のルールです。労働基準法34条は、労働時間が6時間を超えれば少なくとも45分、8時間を超えれば少なくとも1時間の休憩を義務づけています。何時間の休憩を決めているかは会社に確かめてください。
アルコールチェックは1日に何回ありますか
少なくとも乗務の前と、乗務を終えたときの2回です。運輸規則24条4項で、営業所に備えたアルコール検知器を使い、運転者の様子を目で見る確認とあわせて行うと決まっています。
日常点検では車のどこを見ますか
自動車点検基準の別表第1に、ブレーキ、タイヤ、バッテリ、原動機、灯火装置と方向指示器、ウインドウォッシャとワイパー、エアタンク、運行中に異状があった箇所の8つが並んでいます。タクシーのような事業用の車は、1日1回、運行の開始前に点検します。
洗車は運転者が自分でしなければいけませんか
法令では決まっていません。運輸規則44条は会社に車を清潔に保つ義務を課していますが、国の通達は方法を問わないとしています。自分で洗う会社も、人に頼める会社もあります。筆者の当時の勤め先では、会社の人か洗車業者に頼むことができました。
日報には何を書きますか
運転者の名前、車の番号、業務の開始と終了の地点と日時、主な経過地点、走った距離、休憩や仮眠の地点と日時、事故などの概要と原因に加え、タクシーではお客さんが乗った区間と走行距離の積算キロ数を書きます(運輸規則25条)。会社が1年間保存します。
回送板はいつ出してよいのですか
食事や休憩で客を乗せられないときと、乗務を終えて車庫や営業所に戻るときです。それ以外の場面で出すことは運輸規則50条7項で禁じられています。
まとめ
隔日勤務の1回の乗務は、運転の前にも後にも決まった手順があります。その多くは、運輸規則や道路運送車両法の条文で決まっています。
- 1乗務の拘束時間は2暦日で22時間まで、2回平均で21時間。休憩も拘束時間に入る
- 出社したらアルコール検知。検知器は営業所ごとにあり、乗務の前とあとの2回
- 日常点検は1日1回、運行の開始前。点検箇所は自動車点検基準の別表第1の8つ
- 乗務前の点呼で、点検・酒気・体調の3つを確かめて指示を受ける。記録は1年保存
- 乗務員証を持って出庫し、終わったら返す。対象地域では運転者証を前面ガラスに表示
- 関東の指定地域では、隔日勤務の1乗務は365kmまで
- 休憩中と帰庫のときは回送板を出す。休憩の長さの下限は労働基準法34条で、3時間は会社のルール
- 帰ってから納金と洗車。やり方は会社ごと
- 乗務後の点呼で車・道路・運行の状況を報告し、日報を書いて退勤
法令の内容は、ここに書いた2026年9月29日の時点のものです。出社の時刻、休憩の時間、洗車や納金のやり方は会社で違うので、応募する会社には面接で具体的に確かめてください。




