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法令は e-Gov の現行版(貨物自動車運送事業輸送安全規則は2026年4月1日施行の版)で確認しました。国土交通省告示1366号(運転者に対する指導及び監督の指針)、関東運輸局、独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)、厚生労働省、警察庁、全日本トラック協会・東京都トラック協会の資料とあわせて、2026年9月26日に確認した内容です。労働時間と年齢は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年の数字です。この記事は運送会社(一般貨物自動車運送事業者)に雇われてトラックに乗る場合の話で、会社ごとの採用の条件や研修の進め方は、応募する会社に確かめてください。
トラック運転手になりたいと思って調べ始めると、「どの免許があればいいのか」「未経験でも雇ってもらえるのか」「入社したらすぐ一人で走るのか」「きついと聞くけれど何がきついのか」と、知りたいことが順番に出てきます。求人の説明はそれぞれの会社の話なので、全体の流れがつかみにくいところです。
この記事では、トラック運転手になるまでの順序を、法令と国の資料から並べ直しました。運転免許の区分と受験資格は道路交通法、雇い入れから乗務までは貨物自動車運送事業輸送安全規則と国土交通省告示1366号、初任診断はナスバの案内で確認しています。後半では「きつい」と言われる点を、労働時間の統計、2024年4月から変わったルール、荷待ちと荷役の決まりで具体的に見ていきます。
先に結論を書きます。トラック運転手になる順序は、乗りたい車に必要な免許を確かめる → 免許を先に取るか入社後に取るかを決める → 応募と選考 → 雇い入れ → 初任診断 → 初任運転者の特別な指導 → 乗務です。運送会社には、新しく雇った運転者に初任診断(約1時間40分・4,800円)を受けさせ、座学など15時間以上と実技20時間以上の特別な指導をする義務があり、どちらも原則として初めて乗務する前に行います。きついと言われる点は、大型トラックの月の労働時間が208時間で全産業の173時間より長いこと、荷待ちや荷役があること、年齢層が高めなことが統計や規則から読み取れます。

トラック運転手になるまでの順序
関東運輸局の「ドライバーになるには(Q&A)」は、トラック運転手になるには、という問いに次のように答えています(関東運輸局 ドライバーになるには(Q&A))。
運転する車両の大きさ等により、必要な運転免許が普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許に分かれています。中型免許は普通免許を取得した後2年以上、大型免許は普通免許を取得してから3年以上の運転経歴が必要です。一部の会社では免許取得費用を支援する取組みも行われています。なお、18歳以上で取得可能な「準中型免許」は、平成29年3月12日から新たに導入されました。
国の案内も、最初に考えるのは免許だと言っています。ただ、免許を取れば翌日から一人でトラックに乗れるわけではありません。運送会社に雇われて運転する場合は、会社の側に、雇う前の事故歴の確認、適性診断、特別な指導、毎日の点呼といった義務があります。これを順番に並べると、次の7段階になります。

このうち1と2は自分で決めること、3から7は運送会社が法令に沿って進めることです。この記事では、1から順に中身を見ていきます。なお、関東運輸局のページには収入の目安も載っていますが、平成28年の統計にもとづく古い数字なので、この記事では使っていません。
1. 乗りたいトラックと必要な免許を確かめる
免許の区分は車両総重量と最大積載量で決まる
トラックを運転する免許は、普通・準中型・中型・大型の4つに分かれます。どの免許が要るかは、車の大きさ、つまり車両総重量と最大積載量で決まります。道路交通法施行規則2条の区分を、トラックに関係する部分だけ抜き出すと次のとおりです(道路交通法施行規則 e-Gov)。
| 区分 | 車両総重量 | 最大積載量 |
|---|---|---|
| 大型自動車 | 11,000kg以上 | 6,500kg以上 |
| 中型自動車 | 7,500kg以上11,000kg未満 | 4,500kg以上6,500kg未満 |
| 準中型自動車 | 3,500kg以上7,500kg未満 | 2,000kg以上4,500kg未満 |
| 普通自動車 | 3,500kg未満 | 2,000kg未満 |
大型自動車は、車両総重量と最大積載量のどちらか1つでも大型の基準に当てはまれば大型です。中型も同じ考え方です。上の区分の免許を持っていれば、下の区分の車も運転できます。たとえば大型免許があれば、中型・準中型・普通のトラックも運転できます。
必要な免許は、車検証に書かれた車両総重量と最大積載量で確かめるのが確実です。応募する前に、その会社で最初に乗る車がどの区分なのかを聞いておくと、免許の準備がはっきりします。

普通免許を取った日で、いま運転できる範囲が違う
すでに普通免許を持っている人は、取った日によって運転できる範囲が違います。平成19年6月2日の改正道路交通法の施行で、それより前の普通免許は中型免許(中型車(8t)限定)とみなされました。車両総重量8,000kg未満、最大積載量5,000kg未満の車まで運転できます。
さらに平成29年3月12日に準中型免許ができたときに、平成19年6月2日から平成29年3月11日までに取った普通免許は、準中型免許(5t限定)になりました。こちらは車両総重量5,000kg未満、最大積載量3,000kg未満です。平成29年3月12日から取った普通免許は、車両総重量3,500kg未満、最大積載量2,000kg未満の普通自動車までです。
つまり、同じ「普通免許を持っている」でも、取った年で乗れるトラックがかなり違います。免許証の種類欄が「中型」や「準中型」になっていて、条件欄に限定が書かれていれば、上の扱いに当たります。

受験資格は準中型18歳、中型20歳・2年、大型21歳・3年
トラックの免許の受験資格は、道路交通法88条と96条で決まっています(道路交通法 e-Gov)。準中型免許は18歳以上で、ほかの免許の経歴は要りません。中型免許は20歳以上で、準中型・普通・大型特殊のどれかの免許の経歴が通算2年以上必要です。大型免許は21歳以上で、中型・準中型・普通・大型特殊のどれかの経歴が通算3年以上必要です。経歴には免許停止の期間を数えません。
令和4年5月13日からは受験資格の特例ができ、受験資格特例教習を修了すれば、19歳以上で経歴が通算1年以上あれば、中型免許と大型免許を受けられるようになりました(警察庁 受験資格の特例)。関東運輸局のQ&Aにある「2年以上」「3年以上」は、この法令の条件を短く書いたものです。
視力の基準もあります。警視庁の大型免許の案内では、視力が両眼で0.8以上、かつ一眼でそれぞれ0.5以上で、三桿法の奥行知覚検査器で3回検査した平均誤差が2センチメートル以下であること(いわゆる深視力)が条件です(警視庁 大型免許試験)。大型を目指す人は、教習所に申し込む前に確かめておくと安心です。
高校を卒業してすぐに運送会社に入る場合、18歳で取れるのは準中型免許までです。中型や大型のトラックに乗るのは、経歴を積んでからになります。準中型免許で運転できるのは、車両総重量7,500kg未満、最大積載量4,500kg未満の車です。

教習所の技能教習は、普通免許の人で大型30時限
免許は、ほとんどの人が指定自動車教習所を卒業して取ります。警察庁の運転免許統計によると、令和7年の合格者に占める教習所の卒業者の割合は、大型97.8%、中型99.0%、準中型97.5%でした。
教習の時限数は、いま持っている免許で変わります。道路交通法施行規則の別表第四では、普通免許(MT)を持つ人の技能教習は、大型が30時限、中型が15時限、準中型が13時限で、学科教習はどれも1時限です。免許を持っていない人が準中型を取る場合は、技能教習42時限、学科教習27時限になります。中型8t限定を持つ人が大型を取るなら技能教習は20時限、準中型5t限定を持つ人が中型を取るなら11時限です。
大型免許の取り方と費用は、教習所の料金や一発試験も含めて大型免許の取り方と費用にまとめています。バスの運転手を考えている人は、お客さんを乗せる営業運転に二種免許が必要なので、大型二種免許の取り方と費用を読んでください。


2. 免許を先に取るか、入社後に取るか
トラックの免許は、自分で教習所に通って先に取る方法と、運送会社に入ってから会社の支援で取る方法があります。関東運輸局のQ&Aにも「一部の会社では免許取得費用を支援する取組みも行われています」とあります。どちらを選ぶかで、使える公的な制度が違います。
自分で払うなら教育訓練給付
自分で教習料金を払う場合は、厚生労働省の教育訓練給付を使える可能性があります(厚生労働省 教育訓練給付制度)。一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)で、特定一般教育訓練は資格を取って1年以内に雇われると50%(上限25万円)になります。
ただし、対象は厚生労働大臣が指定した講座だけで、雇用保険の加入期間が1年以上(初めて使う場合)などの条件があります。受講を始める2週間前までにハローワークで手続きが必要な区分もあるので、教習所に申し込む前に確かめてください。
会社が払うなら、会社が助成を受ける
会社が費用を出して社員に免許を取らせる場合は、会社が国の人材開発支援助成金を受け取れる仕組みがあります(厚生労働省 人材開発支援助成金)。経費助成は45%(大企業は30%)、賃金助成は1人1時間800円です。厚生労働省のパンフレットには、運輸業で大型自動車運転免許を取得させる訓練が例として載っています。普通自動車免許を取るための講習は対象外です。
トラック協会にも助成があります。全日本トラック協会の若年ドライバー等確保のための助成は、会員の運送会社が新しく雇った運転者に、中型・大型の受験資格特例教習や準中型免許を取らせる場合が対象です(全日本トラック協会)。東京都トラック協会は、男性ドライバーの新規取得に50,000円(1会員事業者5名まで)、女性ドライバーに取得費用の3分の2(大型は上限267,000円)を助成しています(東京都トラック協会 男性、東京都トラック協会 女性)。
注意したいのは、トラック協会の助成は会社が費用を負担した場合だけが対象で、運転者個人が払った分は対象外という点です。東京都トラック協会の助成には、ドライバーが交付日から5年以上在籍することという条件もあります。入社後に会社の支援で免許を取る場合は、途中で辞めたときの費用の扱いを、入社前に書面で確かめておくと安心です。

3. 応募と選考。会社は雇う前の事故歴を確かめる
運送会社の選考でどんな面接や試験をするかは、会社ごとに違います。一方で、法令で決まっていることもあります。国土交通省告示1366号「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」の第二章5は、新しく運転者を雇うときの事故歴の確認を次のように定めています(国土交通省告示1366号)。
運転者を新たに雇い入れた場合には、当該運転者について、自動車安全運転センター法…に規定する自動車安全運転センターが交付する無事故・無違反証明書又は運転記録証明書等により、雇い入れる前の事故歴を把握し、事故惹起運転者に該当するか否かを確認すること。
つまり、運送会社は採用する人の事故歴を、公的な証明書などで確かめることになっています。死傷者が出た事故を起こしたことがある人(事故惹起運転者)に当たり、まだ特別な指導と適性診断を受けていない場合は、会社はその人に特別な指導をし、適性診断を受けさせます。選考の段階で運転記録証明書などの提出を求められることがあるのは、このためです。
雇われたあとは、会社が運転者ごとに「運転者等台帳」を作ります。貨物自動車運送事業輸送安全規則9条の5は、台帳に雇入れの年月日と運転者に選任された年月日、運転免許の年月日・種類・条件、事故の概要、健康状態、特別な指導の実施と適性診断の受診の状況、6か月以内に撮影した写真などを書くよう定めています(貨物自動車運送事業輸送安全規則 e-Gov)。


4. 雇い入れ。試用期間中は常時選任の運転者にしない
運送会社は、仕事に必要な人数の運転者を常に選んでおくこと(常時選任)が義務になっています。ここで、選任してはいけない人も決まっています。輸送安全規則3条2項の原文は次のとおりです。
前項の規定により選任する運転者及び特定自動運行保安員は、日々雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)であってはならない。
日雇いの人、2か月以内の期間を決めて雇われる人、試用期間中の人は、運送会社が常時選任する運転者にはなれません。ただし試用期間中の人でも、14日を超えて引き続き使われている人は除かれます。入社してすぐに一人でトラックに乗るわけではない理由の1つが、この規定です。
試用期間を何か月にするか、14日を過ぎたあといつ運転者として選任するかは、会社ごとに違います。この記事では断定できないので、入社前に、いつから乗務に入る予定なのかを会社に聞いておくのがよいと思います。

5. 初任診断を受ける
輸送安全規則10条2項は、運送会社に対して、次の運転者に特別な指導をし、国土交通大臣が認定した適性診断を受けさせるよう義務づけています。1つ目は死者または負傷者が出た事故を起こした人、2つ目は運転者として新たに雇い入れた人、3つ目は65歳以上の人です。新しく入った運転者が受けるのが、初任診断です。
告示1366号 第二章4(2)は、新たに雇い入れた人で、その会社で初めて乗務する前3年間に初任診断を受けていない人に、「初めて事業用自動車に乗務する前に初任診断を受診させる。ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させる。」と定めています。
初任診断を行っている機関の1つが、独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)です。ナスバの案内では、診断時間は約1時間40分、手数料は4,800円(消費税を含む)で、貨物の受診時期は「所属する貨物自動車運送事業者において、初めてトラックに乗務する前」です(ナスバ 初任診断)。診断のあとは、カウンセラーが結果をもとに、運転者としての自覚や事故を防ぐための注意点について指導と助言をします。
手数料を会社と本人のどちらが払うかは、法令には書かれていません。受けさせる義務は会社にあるので、費用の扱いも含めて会社に確かめてください。
なお、65歳以上の運転者には適齢診断があり、65歳に達した日以後1年以内に1回、その後は3年以内ごとに1回受けることになっています。年齢を重ねてからトラック運転手を目指す人は、この点も知っておくとよいと思います。

6. 初任運転者に対する特別な指導(15時間以上と20時間以上)
座学など15時間以上と、実技20時間以上
新しく雇われた運転者は、初任運転者として特別な指導を受けます。告示1366号 第二章2(2)は、初任運転者を「常時選任するために新たに雇い入れた者」と定め、その会社で初めて乗務する前3年間に、ほかの運送会社で運転者として常時選任されていた人を除いています。つまり、直近3年間にほかの運送会社で運転者として常時選任されていなかった人が対象で、未経験で入る人はここに当たります。
指導の中身と時間は、告示の表に次のように書かれています。
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| ①法令にもとづいて運転者が守るべき事項、運行の安全を確保するために必要な運転に関する事項等 | 15時間以上 |
| ②安全運転の実技(実際に事業用自動車を運転させ、添乗等で指導) | 20時間以上 |
①のうち、日常点検、車高・視野・死角・内輪差・制動距離、貨物の積載方法と固縛の方法は、実際に車両を使って指導することになっています。①と②を合わせると35時間以上です。実施の時期は、告示3(1)②で「初めて事業用自動車に乗務する前に実施する。ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に実施する。」と定められています。
何日に分けて行うか、誰が添乗するかといった進め方は、告示には書かれていません。会社ごとに違うので、研修の期間は入社前に確かめてください。

指導は話し合いながら、きめ細かく
告示は指導のやり方にも触れています。適性診断の結果も踏まえて、「当該運転者と話し合いをしつつきめ細かな指導を実施することが必要である」としたうえで、運転の癖などを指摘するときは「運転者としてのプライドを傷つけないように配慮しつつこれを指摘することが必要である」とし、指導の終わりに安全運転の心構えなどのレポートを書かせて効果を確かめることが望ましい、としています。
未経験で入る人にとっては、いきなり一人で走らされるのではないか、厳しく叱られるのではないか、という不安があると思います。少なくとも国の指針は、話し合いながら、きめ細かく教えることを求めています。
毎年の指導は12項目
初任運転者に限らず、運送会社はすべての運転者に毎年指導と監督を行い、その記録を営業所で3年間保存します。告示1366号 第一章は、指導の内容として12項目を挙げています。事業用自動車の運転者は、大型の車を運転したり、いろいろな道路や天候の中を走ったりするので、高度な能力が要る、というのがその理由です。

比べるために書くと、事故を起こした運転者への特別な指導は合計6時間以上、軽トラックや軽バンで運ぶ貨物軽自動車運送事業の初任運転者は、法令などの事項が5時間以上です。この3つの中では、一般の運送会社でトラックに乗る初任運転者の指導が、いちばん長く決められています。
7. 乗務が始まったら。毎回の点呼
指導と診断を終えて乗務が始まると、毎回の点呼があります。輸送安全規則7条は、運転者が乗務する前に、対面などの方法で点呼を行い、酒気帯びの有無、病気・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無、日常点検の実施について報告を求めて確認し、必要な指示を与えるよう定めています。乗務を終えたあとも点呼を行い、酒気帯びの有無を確かめます。
酒気帯びの確認は、目で見て確かめるほか、アルコール検知器を使って行わなければなりません。会社は検知器を営業所ごとに備え、点呼の記録を1年間保存します。前の晩のお酒が残っていないかを毎回機械で確かめられるので、体調とお酒の管理は、トラック運転手の仕事の一部だと考えておくとよいと思います。
輸送安全規則3条4項は、運送会社が国土交通大臣の告示の基準に従って運転者の勤務時間と乗務時間を定め、守らせることも求めています。この基準が、後で見る改善基準告示です。


トラック運転手がきついと言われる点
ここからは、トラック運転手の仕事がきついと言われる理由を、統計と規則で確かめます。感じ方は人それぞれなので、この記事では数字や決まりで確かめられることに絞ります。
労働時間が長い。大型は月208時間
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で、所定内実労働時間と超過実労働時間を合わせた月の労働時間を見ると、大型トラックの運転者は208時間(所定内175時間と超過33時間)、大型を除くトラックの運転者は199時間(173時間と26時間)、全産業は173時間(162時間と11時間)でした(賃金構造基本統計調査 令和7年)。
12か月分に換算すると、大型は2,496時間、大型を除くトラックは2,388時間、全産業は2,076時間です。大型は全産業より月35時間、年に換算して420時間長い計算になります。特に超過実労働時間、いわゆる残業が、全産業の11時間に対して大型は33時間と3倍あります。

収入についてはこの記事では詳しく扱いませんが、同じ統計で、経験年数0年の人の年間賞与その他特別給与額は、大型が45.7千円、大型を除くトラックが110.2千円でした(賃金構造基本統計調査 令和7年 経験年数階級別)。全経験年数の平均では大型429.6千円、大型を除く385.1千円なので、1年目は賞与が少ないと見込んでおくのが無難です。
2024年4月から、時間の上限が厳しくなった
トラック運転者の働き方には、2024年4月1日から新しいルールが当てはまっています。1つは労働基準法の時間外労働の上限で、自動車の運転の業務は年960時間になりました(労働基準法 附則140条 e-Gov)。もう1つは、厚生労働大臣の告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)の改正です(厚生労働省 改善基準のポイント)。
| 項目 | 2024年3月31日まで | 2024年4月1日から |
|---|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,516時間以内 | 原則3,300時間以内(労使協定で3,400時間以内) |
| 1か月の拘束時間 | 293時間以内 | 原則284時間以内(労使協定で年6か月まで310時間) |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内・最大16時間 | 13時間以内・上限15時間 |
| 1日の休息期間 | 継続8時間以上 | 継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない |
| 連続運転時間 | 4時間以内 | 4時間以内(中断は1回おおむね連続10分以上・合計30分以上) |
拘束時間は、始業から終業までの、休憩時間も含めた時間です。960時間は時間外労働の上限で、拘束時間とは別の物差しです。休息期間は、仕事が終わってから次の仕事を始めるまでの時間で、継続8時間以上から、継続11時間以上を基本とし9時間を下回らないように、と長くなりました。運転時間は、2日平均で1日9時間、2週平均で1週44時間までです。
1回の走行距離が450km以上の長距離貨物運送で宿泊を伴う場合の例外や、休日労働は2週間に1回まで、といった細かい決まりもあります(厚生労働省 トラック運転者の改善基準告示)。時間が長くなりがちな仕事だからこそ、国が上限を細かく決めている、と受け止めるのがよいと思います。

荷待ちがある。待った時間は記録の対象
トラック運転手の仕事は、運転だけではありません。荷物を積む場所や降ろす場所で、荷主の都合で待たされる「荷待ち」があります。輸送安全規則8条1項7号は、荷主の都合で集貨や配達の地点で待機した場合に、次のことを乗務の記録に残すよう定めています。

同じ8条1項8号は、荷物の積み込みや取り卸し(荷役作業)や、荷造り・仕分けなどの附帯業務をした場合にも、その内容や時間を記録するよう定めています。荷主との契約書に実施した作業がすべて書かれている場合は、1時間以上かかったときだけが対象です。記録は1年間保存します。
さらに輸送安全規則9条の4は、運送会社に次のことを求めています。
一般貨物自動車運送事業者等は、運送条件が明確でない運送の引受け、運送の直前若しくは開始以降の運送条件の変更、荷主の都合による集貨地点等における待機又は運送契約によらない附帯業務の実施に起因する運転者の過労運転又は過積載による運送その他の輸送の安全を阻害する行為を防止するため、荷主と密接に連絡し、及び協力して、適正な取引の確保に努めなければならない。
荷待ちや契約にない作業は、運転者の過労につながるものとして、規則にはっきり書かれています。荷待ちの長さがどのくらいかは、今回確認した一次資料には数字がなかったので、この記事では書きません。応募する会社で、1日の運行で荷待ちや荷役がどのくらいあるのかを聞いておくと、入ってからの差が小さくなります。
荷役がある。安全対策は2トン以上の車にも広がった
荷物の積み卸しも、きついと言われる理由の1つです。厚生労働省のリーフレット「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます」によると、労働安全衛生規則が改正され、令和5年10月1日から、荷役作業の昇降設備の設置と保護帽の着用の対象が広がりました(厚生労働省 リーフレット)。
昇降設備(151条の67)は、最大積載量5トン以上のトラックに加えて、2トン以上5トン未満のトラックでも、荷台で荷を積み卸す作業をするときに設けることになりました。昇降設備には、踏み台などの持ち運べるもののほか、トラックに付いている昇降用のステップも含まれます。
保護帽(151条の74)は、2トン以上5トン未満のうち、平ボディ車やウイング車のように荷台の側面が開放されている車や開閉できる車と、テールゲートリフターが付いている車(テールゲートリフターを使わずに荷を積み卸す場合などは除く)で、荷を積み卸す作業をするときに着用することになりました。使う保護帽は、型式検定に合格した墜落時保護用のものです。2トン未満の車は、どちらも望ましい措置とされています。


令和6年2月1日からは、テールゲートリフター(荷台の後ろで荷物を上げ下ろしする装置)の操作に特別教育が必要になりました。学科4時間(テールゲートリフターに関する知識1.5時間、作業に関する知識2時間、関係法令0.5時間)と、実技2時間(操作の方法)です。会社は教育の記録を3年間保存します。

厚生労働省の「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成25年3月25日)は、運送会社に対して、運送のたびに荷主の事業場で荷役作業が必要かを事前に確かめ、確かめなかった荷役作業はさせないこと、保護帽や安全靴を着用させることを求めています(厚生労働省 荷役作業の安全対策ガイドライン)。荷主の側にも、荷役時間や荷待ち時間、休息期間、道路の状況を考えない到着時刻の指定をせず、余裕を持った設定にすることを求めています。安全衛生計画の事項には、腰痛予防などの健康管理も挙げられています。
年齢層が高めで、若い人が少ない
厚生労働省のポータルサイト「トラック運転者の働き方」によると、道路貨物運送業で働く人のうち45歳から59歳の割合は45.0%で、全産業の34.1%より高くなっています。29歳以下は10.0%で、全産業の17.0%より低い数字です(厚生労働省 トラック運転者の働き方)。賃金構造基本統計調査(令和7年)の平均年齢も、大型が51.5歳、大型を除くトラックが50.3歳で、全産業の44.4歳より高くなっています。
トラック協会が若年ドライバーや女性ドライバーの免許取得を助成しているように、業界として若い人を迎えようとしている動きもあります。

よくある質問
Q. 未経験でもトラック運転手になれますか?
法令には、未経験の人を受け入れる前提の仕組みがあります。運送会社は、新しく雇った運転者に初任診断を受けさせ、座学など15時間以上と実技20時間以上の特別な指導をしてから乗務させることが、国土交通省告示1366号で決まっています。採用するかどうかは会社ごとの判断なので、求人の条件で確かめてください。
Q. 普通免許だけでもトラックに乗れますか?
平成29年3月12日から取った普通免許で運転できるのは、車両総重量3,500kg未満・最大積載量2,000kg未満の車です。それより前に取った普通免許は、取った日によって準中型(5t限定)や中型(8t限定)の扱いになり、もう少し大きい車まで運転できます。免許証の種類欄で確かめてください。
Q. 18歳でもトラック運転手になれますか?
準中型免許は18歳以上で、免許の経歴がなくても受けられます。車両総重量7,500kg未満・最大積載量4,500kg未満のトラックを運転できます。中型は20歳・経歴2年、大型は21歳・経歴3年が原則で、受験資格特例教習を修了すれば19歳・経歴1年で受けられます。
Q. 入社してすぐに一人で運転しますか?
法令上、試用期間中の人(14日を超えて引き続き使われている人を除く)は常時選任の運転者にできず、初任診断と特別な指導も原則として初めて乗務する前に行います。実際にいつから一人で乗るかは会社ごとに違うので、入社前に確かめてください。
Q. 初任診断にはいくらかかりますか?
ナスバの初任診断は、約1時間40分で手数料は4,800円(税込)です。受けさせる義務は運送会社にあります。費用を会社と本人のどちらが払うかは法令に書かれていないので、会社に確かめてください。
Q. 免許は先に取ったほうがいいですか?
自分で払って先に取るなら、指定講座であれば教育訓練給付(20%・40%・50%、上限あり)を使える可能性があります。入社後に会社が払う場合は、会社が人材開発支援助成金やトラック協会の助成を受ける仕組みです。辞めたときの費用の扱いを含めて比べて決めるのがよいと思います。
Q. 選考で運転記録証明書を出すのはなぜですか?
告示1366号で、運送会社は新しく雇う運転者の事故歴を、無事故・無違反証明書または運転記録証明書等で把握するよう求められているからです。死傷事故を起こした人に当たる場合は、特別な指導と適性診断が必要になります。
Q. トラック運転手はなぜきついと言われるのですか?
統計では、大型トラックの運転者の月の労働時間は208時間で、全産業の173時間より長くなっています(令和7年)。荷主の都合による荷待ちや、荷物の積み卸しがあることも規則に書かれています。2024年4月からは、時間外労働の上限(年960時間)と改善基準告示で時間の上限が厳しくなりました。
Q. 毎日アルコールチェックがありますか?
あります。輸送安全規則7条で、乗務の前と後の点呼で酒気帯びの有無を確かめ、その確認にはアルコール検知器を使うことが決まっています。検知器は営業所ごとに備え、点呼の記録は1年間保存されます。
Q. テールゲートリフターを使うには資格が要りますか?
令和6年2月1日から、テールゲートリフターの操作には特別教育が必要です。学科4時間と実技2時間で、会社が行い、記録を3年間保存します。
Q. 年収はどのくらいですか?
この記事は、トラック運転手になるまでの順序と、きついと言われる点に絞っています。年収の金額はこの記事では扱わず、、経験年数0年の人の年間賞与その他特別給与額が、大型45.7千円、大型を除く110.2千円と少ないことだけを紹介しています(令和7年)。
この記事の要点
トラック運転手になるには、乗りたい車の大きさで決まる免許を用意し、運送会社に雇われたあと、初任診断と35時間以上の特別な指導を受けてから乗務に入る、という順序になります。きついと言われる点は、長い労働時間、荷待ち、荷役として統計や規則に表れていて、2024年4月からは時間の上限と荷役の安全対策が厳しくなりました。

参考にした一次情報
いずれも2026年9月26日に確認しました。
- 関東運輸局「ドライバーになるには(Q&A)」
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省告示第1366号「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」
- 独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)「初任診断」
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」
- 警察庁「運転免許統計(令和7年版)」
- 警視庁「大型免許試験(指定教習所を卒業された方)」
- 厚生労働省「教育訓練給付制度」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 全日本トラック協会「令和8年度若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業」
- 東京都トラック協会「男性ドライバー免許取得助成」
- 東京都トラック協会「女性ドライバー免許取得助成」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 職種第1表
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 職種第14表(経験年数階級別)
- 厚生労働省「トラック運転者の働き方」
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」
- 厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
- 労働基準法(e-Gov 法令検索)
- 厚生労働省「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます」
- 厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」
免許の受験資格は住所地の都道府県警察、給付の対象かどうかはハローワーク、研修の期間や費用の扱いは応募する運送会社に、最後は直接確かめてから進めてください。




