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厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年(2026年3月24日公開)の原表と、厚生労働省・国土交通省・警察庁・法務省の資料、日本バス協会の公表資料を、2026年9月25日に確認して書いています。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算した値で、税金と社会保険料を引く前の額です。実際の給与は会社・営業所・勤務の形で変わるので、応募する前に求人票と会社の説明で確かめてください。
バス運転手の年収は、国の統計で計算すると453.1万円です。全産業の平均より92.5万円低く、そのうえ月の労働時間は25時間長い。一方で、会社の大きさや都道府県、年齢によって100万円を超える差があり、平均だけを見ても自分の場合の年収の見当はつきません。
この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年の原表から、バス運転手の年収を月給と賞与に分けて計算し、年齢・経験年数・会社の大きさ・都道府県・月給のばらつきまで数字で並べました。あわせて、バス運転手の労働時間のルール(改善基準告示)、バス運転手になるにはどの免許が要るか、路線バスと観光バスの違い、国が進めている運転者確保の施策も、それぞれの一次情報の原文で確認しています。
統計の職種名は「バス運転者」です。以下、統計の数字を書くところでは「バス運転者」、仕事の話では「バス運転手」と書きます。タクシー運転手との比較は、別の記事のタクシーとバスの年収と働き方の比較にまとめているので、この記事ではバスだけを扱います。

バス運転手の年収は453.1万円(令和7年の国の統計)
月給328.4千円と賞与590.1千円から計算
賃金構造基本統計調査は、年収そのものを発表していません。発表されているのは、毎月の給与にあたる「きまって支給する現金給与額」と、前の年1年間の「年間賞与その他特別給与額」です。そこで、この2つから年収を計算します(令和7年(職種)第1表)。
令和7年のバス運転者(男女計・企業規模計)は、きまって支給する現金給与額が328.4千円、年間賞与その他特別給与額が590.1千円でした。328.4×12+590.1=4,530.9千円で、年収は453.1万円です。なお、この計算の453.1万円を「453万1,900円」と書いているページもありますが、4,530.9千円は453万900円で、計算が合いません。
きまって支給する現金給与額には、残業代や深夜手当が入っています。基本給などの所定内給与額は262.8千円で、残りの65.6千円が残業代・深夜手当などです。全産業では所定内以外が29.9千円なので、バス運転者は月給の中で残業代などが占める分が大きいことが分かります。

| 項目 | バス運転者 | 全産業 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 56.0歳 | 44.4歳 |
| 所定内実労働時間 | 168時間 | 162時間 |
| 超過実労働時間 | 30時間 | 11時間 |
| きまって支給する現金給与額 | 328.4千円 | 370.5千円 |
| 所定内給与額 | 262.8千円 | 340.6千円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 590.1千円 | 1,009.6千円 |
| 年収(計算) | 453.1万円 | 545.6万円 |
全産業は、同じ調査の産業大分類 第1表(民営事業所・産業計)の値です。バス運転者の平均の勤続年数は12.3年、統計上の労働者数は9,628十人(96,280人)でした。この労働者数は調査から推計した数で、業界全体の運転者数とは別のものです。
全産業より92.5万円低く、月の労働時間は25時間長い
全産業の年収は370.5×12+1009.6=5,455.6千円で545.6万円です。バス運転者との差は924.7千円(92.5万円)で、バス運転者の年収は全産業の83.1%にあたります。
差を分けてみると、毎月の給与の差は42.1千円で、12か月分にすると505.2千円です。賞与の差は419.5千円です。年収に占める賞与の割合は、バス運転者が13.0%、全産業が18.5%でした。月給でも賞与でも差がついています。

労働時間も違います。バス運転者の月の労働時間は所定内168時間と超過30時間で198時間、全産業は162時間と11時間で173時間です。バス運転者のほうが月25時間長く働いています。きまって支給する現金給与額を月の労働時間で割ると、バス運転者は1,658.6円、全産業は2,141.6円で、1時間あたりにすると差はさらに開きます。

ここ5年の推移(2021年から2025年)
同じ式で、2021年からの5年を並べると、403.9万円、398.7万円、453.2万円、461.1万円、453.1万円でした。2021年から2025年で49.2万円上がっています。
ただし、2024年の461.1万円から2025年は8.0万円下がりました。所定内給与は260.2千円から262.8千円へ2.6千円増えていて、下がったのは賞与です。賞与は645.3千円から590.1千円へ55.2千円減りました。超過実労働時間も33時間から30時間へ減っています。

2020年以前は、e-Stat の該当ファイルがこの記事の確認の時点で取得できなかったため、2021年からの5年で比べています。

年齢と経験年数で年収はどう変わるか
一番高いのは45〜49歳の506.8万円
年齢階級別の表(令和7年(職種)第5表)で同じ計算をすると、年収が一番高いのは45〜49歳の506.8万円でした。20〜24歳は393.1万円で、25〜29歳で467.9万円まで上がり、40代で490万円台から500万円台になります。
60歳を過ぎると下がります。60〜64歳は433.0万円、65〜69歳は346.0万円、70歳〜は295.9万円です。45〜49歳と70歳〜の差は210.9万円で、賞与の差が大きく、70歳〜の賞与は100.5千円でした。
| 年齢階級 | きまって支給する額 | 年間賞与 | 年収(計算) |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 291.6千円 | 431.8千円 | 393.1万円 |
| 25〜29歳 | 328.1千円 | 742.2千円 | 467.9万円 |
| 30〜34歳 | 321.8千円 | 684.7千円 | 454.6万円 |
| 35〜39歳 | 336.4千円 | 624.0千円 | 466.1万円 |
| 40〜44歳 | 348.1千円 | 723.0千円 | 490.0万円 |
| 45〜49歳 | 362.9千円 | 713.0千円 | 506.8万円 |
| 50〜54歳 | 358.2千円 | 700.2千円 | 499.9万円 |
| 55〜59歳 | 348.8千円 | 689.2千円 | 487.5万円 |
| 60〜64歳 | 313.6千円 | 567.2千円 | 433.0万円 |
| 65〜69歳 | 266.6千円 | 261.2千円 | 346.0万円 |
| 70歳〜 | 238.2千円 | 100.5千円 | 295.9万円 |
〜19歳の区分も原表にはありますが、人数が5十人と少なく、大型二種は19歳未満では取れないため、この表からは外しました。

60歳以上が36.4%、50歳以上が78.3%
バス運転者の平均年齢は56.0歳で、全産業の44.4歳より11.6歳上です。年齢階級別の人数で数えると、60歳以上(60〜64歳、65〜69歳、70歳〜)は36.4%で、3人に1人より多い割合です。50歳以上まで広げると78.3%で、一番人数が多い年齢階級は55〜59歳でした。
平均の453.1万円には、賞与の少ない60歳以上の人が3分の1以上含まれています。年齢階級別の年収とあわせて見てください。

経験年数で大きく変わるのは賞与
経験年数別の表(令和7年(職種)第14表)は、所定内給与額と賞与しか載っていません。そのため、ここでは「所定内給与×12+賞与」で計算しています。残業代を含まない式なので、上の453.1万円より低く出ます。
| 経験年数 | 所定内給与額 | 年間賞与 | 所定内×12+賞与 |
|---|---|---|---|
| 0年 | 249.1千円 | 59.5千円 | 304.9万円 |
| 1〜4年 | 244.4千円 | 429.3千円 | 336.2万円 |
| 5〜9年 | 253.8千円 | 594.9千円 | 364.1万円 |
| 10〜14年 | 255.1千円 | 582.6千円 | 364.4万円 |
| 15年以上 | 279.0千円 | 719.8千円 | 406.8万円 |
所定内給与は、0年の249.1千円から15年以上の279.0千円まで、差は29.9千円です。これに対して賞与は、0年の59.5千円から15年以上の719.8千円まで大きく増えます。入って1年目の賞与が少ないのは、調査が前の年1年間の賞与を聞いているため、前の年にいなかった人は少なく出るからです。
1,000人以上の会社で経験15年以上の人は、所定内給与288.0千円、賞与998.4千円でした。長く勤めるほど、そして会社が大きいほど、賞与で差がつく形です。

会社の大きさ・月給のばらつき・男女別
1,000人以上の会社は514.1万円、10〜99人は399.6万円
会社の大きさ(企業規模)で分けると、1,000人以上は360.8×12+811.0=5,140.6千円で514.1万円、100〜999人は457.6万円、10〜99人は302.6×12+365.2=3,996.4千円で399.6万円でした。1,000人以上と10〜99人の差は114.4万円です。
月給も違いますが、差が大きいのは賞与で、1,000人以上が811.0千円、10〜99人が365.2千円です。平均で見ると、会社の大きさだけで100万円以上の差があります。求人を比べるときは、月給だけでなく賞与の実績(何か月分か、前年はいくらだったか)を確かめてください。

月の所定内給与は20万円台が68.3%
平均は一部の高い人に引っぱられることがあるので、所定内給与額の分布(令和7年(職種)第17表)も見ておきます。バス運転者の所定内給与の中位数(真ん中の人)は257.9千円で、平均の262.8千円とほぼ同じでした。下から10%の人は200.2千円、上から10%の人は333.8千円で、その幅は133.6千円です。
人数で分けると、月200千円未満が9.9%、200千円台が68.3%、300千円台が20.3%、400千円以上が1.5%でした。一番人数が多いのは220.0〜239.9千円の階級です。バス運転者の所定内給与は、多くの人が20万円台に集まっています。

女性は3.9%、短時間で働く人の平均は67.4歳
男女別では、男性がきまって支給する額329.9千円・賞与592.1千円で455.1万円、女性が291.4千円・540.6千円で403.7万円でした。統計上の女性の割合は3.9%で、人数が少ないため、男女の差の理由まではこの統計からは分かりません。
短時間で働くバス運転者(短時間労働者 職種 第1表)もいます。平均年齢は67.4歳で、1時間あたりの所定内給与額は1,588円、1日の所定内の労働時間は平均4.9時間、月の労働日数は17日でした。働く日数と時間が人によって違うので、年収は計算していません。

都道府県別のバス運転手の年収
都道府県別の表(令和7年 都道府県別第3表)で、47都道府県のバス運転者の年収を同じ式で計算しました。一番高いのは神奈川の558.8万円、一番低いのは青森の323.3万円で、差は235.5万円です。


全国の453.1万円を上回るのは15都道府県で、500万円以上は神奈川・山口・石川の3県でした。400万円未満は18県あります。
| 順位 | 都道府県 | 年収(計算) | きまって支給する額 | 年間賞与 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 神奈川 | 558.8万円 | 404.0千円 | 740.1千円 |
| 2 | 山口 | 535.5万円 | 342.8千円 | 1,241.3千円 |
| 3 | 石川 | 519.5万円 | 360.0千円 | 874.5千円 |
| 4 | 富山 | 498.6万円 | 340.2千円 | 903.4千円 |
| 5 | 岐阜 | 497.1万円 | 358.3千円 | 671.2千円 |
| 6 | 兵庫 | 494.7万円 | 365.0千円 | 567.1千円 |
| 7 | 愛知 | 483.8万円 | 357.4千円 | 549.4千円 |
| 8 | 広島 | 483.6万円 | 330.9千円 | 864.8千円 |
| 9 | 福岡 | 479.6万円 | 340.1千円 | 715.0千円 |
| 10 | 京都 | 478.9万円 | 350.7千円 | 580.3千円 |
| 11 | 北海道 | 478.3万円 | 321.1千円 | 929.8千円 |
| 12 | 三重 | 476.4万円 | 335.3千円 | 740.4千円 |
| 13 | 埼玉 | 461.6万円 | 344.1千円 | 487.0千円 |
| 14 | 徳島 | 455.9万円 | 317.9千円 | 744.6千円 |
| 15 | 静岡 | 454.2万円 | 342.1千円 | 436.3千円 |
| 16 | 奈良 | 451.5万円 | 312.5千円 | 765.0千円 |
| 17 | 東京 | 446.3万円 | 343.9千円 | 336.3千円 |
| 18 | 岡山 | 428.8万円 | 316.3千円 | 492.6千円 |
| 19 | 大阪 | 426.0万円 | 317.5千円 | 450.3千円 |
| 20 | 島根 | 425.2万円 | 343.8千円 | 126.3千円 |
| 21 | 長野 | 421.5万円 | 314.2千円 | 444.6千円 |
| 22 | 千葉 | 420.4万円 | 310.9千円 | 472.7千円 |
| 23 | 栃木 | 414.6万円 | 296.9千円 | 583.3千円 |
| 24 | 茨城 | 411.4万円 | 292.5千円 | 604.0千円 |
| 25 | 愛媛 | 409.3万円 | 296.7千円 | 532.8千円 |
| 26 | 福島 | 408.7万円 | 299.8千円 | 488.9千円 |
| 27 | 高知 | 406.7万円 | 312.7千円 | 314.3千円 |
| 28 | 鹿児島 | 406.7万円 | 302.8千円 | 432.9千円 |
| 29 | 群馬 | 403.8万円 | 298.2千円 | 459.6千円 |
| 30 | 和歌山 | 389.5万円 | 298.3千円 | 315.4千円 |
| 31 | 新潟 | 388.1万円 | 280.6千円 | 513.4千円 |
| 32 | 岩手 | 382.9万円 | 286.5千円 | 391.1千円 |
| 33 | 宮城 | 382.4万円 | 301.7千円 | 203.2千円 |
| 34 | 香川 | 377.1万円 | 299.6千円 | 175.8千円 |
| 35 | 熊本 | 374.8万円 | 275.6千円 | 440.6千円 |
| 36 | 滋賀 | 370.0万円 | 279.0千円 | 352.1千円 |
| 37 | 長崎 | 366.0万円 | 263.1千円 | 502.8千円 |
| 38 | 山形 | 357.3万円 | 264.5千円 | 399.3千円 |
| 39 | 佐賀 | 355.7万円 | 277.9千円 | 222.0千円 |
| 40 | 山梨 | 346.9万円 | 280.0千円 | 109.3千円 |
| 41 | 福井 | 336.0万円 | 264.0千円 | 191.9千円 |
| 42 | 沖縄 | 331.3万円 | 252.6千円 | 282.0千円 |
| 43 | 鳥取 | 331.1万円 | 243.3千円 | 391.3千円 |
| 44 | 大分 | 329.8万円 | 249.2千円 | 307.2千円 |
| 45 | 秋田 | 329.1万円 | 247.8千円 | 317.7千円 |
| 46 | 宮崎 | 325.3万円 | 243.3千円 | 333.3千円 |
| 47 | 青森 | 323.3万円 | 246.1千円 | 279.5千円 |
神奈川は残業が多く賞与も多い。東京は全国を下回る
神奈川は、月の超過実労働時間が58時間で、全国の30時間より長く、きまって支給する額404.0千円のうち129.2千円が所定内以外(残業代・深夜手当など)でした。賞与も740.1千円あります。超過時間が長いのは、神奈川のほか、鹿児島53時間、徳島46時間、東京45時間、山口43時間です。
東京は賞与が336.3千円で全国の590.1千円より少なく、年収は446.3万円で全国を下回りました。平均年齢は58.1歳です。青森は超過実労働時間が8時間で、賞与は279.5千円でした。
注意したいのは、県ごとの人数です。香川は20十人、鳥取は23十人、島根は29十人など、調査の対象になった人が少ない県は、1年で数字が大きく動くことがあります。都道府県の順位は、その年の目安として見てください。

バス運転手の労働時間のルール(改善基準告示)
1か月の拘束時間は281時間まで
バス運転手の労働時間には、厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)があります。2024年4月1日から、今のルールになりました。厚生労働省のバス運転者の改善基準告示のページには、拘束時間について次のように書かれています。
年間の総拘束時間が3,300時間かつ、1か月の総拘束時間が281時間を超えないものとしてとしてください。
拘束時間は、運転している時間だけでなく、休憩も含めて会社に拘束される時間です。ほかの項目は次のとおりです。
| 項目 | 上限など |
|---|---|
| 1か月の拘束時間 | 281時間 |
| 1年の拘束時間 | 3,300時間 |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内(延ばしても最大15時間) |
| 休息期間 | 継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らない |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間、4週平均で1週40時間 |
| 連続運転時間 | 4時間以内 |
1日の拘束時間が14時間を超える回数は、週3回までを目安にできるだけ少なくするよう求められています。休息期間を分けて取る特例では、1回あたり継続4時間以上、合計11時間以上が必要です。高速バスや貸切バスの高速道路の実車運行区間では、連続運転時間をおおむね2時間までとするよう努めることとされています。
なお、281×12=3,372時間で、1年の上限3,300時間を超えます。12か月すべてを281時間にすることはできない関係になっています。

294時間まで延ばせるのは貸切バス等の運転者だけ
「バスは1か月294時間まで延ばせる」という説明を見かけることがありますが、これは全部のバス運転手に当てはまるわけではありません。改善基準告示の原文は、281時間の決まりに続けて次のように書いています。
ただし、貸切バス等運転者※は、労使協定により年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を294時間まで延長することができます。
この「貸切バス等運転者」に入るのは、次の人です。
貸切バスを運行する営業所における運転者、乗合バス運転者(一時的な需要に応じて追加的に自動車の運行を行う営業所に限る)、高速バス運転者、貸切バス運転者。
つまり、1か月294時間・1年3,400時間への延長は、貸切バス等の運転者に限られます。ふつうの路線バスの運転者は、1か月281時間・1年3,300時間です。運転時間を4週平均で1週44時間まで延ばせる決まり(52週のうち16週まで)も、貸切バス等の運転者だけです。
もう1つ、統計の「月198時間」と告示の「281時間」は同じものではありません。統計の198時間は実際に働いた時間(所定内と超過の合計)で、告示の281時間は休憩も含む拘束時間の上限です。並べて比べないようにしてください。

バス運転手になるには(大型二種免許)
乗車定員30人以上のバスでお客さんを乗せるには大型二種
お客さんを乗せて運賃をもらう目的でバスを運転するには、第二種免許が要ります(道路交通法86条)。道路交通法施行規則2条では、乗車定員30人以上の自動車などが大型自動車にあたるので、路線バスや観光バスの運転には大型二種免許が必要です。
受験資格は、原則として21歳以上で、普通免許などを受けていた期間が通算3年以上です。2022年5月13日からは、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・通算1年以上で受けられるようになりました(警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」)。試験の合格基準は、技能試験が80%以上、学科試験が90%以上です(施行規則25条)。
さらに2027年10月からは、AT限定の大型二種免許が導入される予定です(警察庁)。教習の時限数や教習所の料金は、大型二種免許の取り方と費用の記事で詳しく書いています。

大型二種を持つ人は749,150人、65歳以上が47.4%
警察庁の運転免許統計(令和7年版)によると、令和7年末に大型二種を持っていた人は749,150人で、令和3年末から9.2%減りました。そのうち65歳以上が47.4%で、ほぼ半分です。
令和7年の大型二種の試験は、受験者15,605人、合格者10,475人で、合格率は67.1%でした。合格者のうち96.1%は指定自動車教習所の卒業者です。多くの人は教習所に通って取っています。

採用から乗務までの流れ
日本バス協会の「バスのお仕事」には、大型二種を持っていない人の採用について、次のように書かれています。
バス会社によっては、「普通免許等取得後3年以上」の方を採用して一定の条件のもとに大型二種運転免許を取得させたり、また、高校新卒者(普通免許未取得)を採用し、大型二種免許等が取得できる年齢になるまで営業所業務を中心に経験を積ませ、免許取得後にバス運転士として運転業務に従事させる制度を設けているところがあります。
採用の決め方については、「多くのバス会社では、面接のほかに適性試験、運転技能試験などを実施して、総合的な判断として、採用を決定しています。」とあります。「一定の条件」の中身は会社ごとに違うので、免許を取らせる制度がある会社に応募するときは、費用をだれがどこまで出すのか、途中で辞めたときにどうなるのかを先に確かめてください。
入社したあとも、すぐに1人で乗務するわけではありません。旅客自動車運送事業運輸規則38条2項により、会社は新しく雇った運転者に特別な指導と適性診断を受けさせます。国土交通省告示第1676号(指導及び監督の指針)は、その指導の時間を次のように定めています。
貸切バス以外の一般旅客自動車及び特定旅客自動車の運転者に対しては、①から⑤までについて合計6時間以上実施すること。
貸切バスの運転者は、①から⑥までについて合計10時間以上、⑦(実際に運転させる指導)について20時間以上です。免許を取ってから乗務を始めるまでの全体の手順は、ドライバーになるまでの免許の流れの記事にもまとめています。

路線バスの運転手と観光バスの運転手
路線バスと観光バスは、道路運送法3条で事業の種類が分かれています。決まった路線で乗り合いのお客さんを運ぶ路線バスは「一般乗合旅客自動車運送事業」、1つの契約でバスを貸し切る観光バスは「一般貸切旅客自動車運送事業」です。
働き方も、この区分で変わります。上で見たとおり、改善基準告示で1か月294時間までの延長が認められるのは貸切バス等の運転者だけで、初任運転者の指導の時間も貸切バスのほうが長く決められています。日本バス協会も「路線バス、観光バスなど、運転するバスの種類によっても採用条件、労働条件なども変わります。」と書いています。
一方で、賃金構造基本統計調査の「バス運転者」は、路線バスと観光バスの両方を含んでいて、分けた数字はありません。「路線バス運転手の年収」だけを取り出した数字は、国の統計では出ていないということです。求人の給与を見るときは、その会社が路線バスか貸切バスか、両方かを確かめてから比べてください。バス運転手の毎日の仕事の中身は、ドライバーの仕事内容の記事で紹介しています。

人手不足と賃上げの動き
有効求人倍率は全職業の2倍前後
厚生労働省の「統計からみるバス運転者の仕事」(職業安定業務統計)によると、バス運転者の有効求人倍率は令和7年度に2.04倍でした。全職業平均の1.10倍の2倍近くです。
| 年度 | バス運転者 | 全職業平均 |
|---|---|---|
| 令和2年度 | 1.26 | 1.01 |
| 令和3年度 | 1.42 | 1.05 |
| 令和4年度 | 1.95 | 1.19 |
| 令和5年度 | 2.28 | 1.17 |
| 令和6年度 | 2.07 | 1.14 |
| 令和7年度 | 2.04 | 1.10 |
令和5年度の2.28倍から少し下がっていますが、全職業平均との差は大きいままです。応募する側から見ると、選べる求人が多いということでもあります。

乗合バスの運転者数と2030年の見通し
日本バス協会の「日本のバス事業2025」に載っている乗合バスの運転者数は、平成29年度の84,224人から令和4年度の73,445人まで減り、令和5年度は77,720人に増えました。平成29年度と比べると6,504人少ない水準です。同じ資料では、令和6年7月末の60歳以上の運転者の構成率は26.1%、女性の運転者は1,872人で前年度から176人増えていました。
国土交通省の令和7年版 国土交通白書は、将来の見通しを次のように書いています。
バスの運転手数については、2021年には11万6千人のところ、2030年には9万3千人にまで減少するとされている。…2030年には、必要人員が3万6千人(必要人員全体の28%)不足する見込みであると示されている。
白書は、路線バス会社の約8割が2023年中に減便・廃止を行ったことにも触れています。

令和7年の春の賃上げは平均10,686円・4.46%
同じ「日本のバス事業2025」には、令和7年の春季労使交渉の結果も載っています。公営を除き、令和7年4月15日までに妥結を報告した125社のうち、123事業者(98.4%)が何らかの賃上げを行いました。平均の賃上げ額は10,686円、賃上げ率は4.46%で、前年同期の9,436円・4.07%を上回っています。
ただ、統計の年収は2025年に賞与の減少で下がっていて、月給の賃上げがそのまま年収の増加になるとは限りません。賞与の扱いは、別途協議とした会社が23社ありました。

国の運転者確保の施策
旅客自動車運送事業者の人材確保事業(会社が使う補助)
国土交通省は、バス・タクシー会社の運転者確保を補助しています(国土交通省「バス・タクシー・レンタカー事業に関する補助について」)。窓口の交通DX・GX補助金 特設サイトでは、「旅客自動車運送事業者の人材確保事業」を「二種免許取得、採用活動など、人材確保のために行う取組を支援します。」と説明しています。
補助の対象には、二種免許を取るための教習(教習所の受講費用、試験費用など)、受験資格特例教習、採用活動、女性運転士用の設備などが入っています。補助率は、会社が後で説明する働きやすい職場認証の一つ星なら1/3、二つ星・三つ星なら1/2です。免許を取った人を3か月以上運転者として雇用することを、会社が誓約する決まりもあります。
大事なのは、この補助を申し込むのは働く人ではなく、バス会社などの事業者だという点です。会社がこの補助を使って免許の費用を出すことはありますが、出すかどうか、どこまで出すかは会社ごとに違います。また、交付規程では、教習を受ける人が厚生労働省の人材開発支援助成金や教育訓練給付を併せて使わないことの誓約が求められています。令和8年度分の公募は2026年4月27日から5月29日までで、すでに締め切られています。

働きやすい職場認証制度
国土交通省の「自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度」(正式名称は運転者職場環境良好度認証制度)は、トラック・バス・タクシーの運転者不足への対策の1つとして令和2年度に始まりました。一つ星は令和2年度から、二つ星は令和4年度から、三つ星は令和5年度からで、乗合バスと貸切バスも対象です。
国土交通省は、認証を受けた会社の取組として「ハローワークにおける求人票への認証マークの表示」を挙げています。求人を探すときの目印の1つになります。ただし、認証を受けていない会社の職場が悪いということではないので、あくまで判断材料の1つとして見てください。
特定技能でバス運転者の受け入れも始まっている
国は、外国人のバス運転者の受け入れも始めています。法務省と国土交通省の特定技能「自動車運送業分野」の運用要領では、バス運転者として働くには、特定技能1号評価試験(バス)と第二種運転免許、日本語能力試験N3以上、新任運転者研修の修了が求められています。

バス会社の求人を見るときに確かめること
ここまでの統計では、賞与、残業代などの所定内以外の給与、会社の大きさ、地域で年収に差が出ていました。また、路線バスか貸切バスかで労働時間のルールが変わります。求人票を見るときは、次の点を確かめると比べやすくなります。
- 月給のうち、基本給などの所定内給与と、残業代・深夜手当などの見込みがいくらずつか
- 賞与の実績(前年は何か月分、いくらだったか)と、入社1年目の賞与の扱い
- 路線バスか、貸切バス(観光バス)か、両方か。貸切バス等なら拘束時間が1か月294時間まで延びる月があるか
- 大型二種を持っていない場合、会社が免許を取らせる制度があるか。費用をだれがどこまで出すか、途中で辞めたときの扱い
- 働きやすい職場認証の認証マークが求人票に出ているか
- 勤務する営業所の場所と、1日の拘束時間・休息期間の組み方

年収の数字が高く見える求人でも、残業代の見込みが多く含まれていることがあります。統計でも、年収が一番高い神奈川は、超過実労働時間が月58時間と長く、月給のうち129.2千円が所定内以外でした。月給の内訳と、1か月にどのくらい働く前提の額なのかを、面接で確かめておくと安心です。
タクシー運転手やほかの仕事と比べたいとき
この記事はバス運転手の年収だけを扱いました。タクシー運転手と比べたい人は、タクシーとバスの年収と働き方の比較の記事に、同じ令和7年の統計で両方の数字を並べています。トラックなどを含めたドライバーの年収の全体像は、ドライバーの年収の記事を見てください。
まとめ
バス運転手の年収は、令和7年の国の統計で計算すると453.1万円で、全産業の83.1%です。月の労働時間は198時間で全産業より25時間長く、1時間あたりの額では差がさらに開きます。
ただ、年齢では45〜49歳の506.8万円、会社の大きさでは1,000人以上の514.1万円、都道府県では神奈川の558.8万円と、条件で平均より高くなる層もあります。差がつきやすいのは賞与です。バス運転手になるには大型二種免許が要り、会社によっては入社後に取らせる制度があります。労働時間の上限は1か月281時間で、294時間まで延ばせるのは貸切バス等の運転者だけです。

よくある質問
Q. バス運転手の平均年収はいくらですか?
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年のバス運転者(男女計)は、きまって支給する現金給与額が月328.4千円、年間賞与その他特別給与額が590.1千円で、328.4×12+590.1=4,530.9千円、つまり453.1万円です。税金と社会保険料を引く前の額です。
Q. 路線バスの運転手だけの年収は分かりますか?
国の統計では分かりません。賃金構造基本統計調査の「バス運転者」は路線バスと観光バス(貸切バス)の両方を含み、分けた数字は公表されていません。応募する会社の求人票で確かめてください。
Q. 大型二種を持っていなくてもバス会社に入れますか?
日本バス協会によると、会社によっては、普通免許などを取って3年以上の人を採用して一定の条件のもとで大型二種を取らせたり、高校新卒者を採用して営業所の業務で経験を積ませ、免許を取ってから運転業務に就かせたりする制度があります。条件は会社ごとに違います。
Q. 何歳からバス運転手になれますか?
大型二種の受験資格は、原則21歳以上・経歴3年以上です。受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・経歴1年以上で受けられます(2022年5月13日から)。
Q. 免許の費用は会社が出してくれますか?
国土交通省の人材確保事業には、二種免許を取るための教習の費用を事業者に補助するメニューがあり、会社がこれを使って費用を出すことがあります。ただし申し込むのは会社で、出すかどうか、どこまで出すかは会社ごとに違います。
Q. 年収が一番高い都道府県はどこですか?
令和7年の統計で計算すると、神奈川の558.8万円が一番高く、山口535.5万円、石川519.5万円と続きます。一番低いのは青森の323.3万円です。人数の少ない県は年によって大きく動きます。
Q. バス運転手は月に何時間まで働けますか?
改善基準告示では、1か月の拘束時間は281時間、1年は3,300時間までです。貸切バス等の運転者に限り、労使協定で年6か月まで、1年3,400時間の範囲で1か月294時間まで延ばせます。
Q. バス運転手は人手不足ですか?
厚生労働省の職業安定業務統計では、バス運転者の有効求人倍率は令和7年度に2.04倍で、全職業平均の1.10倍の2倍近くです。国土交通白書は、2030年に必要人員の28%にあたる3万6千人が不足する見込みを示しています。
Q. 女性のバス運転手はどのくらいいますか?
賃金構造基本統計調査 令和7年では、バス運転者のうち女性は3.9%でした。日本バス協会の資料では、令和6年7月末の女性の運転者は1,872人で、前年度から176人増えています。
Q. 入社1年目の年収はどのくらいですか?
経験年数0年の人は、所定内給与249.1千円、賞与59.5千円でした(残業代を含まない式で304.9万円)。調査が前の年1年間の賞与を聞いているため、1年目は賞与が少なく出ます。実際の額は会社の賃金規程で確かめてください。
Q. 年齢が上がると年収はどうなりますか?
45〜49歳の506.8万円が一番高く、60〜64歳は433.0万円、65〜69歳は346.0万円、70歳〜は295.9万円です。60歳を過ぎると賞与が少なくなります。
参考にした一次情報
いずれも2026年9月25日に確認しました。
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」ファイル一覧(e-Stat)
- 同 令和7年(職種)第1表 職種(小分類)、性別
- 同 令和7年(職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別
- 同 令和7年(職種)第14表 職種(小分類)、性、経験年数階級別
- 同 令和7年(職種)第17表 所定内給与額階級別労働者数及び分布特性値
- 同 令和7年 都道府県別第3表 都道府県、職種(特掲)、性別
- 同 令和7年 一般労働者 産業大分類 第1表
- 同 令和7年 短時間労働者 職種 第1表
- 厚生労働省「バス運転者の改善基準告示」
- 厚生労働省「統計からみるバス運転者の仕事」
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 旅客自動車運送事業運輸規則(e-Gov 法令検索)
- 道路運送法(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省告示第1676号 旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」
- 警察庁「AT大型免許等の導入及びMT免許の技能試験等の方法の見直しについて」
- 警察庁「運転免許統計(令和7年版)」
- 国土交通省「令和7年版 国土交通白書」
- 日本バス協会「日本のバス事業2025」
- 日本バス協会「バスのお仕事」
- 国土交通省「バス・タクシー・レンタカー事業に関する補助について」
- 交通DX・GX補助金 特設サイト(旅客自動車運送事業者の人材確保事業)
- 同 交付規程
- 国土交通省「自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度」
- 法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 自動車運送業分野」
給与や免許の費用の扱いは会社ごとに違います。応募する前に、求人票と会社の説明で直接確かめてください。




