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法令は e-Gov の現行版(道路交通法と道路交通法施行規則)で確認しました。警察庁の「安全運転管理者制度の概要」「業務の拡充等」、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認等に関するQ&A、2024年12月27日の通達、警視庁の安全運転管理者のページとQ&Aとあわせて、2026年10月10日に確認した内容です。届出や講習の細かな運用は都道府県で違うので、事業所を管轄する警察署の案内も確かめてください。
営業車や送迎車など、会社の車を何台も使っている事業所には「安全運転管理者」を置く義務があります。2023年12月からはアルコール検知器を使った確認も始まり、社用車を運転する人にとっても、出勤と退勤のたびに関わる制度になりました。
この記事では、安全運転管理者の制度を定めている道路交通法と施行規則の条文を原文で確認し、警察庁と警視庁が公式に出している説明だけを使って、何台から選ぶのか、誰がなれるのか、何をする人なのか、アルコールチェックはどうやるのか、届出と講習、罰則までを整理しました。安全運転管理者に選ばれた人にも、社用車を運転する人にも読めるように書いています。
先に結論を書きます。安全運転管理者は、乗車定員11人以上の自動車なら1台以上、その他の自動車なら5台以上を使う事業所ごとに選びます(道路交通法74条の3第1項・施行規則9条の8)。20台以上なら副安全運転管理者も必要です。なれるのは20歳以上(副を置く場合は30歳以上)で、運転の管理の実務経験が2年以上の人です。運転の前後には目視等とアルコール検知器で酒気帯びを確認し、記録を1年間保存します。選任したら15日以内に届け出、選任しないと50万円以下の罰金の対象になります。

安全運転管理者とは
社用車を使う事業所の安全運転の責任者
安全運転管理者は、道路交通法74条の3で定められた役割です。第1項は、自動車の使用者は「内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない」と定めています(道路交通法 e-Gov)。
「自動車の使用の本拠」は、警察庁の説明では事業所等のことです。会社全体で1人ではなく、車を使う事業所ごとに選びます。警視庁は、安全運転管理者は「使用者に代務者として、自動車の安全な運転の確保に必要な業務を行う立場にあります」と説明しています(警視庁 業務内容)。
運送事業者には運行管理者がいるので対象外
同じ74条の3第1項は、括弧書きで一部の事業者を除いています。警察庁の「安全運転管理者制度の概要」は「運行管理者等を置く自動車運送事業者、第二種貨物利用運送事業者及び自家用有償旅客運送事業者の事業所は対象外」と書いています(警察庁 安全運転管理者制度の概要)。緑ナンバーのトラックやバス、タクシーの会社には、道路運送法や貨物自動車運送事業法で運行管理者を置く仕組みがあるためです。運行管理者の仕事は運行管理者の仕事となり方にまとめています。
警視庁のQ&Aも、運行管理者がいる事業所は安全運転管理者の選任は「必要ありません」としたうえで、「交通安全の取組のため、運行管理者のほかに、安全運転管理者を選任することを妨げるものではありません」と書いています。
ただし、条文の括弧書きは、除かれる自動車運送事業者から「貨物自動車運送事業法の規定による貨物軽自動車運送事業を経営する者」をさらに除いています。条文の書き方では、黒ナンバーの軽貨物の事業者は、この除外に入らないことになります。自分の事業所が対象かどうか迷ったら、管轄の警察署に確かめてください。
名前が似ているほかの制度
安全運転管理者と名前が似ている制度がいくつかあります。根拠の法律も、選ぶ単位も違います。
| 制度 | 根拠 | 選ぶ単位・要点 |
|---|---|---|
| 安全運転管理者 | 道路交通法74条の3 | 乗車定員11人以上1台、その他5台以上の事業所ごと |
| 運行管理者 | 道路運送法・貨物自動車運送事業法 | トラック・バス・タクシーなどの運送事業者 |
| 貨物軽自動車安全管理者 | 貨物自動車運送事業輸送安全規則36条の2 | 四輪以上の軽自動車で貨物を運ぶ事業者の営業所ごとに1人。選任前に講習5時間以上 |
| 運転代行の安全運転管理者 | 自動車運転代行業法19条 | 台数に関係なく営業所ごと。随伴用自動車10台以上で副安全運転管理者 |
| 安全管理者 | 労働安全衛生法11条 | 運送業などの業種で常時50人以上の労働者を使う事業場。安全に係る技術的事項を管理 |
労働安全衛生法の安全管理者は、道路交通法の安全運転管理者とは別の制度です。安衛法11条は、政令で定める業種と規模の事業場ごとに安全管理者を選任し「安全に係る技術的事項を管理させなければならない」と定め、施行令3条は、運送業などの業種で「常時五十人以上の労働者を使用するもの」としています(労働安全衛生法 e-Gov・労働安全衛生法施行令 e-Gov)。運送会社なら、運行管理者と安全管理者の両方が必要になることがあります。

選任が必要な台数
11人以上の車は1台、その他は5台から
施行規則9条の8第1項は「法第七十四条の三第一項の内閣府令で定める台数は、乗車定員が十一人以上の自動車にあつては一台、その他の自動車にあつては五台とする。」と定めています(道路交通法施行規則 e-Gov)。マイクロバスのような乗車定員11人以上の車を1台でも使う事業所と、乗用車や貨物車などを5台以上使う事業所は、安全運転管理者を選ばなければなりません。
自動二輪車は数え方が違います。同条3項は「大型自動二輪車一台又は普通自動二輪車一台は、それぞれ〇・五台として計算するものとする。」と定めています。警視庁は、第一種原動機付自転車は数えないと案内しています。たとえば乗用車4台とバイク2台なら、4+0.5×2=5台で、選任が必要になります。

20台以上なら副安全運転管理者も
台数が多い事業所では、安全運転管理者を補助する副安全運転管理者も選びます。施行規則9条の8第2項で20台以上とされ、人数は9条の11の表で決まっています。
| 事業所の自動車の台数 | 副安全運転管理者の人数 |
|---|---|
| 20台以上40台未満 | 1人 |
| 40台以上60台未満 | 2人 |
| 60台以上80台未満 | 3人 |
| 80台以上100台未満 | 4人 |
表の原文は「四十台以上」について「一人に四十台以上二十台までを超えるごとに一人を加算して得た人数」と書いていて、警察庁は「40台以上の場合は20台を増すごとに1人の副安全運転管理者の選任が必要」と説明しています。上の表はその読み方で人数を並べたものです。

台数に入る車・入らない車
警視庁のQ&Aは、台数の数え方について次のように答えています(警視庁 安全運転管理者等に関するQ&A)。
- 業務に使わず、個人が所有・管理し、通勤だけに使っている車は台数に含まない
- リース車やマイカーでも、一時的に業務に使う場合は含まれない
- 継続的に事業者が借受人として使う自動車など、事業者が自動車使用の権原を持ち、運行を総括的に支配できる場合は含まれる場合もある
- 規定の台数以下の事業所でも、安全運転管理者を選任することはできる
また「複数の営業所などを兼任することはできません」とされていて、同じビルに入っている別の営業所でも、それぞれに選任が必要です。

安全運転管理者になれる人
年齢と実務経験の要件
施行規則9条の9第1項は、安全運転管理者の要件を次のように定めています。
一 二十歳(副安全運転管理者が置かれることとなる場合にあつては、三十歳)以上の者であること。
二 自動車の運転の管理に関し二年(自動車の運転の管理に関し公安委員会が行う教習を修了した者にあつては、一年)以上実務の経験を有する者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者で、次のいずれにも該当しないものであること。
副安全運転管理者は、同条2項で「二十歳以上の者であること」と、運転の管理の実務経験1年以上、または「自動車の運転の経験の期間が三年以上の者」などとされています。運転免許の種類や国家試験は要件にありません。
| 安全運転管理者 | 副安全運転管理者 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 20歳以上(副を置く事業所では30歳以上) | 20歳以上 |
| 経験 | 運転の管理の実務2年以上(公安委員会の教習を修了すれば1年以上) | 運転の管理の実務1年以上、または運転の経験3年以上 |
| その他 | 同等以上の能力があると公安委員会が認定した人も可 | 同等以上の能力があると公安委員会が認定した人も可 |

なれない人(欠格事由)
要件を満たしていても、次の人はなれません。警察庁の概要と警視庁の「資格・選任要件」は、欠格事由を次のように整理しています(警視庁 資格・選任要件)。
- 過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けた人
- 酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、妨害運転、無免許運転、救護義務違反(ひき逃げ)などをして2年たっていない人
- 飲酒運転や無免許運転に関わる車両や酒類の提供、同乗をして2年たっていない人
- 酒酔い・酒気帯び運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反を下命・容認して2年たっていない人
- 自動車の使用制限命令に違反して2年たっていない人

安全運転管理者の9つの業務
74条の3第2項は、安全運転管理者は運転者への交通安全教育など「自動車の安全な運転に必要な業務…で内閣府令で定めるもの」を行わなければならないと定め、第3項で、交通安全教育は国家公安委員会の「交通安全教育指針」に従って行うとしています。内閣府令の業務は施行規則9条の10に9つ並んでいます。
| 号 | 業務 | 条文の要点 |
|---|---|---|
| 一 | 運転者の状況の把握 | 適性、技能、知識と、法令や処分を守っているかを把握する措置 |
| 二 | 運行計画の作成 | 最高速度違反、過積載、過労運転などの防止に留意して作る |
| 三 | 交替運転者の配置 | 長距離や夜間の運転で、疲労等により安全な運転を続けられないおそれがあるとき |
| 四 | 異常気象時等の措置 | 異常な気象、天災などで安全な運転に支障が出るおそれがあるときの指示 |
| 五 | 点呼と日常点検 | 日常点検の実施と、過労・病気などで正常な運転ができないおそれの有無を確認し、指示する |
| 六 | 酒気帯びの確認 | 運転前と運転後に、目視等とアルコール検知器で確認 |
| 七 | 記録の保存と検知器の保持 | 確認の内容を記録して1年間保存し、検知器を常時有効に保持 |
| 八 | 運転日誌 | 運転者名、開始と終了の日時、運転した距離などを記録する日誌を備え付け、記録させる |
| 九 | 安全運転指導 | 運転の技能、知識など安全な運転に必要な事項の指導 |
警視庁は、ここに並ぶ業務は「安全運転管理業務のすべてではなく、必要最小限の範囲と考えるべきものだといえます」と書いています。また74条の3第7項は、会社(自動車の使用者)に対して、安全運転管理者に業務に必要な権限を与え、必要な機材を整備することを義務づけています。アルコール検知器をそろえるのも、この流れの中にあります。

交通安全教育は指針に沿って
74条の3第3項が従うよう定めている「交通安全教育指針」(国家公安委員会告示)は、業務用自動車の運転者に教育をするときに配慮する点として、運転の態様に応じた教育(大型自動車を運転する、人や貨物を運ぶ、長時間運転するなど)と、年齢や運転経歴などの運転者の特性に応じた教育を挙げています(交通安全教育指針)。そのうえで、安全運転管理者等について次のように書いています。
安全運転管理者等が運転者に対し交通安全教育を実施する場合は、ドライブレコーダの記録映像等により、運転者に自身の運転行動を客観的に振り返らせるなどして運転者の日常の運転について十分に把握し、運転適性指導又は運転技能指導を受けさせるなどして、きめ細かな交通安全教育を実施することが望ましい。
会社や管理者が命じても許してもいけないこと
道路交通法75条1項は、自動車の使用者だけでなく「安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者」も含めて、業務に関して運転者に次の行為を命じたり、運転者がするのを容認したりしてはならないと定めています。
| 号 | 命じても容認してもいけない行為 |
|---|---|
| 一 | 無免許運転(免許の効力が停止されている人の運転を含む) |
| 二 | 最高速度違反(22条1項) |
| 三 | 酒気帯び運転等(65条1項) |
| 四 | 過労運転等(66条) |
| 五 | 免許の種類に応じない車の運転(85条) |
| 六 | 積載制限違反(57条1項) |
| 七 | 違法駐車になるような、すぐに運転できない状態で車を離れること |
同条2項は、これに違反して運転者がこうした行為をし、著しく交通の危険などを生じさせるおそれがあると認めるときは、公安委員会が会社に対して「六月を超えない範囲内で期間を定めて、当該違反に係る自動車を運転し、又は運転させてはならない旨を命ずることができる」としています。これが欠格事由にも出てくる「自動車の使用制限命令」です。


アルコールチェックの義務化
2022年4月に目視、2023年12月に検知器
警察庁は、アルコールチェックの義務化の経緯を次のように説明しています(警察庁 安全運転管理者の業務の拡充等)。
令和3年の道路交通法施行規則の改正により、① 安全運転管理者に対し、目視等により運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと及びその内容を記録して1年間保存することを義務付ける規定(令和4年4月1日から施行)② 安全運転管理者に対し、アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと並びにその内容を記録して1年間保存すること及びアルコール検知器を常時有効に保持することを義務付ける規定が設けられました。このうち②の規定については、令和5年の道路交通法施行規則の改正により、令和5年12月1日より施行することとされました。
つまり、目視等による確認と記録の保存は2022年4月1日から、アルコール検知器を使った確認は2023年12月1日から義務です。同じページは、2022年の道路交通法改正で、安全運転管理者の選任義務違反の罰則が「5万円以下の罰金であったものが、50万円以下の罰金に引き上げられました(令和4年10月1日から施行)」とも書いています。

確認は運転のたびではなく、業務の前と後
施行規則9条の10第6号は「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者」に確認を行うと定めています。警察庁のQ&Aは、ここでいう運転は「一連の業務としての運転」で、確認は「必ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時及び終了後や退勤時に行うことで足ります」と答えています(警察庁 酒気帯び確認等に関するQ&A)。
2024年12月27日の警察庁の通達は、「目視等で確認」とは「運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することをいう」としています(警察庁 点呼等の実施及び酒気帯び確認等について(通達))。顔を見て、声を聞いて、そのうえで検知器で測る、という2段構えです。

記録する8つの項目
確認したら記録を残し、1年間保存します。警察庁のQ&Aは、記録する内容を次の8つとしています。
- 確認者名
- 運転者の氏名
- 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
- 確認の日時
- 確認の方法(対面でない場合は具体的方法等)
- 運転者の酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項

直行直帰のときは携帯型の検知器で
確認は対面が原則です。ただし、直行直帰など対面が難しい場合について、警察庁のQ&Aは、運転者に携帯型アルコール検知器を持たせるなどしたうえで、次のような方法を挙げています。
- カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
- 携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

出張で別の事業所から社用車を使う場合は、その事業所の安全運転管理者が確認し、結果を運転者が所属する事業所の安全運転管理者に報告する形もとれます(Q&A Q5)。
アルコール検知器の条件
施行規則はアルコール検知器を「呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるもの」としています。警察庁のQ&Aは、性能について「呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器であれば足りる」と答えています。そのうえで、取扱説明書に沿って使い、定期的に故障の有無を確かめ、故障がないものを使うよう求めています。
検知器は「基本的には、自動車の使用者が購入すべきものであると考えられます」とされ、個人で買った検知器は、安全運転管理者が会社のものと同じように管理している場合に限って使ってよいとされています。

安全運転管理者が不在のとき
確認は安全運転管理者が行うのが原則ですが、不在のときや、ほかの業務で時間がとれないときは、副安全運転管理者や、確認の業務を委託した事業者などの「補助者」に行わせることができます。その場合は、あらかじめ補助者を指定し、確認の方法を指導・教育し、酒気を帯びていた場合はすぐに安全運転管理者へ報告して指示を受ける、あるいは安全運転管理者が直接運転中止などを指示する、といった仕組みを整えることが求められています。

点呼で確かめること
施行規則9条の10第5号は、運転しようとする運転者に「点呼を行う等により」日常点検の実施と、過労、病気などで正常な運転ができないおそれの有無を確認し、必要な指示を与えると定めています。警察庁のQ&Aと通達は、確かめるのは次の2点だとしています。
- 自動車点検の有無 → 運行前に行う、いわゆる日常点検。点検箇所と項目は「交通の方法に関する教則」を参考にする
- 正常運転をできないおそれの有無 → 「運転者の顔の表情、全身の様子、言動等から、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無を確認」する
日常点検で見るところ
点呼で確かめる日常点検の中身は、国家公安委員会の「交通の方法に関する教則」に表で示されています(交通の方法に関する教則)。教則は、日常点検は「自動車の使用者や自動車を運行しようとする者が、日頃自動車を使用していく中で、自分自身の責任において行う点検です」としたうえで、タクシーなどの事業用の自動車や、自家用の大型自動車・中型自動車・準中型貨物自動車・普通貨物自動車、レンタカーなどは「1日1回、運行する前にこの点検を行わなければなりません」と書いています。
| 場所 | 点検する箇所 |
|---|---|
| 運転席 | ブレーキペダル(踏みしろ、効き)、駐車ブレーキレバー(引きしろ)、エンジン(掛かり具合、異音、低速・加速の状態)、ウインドウ・ウォッシャ(噴射状態)、ワイパー(ふき取りの状態) |
| エンジンルーム | ウインドウ・ウォッシャ・タンク(液量)、ブレーキのリザーバ・タンク(液量)、バッテリー(液量)、冷却装置(水量)、エンジンオイルの量、ファンベルト(張り具合、損傷) |
| 車の周り | 灯火装置と方向指示器(点灯・点滅具合、汚れ、損傷)、タイヤ(空気圧、亀裂・損傷、異常な摩耗、溝の深さ) |
このほか、前日や前回の運行で異常があった箇所、エアブレーキの車では空気圧力計やエア・タンクなども点検します。車両総重量8トン以上か乗車定員30人以上の車は、タイヤの取付けの状態(ホイール・ナットの緩みなど)も点検します。

点呼も、酒気帯び確認と同じく「運転を含む業務の開始前や出勤時に行うことで足ります」とされています。2024年12月27日の通達は、規制改革推進会議の答申で点呼の遠隔実施と外部委託が検討課題とされたことを受けて出されたもので、点呼も対面が原則としつつ、直行直帰などではカメラや電話で確認する方法、補助者に確認させる方法を示し、結果は「点呼簿、チェック表、各種システムを活用するなどにより記録化に努めること」としています。
緑ナンバーの事業者で使われている国の認定機器による自動点呼については、警察庁のQ&Aが、白ナンバーの事業者が同じ機器で点呼(酒気帯び確認を含む)を行うことは「差し支えないと考えられます」と答えています。機器の機能の一部を使わないような方法は点呼と認められない、という注意もついています。

選任したら15日以内に届け出る
74条の3第5項は「安全運転管理者又は副安全運転管理者…を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。」と定めています。届け出る事項は、届出者の氏名・住所、事業所の名称と位置、選任や解任の年月日、安全運転管理者等の氏名・生年月日と職務上の地位です(施行規則9条の12)。
警視庁は、新しく選任するときや交代のときの書類を次のように案内しています(警視庁 届出書類・方法)。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| (副)安全運転管理者に関する届出書 | 警視庁の様式 |
| 戸籍抄本又は住民票の写し | 本籍(外国人は国籍等)あり、個人番号なし |
| 運転免許証の写し | 運転免許証を持っている人 |
| 運転記録証明書 | 3年間か5年間のもの。自動車安全運転センターが発行 |
| 前の(副)安全運転管理者証 | 交代の場合に返納 |
出し先は、事業所を管轄する警察署です。東京ではe-Gov電子申請でも届け出られ、郵送は管轄の警察署の交通総務係に相談するよう案内されています。事業所名や所在地、氏名、職務上の地位、自動車の台数が変わったときは変更の届出、台数が基準を下回ったときや事業所を閉じるときは解任の届出をします。警視庁のQ&Aは、届出が終わっていないと法定講習を受けられないことがあると注意しています。
選任から講習までの流れ
ここまでの手続きを順に並べると、次のようになります。
- 事業所の台数を数える(11人以上の車1台以上、その他5台以上か。二輪は0.5台)
- 要件を満たし、欠格事由に当たらない人を選ぶ(20台以上なら副安全運転管理者も)
- 運転記録証明書などの書類をそろえ、選任から15日以内に管轄の警察署へ届け出る
- 東京では(副)安全運転管理者証が出される(申請サイトで届け出た場合は、内容を確認のうえ別途通知)
- アルコール検知器、記録の様式、運転日誌をそろえ、業務の前後の確認を始める
- 公安委員会から講習の通知が届いたら申し込み、年度内に受講する

講習は毎年1回
74条の3第9項は、公安委員会から講習の通知を受けたときは、会社が安全運転管理者等に「当該講習を受けさせなければならない」と定めています。講習の時間は施行規則38条1項3号で「安全運転管理者に対しては六時間以上十時間以下、副安全運転管理者に対しては四時間以上八時間以下」とされています。
警視庁は、講習を「毎年1回」とし、受講の前に手数料を納めて申し込む形をとっています。「オンライン講習」と「会場講習」を選べ、申し込みをしていない人は受講できず、会場で現金の手数料は受け取らないと案内しています(警視庁 講習)。令和8年度の案内では、スマートフォンやパソコンで申し込みや受講日の変更ができ、オンライン講習は開催期間中に24時間視聴できるとされています。
講習で扱う内容は、施行規則38条1項1号で「自動車及び道路の交通に関する法令の知識その他自動車の安全な運転に必要な知識、自動車の運転者に対する交通安全教育に必要な知識及び技能、安全運転管理に必要な知識及び技能等」とされ、教本や視聴覚教材を使って行うことになっています。法改正や交通事故の情勢を知る場として位置づけられていて、警視庁は「最新の道路交通法や交通事故情勢など、安全運転管理業務に必要となる重要な講習」と案内しています。
警視庁のQ&Aによると、講習手数料は非課税で、代理受講はできません。手数料の額は、今回確かめた警視庁の公開ページでは見つけられませんでした。講習の案内は、選任されると封書で届きます。

罰則
罰則は、道路交通法の2つの条文に分かれています(警視庁 罰則・その他)。
| 違反 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 安全運転管理者・副安全運転管理者を選任しない | 50万円以下の罰金 | 119条の2 |
| 公安委員会の解任命令に従わない | 50万円以下の罰金 | 119条の2 |
| 公安委員会の是正措置命令に従わない | 50万円以下の罰金 | 119条の2 |
| 選任・解任の届出をしない | 5万円以下の罰金 | 120条2項3号 |
さらに123条は、法人の代表者や従業者が業務に関して119条の2などの違反をしたときは「行為者を罰する」ほか、法人や事業主にも罰金を科すと定めています(両罰規定)。選任の義務違反は、2022年10月1日に5万円以下から50万円以下へ引き上げられています。
公安委員会は、安全運転管理者が要件を欠くことになったときや、業務を守っておらず安全な運転が確保されていないと認めるときは解任を命じることができ(74条の3第6項)、会社が必要な権限や機材を与えていないときは是正を命じることができます(同8項)。また、安全運転管理者を選任している会社や安全運転管理者に対して、必要な報告や資料の提出を求めることもできます(75条の2の2)。

社用車を運転する人が知っておくこと
安全運転管理者の制度は、運転する人の側から見ると、毎日の手順として表れます。施行規則と警察庁のQ&Aから、運転する人に関わるところを並べると次のとおりです。
- 出勤時(業務の開始前)と退勤時(業務の終了後)に、目視等とアルコール検知器で酒気帯びを確認される
- 直行直帰の日は、携帯型の検知器で測り、カメラや電話で結果を伝える
- 点呼では、日常点検をしたかと、体調に問題がないかを確かめられる
- 運転日誌に、運転の開始と終了の日時、運転した距離などを記録する
- 確認の結果は、確認者名や車の番号などとともに記録され、1年間保存される
タクシーなど緑ナンバーの運転者は、安全運転管理者ではなく運行管理者のもとで、旅客自動車運送事業運輸規則に沿った点呼とアルコール検知器での確認を受けます。タクシー運転手の飲酒の決まりはタクシー運転手とお酒の決まりに、送迎の仕事は送迎ドライバーの仕事と必要な免許にまとめています。


東京都内の選任事業所は24,012
警視庁は「東京都内の安全運転管理者選任事業所一覧」をPDFで公開しています(警視庁 東京都内の安全運転管理者選任事業所一覧)。2026年2月2日現在の一覧の番号は24,012まであり、都内だけで24,012の事業所が安全運転管理者を選任していることになります。
一覧の所在地を数えると、多いのは大田区1,303、江東区1,282、八王子市1,204、港区1,171、足立区1,163でした。全国の選任事業所の数は、今回確かめた警察庁の資料には見当たりませんでした。


よくある質問
Q. 社用車が4台だけなら、安全運転管理者はいりませんか?
乗車定員11人以上の車がなく、その他の自動車が4台であれば、施行規則9条の8の台数(5台)に届かないので選任の義務はありません。ただし大型・普通の自動二輪車は1台を0.5台として足すので、バイクを2台使っていれば5台になります。台数が少なくても任意で選任することはできます。
Q. アルコールチェックは運転するたびに必要ですか?
警察庁のQ&Aでは、確認は個々の運転の直前・直後にその都度行う必要はなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時に行うことで足りるとされています。
Q. アルコールチェックの記録は何年保存しますか?
1年間です。施行規則9条の10第7号が、確認の内容を記録し、その記録を1年間保存することを定めています。
Q. 安全運転管理者に資格試験はありますか?
国家試験はありません。20歳以上(副を置く場合は30歳以上)で、運転の管理の実務経験2年以上(公安委員会の教習を修了すれば1年以上)などの要件を満たし、欠格事由に当たらない人を会社が選び、警察署に届け出ます。選任後は毎年の講習を受けます。
Q. 運行管理者がいる会社にも安全運転管理者は必要ですか?
運行管理者等を置く自動車運送事業者の事業所は対象外です。警視庁のQ&Aも「必要ありません」としつつ、運行管理者のほかに安全運転管理者を選任することは妨げないとしています。
Q. 1人で複数の営業所の安全運転管理者を兼ねられますか?
警視庁のQ&Aは、同じビルに親会社と子会社の営業所が入っている場合や、1人の所長が複数の営業所を管理している場合でも「複数の営業所などを兼任することはできません」としています。営業所ごとに選任します。
Q. 単身赴任の人を安全運転管理者にしてもいいですか?
警視庁のQ&Aは、単身赴任でも選任はできるとしたうえで、業務を的確に行うためにできるだけ長く務められる人を選ぶよう求め、生活の本拠が変わるので運転免許証の住所変更をするよう案内しています。
Q. 事業所が移転したら何を届け出ますか?
警視庁のQ&Aでは、都内での移転は移転先を管轄する警察署へ変更届を出し、解任届は不要です。都内から他の道府県へ移る場合は、移転元の警察署に解任届を出したあと、移転先の警察署へ届け出ます。
Q. 講習を受けないとどうなりますか?
道路交通法74条の3第9項は、通知を受けた会社に安全運転管理者等に講習を受けさせる義務を課しています。警視庁は年度内に1度必ず受講するよう求めていて、代理受講はできません。
参考にした一次情報
いずれも2026年10月10日に確認しました。
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)
- 道路交通法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 警察庁「安全運転管理者制度の概要」
- 警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」
- 警察庁「アルコール検知器を用いた酒気帯び確認等に関するQ&A」
- 警察庁「安全運転管理者による運転者に対する点呼等の実施及び酒気帯び確認等について(通達)」令和6年12月27日
- 警視庁「安全運転管理者 概要」
- 警視庁「資格・選任要件」
- 警視庁「届出書類・方法」
- 警視庁「業務内容」
- 警視庁「講習」
- 警視庁「罰則・その他」
- 警視庁「安全運転管理者等に関するQ&A」
- 警視庁「東京都内の安全運転管理者選任事業所一覧」
- 国家公安委員会「交通の方法に関する教則」
- 国家公安委員会「交通安全教育指針」
- 労働安全衛生法(e-Gov 法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov 法令検索)
届出の様式や講習の日程は都道府県で違います。最後は、事業所を管轄する警察署の交通総務係などに確かめてから進めてください。





