この記事の情報
仕事内容は厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)、労働時間は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年の原表、けがの数は職場のあんぜんサイトと厚生労働省の労働災害統計(令和7年)、時間と荷役のルールは労働基準法・改善基準告示・労働安全衛生規則のリーフレットと、厚生労働省のガイドライン・指針で確認しました。すべて2026年9月26日に確認した内容です。国の統計に「ルート配送」だけを取り出した数字はないため、トラックの運転者の職種や、運送業の業種の数字で代わりに示しています。
ルート配送について調べると、「きつい」「やめとけ」といった見出しの記事がいくつも出てきます。ただ、その多くは口コミや書き手の感想がもとになっていて、何がどのくらいきついのかは、読んでもよく分かりません。
この記事では、体験談ではなく、国の統計と法令の原文だけで「きつさ」を確かめます。仕事内容と1日の流れを確認したうえで、きつさを「時間」「荷役」「けが」「時間指定と荷待ち」「収入」の5つに分け、それぞれを数字で見ていきます。
先に結論を書きます。ルート配送を含む営業用トラック(大型を除く)の運転者は、月の労働時間が199時間で、全産業の173時間より26時間長くなっています。運送業のけがの起きやすさは全産業の約3.8倍で、けがの人数では道路の交通事故より、墜落・転落や転倒のほうがずっと多くなっています。2023年10月からは、2トン以上のトラックでも荷台に上り下りする設備や保護帽が会社の義務になりました。きついかどうかは会社と配送先でかなり変わるので、入る前に聞くべきことを最後にまとめています。

ルート配送の仕事内容
決まった配送先に、決まった時間に届ける
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、ルート配送ドライバーを「特定の日時とルートで、あらかじめ決まった店舗や事業所等に車両で荷物を配送する。」仕事と説明しています(job tag「ルート配送ドライバー」)。別名として、受託配送員、セールスドライバー(ルート配送)、ルート集配員などが挙がっています。
配送先の例として job tag が挙げているのは、コンビニやスーパーへの商品の配送、倉庫から家電量販店などへの配送、飲食店への食材の配送、クリーニング店を回る配送、病院などへのユニフォームなどのクリーニング済み衣料の配送です。届けるだけでなく「配送と同時に配送先で容器、コンテナなどの回収も行う。」とも書かれています。よく使う道具は、コンテナ、台車、2トントラック、普通自動車です。

1日の流れ(コンビニ配送の例)
job tag には、コンビニ配送を例にした1日の流れが書かれています。ここに書かれているのはあくまでコンビニ配送の例で、ルート配送のすべてがこの流れになるわけではありません。
- 始業点検をし、業務前点呼で健康状態とアルコールチェックを受ける
- いつもの配送ルートに工事や通行止めがないかを確かめる
- 運ぶ商品の内容と個数を確かめ、店舗ごとに分けて車両へ積み込む(冷蔵や冷凍のものは温度もチェックする)
- 各店舗で荷物を降ろし、台車などで店内に運び、受け渡しのサインをもらう。空箱やコンテナなど回収するものを積む
- 配送センターに戻り、第2便の配送先へ向かって同じ作業をくり返す
- 業務報告をし、配送日報(走行距離、到着時間、配送完了時間、休憩時間など)を書いて終わる
コンビニ配送の例では「配送先の店舗、配送時間が指定されており、夜間の配送がある。」とも書かれています。労働条件の特徴としては「夜間の配送がある場合が多い」「週休二日ではあるが、土日が休みになるとは限らず交替で休日を取得する」「基本的には一人で乗務することが多い」と説明されています。

必要な免許と研修
job tag では、入職には車両に応じた運転免許が必要で、「コンビニ配送ではメインとなる2トントラックが運転可能な準中型自動車免許は必須である。」と書かれています。入社後は「研修期間は1カ月から3カ月程度が一般的である。」とされています。
求められる力としては「配送先への到着時間が定められていることが多く、時間に正確であることが重要である。商品の入ったケースを運ぶこともあり一定の体力が必要である。」と書かれています。この2つ、つまり時間と体力が、ルート配送の「きつさ」の出どころになります。大きな車の免許については大型免許の取り方と費用の記事でまとめています。
「きつい」を5つに分けて確かめる
「ルート配送はきつい」という言い方には、いくつもの意味が混ざっています。朝が早い、残業が多いという時間の話もあれば、荷物が重いという体の話、事故やけがが怖いという話、配送先で待たされるという話、働く時間のわりに給料が少ないという話もあります。
この記事では、次の5つに分けて、それぞれを国の統計と法令で確かめます。
| 分け方 | 何を見るか | 使う資料 |
|---|---|---|
| 時間 | 月の労働時間、時間のルール | 賃金構造基本統計調査、改善基準告示、労働基準法 |
| 荷役 | 積み降ろしのルール | 労働安全衛生規則のリーフレット、ガイドライン |
| けが | どれくらい、何でけがをしているか | 労働災害統計 |
| 時間指定と荷待ち | 荷主に対する国の要請 | 改善基準告示のパンフレットとQ&A |
| 収入 | 働く時間に見合っているか | 賃金構造基本統計調査 |

労働時間を統計で見る
ルート配送はどの統計に入るのか
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には「ルート配送」という職種はありません。運送会社などで2トン車など大型以外のトラックを運転する人は「営業用貨物自動車運転者(大型車を除く)」に、メーカーや卸などで自社の荷物を自社の車で運ぶ運転者は「自家用貨物自動車運転者」に入ります(令和7年 職種 第1表)。この記事では、前者を「営業用トラック(大型を除く)」、後者を「自家用トラック」と書きます。
どちらもルート配送だけの数字ではなく、長距離や宅配の運転者も含まれています。そのうえで、ルート配送に近い職種の数字として見てください。営業用トラック(大型を除く)の運転者は、令和7年の推計で45164十人(約45万人)です。平均年齢は50.3歳、勤続年数は11.6年でした。
月199時間、全産業より26時間長い
令和7年の統計で、1か月の労働時間を所定内(決められた時間)と超過(残業など)に分けて比べると、次のとおりです。全産業は産業大分類 第1表の値です。
| 区分 | 所定内 | 超過 | 月の合計(計算) | 1年に直すと(×12) |
|---|---|---|---|---|
| 営業用トラック(大型を除く) | 173時間 | 26時間 | 199時間 | 2,388時間 |
| 自家用トラック | 168時間 | 17時間 | 185時間 | 2,220時間 |
| 全産業 | 162時間 | 11時間 | 173時間 | 2,076時間 |
| 参考 営業用大型トラック | 175時間 | 33時間 | 208時間 | 2,496時間 |
営業用トラック(大型を除く)の月の労働時間は199時間で、全産業の173時間より26時間長くなっています。1年に直すと2,388時間と2,076時間で、差は312時間です。残業にあたる超過時間だけを見ると、26時間と11時間でした。自家用トラックは月185時間、平均年齢52.5歳、勤続年数13.0年で、営業用より労働時間は短めです。


大きい会社ほど残業が長い
営業用トラック(大型を除く)の月の超過時間を会社の規模別に見ると、1,000人以上の会社で39時間、100〜999人で34時間、10〜99人で17時間でした。所定内の時間は166時間、176時間、175時間です。規模の大きい会社ほど残業時間が長いという結果で、「大きい会社なら楽」とは言えません。求人を比べるときは、会社の大きさではなく、残業時間の実績を聞くほうが確かです。

労働時間のルール(2024年4月から)
改善基準告示の上限
トラックの運転者には、労働基準法とは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)があり、拘束時間や休息期間の上限が決まっています。2024年4月1日から、次のように変わりました(厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」、厚生労働省 ポータルサイト)。
| 項目 | 2024年3月31日まで | 2024年4月1日から |
|---|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,516時間以内 | 原則3,300時間以内、労使協定で3,400時間以内 |
| 1か月の拘束時間 | 293時間以内(労使協定で320時間) | 原則284時間以内、労使協定で310時間 |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内、最大16時間 | 13時間以内、上限15時間 |
| 1日の休息期間 | 継続8時間以上 | 継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間、2週平均で1週44時間 | 同じ |
| 連続運転時間 | 4時間以内 | 4時間以内。やむを得ない場合は4時間30分まで |
厚生労働省のQ&Aでは、運送会社以外の会社でトラックを運転する人も、告示の上ではトラック運転者として扱われると説明されています。自家用のルート配送でも対象になりうる、ということです。

1日24時間で考えると
拘束時間は、労働時間と休憩時間を合わせた、会社にしばられている時間です。休息期間は、仕事が終わってから次の仕事が始まるまでの、自由に使える時間です。パンフレットの原文は「1日の休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません。」です。
1日24時間から休息期間の11時間を引くと13時間になり、これが1日の拘束時間の基本の13時間と一致します(24−11=13)。上限の15時間まで拘束される日は、休息期間は下限の9時間になります(24−15=9)。パンフレットの図では、荷待ちなどの手待ち時間も労働時間に入っています。朝が早い配送でも夜の配送でも、この時間の枠の中に収まっているかが、きつさを見る1つめの物差しになります。

時間外労働は年960時間まで
2024年4月1日からは、労働基準法でも、自動車の運転の業務の時間外労働に上限ができました。臨時的な特別の事情があっても1年960時間までです(労働基準法 附則140条)。月60時間を超える時間外労働の割増率は50%以上で、中小企業にも2023年4月1日から適用されています(厚生労働省のリーフレット)。
年960時間は時間外労働の上限、年3,300時間は拘束時間の上限で、数える物差しが違います。混ぜて考えないようにしてください。なお、改善基準告示は法律ではなく大臣の告示なので、Q&Aでは「罰則の規定はありません。」と書かれています。違反が見つかった場合は、労働基準監督署が是正を指導します。残業の上限の考え方は、タクシーの例ですが36協定と残業の上限の記事でも説明しています。

けがを統計で見る
けがの起きやすさは全産業の約3.8倍
労働災害の統計では、トラックの運送業は「陸上貨物運送事業」という業種で数えられます。令和7年に、死亡または休業4日以上のけがをした人(死傷者)は15,632人で、令和6年の16,292人から660人減りました。亡くなった人は80人で、令和6年の108人から28人減っています(厚生労働省「令和7年 労働災害発生状況」)。全産業では死傷者135,333人、死亡700人です。
働く人の数の違いをならした「死傷年千人率」(1,000人あたり1年に何人が死傷したか)で比べると、令和7年は陸上貨物運送事業が8.7、全産業が2.3でした(職場のあんぜんサイト 業種別死傷年千人率の推移)。8.7÷2.3で、約3.8倍(計算)です。
この数字は業種の数字で、倉庫で荷物を扱う人なども入っています。ルート配送の運転者だけの数字ではありませんが、同じ業種の中で働く以上、けがの起きやすさが全産業より高い仕事だということは言えます。

けがは交通事故より、墜落・転落や転倒が多い
陸上貨物運送事業のうち、陸上貨物取扱業を除いた「道路貨物運送業」の死傷者は14,380人でした。どんな事故でけがをしたか(事故の型)を並べると、次のとおりです(職場のあんぜんサイト 業種別・事故の型別 死傷災害)。
| 事故の型 | 人数 | 割合(計算) |
|---|---|---|
| 墜落・転落 | 3,976人 | 27.6% |
| 転倒 | 2,650人 | 18.4% |
| 動作の反動・無理な動作 | 2,444人 | 17.0% |
| はさまれ・巻き込まれ | 1,343人 | 9.3% |
| 激突 | 836人 | 5.8% |
| 交通事故(道路) | 826人 | 5.7% |
| 激突され | 771人 | 5.4% |
| 飛来・落下 | 628人 | 4.4% |
| 合計 | 14,380人 |
いちばん多いのは墜落・転落の3,976人で、転倒の2,650人、動作の反動・無理な動作の2,444人が続きます。上位3つを合わせると9,070人で、全体の63.1%(計算)です。道路の交通事故は826人、5.7%でした。けがの人数で見ると、道路の交通事故より、墜落・転落、転倒、動作の反動・無理な動作といった、荷台や足元、体の動きに関わるけがのほうがずっと多いことが分かります。

亡くなった事故は道路の交通事故が多い
一方で、亡くなった人の数を見ると順番が変わります。道路貨物運送業の死亡74人のうち、交通事故(道路)が42人で56.8%(計算)、墜落・転落が11人でした(職場のあんぜんサイト 死亡災害)。陸上貨物運送事業の80人で見ても、交通事故(道路)43人、墜落・転落12人の順です。
けがの数では荷台まわりの事故が多く、命に関わる事故では道路の交通事故が多い、という2つの顔があります。ルート配送のきつさを考えるときは、この2つを分けて考える必要があります。

荷役のけがは休業が長くなりやすい
厚生労働省のリーフレットでは、少し前の年の数字ですが、陸上貨物運送事業のけがについて「毎年約15,000人が被災しています。」と書かれています(リーフレット「荷役作業の安全確保が急務です!」)。平成28年のけがの発生場所は、荷役作業場所が71%、自社の事業場が16%、その他が13%で、「7割が荷役作業で発生」しています。令和2年12月の速報では、休業見込みが1か月以上の人が54%で、「半数が休業1か月以上」でした。
厚生労働省のページでは、陸上貨物運送事業は「荷役災害が多い」としたうえで、墜落・転落、荷崩れ、フォークリフト使用時の事故、無人暴走、後退時の事故の5つを、死亡災害の約8割を占める「荷役5大災害」と呼んでいます(厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役災害等を防止するための留意事項」)。平成25年の死亡災害を分析した資料では、墜落・転落の事例の67%が保護帽を着けておらず、その多くが高さ2m未満からの転落だったと書かれています(荷役作業時の死亡災害にみる災害パターン別の主な原因と対策)。低い荷台からでも、頭を打てば命に関わるということです。

けがをしたときの労災保険の請求の流れは、タクシーの例ですが労災の記事で説明しています。
荷役のルールが2023年から強くなった
2トン以上の車にも昇降設備と保護帽
荷台からの墜落・転落を減らすため、労働安全衛生規則(安衛則)が改正されました。厚生労働省のリーフレットでは「「昇降設備の設置」「保護帽の着用」「テールゲートリフターの操作に係る特別教育」が義務付けられました。」と説明しています(リーフレット「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」)。
昇降設備(安衛則151条の67)は、令和5年10月1日から、これまでの最大積載量5トン以上の車に加えて、2トン以上5トン未満の車も対象になりました。昇降設備には、踏み台など持ち運べるもののほか、車に付いている昇降用のステップも含まれます。2トン未満の車は望ましい措置という扱いですが、床から荷の上や荷台までの高さが1.5mを超える所で作業するときは、安衛則526条で原則として昇降設備が必要です。高さ2m以上の所では、安衛則518条の墜落防止の措置もかかります。
保護帽(安衛則151条の74)も、令和5年10月1日から2トン以上5トン未満の車に広がりました。対象は、荷台の横が開く平ボディ車やウイング車などと、テールゲートリフターが付いた車です。箱型のバンでテールゲートリフターがない車は対象外です。保護帽は型式検定に合格した「墜落時保護用」のものが必要です。
これらの義務を負うのは会社(事業者)です。job tag のコンビニ配送の例でも2トントラックが使われており、ルート配送にとって身近なルールの変化です。

テールゲートリフターの特別教育
荷台の後ろで荷物を上げ下げするテールゲートリフターを使う作業には、令和6年2月1日から特別教育が必要になりました。学科は4時間(リフターに関する知識1.5時間、作業に関する知識2時間、関係法令0.5時間)、実技は2時間で、会社は教育の記録を3年間保存します。施行日の時点で6月以上その業務をしていた人は、一部を短くできます(知識45分以上、操作1時間以上など)。
あわせて、運転席から離れてテールゲートリフターを操作するときは、エンジンを止める義務から外されました。車が動き出さないようにする措置は引き続き必要です。

荷主にも求められていること
厚生労働省は平成25年3月25日に「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」を出しています(ガイドライン)。ガイドラインは、荷役作業が「荷主先等において、単独又は荷主等の労働者と共同で作業が行われることが多く」、運転者が自社の指示や支援を受けにくいという特徴を挙げたうえで、運送会社と荷主・配送先のそれぞれがすることを示しています。
- 運転者 → ロールボックスパレットは前に押して動かし、重いものは2人で押す
- 運転者 → 荷や荷台、運転席への乗り降りは三点確保
- 運転者 → 長時間運転した後は、すぐに荷役をせず、少なくとも数分間は立って腰を伸ばす
- 荷主・配送先 → 改善基準告示を守れる着時刻や荷待ち時間を設定する
- 荷主・配送先 → 荷の重さや作業の方法を、安全作業連絡書などで運送会社に知らせる
- 荷主・配送先 → 重い荷を扱うときは作業を補助し、台車などを用意する

腰の負担
厚生労働省のページでは、腰痛の発生率(死傷年千人率)について「全業種平均(0.1)を大幅に上回る(保健衛生業0.25、陸上貨物運送事業0.41)」と書かれています(厚生労働省「腰痛予防対策」)。陸上貨物運送事業は、保健衛生業よりも腰痛が起きやすい業種です。厚生労働省は平成25年に「職場における腰痛予防対策指針」を作り、陸上貨物運送事業に多い「重量物取扱い作業」と「車両運転等の作業」の対策を示しました(厚生労働省「陸上貨物運送事業における腰痛の予防」)。
指針では、人の力だけで扱う重さについて「満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下となるように努めること。」とし、女性はさらに男性の60%位までとしています(職場における腰痛予防対策指針及び解説)。体重60kgの男性なら、24kgがおおむねの目安(計算)です。それを超える重さは、身長差の少ない2人以上で扱うよう努めることとされています。
また「長時間車両を運転した後に重量物を取り扱う場合は、小休止・休息及びストレッチングを行った後に作業を行わせること。」とも書かれています。運転してすぐ荷物を降ろす、という流れがくり返されるルート配送では、この点が腰の負担に直結します。なお、先ほどの事故の型の「動作の反動・無理な動作」は、腰痛だけを数えた数字ではありません。腰の痛みと座り方の工夫は、タクシーの例ですが腰痛対策の記事も参考になります。

時間指定と荷待ち
ルート配送は、配送先への到着時間が決まっていることが多い仕事です。時間に追われる、配送先で待たされる、というきつさは、運転者や運送会社だけでは解決できません。国もこの点を荷主側の問題として扱っています。
改善基準告示のパンフレットでは、トラック運送業は「過労死等のうち脳・心臓疾患の労災支給決定件数が最も多い業種」だとしたうえで、発着荷主等に対して、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないこと、告示を守れるような着時刻や荷待ち時間を設定すること、告示を守れず安全な走行ができないおそれのある発注をしないことを求めています(パンフレット)。厚生労働省は令和4年12月23日から、長時間の荷待ちを発生させている疑いのある荷主などへの「要請」を始めています。
ただし、Q&Aでは「荷主企業がトラック運転者に長時間の荷待ちをさせることは、労働基準関係法令に違反するものではありません」とも書かれています(Q&A)。運送会社の告示違反が荷待ちによるものと疑われる場合に、労働基準監督署が荷主に要請する、という仕組みです。荷待ちの時間の長さについては、この記事では統計を取っていないので書きません。配送先ごとの実情は、入る前に会社に聞くのが確かです。

過労死等の労災
長時間労働に関わる数字として、過労死等の労災も見ておきます。令和7年度の脳・心臓疾患の労災は、業種別で道路貨物運送業が請求179件、支給決定50件でした。全業種の請求は1,254件、支給決定は217件で、全業種の支給決定のうち23.0%(計算)が道路貨物運送業です(厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」)。
これも道路貨物運送業全体の件数で、ルート配送の件数ではありません。改善基準告示のパンフレットも、トラック運送業が脳・心臓疾患の労災支給決定件数の最も多い業種であることを、長時間労働の是正を進める理由に挙げています。

収入は働く時間に見合っているか
年収も、ルート配送だけの統計はありません。令和7年の賃金構造基本統計調査から「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で計算すると、営業用トラック(大型を除く)は448.6万円(341.7千円×12+385.1千円)、自家用トラックは430.2万円、全産業は545.6万円です。営業用トラック(大型を除く)は、全産業より月26時間長く働いて、年収は全産業より低い、という結果でした。

入る前に確かめたいこと
ここまで見てきたとおり、ルート配送のきつさは、会社の運行の組み方と、配送先の荷役の環境で大きく変わります。統計の平均だけでは、自分が働く職場がきついかどうかは分かりません。面接や職場見学のときに、次のことを聞いておくと、入ってからの「こんなはずでは」を減らせます。
- 1日の配送先の数と、便の数(第2便があるか)
- 月の残業時間の実績と、夜間の配送があるか
- 1日の拘束時間はどれくらいか、休息期間を11時間取れるか
- 乗る車の大きさと、荷台の形(平ボディ、ウイング、バン)
- 昇降設備、保護帽、台車は会社が用意しているか
- テールゲートリフターを使うなら、特別教育を受けられるか
- 荷待ちの多い配送先があるか、待っている時間の扱いはどうなっているか
どれも、この記事で見た法令やガイドラインにもとづく質問です。答えがはっきりしない場合は、ほかの会社の答えと比べてみてください。

よくある質問
ルート配送はきついですか?
統計で見ると、営業用トラック(大型を除く)の運転者の月の労働時間は199時間で、全産業の173時間より26時間長く、運送業のけがの起きやすさ(死傷年千人率)は8.7と全産業の2.3の約3.8倍です。ただし、ルート配送だけの統計はなく、きつさは会社と配送先でかなり変わります。
ルート配送の仕事内容は?
厚生労働省のjob tagでは「特定の日時とルートで、あらかじめ決まった店舗や事業所等に車両で荷物を配送する。」仕事と説明されています。コンビニ配送の例では、点呼と積み込みの後に店舗を回り、センターに戻って第2便を配送し、配送日報を書いて終わります。容器やコンテナの回収もあります。
ルート配送でいちばん多いけがは何ですか?
道路貨物運送業の令和7年の死傷者14,380人のうち、墜落・転落が3,976人でいちばん多く、転倒2,650人、動作の反動・無理な動作2,444人が続きます。道路の交通事故は826人でした。一方、亡くなった74人では交通事故(道路)が42人といちばん多くなっています。
2トントラックでも保護帽は必要ですか?
令和5年10月1日から、最大積載量2トン以上5トン未満の車のうち、平ボディ車やウイング車など荷台の横が開く車と、テールゲートリフターが付いた車(リフターを使う場合)での荷の積み降ろしで、墜落時保護用の保護帽の着用が義務になりました。バンでリフターのない車は対象外です。義務を負うのは会社です。
荷待ちが長いのは違法ですか?
厚生労働省のQ&Aでは、荷主が長時間の荷待ちをさせることは労働基準関係法令に違反するものではない、とされています。ただし、運送会社の改善基準告示違反が荷待ちによると疑われる場合は、労働基準監督署が荷主に要請します。この要請は令和4年12月23日から始まっています。
未経験でもルート配送はできますか?
job tagでは、学歴は特に問われず、入社後1カ月程度は運行管理や安全衛生管理の教育を受け、研修期間は1カ月から3カ月程度が一般的とされています。車両に応じた運転免許は必要で、コンビニ配送の例では2トントラックを運転できる準中型自動車免許が必須です。
まとめ
ルート配送は、決まった配送先に決まった時間に荷物を届け、容器などを回収する仕事です。国の統計では、ルート配送を含む営業用トラック(大型を除く)の運転者は月199時間働いていて、全産業より月26時間、1年で312時間長くなっています。運送業のけがの起きやすさは全産業の約3.8倍で、けがの人数では墜落・転落や転倒が道路の交通事故よりずっと多く、亡くなった事故は道路の交通事故が多くなっています。
2024年4月からは、1日の休息期間は継続11時間を基本とし、時間外労働は年960時間までになりました。2023年10月からは2トン以上の車でも昇降設備と保護帽が会社の義務になり、2024年2月からはテールゲートリフターの特別教育も必要です。荷待ちについては、国が荷主に要請を始めています。きついかどうかは会社と配送先で変わるので、入る前に、便の数、残業時間の実績、休息期間、荷台の形、昇降設備や保護帽、荷待ちの扱いを聞いて確かめてください。
参考にした一次情報
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「ルート配送ドライバー」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 一般労働者(職種)第1表
- 同 一般労働者 産業大分類 第1表
- 厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
- 厚生労働省 改善基準告示(トラック)に関するQ&A
- 厚生労働省 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト「トラック運転者の改善基準告示」
- 労働基準法(e-Gov 法令検索)附則140条ほか
- 厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ
- 職場のあんぜんサイト 労働災害統計
- 同 令和7年 業種別・事故の型別 死傷災害
- 同 令和7年 業種別・事故の型別 死亡災害
- 同 業種別死傷年千人率の推移
- 厚生労働省「令和7年 労働災害発生状況」業種別
- 厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」脳・心臓疾患
- 厚生労働省 リーフレット「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」
- 厚生労働省 リーフレット「荷役作業の安全確保が急務です!」
- 厚生労働省 リーフレット「労働災害が増えています!荷物の積み降ろしを安全に」
- 厚生労働省ほか「荷役作業時の死亡災害にみる災害パターン別の主な原因と対策」
- 厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役災害等を防止するための留意事項」
- 厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」
- 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針及び解説」
- 厚生労働省「腰痛予防対策」
- 厚生労働省「陸上貨物運送事業における腰痛の予防」
統計は毎年、新しい年の結果が公表されます。数字は2026年9月26日時点で確認できた結果です。




