この記事の情報
法令はe-Govに載っている旅客自動車運送事業運輸規則と身体障害者補助犬法の条文、約款は国土交通省の標準運送約款、補助犬の頭数は厚生労働省の公表資料、配車アプリの扱いはGOとDiDiの公式サポートの説明です。いずれも2026年9月29日に確認しています。
愛犬を動物病院へ連れていきたい。猫を連れて引っ越し先へ移りたい。雨の日にトリミングの帰りを歩かせたくない。こうした場面でタクシーを使えるかどうかは、飼い主にとって切実な問題です。
先に答えを書きます。ペットの犬や猫は、法令の上では車内に持ち込める側に入っています。けれども、実際に乗せるかどうかはタクシー会社や乗務員が決めることで、断られることもあります。これに対して、盲導犬・介助犬・聴導犬の3種類の補助犬は、法律で乗車を拒んではならないと決まっていて、扱いがまったく違います。
この記事では、条文と省庁の資料をもとに、どこまでが決まりで、どこからが会社や乗務員の判断なのかを分けて説明します。後半では、乗る前に用意しておくもの、断られたときの動き方、筆者が運転席で見たことも書きます。

結論 → ペットは会社しだい、補助犬は拒まれない
連れている動物によって、答えは大きく3つに分かれます。
| 連れている動物 | 決まりの上での扱い | 実際の乗り方 |
|---|---|---|
| 盲導犬・介助犬・聴導犬 | 補助犬法8条で、会社は同伴を拒んではならない(表示が必要。ただし書きあり) | そのまま乗れる。求められたら書類を見せる |
| キャリーに入った犬や猫 | 運輸規則52条14号の「愛玩用の小動物」として、持ち込み制限の例外に入る | 会社や乗務員の判断。呼ぶときに伝えておくと確実 |
| キャリーに入らない犬、大きな犬 | 大きさの基準は条文にない。汚れや迷惑のおそれがあれば16号に当たりうる | 断られることがある。受け入れる車があるか会社に聞く |
ポイントは、「法令で持ち込める」と「必ず乗せてもらえる」が同じではないことです。配車アプリのGOもDiDiも、ペットとの同乗はタクシー会社や乗務員によって違うと公式に説明しています。

運輸規則52条 → 車内に持ち込めない物は16項目
タクシーやバスの乗客が車内に持ち込めない物は、国土交通省令の旅客自動車運送事業運輸規則の52条に並んでいます。条文の見出しは「物品の持込制限」です。乗客が乗ること自体を禁じる決まりではなく、何を車内に持ち込めないかを定めた条文だと読むのが正確です。
項目は全部で16あります。火薬類や燃えやすい液体、高圧ガスのような危ない物のほかに、10号の刃物、13号の死体、そして14号の動物が入っています。重さや数の目安が書かれているのは、100グラムを超えるおもちゃの花火、100グラムを超えるセルロイド類、500グラムを超えるマッチ、50発以内の実包の例外くらいです。
なお、条文の柱書にはただし書きがあり、品名や数量、荷造りの方法などが国土交通大臣の告示で決めた条件に合う場合は、持ち込み制限から外れます。

14号の動物には3つの例外がある
14号は「動物」を持ち込めない物に挙げたうえで、かっこ書きで3つを外しています。1つ目は身体障害者補助犬、2つ目は補助犬と同じだけの能力があると認められる犬、3つ目が「愛玩用の小動物」です。ペットとして飼っている小さな犬や猫は、3つ目の例外に当たると読めます。
ただし、どこまでが「小動物」なのか、体重や体の大きさの基準は運輸規則にも約款にも書かれていません。今回調べた範囲では、国の解釈を示した資料も見つけられませんでした。ですから「何キロまでなら大丈夫」と言い切れる決まりはありません。

16号の「汚れのおそれ」はペットにも関わる
52条の最後の16号は、ほかの号に当たらない物でも、ほかの乗客の迷惑になるおそれがある物や、車室をひどく汚すおそれがある物は持ち込めない、という受け皿の決まりです。
ペットそのものは14号の例外で持ち込める側にいても、キャリーに入っておらず座席を汚しそうな状態なら、この16号を理由に断られる余地があります。「吠える」「暴れる」といった言葉は条文にはありませんが、運転の安全や車内の汚れに関わる場面では、乗務員の判断が入ると考えておくのが無難です。
会社が乗車を断れる根拠
運輸規則は13条で、タクシー会社が運送の引受けや継続を拒絶できる場合を挙げています。2号は、52条に並んだ物(ただし書きで認められる物を除く)を携帯している人です。3号は、泥酔した人や不潔な服装の人などで、ほかの乗客の迷惑になるおそれのある人です。
国土交通省の標準運送約款(最終改正は令和8年4月10日の告示第539号)も、4条で断れる場合を12号まで並べています。ペットに関わりそうなのは、規則で持ち込みを禁じられた物を携帯しているとき(7号)、手回品の持ち込みを断られた物を持っているとき(8号)、車内を汚すおそれがある不潔な服装のとき(10号)です。
一方で、運輸規則2条2項は、会社に対して乗客を公平に、ていねいに扱うよう求めています。断る場合でも、理由を示さずに一方的に扱ってよいわけではありません。

約款で乗客に求められること
約款は乗客の側の決まりも定めています。2条では、運転者などの係員が運送の安全のために出す職務上の指示に従うよう求めています。
4条の3は手回品(乗客が持ち歩く荷物)の決まりです。持ち込めない物が入っているおそれがあると会社が考えたときは、中身を見せるよう求めることがあり、応じなければ持ち込みを断られることがあります。大きなバッグにペットを入れている場合は、先に伝えておくほうが話が早く進みます。
10条は、乗客の故意や過失、決まりを守らなかったことで会社に損害が出たとき、会社がその賠償を求めると定めています。実際に、都内のある大手のタクシー会社は料金のページで、嘔吐などで車内に汚れが見つかった場合に、この10条に基づいて2万円を請求する場合があると書いています。動物の尿で汚れた場合にも同じ額になるかまでは書かれていませんが、汚した場合に費用を求められうることは知っておいたほうがよいでしょう。

タクシーの運賃や料金のしくみはタクシーの運賃とメーターのしくみで詳しく説明しています。
盲導犬・介助犬・聴導犬は乗車を拒めない
ここまでの話はペットについてです。補助犬は、別の法律で扱いが決まっています。
身体障害者補助犬法は2条で、補助犬を盲導犬、介助犬、聴導犬の3種類と定めています。厚生労働省は補助犬を見かけたときの案内で、補助犬は体の不自由な人の体の一部であり、ペットではないと説明しています。
補助犬法8条とタクシー会社
補助犬法8条は、公共交通事業者等に対し、事業に使う車両などを体の不自由な人が利用するとき、補助犬を連れていることを拒んではならないと定めています。ここでいう公共交通事業者等は、バリアフリー法2条5号の定義を使っていて、その中のハに一般乗用旅客自動車運送事業者、つまりタクシー会社が入っています。
ただし、条件と例外が2つあります。1つは、補助犬に12条の表示がされていることです。7条のかっこ書きで、8条の補助犬は表示をしたものに限ると読める作りになっています。もう1つは8条のただし書きで、補助犬を連れていることで車両に著しい損害が出るおそれがある場合など、やむを得ない理由がある場合は、この限りではないとされています。

見分け方と、使用者が持っている書類
厚生労働省の受け入れについての案内によると、盲導犬は白か黄色のハーネス(胴輪)が目印で、介助犬と聴導犬は胴着などに表示を付けています。表示には認定番号や認定年月日、犬種、認定した団体の名前と連絡先などが書かれています。
補助犬法12条2項により、使用者は衛生面で問題がないことを示す書類を持ち、関係者に求められたら見せなければなりません。厚生労働省の案内では、認定証(盲導犬の場合は使用者証)と「身体障害者補助犬健康管理手帳」などが挙げられています。同じ案内は、乗務員が「認定証を確認させていただけますか」と声をかけても失礼にはあたらないとも書いています。反対に、決まった表示のない犬を「補助犬だ」と言われても、事業者に受け入れる義務はないとしています。
13条は、使用者の側にも、補助犬がほかの人に迷惑をかけないよう行動をしっかり管理する義務を課しています。

全国の補助犬は849頭
厚生労働省が公表している補助犬の実働頭数は、令和8年4月の時点で盲導犬744頭、介助犬54頭、聴導犬51頭でした。あわせて849頭です。令和6年4月1日の908頭(796頭、59頭、53頭)と比べると59頭少なく、特に盲導犬が52頭減っています。
都道府県別では東京都が盲導犬94頭、介助犬12頭、聴導犬13頭で、あわせて119頭といちばん多く、神奈川県の71頭、大阪府の61頭が続きます。数は多くありませんが、都市部で乗務していれば出会うことのある人たちです。

国の指針もタクシーの例を挙げている
国土交通省は、障害を理由とする差別をなくすための対応指針(令和5年11月、令和6年4月1日から適用)で、タクシーの事業についての例を示しています。不当な差別的取扱いにあたると想定される例として、補助犬を連れていることを理由に乗車を拒否すること、白杖や車椅子の人だと分かった時点で止まらずに通り過ぎることなどが並んでいます。
同じ指針は、耳の不自由な人とはメモでの筆談やIT機器を使って行き先や要望を確かめる、といった配慮の例も挙げています。

補助犬法の罰則は、27条の指定法人の役員や職員に対するもので、同伴を拒んだ事業者に罰金を科す条文はありません。そのかわり、次の章で書くように、苦情を受け付ける窓口が法律で決まっています。
配車アプリで呼ぶときの注意
スマートフォンのアプリでタクシーを呼ぶ人も多いと思います。大手2つのアプリの公式サポートは、ペットについて次のように説明しています。
GOのサポートページ(2026年9月28日更新)は、犬や猫などとの同乗ができるかはタクシー会社や乗務員の判断で異なるとしたうえで、ペットと乗りたい場合は最寄りのタクシー会社へ電話で相談するよう案内しています。会社はアプリのメニューの「タクシー会社」から、都道府県や地域を選んで探せます。
DiDiのよくある質問も、タクシー会社によって違うので乗るときにドライバーに確かめてほしいとしています。車内が汚れるおそれや、安全運転に支障があると判断したときは乗車を断る場合がある、とも書かれています。
気をつけたいのは、ほかの客と同じ車に乗る手配です。GOのGOエコノミーと優先手配(同じ方面同士で同乗あり)では、手荷物は膝に乗る大きさ1つまでとされ、持ち込めない物として動物が挙がっています。ペットだけでなく盲導犬も含むと明記されているので、補助犬と一緒のときも普通の配車を選んでください。

アプリごとの対応エリアや手配料の違いはタクシー配車アプリの比較に、予約して呼ぶ方法はタクシーを予約するときの決まりにまとめています。
乗る前に用意しておくこと
ペットと乗るなら、断られにくくするのも、乗務員とお互いに気持ちよく過ごすのも、準備しだいです。決まりから言えることと、運転席に座っていた側の実感をあわせて、6つにまとめました。
- ふたが閉まるキャリーかケージに入れる。16号の「汚れのおそれ」に当たりにくくなり、乗務員も安心できる
- 底にペットシーツを敷く。キャリーが傾いたときのもれを防ぐ
- キャリーに慣らしておく。中で落ち着いていられれば、運転への影響を心配されにくい
- 呼ぶときにペットと乗ると伝える。GOも最寄りの会社への電話での相談を案内している
- タオルや袋を持つ。万一汚れたときにすぐ拭ける
- 相乗りの手配を選ばない。GOの相乗りの手配では動物は持ち込めない

補助犬と乗る人は、表示が見えるようにして、認定証や健康管理手帳をすぐ出せるところに入れておくと、確認が短く済みます。

筆者が運転席で見たこと
筆者が都内で乗務していた2018年から2020年ごろ、犬を連れたお客さんを乗せたことが何度かありました。そのとき感じたのは、ケージにもキャリーにも入れずに乗り込んでくる人が思ったより多いということでした。
忘れられないのは、キャリーに犬を入れて後ろの席に座ったお客さんのときです。中にシーツが敷かれておらず、キャリーが少し傾いた拍子に尿が外へあふれてしまいました。量は少なかったのですが、コンビニで水を買い、ティッシュで拭くことになりました。もしシートをまるごと替えるほど汚れていたら、会社へ戻って自分で張り替えることになり、そのぶん営業の時間が減ってしまいます。
反対に、ケージに入っていない犬を2匹乗せたこともありました。2匹ともとてもおとなしく、降りるまで何の問題もありませんでした。ケージの有無だけで決まるわけではない、というのが正直な実感です。
筆者は当時、実家で犬を、自宅で猫を飼っていて、乗る側に回ることもありました。猫をキャリーに入れて乗ろうとしたのに、乗車を断られた経験が一度あります。準備をしていても断られることはある、ということです。
1回の乗務で乗せるお客さんは30人から40人ほどでした。次に乗る人のことを考えると、運転手としてお願いしたかったのは、座席を汚さないことと、においを車内に残さないことの2つです。車内のにおいの話はタクシーのにおいの記事でも書いています。

断られたときの動き方
ペットの場合
ペットとの同乗は会社や乗務員の判断なので、断られること自体は決まりに反するとは限りません。まず理由を聞いてみてください。キャリーに入れていない、シーツがないといった準備で直せる理由なら、次からの参考になります。
急いでいるときは、別のタクシー会社に電話して、ペットと乗りたいと最初に伝えるのが近道です。準備をしていたのに納得できない断られ方をしたときは、その車の会社に連絡して相談できます。
補助犬の場合
補助犬と一緒のときは、補助犬法8条で同伴を拒めないことを伝え、表示と認定証を見せてください。それでも乗せてもらえなかったときは、その会社に連絡するほか、法律で決まった苦情の窓口があります。
補助犬法25条により、車両での同伴についての苦情は、そのタクシー会社の営業所がある場所の都道府県知事に申し出ることができます。26条により、営業所が指定都市や中核市にある場合は、その市長が受け付けます。知事や市長は相談に応じ、必要な助言や指導などを行うとされています。

この記事で訂正したこと
この記事は2019年7月9日に公開したものを、2026年9月29日に全面的に書き直しました。以前の版には、条文の数え違いや、いまの決まりとずれた書き方がありました。主なものを並べます。
| 以前の版の記述 | いまの事実 |
|---|---|
| 法令で決められた「乗車禁止物」の一覧 | 運輸規則52条の見出しは「物品の持込制限」。乗ること自体ではなく、車内に持ち込む物の決まり |
| 一覧は15項目 | 16項目。10号の刃物が抜けていた |
| 13番が動物、15番が汚れのおそれ | いまの条文では14号と16号 |
| 吠えたり暴れたりすると断られる | 条文にその言葉はない。16号の迷惑や汚れのおそれ、約款2条の係員の指示、DiDiの説明にある安全運転への支障で説明できる |
| 結局は全部運転手が決める | ペットは会社や乗務員の判断。補助犬は補助犬法8条で拒んではならない |
| 大型でも小型でも補助犬は断れない | 大筋そのとおり。ただし表示をした補助犬であることが前提で、著しい損害のおそれなどのただし書きがある |
| ゲージ | ケージ |
また、以前の版にあった特定のタクシー会社のペット向けサービスの紹介と対応地域の一覧、通販サイトへのリンクは削除しました。

よくある質問
タクシーに犬を乗せても法律違反になりませんか
ペットの小さな犬や猫は、運輸規則52条14号の「愛玩用の小動物」として持ち込み制限の例外に入ると読めます。法律違反を心配する必要は小さいですが、乗せるかどうかは会社や乗務員の判断です。
大型犬でもタクシーに乗れますか
運輸規則にも約款にも、大きさや体重の基準は書かれていません。ただ、キャリーに入らない大きさだと汚れや安全への心配から断られることが増えます。ペットと乗れる車があるかを、タクシー会社に電話で聞いてみてください。
キャリーに入れれば必ず乗せてもらえますか
必ずとは言えません。GOもDiDiも、ペットとの同乗は会社や乗務員によって違うと説明しています。筆者自身、猫をキャリーに入れていたのに乗せてもらえなかった経験が一度あります。呼ぶときに伝えておくのが確実です。
盲導犬と一緒でも断られることはありますか
補助犬法8条で、タクシー会社は補助犬の同伴を拒んではならないと決まっています。例外は、著しい損害が出るおそれがあるときなど、やむを得ない理由がある場合です。表示のない犬は補助犬として扱われないことがあります。
ペットのせいで車内を汚したら費用を払うのですか
約款10条で、乗客の過失などで会社に損害が出たときは賠償を求めると決まっています。ある大手の会社は、嘔吐などで汚れた場合に2万円を請求する場合があると料金のページに書いています。キャリーとシーツで汚れを防ぐのがいちばんです。
配車アプリの相乗りでペットと乗れますか
GOのGOエコノミーと優先手配(同じ方面同士で同乗あり)では、動物は持ち込めないとされています。盲導犬も含むと書かれているので、動物と一緒のときは普通の配車を選んでください。
補助犬の乗車を断られたらどこに相談できますか
その会社への連絡のほか、補助犬法25条により、営業所がある場所の都道府県知事に苦情を申し出られます。営業所が指定都市や中核市にあれば、その市長が受け付けます。
乗務員から補助犬の認定証を見せてと言われるのは失礼ではないのですか
厚生労働省は、認定証の確認を求める声かけは使用者に対して失礼にはあたらないと案内しています。補助犬法12条でも、求められたら書類を見せることになっています。
まとめ
ペットと乗れるかは、決まりの上では持ち込める側、実際は会社と乗務員の判断です。補助犬は別で、法律で乗車を拒んではならないと決まっています。
- 運輸規則52条の持ち込めない物は16項目。14号の動物には、補助犬、同じ能力の犬、愛玩用の小動物の3つの例外がある
- 小動物の大きさの基準は条文にない
- 会社は13条で、持ち込めない物を持つ客の運送を断れる。約款10条で汚した損害の賠償を求められることもある
- 補助犬は補助犬法8条で拒めない。表示が前提で、著しい損害のおそれなどの例外がある
- 補助犬は令和8年4月に全国で849頭(盲導犬744、介助犬54、聴導犬51)
- GOとDiDiは、ペットとの同乗は会社や乗務員しだいと説明。GOの相乗りの手配では動物は持ち込めない
- キャリー、ペットシーツ、事前の電話の3つで、断られにくくなる
決まりと各社の説明は、ここに書いた2026年9月29日の時点のものです。車内で運転手とどう話せばよいか気になる人はタクシーの車内での会話も読んでみてください。




