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事業者数と車両数は東京ハイヤー・タクシー協会の白書(関東運輸局調と協会調)、評価は東京タクシーセンターの公表、職場認証は国土交通省と認証実施団体の公表、安全と行政処分は e-Gov の条文と国土交通省の検索ページ、賃金と労働基準監督署の監督結果と職場情報サイトは厚生労働省の公表です。いずれも2026年9月25日に確認しています。この記事は特定のタクシー会社をすすめるものではありません。
「東京のタクシー会社で、いちばんいいのはどこか」。タクシーの仕事を考えはじめると、まずランキングを探したくなると思います。検索すると、会社名に順位を付けたページがたくさん出てきます。
先に大事なことを書きます。国や業界団体が、働きやすさでタクシー会社に順位を付けて公表している表は、ありません。検索で出てくる順位は、売上や台数、求人の閲覧数、紹介会社の独自の調べなど、作った人が選んだ基準で並べたものです。
そのかわり、会社を比べるのに使える公的な情報はいくつもあります。東京タクシーセンターの評価、国の働きやすい職場認証、会社が法律に基づいて出す安全の情報、国土交通省の行政処分の検索、厚生労働省が公表する監督の結果と職場の情報です。求人票で確かめる点もあわせて、この記事では、それぞれが何を測っていて、どこで確かめられるかを一次情報で説明します。会社の名前は一つも出しません。自分で調べて比べるための記事です。

結論。順位表ではなく、公的な物差しで比べる
- 公的な「タクシー会社ランキング」は無い。あるのは、東京タクシーセンターの評価の等級、国の働きやすい職場認証の星、行政処分の公表です。
- 東京の法人タクシーは29,732台。2026年3月31日の関東運輸局調です。特別区と武蔵野市・三鷹市の区域だけで307の事業者があります。
- 多くは中小の会社。協会が調べた331社のうち、従業員300人以下が290社で87.6%。1,001人以上は7社です。
- タクシーセンターの評価は100点が上限。令和7年度は280社が対象で、優良AAAが135社、AAが94社、Aが40社でした。これは会社の評価で、乗務員の評価ではありません。
- AAAの半分以上は、保有台数99台以下の会社。会社の大きさだけで評価は決まっていません。
- 働きやすい職場認証は、国が創設した制度。東京のタクシー・ハイヤーで認証を受けた会社は234社でした(2024年4月2日時点)。
- 200両以上の会社には安全管理規程の義務があり、すべての会社に安全の情報を公表する義務があります。行政処分は国土交通省のサイトで過去5年間を検索できます。
- 規模の大きい会社ほど年収は高いが、年齢と労働時間も違う。1,000人以上は505.9万円、10〜99人は372.9万円(令和7年)。平均年齢は7.7歳ちがいます。
- 労働基準監督署の監督結果も公表されている。令和7年にハイヤー・タクシーの303事業場へ監督に入り、274事業場(90.4%)で法令違反がありました。違反が疑われる所を選んで入った結果なので、業界全体の率ではありません。
- 厚生労働省の職場情報サイトで、会社が出した残業時間や有給休暇の取得率を見られる。載っているのは情報を出した会社だけです。
- 求人票では、保障給と勤務の形と二種免許の費用の条件を書面で確かめる。歩合給でも労働時間に応じた保障給が法律で決まっていて、累進歩合は廃止すべきとされています。
タクシー会社の公的なランキングは無い
検索で出てくる順位は、何で並べたものか
「タクシー会社 ランキング」で上位に出てくるページを、2026年9月24日に13ページ読みました。ほとんどが求人サイトや紹介会社、タクシー会社自身のページです。順位の基準は、売上、保有台数、求人の閲覧数、歩合の率、自社の調べなど、ページごとにばらばらでした。国や業界団体の順位表を出典にしたページはありませんでした。
売上や台数の順位は、会社の大きさの順位です。求人の閲覧数は、どれだけ見られたかの順位です。どちらも、入った人が働きやすいかどうかを直接には表しません。順位の付いたページを読むときは、何の順番なのかを最初に確かめてください。
順位表の代わりに使える公的な情報
働きやすさや安全を、会社ごとに公的に確かめられる情報は、主に次の6つです。
| 情報 | 出しているところ | 分かること |
|---|---|---|
| タクシー評価制度 | 東京タクシーセンター | 接客、安全、経営姿勢を点数にした等級(AAA、AA、A) |
| 働きやすい職場認証 | 国土交通省が創設、日本海事協会が認証 | 労働時間や職場環境の取り組みの星(一つ星から三つ星) |
| 安全の情報と行政処分 | 各社のサイト、国土交通省 | 安全の方針、処分の有無と内容 |
| 女性ドライバー応援企業 | 国土交通省 | 女性の雇用目標や職場環境の取り組みの認定 |
| 法令違反の公表事案 | 厚生労働省 | 送検などの重い労働基準関係法令違反(約1年掲載) |
| 職場情報サイト | 厚生労働省 | 会社が出した残業時間、有給休暇の取得率、女性の活躍の数字など |

多くは会社の名前で調べられます。面接の前に確かめておけば、会社の説明を聞くときの質問も具体的になります。
東京のタクシー会社はいくつあるか
区域ごとの事業者数と台数
東京ハイヤー・タクシー協会の白書「TAXICABS IN TOKYO 2026」に、関東運輸局が調べた2026年3月31日時点の数が載っています。東京のタクシーは、営業できる区域が分かれています。
| 区域 | 事業者数 | 法人タクシーの台数 |
|---|---|---|
| 特別区・武三(23区と武蔵野市・三鷹市) | 307 | 26,747台 |
| 北多摩 | 32 | 1,587台 |
| 南多摩 | 20 | 1,189台 |
| 西多摩 | 4 | 163台 |
| 島地区 | 21 | 46台 |
法人タクシーは合わせて29,732台、個人タクシーは8,907台、ハイヤーは8,558台です。東京のハイヤーとタクシーは総合計で47,197台あります。
注意したいのは、事業者数の数え方です。白書の注記には「事業者数は、当該営業区域に営業所を有する事業者の総数である」とあります。いくつもの区域に営業所がある会社は、それぞれの区域で数えられます。区域ごとの数を足すと384になりますが、これは会社の数そのものではありません。

事業者の数は減っている
同じ白書の年度別の表で、法人の事業者数(区域ごとの合計)を見ると、平成28年度の450から、令和2年度417、令和6年度386、令和7年度384と減ってきました。平成28年度から令和7年度で66減っています。法人タクシーの台数も、平成28年の30,848台から29,732台になりました。

旧版の「402社」について
この記事の以前の版では「東京都だけでも402社」と書いていました。2026年9月24日にいまの協会の会員名簿を数えると、会社は332社でした(名簿の表記は2022年1月5日現在)。白書の協会調の法人タクシー事業者は331社(2025年4月30日現在)です。402という数は、いまの一次情報では確かめられませんでした。
物差し1 会社の規模
ほとんどが中小の会社
白書には、協会が調べた法人タクシー事業者331社の規模が載っています(2025年4月30日現在)。
| 従業員の数 | 会社の数 | 割合 |
|---|---|---|
| 100人まで | 115社 | 34.7% |
| 101〜300人 | 175社 | 52.9% |
| 301〜1,000人 | 34社 | 10.3% |
| 1,001人以上 | 7社 | 2.1% |
300人以下の会社が290社で、全体の87.6%です。資本金で見ても、1,000万円までの会社が150社(45.3%)あります。白書も「ほとんどが中小企業であるタクシー業界」と書いています。車1台あたりの乗務員は約2.5人で、原価の約75%(75.7%)が人件費です。

全国で見ると、もっと小さな会社が中心です。歩合の記事でも使った全タク連の資料では、令和6年度末の全国18,140社のうち、車10両までの会社が12,970社で71.5%、101両以上は490社で2.7%でした。
規模で年収はどれだけ違うか
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、タクシー運転者の賃金が会社の規模ごとに出ています。年収の記事と同じ令和7年の数字です。年収は、きまって支給する給与を12倍して賞与を足した値です。
| 会社の規模(従業員) | 年収 | 平均年齢 | 月の労働時間(所定内と残業) |
|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 505.9万円 | 52.6歳 | 193時間と42時間 |
| 100〜999人 | 489.4万円 | 55.2歳 | 168時間と24時間 |
| 10〜99人 | 372.9万円 | 60.3歳 | 169時間と18時間 |
1,000人以上と10〜99人の差は133.0万円です。ただ、この差をそのまま会社の差と読むのは早すぎます。平均年齢が52.6歳と60.3歳で7.7歳ちがい、働く人の年齢層がそもそも違うからです。

労働時間も違います。1,000人以上は所定内193時間と残業42時間で、月に235時間です。100〜999人は192時間、10〜99人は187時間でした。年収が高い区分は、働く時間も長くなっています。

また、1,000人以上の区分は賞与が69.1千円と少なく、毎月の給与が多い形です。100〜999人は賞与が213.6千円あります。毎月の給与と賞与の割合は、規模の区分によっても違います。給与の仕組みは歩合の記事で詳しく書いています。
物差し2 東京タクシーセンターの評価
どんな制度か
公益財団法人の東京タクシーセンターは、23区と武蔵野市・三鷹市の法人タクシー事業者を毎年度評価しています。センターのページには、次のように書かれています。
「東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)でご利用頂くお客様の利便向上と、より良質なタクシーサービスをお届けするため、タクシー評価委員会…において法人タクシー事業者の安全・サービス等に関する評価を行なっています。」
タクシー評価委員会は、以前はランク評価委員会という名前でした。
委員会には、学識経験者、有識者、行政とタクシー利用者の代表、法人と個人の事業者団体の代表、労働団体の代表が入っています。白書によると、いまの評価制度は平成25年4月に始まり、令和5年度から「優良AAA、AA、A事業者」として公表されています。
大事な点が一つあります。センターのページには「法人タクシー事業者の評価であって、タクシー乗務員に対する評価ではありません」と書かれています。会社の評価であり、そこで働く一人ひとりの評価ではありません。
何で点数が決まるか
評価制度フロー(令和7年度版)を見ると、点数は4つの面から付けられます。
| 面 | 配点 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 接客・サービス | 50点 | センターの街頭指導の事案20点、苦情の事案20点、利用者モニターの評価10点 |
| 安全・運行管理 | 30点 | 速度違反や駐停車違反、事故、過労防止、行政処分で減点 |
| 経営姿勢 | 20点 | 働きやすい職場認証、運転者の採用状況、運輸安全マネジメントなど |
| 加点措置 | 10点まで | 女性ドライバー応援企業、AED、環境美化運動など |
合計の点数は100点が最高です。接客・サービスと安全・運行管理は、主に違反や苦情があると点が引かれる仕組みです。たとえば安全・運行管理では、車両停止処分で25、20、15、10点、文書警告で2点、死亡事故(第一当事者)で5点が引かれます。

点数と等級の境目
| 等級 | 合計の点数 |
|---|---|
| 優良AAA | 100点 |
| 優良AA | 90点以上100点未満 |
| 優良A | 76点以上90点未満 |
| B | 61点以上76点未満 |
| C | 61点未満 |
AAAは、加点も含めて最高の100点に届いた会社です。なお加点措置は、重大かつ悪質な法令違反による車両停止処分があった会社には適用されません。

令和7年度の結果
令和7年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)は、評価の対象が280社でした。
- 優良AAA 135社
- 優良AA 94社
- 優良A 40社(うち1社は2026年4月1日に廃業と表示)
- 過去2年間以上続けてC評価 1社
- 評価の対象外 1社(理由は「評価対象期間中に事業停止の行政処分を受けた事業者」)
優良は合わせて269社です。会社の名前と住所、保有台数はセンターのページで見られます。応募を考えている会社があれば、そこで等級を確かめてください。

大きい会社ほど評価が高いわけではない
センターの一覧には、各社の保有台数(2026年3月1日現在)が載っています。この台数を等級ごとに数えてみました。
| 保有台数 | 優良AAA | 優良AA | 優良A |
|---|---|---|---|
| 49台以下 | 20社 | 32社 | 20社 |
| 50〜99台 | 55社 | 46社 | 13社 |
| 100〜199台 | 48社 | 11社 | 6社 |
| 200台以上 | 12社 | 5社 | 0社 |
| 台数の中央値 | 90台 | 65台 | 45台 |
Aは台数のある39社で数えています。AAAには大きな会社が多めですが、99台以下の会社が75社で、AAAの55.6%を占めます。49台以下でAAAの会社も20社あります。反対に、200台以上でもAAの会社があります。
会社が大きいか小さいかと、評価の等級は、ある程度つながっていても同じではありません。「大手だから安心」「小さいから不安」と決めつけず、等級を一社ずつ確かめるほうが確かです。

働く人にとっての意味
評価は利用者向けの制度ですが、働く人にも関係があります。センターの業務の説明によると、優良タクシー乗り場には、優良運転者の表彰を受けた運転者と、優良事業者の車両(優良の表示のある車)で乗務する運転者が入れます。白書によると、優良タクシー乗り場は13地区26カ所です。
また、経営姿勢の20点には、働く人に関わる項目も入っています。
- 働きやすい職場認証 → 三つ星3点、二つ星2点、一つ星1点
- 運転者の採用状況 → 二種免許を取らせて育てた人の割合、経験者を採るときの運転記録証明書の活用など。4点
- 運輸安全マネジメントの取り組み → 4点
- インバウンド対応 → 4点
- 街頭指導への協力 → 4点
- 感染防止の装備 → 導入率50%以上で1点

加点措置は10点が上限で、女性ドライバー応援企業の認定と女性運転者の所属で2点、グリーン経営認証で2点、AEDの導入と講習で2点、乗り場の環境美化運動で2点などがあります。2025年3月25日のお知らせで、令和7年度から働きやすい職場認証が点数に入り、子育て応援(育児支援や妊婦応援のタクシー)、防犯協力(こども110番)、オンライン新規講習も加点になりました。

物差し3 働きやすい職場認証
「働きやすい職場認証制度」(正式な名前は運転者職場環境良好度認証制度)は、国土交通省が令和2年度に創設した制度です。認証は、一般財団法人日本海事協会が実施しています。制度の公式サイトは、目的を次のように書いています。
「『働きやすい職場認証制度』とは、職場環境改善に向けたトラック、バス、タクシー事業者の取組みを『見える化』することで、求職者の運転者への就職を促進し、各事業者の人材確保の取組みを後押しすることを目的とした制度です。」
つまり、運転の仕事を探している人に向けて作られた制度です。星は一つ星、二つ星、三つ星の3段階です。
東京で認証を受けているタクシー会社の数
2024年4月の公表に、都道府県別の数が載っています。東京都のタクシー・ハイヤーは次のとおりでした(2024年4月2日時点)。
| 星 | 東京都のタクシー・ハイヤー |
|---|---|
| 一つ星 | 96社 |
| 二つ星 | 135社 |
| 三つ星 | 3社 |
| 合計 | 234社 |
全国のタクシーでは894社でした(2024年4月5日時点)。これより新しい都道府県別の集計は、公式サイトのお知らせとプレスリリースの一覧には見当たりませんでした。いま認証を受けているかどうかは、認証事業者の検索サイトで会社ごとに確かめるのが確実です。

認証が無い会社が、働きにくい会社だと決まるわけではありません。申請していないだけの会社もありえます。認証があれば一つの目安になり、無ければ面接で労働時間や休みの取り方を具体的に聞く、という使い方がよいと思います。前の章のとおり、センターの評価でも三つ星は3点、一つ星は1点として数えられています。
物差し4 安全の情報と行政処分
法律で決まっている安全の決まり
タクシー会社の安全の決まりは、道路運送法と旅客自動車運送事業運輸規則に書かれています。
- 道路運送法22条の2 → 一定の規模以上の会社は、安全管理規程を定めて国に届け出なければならない。運輸規則47条の2で、タクシーはその規模が200両
- 道路運送法29条の3と運輸規則47条の7 → 会社は、毎事業年度が終わってから100日以内に、輸送の安全に関する基本的な方針などの情報をインターネットなどで公表しなければならない
- 運輸規則47条の7の2項 → 輸送の安全に関わる処分を受けたときは、処分の内容と、それに基づいて講じた措置を公表しなければならない
- 道路運送法29条の2 → 国土交通大臣は、毎年度、処分などの輸送の安全にかかわる情報を整理して公表する
白書によると、「運輸安全マネジメント」は平成18年10月に始まり、「経営トップから現場の運転者までが輸送の安全を最優先とし、安全性の向上に取り組んでいます」とあります。応募を考えている会社のサイトで「輸送の安全に関する情報」などのページを探してみてください。

行政処分を調べる
国土交通省の事業者の行政処分情報検索で、会社が受けた行政処分を調べられます。ページには「バス、タクシー、トラックを利用する際の事業者選択の参考情報として、過去5年間の自動車運送事業者に対する行政処分等の状況を公表しています」とあります。ネガティブ情報等検索サイトの「タクシー事業者」からも入れます。
使い方は、自動車運送事業でタクシーを選び、都道府県は営業所のある所を選び、事業者名を入れて検索します。事業者名はヨミガナでも検索できます。処分は処分の翌月末をめどに載り、2026年9月25日の時点では令和8年7月分まで検索できました。

読むときは、処分の種類と時期を見てください。文書警告と事業停止では重さがまったく違います。載っているのは処分を行った時点の情報で、その後に会社が改善しているかどうかまでは分かりません。気になる処分があれば、面接で「その後どう変えたか」を聞いてみるのも一つの方法です。
物差し5 女性ドライバー応援企業とそのほかの目安
国土交通省は平成28年6月から、女性ドライバー応援企業を認定しています。基準は、女性ドライバーの雇用目標、労働環境、情報提供の3つです。センターの評価でも、認定を受け女性運転者が所属している会社には加点があります。女性の働き方については女性ドライバーの記事で詳しく書いています。
このほか、東京タクシーセンターの登録運転者の数から、業界全体の様子も分かります。2026年8月末の法人の登録運転者は67,486人(うち女性2,675人)で、平均年齢は55.5歳でした。平均年齢の高い業界なので、年齢の近い同僚がいるか、何歳まで働けるかも、会社ごとに聞いておきたい点です。
物差し6 労働基準監督署の監督結果と法令違反の公表
タクシー会社への監督で見つかった違反
厚生労働省は毎年、労働基準監督署がトラック、バス、タクシーなど運転の仕事の職場に入って調べた結果を公表しています。2026年8月6日の発表は、令和7年の結果です。会社の名前は出ていませんが、タクシーの職場でどんな違反が多いかが分かります。
発表の別紙によると、ハイヤー・タクシーでは303事業場に監督に入り、274事業場(90.4%)で労働基準関係の法令違反が見つかりました。主な違反は次のとおりです。
| 違反の中身 | 事業場の数 | 監督した303事業場に対する割合 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 135 | 44.6% |
| 割増賃金の支払 | 82 | 27.1% |
| 労働時間の状況の把握 | 30 | 9.9% |
| 改善基準告示の違反(合計) | 126 | 41.6% |
| うち1日あたりの拘束時間(最大拘束時間) | 88 | 29.0% |
| うち1か月か1年の拘束時間(総拘束時間) | 72 | 23.8% |
| うち勤務と勤務の間の時間(休息期間) | 39 | 12.9% |
読むときに大事な点があります。別紙には、監督に入ったのは「労働基準関係法令違反が疑われる」事業場だと書かれています。無作為に選んだ調査ではないので、90.4%を「タクシー会社の9割が違反している」と読むのは誤りです。分かるのは、違反があるときに何が多いかです。

ここから、面接で聞くことが見えてきます。多いのは労働時間と、1日の拘束時間と、残業代の払い方です。隔日勤務の1回の拘束が何時間か、休みの間隔、残業代の計算の仕方を聞いておけば、違反が多い所をそのまま確かめることになります。残業の上限と残業代の計算は36協定の記事で説明しています。
3年間の推移と送検の件数
同じ別紙に、令和5年から令和7年までの数も載っています。
| ハイヤー・タクシー | 令和5年 | 令和6年 | 令和7年 |
|---|---|---|---|
| 監督した事業場 | 299 | 319 | 303 |
| 法令違反があった事業場 | 269 | 279 | 274 |
| 改善基準告示の違反があった事業場 | 100 | 120 | 126 |
| 送検の件数 | 1件 | 5件 | 7件 |
送検は、法令違反の疑いで事件を検察庁に送る手続きです。ハイヤー・タクシーでは令和5年の1件から、令和7年は7件になりました。全体の件数は小さいので、この増え方だけで業界の傾向を言い切ることはできません。

別紙に載ったタクシーの事例
別紙にはタクシー会社の事例が1つ載っています。運転者の賃金が基本給と歩合給でできていて、歩合の割合が段階的に上がる「累進歩合制度」だったため、長時間労働を招くおそれがあるとして廃止を指導した例です。あわせて、2名の運転者で1日の拘束時間が15時間を超えていたことと、年10日以上の有給休暇がある人に年5日の時季指定をしていなかったことが是正勧告されました。会社は「累進歩合制度を廃止し、歩合給の支給割合を一律とする新たな賃金体系を構築した」とあります。
歩合の率が売上の段階で上がる仕組みかどうかは、求人票だけでは分かりにくいところです。あとの章で書く保障給とあわせて、給与の計算の仕方を具体的に聞いてください。
法令違反の公表事案を見る
もう一つ、会社の名前で確かめられる情報があります。厚生労働省の長時間労働削減のページに載っている「労働基準関係法令違反に係る公表事案」です。いまの一覧は令和7年8月1日から令和8年7月31日までの公表分で、令和8年8月31日に載りました。都道府県の労働局ごとに、会社や事業場の名前、所在地、公表日、違反した条文、事案の概要が並んでいます。
載るのは、労働基準関係の法令違反の疑いで送検して公表した事案と、労働局長が経営トップを指導して公表した事案です。掲載の基準には「掲載期間は、公表日から概ね1年間」とあり、1年ほどたつと消えます。
- 載っているのは送検などの重い事案だけで、軽い指導や是正勧告は載らない
- 掲載はおよそ1年で、それより前の事案は一覧から消える
- 一覧は労働局ごとに並んでいるので、応募先の会社名で探す

国土交通省の行政処分の検索とあわせて見ると、安全の面と労働の面の両方を確かめられます。どちらにも載っていないことは、問題が無いことの証明にはなりません。載るのは重い事案だけだからです。
物差し7 厚生労働省の職場情報サイト
しょくばらぼで会社が出した数字を見る
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」は、会社の残業時間や有給休暇の取得率、平均年齢などを検索して比べられるサイトです。2026年9月1日時点で150,785件が載っています。若者の雇用、女性の活躍、子育てとの両立について、法律に基づいて会社が出した情報をまとめて見られます。
ただし、サイト自身が「職場改善に積極的な企業」の情報と書いているとおり、載っているのは情報を出した会社だけです。載っていない会社が悪いわけではありません。気になる会社が載っていれば、残業時間や有給休暇の取得率を面接の前に見ておけます。
女性の活躍推進企業データベース
女性の働き方を知りたいときは、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースも使えます。2026年9月25日の時点で、44,301社がデータを、59,891社が行動計画を出していました。女性管理職の割合や、男女の平均の勤続年数などを会社ごとに見られます。
女性活躍推進法の特集ページによると、常時雇用する労働者が101人以上の会社には、行動計画を作って届け出る義務があります。男女の賃金の差の公表は、301人以上の会社には2022年7月8日から、101人以上300人以下の会社にも2026年4月1日から義務になりました。協会が調べた331社で見ると、従業員101人以上の会社は216社です。協会の「従業員」と法律の「常時雇用する労働者」は数え方が同じとは限らないので、これは目安です。

タクシーの仕事での女性の働き方は女性ドライバーの記事に詳しく書いています。データベースと国土交通省の女性ドライバー応援企業の認定をあわせて見ると、会社の取り組みが分かりやすくなります。

求人票と労働条件で比べる
ここまでの物差しは、会社の外から確かめられる情報でした。最後は、会社から直接もらう求人票と労働条件の書面です。検索で出てくる比較ページの多くは、歩合の率や給料保証の額を会社ごとに並べています。ここでは会社名を出さずに、法律で決まっていることを基準に、何を確かめればよいかを書きます。
労働条件は書面で確かめる
労働基準法15条には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」とあります。2項では、明示された労働条件が事実と違うとき、働く人はすぐに労働契約を解除できるとされています。説明会で聞いた話と、書面の中身が同じかどうかを確かめてください。
歩合給にも保障給がある
タクシーの給与は、売上に応じた歩合給が中心の会社が多い仕事です。それでも労働基準法27条は「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と決めています。
厚生労働省の通達(令和4年12月23日)は、歩合給制度では「労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定める」としています。売上が少ない月でも、働いた時間に応じて一定の額は払われる仕組みです。
同じ通達は、売上の段階で歩合の率が上がる累進歩合制度について「自動車運転者の長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念されることから、廃止すべきである」としています。トップ賞や、売上の段階ごとに一定額を足す奨励加給も同じ扱いです。前の章の監督の事例は、まさにこの指導でした。
なお、会社が独自に決める入社後の「給料保証」(最初の何か月かは決まった額を払う制度)は、法律の保障給とは別のものです。金額と期間は会社ごとに違うので、書面で確かめてください。歩合の仕組みは歩合の記事で詳しく書いています。

勤務の形と拘束時間の上限
東京の法人タクシーの勤務は、隔日勤務と日勤が中心です。協会の白書は「隔日勤務は実労働時間15時間(拘束18時間、休憩3時間)としています」と書き、隔日勤務なら月11〜13回の乗務になるとしています。フレックスタイム制を入れている事業所や、時短の勤務、月の勤務日数を減らす働き方ができる会社もあるとしています。
拘束時間の上限は、厚生労働省の改善基準告示で決まっています(2024年4月1日から)。
| 隔日勤務 | 日勤 | |
|---|---|---|
| 1か月の拘束時間 | 262時間以内(労使協定で年6か月まで270時間) | 288時間以内 |
| 1回の拘束時間 | 2暦日で22時間以内、2回の平均で1回21時間以内 | 1日13時間以内(上限15時間、14時間を超えるのは週3回までが目安) |
| 休息期間 | 継続24時間を基本に、22時間を下回らない | 継続11時間を基本に、9時間を下回らない |
前の章のとおり、監督で見つかる違反は拘束時間が多くなっています。面接では、1回の乗務の拘束時間と、明けの日と休みの日の取り方、月の乗務回数を具体的に聞いてください。勤務の形の違いは仕事内容の記事にまとめています。

二種免許の費用を会社が出す場合
未経験で入る人の多くは、入社してから二種免許を取ります。費用を会社が出す場合は、何か月以内に辞めたら返すという条件が付いていることがあります。
労働基準法16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と決めています。一方で、厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aは、会社が立て替えたお金について「会社には立替えた金銭の求償権がある」としつつ、「その返済を退職の条件とすることはできません」と説明しています。個別の約束が法律に合うかどうかは、費用が誰のためのものか、返し方がどう決まっているかで変わります。この記事では判断しません。入社前に書面で次の点を確かめてください。
- 費用は会社の負担か、本人への貸付(立替)か
- 返す場合の金額の上限
- 何か月働けば返さなくてよいか
- 働いた期間に応じて返す額が減るか
- 返すお金を給料から天引きするのか
- これらが書面に書かれているか

返還の条件と入社までの流れは未経験の人向けの記事でくわしく書いています。
福利厚生と設備
協会の白書は、タクシー会社の福利厚生として、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの社会保険をあげています。そのうえで「社宅や寮を用意する会社も」「定期健診のほか独自の健康プログラムを用意する会社も」「乗務員の休憩スペースや仮眠室、中には社員食堂がある会社も」と書いています。どれも「会社も」なので、会社ごとに違う部分です。
隔日勤務では営業所で休憩や仮眠をとることがあるので、説明会では営業所の中を見せてもらうと、仮眠室や休憩スペースの様子が分かります。社宅や寮を使う場合は、家賃と、辞めるときに出る期限も聞いておきたい点です。

面接や説明会で確かめること
筆者が会社を選んだときのこと
筆者が都内のタクシー会社に入ったとき(この記事の最初の版を書いた2019年より前)は、会社の違いがよく分からず、最初は家からいちばん近い会社に電話して、説明会の予約を取りました。当時は、30万円の入社祝い金が大きく感じられました。
入ってみて分かったのは、会社によって経営の考え方や細かいルールがかなり違い、それはホームページだけでは分からないということでした。いま振り返ると、ここまでに書いた公的な情報を先に調べ、説明会では自分の知りたいことを具体的に聞くべきだったと思います。祝い金の額は、条件(何か月勤めればもらえるかなど)とあわせて見ないと比べられません。
確かめたい8つ
- タクシーセンターの評価の等級(23区と武蔵野市・三鷹市の会社)
- 働きやすい職場認証の星
- 会社のサイトの安全の情報
- 国土交通省の行政処分の検索で、過去5年間の処分
- 歩合の率と、入社後の給与の保障の金額と期間
- 勤務の形(隔日勤務か日勤か)と、月の労働時間
- 二種免許の費用を会社が負担する条件
- 営業所の場所と、家からの距離

二種免許の取り方は二種免許の記事、仕事の中身と勤務の形は仕事内容の記事にまとめています。東京の地理試験は2024年2月に廃止されました(地理試験の記事)。
運賃は国が公示するもの
以前の版では、初乗り運賃の改定を特定の会社の社長の功績のように書いていました。運賃は国が公示するもので、1社が決めるものではありません。
東京の特別区と武蔵野市・三鷹市では、2026年4月20日から新しい運賃になりました。初乗りは1.0kmまで500円、そのあと232mごとに100円、時間距離併用は1分25秒ごとに100円です。深夜の22時から5時は2割増、9,000円を超える分は1割引の遠距離割引があります(令和8年3月19日公示)。運賃の仕組みはメーターの記事で説明しています。

同じように、以前の版では東京ハイヤー・タクシー協会の会長がどの会社の人かを、会社の強さの理由として書いていました。会長は協会のページで公表されています(2026年9月25日確認)。ただ、会長がどの会社の人かは、その会社で働きやすいかどうかを測る物差しにはなりません。この記事では扱わないことにしました。
この記事で訂正したこと
この記事は2019年3月20日に公開したものを、2026年9月24日に書き直し、9月25日に労働条件と厚生労働省の公表の章を足しました。以前の版には、確かめられない数字や、特定の会社をすすめる記述がありました。主なものを並べます。
| 以前の版の記述 | いまの事実 |
|---|---|
| 東京都だけでも402社 | いまの一次情報では確かめられない。区域ごとの事業者数の合計は384(2026年3月31日、関東運輸局調)、協会調の法人タクシー事業者は331社(2025年4月30日) |
| 協会の会長が大手の社長なので大手が強い | 会長は協会のページで公表されている。会長の所属は職場の良し悪しの物差しにならないため扱わない |
| 初乗り運賃を改定したのも大手の社長 | 運賃は国が公示する。2026年4月20日から初乗り1.0km 500円 |
| オススメは大手4社 | 特定の会社はすすめない。タクシーセンターの評価、職場認証、行政処分で自分で比べる |
| 会社ごとの社風の紹介 | 筆者の主観だったため削除 |
| 面接の紹介とお祝い金の案内 | 削除 |
以前の版にあった会社の名前の一覧も削除しました。

よくある質問
東京のタクシー会社の公式なランキングはありますか
国や業界団体が、働きやすさで会社に順位を付けて公表している表はありません。東京タクシーセンターは法人タクシー事業者を評価して優良AAA、AA、Aの等級を公表していますが、順位ではなく等級です。
AAAの会社なら働きやすいですか
評価は、接客、安全、経営姿勢を点数にした会社の評価です。経営姿勢には働きやすい職場認証や運転者の採用状況も入っているので、目安の一つにはなります。ただ、給与の仕組みや勤務の形は配点の項目にないため、面接で確かめる必要があります。
タクシーセンターの評価は多摩地区の会社にもありますか
評価は、東京特定指定地域(23区と武蔵野市・三鷹市)の法人タクシー事業者が対象です。多摩地区だけで営業している会社は、働きやすい職場認証や行政処分の検索で確かめてください。
大手と中小では、どちらが稼げますか
賃金構造基本統計調査では、従業員1,000人以上の年収が505.9万円、10〜99人が372.9万円でした(令和7年)。ただ、平均年齢が7.7歳ちがい、労働時間も1,000人以上が月235時間と長いので、規模だけの差とは言えません。
働きやすい職場認証が無い会社は避けるべきですか
認証は会社が申請して受けるものなので、無いことだけで働きにくいとは決められません。認証が無い会社では、労働時間や休みの取り方を面接で具体的に聞いてください。
行政処分を受けた会社は避けるべきですか
処分の重さと時期で見方が変わります。検索できるのは過去5年間の処分で、処分した時点の情報です。処分のあと会社がどう改善したかは、面接で聞くと分かることがあります。
東京にタクシー会社はいくつありますか
関東運輸局の調べでは、2026年3月31日に23区と武蔵野市・三鷹市の区域だけで307の事業者がありました。区域ごとの数を足すと384ですが、いくつもの区域に営業所がある会社は重ねて数えられています。協会が調べた法人タクシー事業者は331社です(2025年4月30日)。
労働基準監督署の監督で9割に違反があったのは本当ですか
令和7年にハイヤー・タクシーの303事業場に監督に入り、274事業場(90.4%)で違反が見つかったのは厚生労働省の公表どおりです。ただ、監督に入ったのは違反が疑われる事業場です。タクシー会社全体の9割が違反しているという意味ではありません。
応募先の会社が法令違反で公表されていないか調べられますか
厚生労働省の「労働基準関係法令違反に係る公表事案」で、会社名を探せます。載るのは送検した事案と労働局長が指導した事案で、掲載はおよそ1年です。載っていないことは、問題が無いことの証明にはなりません。
しょくばらぼに載っていない会社はよくないのですか
しょくばらぼに載るのは、会社が自分で情報を出した場合です。載っていないだけで働きにくいとは言えません。残業時間や有給休暇の取得率は、面接で聞いて確かめてください。
歩合給だと、売上が少ない月は給料がとても少なくなりますか
労働基準法27条で、歩合給でも労働時間に応じた保障給が必要です。厚生労働省の通達は、固定的給与とあわせて通常の賃金の6割以上を保障するよう定めるとしています。会社の保障給の決め方は、書面で確かめてください。
入社祝い金の多い会社を選んでもいいですか
祝い金は、支給の条件(何か月勤めるか、分割か)で実際の価値が変わります。祝い金の額だけでなく、歩合の率や給与の保障の期間とあわせて比べてください。
まとめ
東京のタクシー会社には、働きやすさの公的なランキングはありません。そのかわり、会社を一社ずつ確かめられる公的な情報がそろっています。
- 東京の法人タクシーは29,732台。23区と武蔵野市・三鷹市の区域に307の事業者(2026年3月31日)
- 協会が調べた331社のうち、300人以下の会社が87.6%
- 東京タクシーセンターの評価は100点が上限。令和7年度は280社中AAAが135社、AAが94社、Aが40社
- AAAの55.6%は保有台数99台以下の会社。大きさだけで評価は決まらない
- 働きやすい職場認証を受けた東京のタクシー・ハイヤーは234社(2024年4月2日時点)。いまの認証は検索サイトで確かめる
- すべての会社に安全の情報の公表義務。行政処分は国土交通省のサイトで過去5年間を検索できる
- 会社の規模で年収は変わるが、年齢と労働時間の違いも大きい
- 令和7年の監督ではハイヤー・タクシー303事業場のうち274事業場(90.4%)に法令違反。違反が疑われる所を選んだ結果で、多いのは労働時間と拘束時間
- 法令違反の公表事案と、しょくばらぼ・女性の活躍推進企業データベースで会社名から調べられる
- 求人票では、保障給(通常の賃金の6割以上)、勤務の形と拘束時間、二種免許の費用を返す条件を書面で確かめる
数字と制度は、ここに書いた2026年9月25日の時点のものです。タクシーセンターの評価は毎年度、公表されます。気になる会社が見つかったら、評価の等級、認証の星、処分や公表の有無を確かめてから、説明会で自分の条件を具体的に聞いてみてください。




