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国土交通省「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」(令和8年6月5日一部改正)、e-Gov の法令(道路運送法・同法施行規則・道路交通法・同法施行規則・児童福祉施設の設備及び運営に関する基準・学校保健安全法施行規則)、こども家庭庁の資料、厚生労働省の介護報酬の資料と「賃金構造基本統計調査」令和7年の原表で、2026年9月25日に確認した内容です。「送迎ドライバー」だけを取り出した公的な賃金統計はないため、賃金は近い職種の数字として紹介します。
デイサービスの送迎、幼稚園の通園バス、ホテルの駅までの送迎。求人サイトで「送迎ドライバー」を探すと、こうした仕事がたくさん出てきます。一方で、応募する前に「二種免許がなくても本当に大丈夫なのか」「マイクロバスは普通免許で運転できるのか」「子どもを乗せる仕事では何に気をつければいいのか」と迷う人も多いはずです。
この記事では、送迎ドライバーの仕事を職場ごとに整理したうえで、二種免許が要るかどうかを道路運送法と国土交通省のガイドラインの原文で確認しました。あわせて、子どもの送迎バスにかかる置き去り防止の義務、介護の送迎の決まり、安全運転管理者とアルコールチェック、賃金の目安までまとめています。
先に結論を書きます。施設が利用者のために行う送迎で、送迎そのものに料金を取らないなら、道路運送法の許可も登録も要らず、運転する人に二種免許は要りません。二種免許が必要になるのは、緑ナンバーの事業者の車でお客さんを運ぶときと、自家用有償旅客運送の運転者になるとき(一種免許と講習でも可)です。ただし、車の乗車定員が11人以上なら中型免許、30人以上なら大型免許が要ります。子どもの送迎バスでは、令和5年4月1日から、乗り降りの際の所在確認と、見落としを防ぐ安全装置が義務になっています。

送迎ドライバーとは。主な職場は5つ
送迎ドライバーは、施設や会社の利用者を、決まった場所の間で送り迎えする運転手です。タクシーのように街でお客さんを探して運ぶのではなく、乗せる相手と行き先があらかじめ決まっているのが特徴です。国土交通省のガイドラインで、許可や登録が要らない送迎の例として名前が挙がっている施設は、介護施設、宿泊施設、保育園・幼稚園・小中高・専門学校・学童・学習塾・インターナショナルスクール・スイミングスクールなどです(国土交通省 ガイドライン)。

| 職場 | 主な送迎 | 車のナンバー | 運転する人の二種免許 |
|---|---|---|---|
| 介護施設(デイサービスなど) | 利用者の自宅と施設の間 | 白ナンバーの施設の車 | 送迎に料金を取らなければ不要 |
| 保育所・幼稚園・認定こども園 | 園児の通園 | 白ナンバーがよく見られる | 同上 |
| 中学校・高校のスクールバス | 生徒の通学 | 緑ナンバーの事業者が受託することが多い | 緑ナンバーの車なら必要 |
| 学習塾・スイミングスクールなど | 教室と自宅や駅の間 | 施設の車 | 送迎に料金を取らなければ不要 |
| ホテル・旅館 | 駅・空港・港と宿の間、宿からゲレンデ | 施設の車 | 無償の送迎なら不要 |
| 企業の従業員送迎 | 社員の通勤 | 会社の車 | 不要(運転を外部に任せる形もある) |
ナンバーの違いについて、ガイドラインには「保育園・幼稚園等の通園バスには自家用車(白ナンバー)がよく見られる一方、中学校・高等学校などのスクールバスは、道路運送法の貸切許可・特定許可を有する事業者(緑ナンバー)が受託して運行していることが多い。」と書かれています。同じ「送迎」の求人でも、施設に直接雇われて施設の車を運転するのか、バス会社などに雇われて緑ナンバーの車を運転するのかで、必要な免許が変わります。
仕事の中身は、決まった時刻に決まった道を走り、乗り降りを手伝い、車をきれいに保つことが中心です。介護施設では車いすの人の乗り降りを手伝う場合もありますし、子どもの送迎では人数の確認が大切な仕事になります。タクシーやバスの運転手の仕事全体については、タクシー運転手の仕事内容の記事もあわせて読んでみてください。

二種免許が要るかは「送迎そのものにお金を取るか」で決まる
道路運送法の「有償」とは
お客さんを乗せて運ぶ仕事で二種免許が要るかどうかは、道路交通法86条1項で決まります。二種免許が必要なのは、旅客自動車を「旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする」ときです(道路交通法 e-Gov)。そして旅客自動車運送事業とは、道路運送法2条3項で次のように定められています(道路運送法 e-Gov)。
「旅客自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業であつて、次条に掲げるものをいう。
ポイントは「有償で」の部分です。国土交通省のガイドラインは、有償の意味を「運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受すること。」と説明しています。つまり、運ぶこと自体に対してお金を受け取るかどうかが分かれ目です。ガイドラインの冒頭には「無償運送行為が本来は自由に行えるもの」という考え方も書かれています。

施設の送迎は、料金が同じなら許可も登録も要らない
介護施設や宿泊施設の送迎について、ガイドラインは次のように書いています。
宿泊や介護など、提供されるメインのサービスが有償であっても、当該サービスの利用者へ付随的に提供される運送については、運送に特定した反対給付がない場合(送迎利用の有無にかかわらず利用料に差異がない場合)、許可又は登録は不要である。
施設の利用料そのものは有料でも、送迎を使う人と使わない人で料金が同じなら、送迎は「有償の運送」には当たらないということです。例として、ホテル・旅館が駅・空港・港との間を無償で送迎する場合(社会通念上妥当な範囲なら長距離でもよい)、スキー旅館からゲレンデへの送迎、施設の運営者が利用者を送迎する場合が挙がっていて、途中で商店に立ち寄ってもよいとされています。

料金に差をつけるなら「実費」の範囲まで
送迎を使う人だけ少し多めに払う形でも、その差額が実費の範囲なら、許可や登録は要りません。ガイドラインが実費として挙げているのは、燃料代、有料道路代、駐車場代、保険料の一部、車の借料などです。燃料代は「走行距離÷燃費×燃料単価」で計算するとされています。送迎に主に使う車であれば、車両償却費・車検料・保険料等も実費に含めてよいとされています。

運転手が給料をもらっても「有償の運送」にはならない
送迎ドライバーとして働く人が気になるのは「自分は給料をもらって運転しているのだから、有償の運送になるのでは」という点かもしれません。ガイドラインのⅢ1は、これをはっきり否定しています。
他人の車両の運転を委託されて運転役務を提供した場合に…報酬が支払われたとしても、有償の運送行為にはあたらない。
例として、利用者が持っている車で送迎する場合や、「企業所有の車両を使用し従業員送迎を行う場合で、運転業務を外部に委託する場合」が挙がっています。運転手が受け取るのは運転の仕事に対する報酬で、運送に対する対価ではないという整理です。NPOの職員に払う「送迎手当」も反対給付に当たらないとされています。ただし、形によっては自動車運転代行業や人材派遣業の規制に当たる場合がある、とも書かれているので、働き方の形は雇う側が確認することになります。

二種免許が必要になる2つのケース
緑ナンバーの車でお客さんを運ぶとき
運ぶこと自体にお金を受け取る事業は、道路運送法4条の許可(乗合・貸切・乗用)か、43条の特定旅客自動車運送事業の許可が必要で、その車は緑ナンバーになります。中学校・高校のスクールバスを受託するバス会社や、介護タクシーの事業者がこれに当たります。こうした事業の車でお客さんを運ぶ運転手には、道路交通法86条1項により二種免許が必要です。
道路運送法3条は、旅客自動車運送事業を、一般旅客自動車運送事業(乗合・貸切・乗用)と、特定旅客自動車運送事業に分けています。特定旅客自動車運送事業は「特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送する旅客自動車運送事業」で、許可の申請書には「運送の需要者」と「旅客の範囲」を書くことになっています(43条1項)。決まった学校や会社の送迎を請け負うバス会社が、この許可で運行していることがあります。
逆に、許可を受けずに自家用車(白ナンバー)で有償の運送をすることは、道路運送法78条で禁じられています。違反すると、81条により6か月以内の期間で自家用自動車の使用の制限や禁止の処分を受けることがあります。送迎の求人に応募するときは、車が白ナンバーか緑ナンバーか、送迎の料金がどうなっているかを確かめておくと安心です。

自家用有償旅客運送の運転者になるとき
もう1つが、自家用有償旅客運送です。道路運送法78条2号は、市町村やNPOなどが79条の登録を受けて行う場合に限り、白ナンバーの車で有償の運送をすることを認めています。種類は、タクシーやバスが足りない地域で住民を運ぶ「交通空白地有償運送」と、要介護者や身体障害者などとその付添人を乗車定員11人未満の車で運ぶ「福祉有償運送」の2つです(道路運送法施行規則49条、道路運送法施行規則 e-Gov)。運ぶ人から受け取れる対価は、実費の範囲内とされています(51条の15)。
実施できるのは市町村のほか、施行規則48条に並ぶ法人等です。一般社団法人・一般財団法人、認可地縁団体、農業協同組合、消費生活協同組合、医療法人、社会福祉法人、商工会議所、商工会、労働者協同組合、法人でない社団などが挙がっています。社会福祉法人が福祉有償運送を行う場合もここに入ります。実施する側には、運行管理の責任者を選ぶことやアルコール検知器を使うことなども求められています(51条の17)。
運転者の条件は、施行規則51条の16第1項で決まっています。二種免許を持っているか、一種免許を持ち、選任前2年以内に免許の停止処分を受けていない人が、国土交通大臣の認定講習を受ける形です。国土交通省のハンドブックも「「2種運転免許保有」又は「1種運転免許保有+自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)の種類に応じた大臣認定講習の受講」が必要です。」と説明しています(国土交通省 自家用有償旅客運送ハンドブック)。講習には、交通空白地有償運送等運転者講習、福祉有償運送運転者講習、セダン等運転者講習があります。福祉有償運送でセダン型の車を使う場合は、介護福祉士などの資格か講習が求められます(同条第3項)。

令和8年10月16日に制度が改正される予定
自家用有償旅客運送の制度は、令和8年9月18日に改正が公布され、令和8年10月16日に施行される予定です(国土交通省 自家用有償旅客運送、制度改正の概要)。この記事の公開時点ではまだ施行されていません。改正の内容は、実施する主体に都道府県・一部事務組合・広域連合を加えること、福祉有償運送の旅客の範囲を明確にすること、運行管理を合理化することの3つです。運転者の条件の細かい扱いは、施行後に国土交通省の案内で確かめてください。

二種免許が要るかどうかの早見表
| ケース | 道路運送法の許可・登録 | 二種免許 |
|---|---|---|
| 施設の利用者の送迎で、送迎の有無で料金が同じ | 不要 | 不要 |
| 送迎を使う人だけ料金が高いが、差額は実費の範囲 | 不要 | 不要 |
| 会社の車で従業員を送迎し、運転を外部に任せる | 不要(運転代行業・人材派遣業の決まりに注意) | 不要 |
| 緑ナンバーの事業者の車でお客さんを運ぶ | 許可(4条・43条) | 必要 |
| 自家用有償旅客運送の運転者 | 登録(79条) | 二種、または一種+大臣認定講習 |
二種免許の取り方や費用を知りたい人は、二種免許の取り方と費用の記事、大型バスの運転を目指す人は大型二種免許の取り方と費用の記事も参考にしてください。

二種が要らなくても、車の大きさで一種免許は変わる
二種免許が要らない送迎でも、車の大きさに合った一種免許は必要です。道路交通法施行規則2条では、乗車定員30人以上の車は大型自動車、乗車定員11人以上29人以下の車は中型自動車に当たります(道路交通法施行規則 e-Gov)。準中型自動車と普通自動車は乗車定員の基準がないため、普通免許や準中型免許で運転できるのは乗車定員10人以下の車までです。
| 乗車定員 | 必要な一種免許 |
|---|---|
| 10人以下 | 普通免許・準中型免許(車両総重量などの条件も満たす場合) |
| 11人以上29人以下 | 中型免許 |
| 30人以上 | 大型免許 |
気をつけたいのが、平成19年6月1日以前に取った普通免許です。いまの免許証では「中型(8t限定)」と書かれていますが、施行規則 別表第四の備考4によると、運転できるのは「車両総重量8,000キログラム未満、最大積載量5,000キログラム未満及び乗車定員10人以下の中型自動車」に限られます。車両総重量は8,000kg未満でも、乗車定員が11人以上の送迎バスは運転できません。送迎の求人で「普通免許で可」とあるときは、乗る車の乗車定員を確かめておきましょう。

子どもの送迎バスは、所在確認と安全装置が義務
義務化のきっかけと中身
令和4年9月、静岡県の認定こども園で、いつもと違う運転手が送迎バスを運転し、降りるときの確認がされないまま子どもが車内に残される事案がありました。これを受けて、令和4年10月12日に関係府省が「こどものバス送迎・安全徹底プラン」をまとめています(こどものバス送迎・安全徹底プラン)。プランは、義務化の考え方を次のように書いています。
誰が運転・乗車するかにかかわらず、バスの乗車・降車時に幼児等の所在の確認が確実に行われるようにするため、府省令等の改正により、幼児等の所在確認と安全装置の装備を義務付ける。
こども家庭庁によると、「送迎用バスに対する安全装置の装備を義務付ける関係府省令等の改正が、令和5年4月1日に施行されており、令和6年3月末日までの1年間を経過措置の期間として設定」されました(こども家庭庁 こどものバス送迎・安全管理)。経過措置の期間は、装置を付けるまでの間、降車後の車内の確認を怠らないための代替の措置でもよいとされていました。プランには「義務違反は、業務停止命令等の対象事由。当該命令違反は、罰則の対象事由となり得る。」とも書かれています。

保育所などの場合、義務の根拠は児童福祉施設の設備及び運営に関する基準6条の4です(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 e-Gov)。第1項は次のとおりです。
児童福祉施設は…自動車を運行するときは、児童の乗車及び降車の際に、点呼その他の児童の所在を確実に把握することができる方法により、児童の所在を確認しなければならない。
第2項で、保育所と児童発達支援センターは「ブザーその他の車内の児童の見落としを防止する装置」を備え、降車時に使うことになっています。ただし、座席が運転席とその横の列、その後ろの1列だけの車は除かれます。幼稚園と特別支援学校は、学校保健安全法施行規則29条の2に同じ形の決まりがあります(学校保健安全法施行規則 e-Gov)。

どの施設が対象か
| 施設 | 所在確認 | 安全装置 | 主な根拠 |
|---|---|---|---|
| 保育所・保育所型認定こども園 | 義務 | 義務 | 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 |
| 幼稚園・幼稚園型認定こども園・特別支援学校 | 義務 | 義務 | 学校保健安全法施行規則 |
| 幼保連携型認定こども園 | 義務 | 義務 | 認定こども園法施行規則 |
| 児童発達支援・放課後等デイサービス | 義務 | 義務(別途の措置) | 安全徹底プラン |
| 小学校・中学校・放課後児童クラブ | 求める | 求めない | 安全徹底プラン |
プランでは、特別支援学校(小学部~高等部、707施設、4,917台)と、児童発達支援・放課後等デイサービス(12,154事業所、15,910台)も装置の義務化の対象とされました。一方、小・中学校(5,224施設、7,837台)と放課後児童クラブ(3,396クラブ、3,332台)は、所在確認は求めるものの、装置の義務化は行わないとされています。子どもの送迎の求人に応募するときは、応募先がどちらに当たるかを知っておくと役に立ちます。

装置はどのくらい付いたか
プランをまとめる際の緊急点検では、送迎バスを運行していたのは10,787施設・22,842台で、当時センサーなどを導入していた割合は0.9%〜1.7%でした。運転手のほかに職員が同乗している割合は、施設の種類ごとに94.2%・98.5%・98.3%・100%です。
こども家庭庁の装備状況調査によると、令和5年10月31日時点で対象は24,286施設・54,345台、装備が終わっていたのは39,379台(72.5%)でした(こども家庭庁 送迎用バスの安全装置の装備状況調査)。まだ付いていなかった台数は、54,345−39,379=14,966台です。予定を含めると、令和5年12月末に46,596台(85.7%)、令和6年3月末に54,343台(99.9%)になる見込みとされていました。

運転手がやること
こども家庭庁の「こどものバス送迎・安全管理マニュアル」には、運転手の手順が具体的に書かれています(こどものバス送迎・安全管理マニュアル)。運行前にはライトやランプなど車両を点検し、園長等が運転手の健康状態を確認します。走り出す前は「運転手は、乗車したこどもの着席を確認してから発車」、降りたあとは次のように確認します。
運転手は、見落としがないか、車内の先頭から最後尾まで歩き、座席下や物かげなども含め一列ずつ車内全体を見回り、確認
さらに「運転手は、バスの置き去り防止を支援する安全装置が動作していることを確認」し、チェックシートでは「運転手は、バスを離れる前に、車内に こどもが残っていないことを、椅子の下まで見落としがないか見て、確認した。」という項目に記入します。車内が見えにくくなるラッピングや濃いスモークは避け、クラクションを鳴らすボタンなどの補助も勧められています。

装置には、運転手などが車内の後ろまで行って操作する「降車時確認式」、センサーなどで検知する「自動検知式」、両方を組み合わせた「併用式」があります。こども家庭庁は条件を満たす装置のリストを公開していて、令和8年4月2日時点のものが最新です(こども家庭庁 安全装置のリスト)。なお「国による安全装置の導入経費補助事業は、令和5年度で終了」しています。

介護施設の送迎の決まり(令和6年度介護報酬改定)
デイサービスなどの送迎は、介護報酬の決まりとも関係します。令和6年度の介護報酬改定では、次のように見直されました(厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項)。
通所系サービスにおける送迎について、利便性の向上や運転専任職の人材不足等に対応する観点から、送迎先について利用者の居住実態のある場所を含めるとともに、他の介護事業所や障害福祉サービス事業所の利用者との同乗を可能とする。
自宅だけでなく、利用者が実際に住んでいる場所まで送迎できるようになり、ほかの事業所の利用者と一緒に乗せることもできるようになりました。資料では、雇用契約や委託(共同委託を含む)の形も示されています。「運転専任職の人材不足」という言葉が入っていることからも、送迎を専門に担う運転手が求められていることがわかります。
報酬の面では、通所介護で事業所が送迎を行わない場合、片道につき47単位が減らされます(厚生労働省 介護報酬の算定構造)。また、介護老人福祉施設が透析のための通院送迎を月12回以上行うと、特別通院送迎加算として594単位(月)が算定できます。介護施設にとって送迎は、利用者のためだけでなく、報酬の上でも欠かせない仕事になっています。

施設の送迎と介護タクシーの違いについては、タクシー運転手と介護ドライバーの違いの記事で詳しく比べています。
安全運転管理者とアルコールチェック
白ナンバーの送迎車を使う施設や会社は、台数によって安全運転管理者を選ばなければなりません。道路交通法74条の3第1項は、自動車の使用者は「内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに」安全運転管理者を選任すると定めています。緑ナンバーの自動車運送事業者と、自家用有償旅客運送の登録を受けた者は除かれます。
台数は、道路交通法施行規則9条の8に「乗車定員が十一人以上の自動車にあつては一台、その他の自動車にあつては五台とする。」と書かれています。マイクロバスなど乗車定員11人以上の送迎車を1台でも使えば、安全運転管理者が必要です。使う台数が20台以上になると、副安全運転管理者も置きます。安全運転管理者は20歳以上(副を置く場合は30歳以上)で、運転の管理の実務経験が2年以上あることなどが条件です(9条の9)。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 選任が必要な台数 | 乗車定員11人以上の車は1台、そのほかの車は5台 | 施行規則9条の8第1項 |
| 副安全運転管理者 | 20台以上で必要 | 施行規則9条の8第2項 |
| 安全運転管理者の年齢 | 20歳以上(副を置く場合は30歳以上) | 施行規則9条の9 |
| 酒気帯びの確認 | 運転の前と後に目視等とアルコール検知器で確認 | 施行規則9条の10第6号 |
| 記録 | 確認の内容を記録し1年間保存 | 施行規則9条の10第7号 |
送迎ドライバーにとって身近なのが、運転の前と後の確認です。施行規則9条の10第6号は、安全運転管理者の仕事として「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器…を用いて確認を行うこと。」を定め、第7号で記録を1年間保存することを求めています。安全運転管理者を置く職場では、運転の前と後にこの確認を受けることになります。

送迎バスの運転手の労働時間
労働時間については、厚生労働省の改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)のQ&Aに、送迎の運転手についての記述があります(厚生労働省 改善基準 バスQ&A)。
例えば、旅館の送迎用バスの運転者や、スクールバスの運転者等についても、バスの運転業務を主とする場合は改善基準告示におけるバス運転者に該当します。
バスの運転が主な仕事なら、バス運転者の上限がかかります。1か月の拘束時間は281時間まで、1日の拘束時間は13時間まで(最大15時間)、休息は継続11時間を基本とし9時間を下回らない、というのが主な決まりです。運転と運転の間の待ち時間が拘束時間に入るかどうかも含めて、応募の前に勤務の形を確かめておくと安心です。バス運転手の働き方については、タクシー運転手とバス運転手の違いの記事でも比べています。


送迎ドライバーの賃金は近い職種の統計で見る
一般労働者(フルタイム)の年収の目安
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には「送迎ドライバー」という職種はありません。どの職種に分類されているかも公表資料からは確認できなかったため、ここでは近い職種の数字を並べます。令和7年の原表(企業規模計・男女計)から、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で年収の目安を計算しました(賃金構造基本統計調査 令和7年 職種 第1表)。
| 職種 | 年齢 | 労働時間(所定内+超過) | 月給(きまって支給) | 年間賞与等 | 年収の目安(計算) |
|---|---|---|---|---|---|
| 乗用自動車運転者(タクシー除く) | 59.5歳 | 162+20=182時間 | 281.7千円 | 329.4千円 | 371.0万円 |
| バス運転者 | 56.0歳 | 168+30=198時間 | 328.4千円 | 590.1千円 | 453.1万円 |
| その他の自動車運転従事者 | 53.6歳 | 166+20時間 | 324.8千円 | 416.0千円 | 431.4万円 |
計算は、乗用自動車運転者(タクシー除く)が281.7×12+329.4=3,709.8千円、バス運転者が328.4×12+590.1=4,531.9千円、その他の自動車運転従事者が324.8×12+416.0=4,313.6千円です。乗車定員の小さい車で送迎する仕事は乗用自動車運転者(タクシー除く)に、マイクロバスや大型の送迎バスを主に運転する仕事はバス運転者に近いと考えられますが、実際の分類は断定できません。求人の給与と比べる目安として見てください。
同じ乗用自動車運転者(タクシー除く)でも、企業の規模で数字は変わります。きまって支給する現金給与額と年間賞与等は、1,000人以上の企業で256.6千円と208.3千円、100〜999人で295.1千円と333.0千円、10〜99人で282.2千円と434.7千円でした。男女別では、男性が59.6歳で283.2千円と337.9千円、女性が56.9歳で250.7千円と154.5千円です。規模が大きい会社ほど高いとは限らないので、求人ごとに月給と賞与の両方を見て比べることが大切です。女性の働き方については女性タクシー運転手の記事も参考にしてください。

短時間で働く人の時給
短い時間で働く場合の目安も見ておきます。賃金構造基本統計調査の短時間労働者の表を見ると、乗用自動車運転者(タクシー除く)の1時間あたり所定内給与額は1,295円、平均年齢は66.4歳、月の実労働日数は16.0日、1日の所定内実労働時間は5.0時間でした(賃金構造基本統計調査 令和7年 短時間労働者 職種 第1表)。バス運転者は1,588円(67.4歳、17.0日、4.9時間)、その他の自動車運転従事者は1,328円です。
| 職種 | 時給 | 年齢 | 月の日数 | 1日の時間 |
|---|---|---|---|---|
| 乗用自動車運転者(タクシー除く) | 1,295円 | 66.4歳 | 16.0日 | 5.0時間 |
| バス運転者 | 1,588円 | 67.4歳 | 17.0日 | 4.9時間 |
| その他の自動車運転従事者 | 1,328円 | 未取得 | 未取得 | 未取得 |
乗用自動車運転者(タクシー除く)では、短時間労働者の推計(7,545十人)が一般労働者(4,174十人)より多く、短い時間で働く人が多い職種だとわかります。月16.0日・1日5.0時間で働くと月80時間で、時給1,295円なら80×1,295=103,600円が計算上の目安です。なお、最低賃金の全国加重平均は令和7年度が1,121円、令和8年度の答申が1,177円です。パートの働き方についてはタクシー運転手のパート・アルバイトの記事、年収の考え方はタクシー運転手の年収の記事も参考になります。

施設の送迎と介護タクシーの違い
送迎ドライバーと混同されやすいのが介護タクシーです。施設の送迎は、施設のサービスに付いた運送で、送迎そのものに運賃を取らないため、許可も二種免許も要りません。介護タクシーは、運ぶこと自体に運賃を受け取る旅客自動車運送事業なので、道路運送法の許可を受けた事業者の車で、運転する人は二種免許が必要です。ガイドラインでは、訪問介護の中で行う運送は介護報酬の対象外という整理も示されています。
仕事の中身や必要な資格、どちらが自分に合うかは、タクシー運転手と介護ドライバーの違いの記事で比べています。

送迎ドライバーの求人に応募する前のチェックリスト
- 送迎に使う車は白ナンバーか緑ナンバーか。緑ナンバーなら二種免許が必要
- 送迎の料金が利用者から別に取られていないか。取られているなら実費の範囲か
- 自家用有償旅客運送の運転者なら、二種免許か、一種免許と大臣認定講習か
- 車の乗車定員は何人か。11人以上なら中型免許、30人以上なら大型免許が必要
- 平成19年6月1日以前に取った普通免許(中型8t限定)なら、乗車定員10人以下まで
- 子どもの送迎なら、所在確認の手順と安全装置の有無、職員が同乗するか
- 出発前と帰着後のアルコールチェックと、その記録の方法
- バスの運転が主な仕事なら、拘束時間と休息の決まりが守られる勤務の形か
- 時給や月給を、近い職種の統計(時給1,295円〜1,588円、年収371.0万円〜453.1万円)と比べた
よくある質問
Q. 送迎ドライバーに二種免許は必要ですか?
施設が利用者のために行う送迎で、送迎を使う人と使わない人の料金が同じなら、道路運送法の許可も登録も要らず、二種免許は要りません(国土交通省 国自旅第359号)。緑ナンバーの事業者の車でお客さんを運ぶときと、自家用有償旅客運送の運転者になるときは、二種免許(自家用有償は一種免許と大臣認定講習でも可)が必要です。
Q. 給料をもらって運転するのに、有償の運送にならないのですか?
なりません。ガイドラインのⅢ1に「他人の車両の運転を委託されて運転役務を提供した場合に…報酬が支払われたとしても、有償の運送行為にはあたらない。」とあります。有償かどうかは、運ぶこと自体に対して利用者からお金を受け取るかどうかで決まります。
Q. 送迎を使う人だけ料金が高いと、許可が要りますか?
差額が実費の範囲なら要りません。実費に入るのは燃料代、有料道路代、駐車場代、保険料の一部、車の借料などで、送迎に主に使う車なら車両償却費・車検料・保険料等も含められます。
Q. マイクロバスは普通免許で運転できますか?
乗車定員が11人以上なら中型自動車なので、中型免許が必要です。平成19年6月1日以前に取った普通免許(中型8t限定)で運転できるのは乗車定員10人以下までです。30人以上なら大型免許が要ります。
Q. 子どもの送迎バスでは何が義務ですか?
乗り降りの際に点呼などで子どもの所在を確認することと、ブザーなどの見落としを防ぐ装置を備えて降車時に使うことです。令和5年4月1日に施行され、装置の経過措置は令和6年3月末で終わっています。小学校・中学校と放課後児童クラブは所在確認のみで、装置は求められていません。
Q. 自家用有償旅客運送の改正はいつからですか?
令和8年9月18日に公布され、令和8年10月16日に施行される予定です。実施主体に都道府県・一部事務組合・広域連合を加えること、福祉有償運送の旅客の範囲の明確化、運行管理の合理化が内容です。
Q. 送迎車を使う施設に安全運転管理者は必要ですか?
乗車定員11人以上の車なら1台、そのほかの車なら5台から、使用の本拠ごとに選任が必要です(道路交通法施行規則9条の8)。運転の前後の酒気帯びの確認は、目視等とアルコール検知器で行い、記録を1年間保存します。
Q. 送迎ドライバーの年収はどのくらいですか?
送迎ドライバーだけの公的統計はありません。近い職種の令和7年の数字を計算すると、乗用自動車運転者(タクシー除く)が371.0万円、バス運転者が453.1万円、その他の自動車運転従事者が431.4万円です。短時間で働く人の時給は1,295円から1,588円でした。
Q. 送迎バスの運転手にも労働時間の上限はありますか?
厚生労働省のQ&Aでは、旅館の送迎用バスやスクールバスの運転者も、バスの運転業務を主とする場合はバス運転者に当たるとされています。1か月の拘束時間は281時間、1日は13時間(最大15時間)が上限です。
Q. 介護施設の送迎で、ほかの施設の利用者を一緒に乗せてもいいですか?
令和6年度の介護報酬改定で、他の介護事業所や障害福祉サービス事業所の利用者との同乗が可能になりました。送迎先に利用者の居住実態のある場所を含めることもできます。

参考にした一次情報
いずれも2026年9月25日に確認しました。
- 国土交通省 国自旅第359号「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」(令和8年6月5日一部改正)
- 道路運送法(e-Gov 法令検索)
- 道路運送法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省「自家用有償旅客運送ハンドブック」
- 国土交通省「自家用有償旅客運送」
- 国土交通省「自家用有償旅客運送の制度改正の概要」
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- こども家庭庁「こどものバス送迎・安全管理」
- こどものバス送迎・安全徹底プラン(令和4年10月12日)
- こども家庭庁「こどものバス送迎・安全管理マニュアル」
- こども家庭庁「送迎用バスの安全装置の装備状況調査」
- こども家庭庁「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリスト」
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(e-Gov 法令検索)
- 学校保健安全法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 一般労働者 職種 第1表
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 短時間労働者 職種 第1表
- 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善基準」バス Q&A
送迎の料金の扱いや車の区分は施設ごとに違います。応募する前に、雇う側に車のナンバー・乗車定員・送迎の料金の形を確かめてください。




