この記事の情報
法令は e-Gov の現行版(貨物自動車運送事業法・同法施行規則・貨物自動車運送事業輸送安全規則・自動車事故報告規則・地方税法・道路運送車両法)の原文で確認しました。国土交通省、東京運輸支局、京都運輸支局、軽自動車検査協会、国税庁の資料とあわせて、2026年9月26日に確認した内容です。書類の形や窓口の受付は運輸支局ごとに違うことがあるので、出す前に営業所の住所を管轄する運輸支局の案内を確認してください。
軽自動車で荷物を運ぶ仕事を始めようとすると、最初に出てくるのが黒ナンバーです。ただ、調べ始めると「どこに何を出せばよいのか」「自分の軽乗用車でも取れるのか」「費用と日数はどのくらいか」「2025年から何が変わったのか」と、疑問が次々に出てきます。
この記事では、貨物自動車運送事業法と同法施行規則の条文、国土交通省と運輸支局の案内、軽自動車検査協会の手続きの案内から、黒ナンバーを取るまでの手続きと、取ったあとに守る義務を順番に並べ直しました。軽貨物の仕事の契約の形や収入の話はこの記事では扱わず、手続きだけに絞っています。
先に結論を書きます。黒ナンバーの取得は許可ではなく届出で、1台から始められます。営業所を管轄する運輸支局に経営届出書などを出して連絡書を受け取り、その連絡書を持って軽自動車検査協会で車検証とナンバーを変えます。運輸支局への届出に費用はかかりませんが、ナンバー代などは別にかかります。さらに令和7年4月からは、四輪の軽自動車で事業をする人は、講習を受けて貨物軽自動車安全管理者を選任し、届け出ることが義務になりました。

黒ナンバーとは何か
事業用の軽自動車に付く黒地に黄色字のナンバー
黒ナンバーは、事業用の軽自動車に付くナンバープレートの通り名です。軽自動車検査協会の案内では、事業用の軽自動車のナンバーは「黒地に黄色字」、自家用は「黄色地に黒字」です(軽自動車検査協会 軽自動車のナンバー)。事業用のひらがなは「り」と「れ」が使われます。
事業用のナンバーは、好きな番号を選ぶ希望番号制度の対象外です。軽自動車検査協会は「事業用自動車、レンタカー…及び小板ナンバーは、希望番号制度の対象外です。」と案内しています(軽自動車検査協会 番号変更)。
届出が要るのは他人の荷物を有償で運ぶ事業
黒ナンバーが要る事業は、貨物自動車運送事業法2条4項で決まっています(貨物自動車運送事業法 e-Gov)。
この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。
ポイントは「他人の需要に応じ」「有償で」の2つです。頼まれた荷物を運んでお金を受け取るなら、軽自動車でも二輪の自動車でも、この事業に当たります。自分の仕事がどちらに当たるか迷う場合は、運輸支局に確かめてください。
許可ではなく届出。1台から始められる
36条1項は、この事業を経営しようとする人は「営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない」と定めています。一般貨物自動車運送事業は許可が要りますが、軽自動車の事業は届出です。
東京運輸支局のハンドブックは、これを「許可が必要な一般貨物自動車運送事業よりも緩やかな規制(1両からでも届出可能)」と説明しています(東京運輸支局 貨物軽自動車運送事業者ハンドブック)。京都運輸支局も、よくある質問で車は「1台から可能です。」と答えています(京都運輸支局 黒ナンバーの届出について)。

なお、タクシー乗務員が配達の副業をするときに軽自動車やバイクで届出が要る場合があることは、タクシーとウーバーイーツの違いの記事でも触れています。
届出の前にそろえる条件
運輸支局に出す前に、車両・営業所と車庫・休憩の場所・運賃料金を決めておきます。京都運輸支局の公示(令和4年10月27日改正)には、届出を受け付けるときに見る点がまとめられています(京都運輸支局 公示 経営届出等の取扱について)。
車両は軽貨物車のほか、軽乗用車も使える
令和4年10月27日から、乗車定員3名以上の軽乗用車も、この事業に使えるようになりました。東京運輸支局のハンドブックでは、以前は構造変更をして軽貨物車に変える必要がありましたが、いまは「構造変更を行わず貨物軽自動車運送事業の車両として使用可能」とされています。
ただし、軽乗用車で積める荷物の重さは、乗る人数で決まります。計算式は「(乗車定員-乗車人数)✕55kg」です。4人乗りの軽乗用車なら、運転者だけで乗るときは165kg、運転者と1名で110kg、運転者と2名で55kgまでで、4人乗ると軽貨物の事業には使えません。
軽乗用車で連絡書を出してもらうと、運輸支局で【軽貨物・乗用】と朱書きされたものが発行されます。また、黒ナンバーにしても軽乗用車で人を乗せて運ぶ旅客の運送はできない、とハンドブックは注意しています。車両には、旅客の車と紛らわしい屋上灯やメーターを付けないことも公示に書かれています。

営業所と車庫は2km以内。車庫は1両約8㎡
営業所は、事業の拠点になる場所です。京都運輸支局の経営届出書の記入要領には「個人名義で1両で事業を行う場合には、自宅が営業所ということが考えられます」とあります(京都運輸支局 経営届出書と記入要領)。
車庫は「原則として営業所に併設されていること。併設できない場合は、営業所からの距離が2キロメートルを超えないこと。」と公示にあります。届出書の車庫の欄には、営業所からの距離をメートルで書くので、2kmなら2,000mです。広さは、京都運輸支局の案内で「車両(1両 約8㎡)を全て収容できる広さ」とされています。
このほか、運転者が休憩や睡眠をとるための施設も届出書に書きます。どこを書けばよいか迷ったら運輸支局に確かめてください。
宣誓書で約束する3つのこと
経営届出書には宣誓書が付いていて、次の3つを約束します。
- 自動車車庫については、私に使用権原がある
- 自動車車庫の土地・建物は、都市計画法等の関係法令に抵触しない
- 損害賠償の支払い能力を有する
借りた駐車場を車庫にするなら、使う権利があることを確かめておきます。損害賠償の支払い能力については、東京運輸支局のハンドブックが「損害賠償に対応できる任意保険等(軽貨物事業専用)に加入しましょう」と呼びかけています。補償の範囲は保険会社に確かめてください。

運賃料金と運送約款
運賃と料金は、運賃料金設定届出書と運賃料金表で届け出ます。公示では、経営届出と同時に出してよいとされています。京都運輸支局の運賃料金表の作成例には、距離制運賃、時間制運賃、個数制運賃、割増と割引の書き方が並んでいます(京都運輸支局 運賃料金表の作成例)。
運送約款は、国が定めた標準貨物軽自動車運送約款と同じものを使うなら、届出書で選ぶだけで済みます。施行規則33条5項は、標準運送約款と同じ約款を定めたときは記載を省略できるとしていて(貨物自動車運送事業法施行規則 e-Gov)、京都運輸支局も約款の「提出は不要です」と案内しています。標準約款の本文は国土交通省 標準運送約款で読めます。
運輸支局に出す書類と書き方
新しく始めるときの書類
東京運輸支局のハンドブックが挙げる新規の書類は、次のとおりです。経営届出書、運賃料金設定届出書、運賃料金表、事業用自動車等連絡書は「正・控の2部」が要ります。
| 書類 | 部数 | ひとこと |
|---|---|---|
| 貨物軽自動車運送事業経営届出書 | 正・控の2部 | 宣誓書が付いている |
| 運賃料金設定届出書 | 正・控の2部 | 経営届出と同時でよい |
| 運賃料金表 | 正・控の2部 | 作成例を参考にできる |
| 事業用自動車等連絡書 | 正・控の2部 | 検査協会に持っていく |
| 車検証(中古車)か完成検査終了証(新車) | コピーでよい | 電子車検証は記録事項を添付 |
様式は、国土交通省の申請・届出の様式のページや、各運輸支局のページから取れます。京都運輸支局は、電子車検証の場合は自動車検査証記録事項を添付するよう案内しています。

経営届出書に書くこと(施行規則33条)
経営届出書の記載事項は、施行規則33条1項で決まっています。氏名と住所、事業を始める予定日、事業計画として主たる事務所と営業所の名称と位置、営業所ごとの車の種別と数、車庫の位置と収容能力、休憩と睡眠の施設の位置と収容能力、そして運送約款です。
京都運輸支局の様式1では、車の種別を「軽(普通)」「軽(霊柩)」「二輪」に分けて数を書きます。二輪は「二輪バイクで125CCを超える排気量のもの」とされています。運送約款は、標準貨物軽自動車運送約款(平成15年国土交通省告示第171号)か、標準貨物軽自動車引越運送約款(同第172号)を選ぶ形です。最後に運行管理の責任者の氏名を書きます。
33条2項1号により、事業用自動車の運行管理の体制を書いた書類も添付します。

窓口ではその場で連絡書が出る
京都運輸支局の案内では、記載事項に問題がなければ、その場で連絡書が発行されます。窓口での所要時間の目安は「5~10分程度」です。代理の人が出してもよく、「委任状等も不要です。」とされています。郵送で出す場合は「郵送代金を全額ご負担いただける場合に限り」受け付けています。本人確認の書類や印鑑が要るかは運輸支局ごとに違う可能性があるので、管轄の運輸支局に確かめてください。
連絡書は1か月で切れ、再発行されない
運輸支局で受け取る事業用自動車等連絡書には「有効期限 発行の日から 1 ヶ月」と書かれ、「この連絡書は、再発行しないので、取扱いに注意して下さい。」とあります(京都運輸支局 事業用自動車等連絡書)。受け取ったら、1か月以内に軽自動車検査協会でナンバーを変えます。
もう1つ大事なのが、経営届出書の控えです。届出なので許可書は出ません。京都運輸支局は「届出の控えは事業をしていることの証明にもなりますので、大切に保管して下さい(再発行はできません)。」と案内しています。なくした場合は「証明願」を出して、届出されていることを証明する書面をもらいます。

軽自動車検査協会でナンバーを変える
東京運輸支局のハンドブックは「運輸支局(輸送担当)で、届出書の提出・連絡書の発行をした後、軽自動車検査協会にてお手続きが必要となります」と書いています。京都では、軽自動車検査協会は運輸支局と同じ敷地にあります。手続きをする場所は、使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所・分室です。二輪の場合は、運輸支局の登録部門で手続きします。
持っていくもの
軽自動車検査協会の番号変更の案内に挙がっている書類は、次のとおりです。
- 自動車検査証(原本。コピーは不可)
- ナンバープレート(いま付いているもの)
- 自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式か軽第3号様式)。軽乗用車を自家用から事業用に変えるときは軽第2号様式
- 事業用自動車等連絡書(自家用から事業用に変えるときに要る)
- 申請依頼書(使用者以外が手続きするとき)
ローンで買った車のように、使う人(使用者)と持ち主(所有者)が違う場合は、所有者の同意を得てから手続きをするよう案内されています。軽自動車税の申告書は、協会の隣の税関係の窓口で出します。

黒ナンバー取得にかかる費用
届出は無料。ナンバー代などは別にかかる
京都運輸支局は「届出については費用はかかりませんが、車検証・ナンバープレートの交付等については別途費用がかかります」と答えています。軽自動車検査協会も、ナンバープレート代と関係団体での手続きの費用が要るとして、「詳しくは当協会事務所・支所近隣の関係団体にお問い合わせください。」と案内しています。
ナンバー代の金額は、今回確認した一次情報には書かれていませんでした。地域で違う可能性があるため、この記事では金額を書きません。手続きをする軽自動車検査協会の近くの関係団体に確かめてください。
安全管理者講習の受講料も、国土交通省のFAQは「各講習機関にお問い合わせください」としています。講習機関ごとに違う可能性があるので、申し込む機関で確かめます。

軽自動車税は営業用のほうが標準税率が低い
黒ナンバーにすると、軽自動車税の税率の区分が営業用に変わります。地方税法448条の標準税率(年額)は、四輪以上の軽自動車で次のとおりです(地方税法 e-Gov)。
| 四輪以上の軽自動車 | 営業用(黒ナンバー) | 自家用 | 差(計算) |
|---|---|---|---|
| 貨物用 | 3,800円 | 5,000円 | 1,200円 |
| 乗用 | 6,900円 | 10,800円 | 3,900円 |
ただし、これは標準税率です。448条2項により、市区町村は標準税率の1.5倍を超えない範囲で高い税率にできます。また、軽自動車税は毎年4月1日の時点の所有者などにかかると軽自動車検査協会は案内しています(軽自動車検査協会 軽自動車の税金等)。実際の税額は、車の使用の本拠がある市区町村に確かめてください。

車検証の有効期間は条文の上では2年
道路運送車両法61条1項は、軽自動車の車検証の有効期間を事業用でも自家用でも2年としています(道路運送車両法 e-Gov)。初めての車検証で3年になるのは、61条2項2号で自家用乗用自動車などに限られています。条文の上では、事業用の軽自動車は初回も2年と読めますが、手持ちの車の車検の時期は、軽自動車検査協会で確かめてください。
令和7年4月から増えた義務
国土交通省は「平成28年から令和5年にかけて、保有台数1万台当たりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数は、約4割増加」したとして、「安全対策を令和7年4月より強化」しました(国土交通省 安全対策を強化するための制度改正について)。リーフレットは「一人で事業を行っている場合でも、自ら安全対策を実施する必要があります。」と書いています(国土交通省 リーフレット)。
新しく増えた義務は、安全管理者の講習の受講、安全管理者の選任と届出、初任運転者などへの指導と適性診断、業務の記録、事故の記録、国土交通大臣への事故報告です。三輪の軽自動車や二輪の自動車(バイク便)は、講習、選任、初任指導、業務記録の対象外です。

貨物軽自動車安全管理者の講習と選任
36条の2第1項は、四輪以上の軽自動車で事業をする人に、届出後、速やかに、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を1人選任するよう求めています。選べるのは、登録された講習機関の講習を「選任の日前二年以内に修了した者」などです。選任したら「遅滞なく、その氏名を国土交通大臣に届け出なければならない」とされ、解任したときも届け出ます。
国土交通省のFAQによると、講習は「貨物軽自動車安全管理者講習は5時間以上、貨物軽自動車安全管理者定期講習は2時間以上」です(国土交通省 よくある質問とその回答)。選任したあとは、2年ごとに定期講習を受けます。
講習をする機関は、国土交通省の登録貨物軽自動車安全管理者講習機関の一覧で探せます。2026年9月26日に確認したところ、登録を受けている機関は17で、実施方式は対面が10、eラーニングが5、eラーニングと対面の両方が2でした。
選任の期限は届け出た時期で違う
選任の期限は、経営届出をした時期で分かれます。国土交通省のリーフレットでは、令和7年3月末までに届け出た事業者は令和9年3月までに受講(選任)、令和7年4月以降に届け出た事業者は速やかに実施とされています。FAQはさらに「令和7年4月以降に貨物軽自動車運送事業経営届出を行う事業者は、当該届出後事業を開始する前までに速やかに選任する必要があります。」と書いています。これから黒ナンバーを取る人は、仕事を始める前に講習を終えて選任しておく必要があります。
1人で事業をする場合について、FAQは「基本的にご自身を貨物軽自動車安全管理者として選任する必要があります。ただし、配偶者等、家族従業者から選任することも可能です。」と答えています。選任の届出には、事業者の氏名、安全管理者の氏名と生年月日、選任年月日と講習修了年月日を書きます。

初任運転者への指導と適性診断
初めて事業用の車に乗る人、65歳以上の人、死者や負傷者が出た事故を起こした人には、特別な指導と適性診断が要ります。FAQによると、初任診断は「初めて事業用自動車に乗務する前に受診。やむを得ない事情がある場合は乗務開始後1ヶ月以内」です。適齢診断は65才に達した日以後1年以内に受け、その後は3年以内ごとに1回です。
初任運転者への特別な指導は、添乗指導以外で合計5時間以上です。ただし「乗務前3年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を受講した場合は、貨物軽自動車初任運転者に対する特別な指導を受けたものとみなすことができます」とされています。1人で始める人が乗務前3年以内に自分で講習を受けていれば、この指導は講習で代えられることになります。
令和7年3月末までに届け出た事業者は令和10年3月までに実施すればよいとされていますが、令和7年4月以降に届け出た事業者には「猶予期間はありません」とリーフレットは書いています。適性診断の受診料は、FAQで各診断実施機関に問い合わせるよう案内されています。
業務の記録と事故の記録
四輪以上の軽自動車で事業をする人は、運転者ごとに業務の記録をつけ、1年間保存します(輸送安全規則8条、貨物自動車運送事業輸送安全規則 e-Gov)。書くのは、運転者の氏名、車両番号、業務の開始と終了と休憩の日時と地点、業務に従事した距離、主な経過地点などです。荷主の都合で30分以上待機したときは、その待機の記録も要ります。
事故が起きたときは、9条の2により、乗務員の氏名、車両番号、事故の発生日時と場所、当事者の氏名、事故の概要、原因、再発防止対策の8つを記録し、営業所で3年間保存します。点呼の記録は1年間、毎年の指導監督の記録は3年間の保存です。リーフレットは「各種の記録・保存は、パソコンやスマートフォンにて実施可能です。」と書いています。

事故報告は30日以内、重大な事故は24時間以内に速報
自動車事故報告規則2条が定める事故を起こしたときは、事故があった日から30日以内に、自動車事故報告書3通を、運輸支局長などを経由して国土交通大臣に出します(3条、自動車事故報告規則 e-Gov)。対象には、転覆や転落、火災、死者か重傷者が出た事故、10人以上の負傷者が出た事故、酒気帯び運転や無免許運転を伴う事故、運転者の病気で運行を続けられなくなった場合、車輪の脱落などが入っています。
2人以上の死者、5人以上の重傷者、10人以上の負傷者が出た事故や、酒気帯び運転があった事故などは、4条により「二十四時間以内においてできる限り速やかに」速報します。FAQによると、事故報告の義務は令和7年4月以降に起こした事故が対象です。

点呼と勤務時間は1人でも自分で守る
乗務の前には、アルコール検知器を使った酒気帯びの有無、病気や疲れの有無、車の日常点検を確かめます。FAQは、1人で事業をする場合も「自ら確認を行い、運行の可否を判断してください」としています。点呼の内容は点呼記録簿に記録し、1年間保存します。点呼は安全管理者が行いますが、令和9年3月31日までの間は事業者内の者が行ってもよいとされています。
勤務時間の上限もリーフレットに示されています。1年の拘束時間は3,300時間以内、1か月は284時間以内、1日は13時間以内(上限15時間)です。1日の休息期間は継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らないようにします。運転時間は2日平均で1日9時間以内、2週平均で1週44時間以内、連続運転時間は4時間以内です。1人で事業をしている場合は、自分でこの時間を決めて守ります。

届け出たあとに出す届け
変更・廃止・相続
届け出た内容を変えるときは、36条1項の後段により、変更の届出が要ります。施行規則33条3項の経営変更届出書に、変える事項、変更の予定日、変更の理由を書きます。車を増やすときも届出が要りますが、京都運輸支局は、同時に減車と増車をする入替は「届出が不要です」と案内しています。
事業をやめたり、全部を譲ったりしたときは、36条3項により遅滞なく届け出ます。事業者が亡くなったときは、36条5項により、相続人が「被相続人の死亡後三十日以内に」届け出ます。
車が増えたら安全運転管理者と整備管理者
東京運輸支局のハンドブックによると、事業で車を5台以上使う場合は、安全運転管理者を選任し、選任した日から15日以内に都道府県公安委員会に届け出ます。二輪は1台を0.5台として数えます。安全運転管理者は20歳以上で、運転の管理について2年以上の実務経験がある人などです。FAQによると、安全運転管理者と貨物軽自動車安全管理者の兼務は妨げられていません。
1つの営業所に事業用の車を10両以上置く場合は、整備管理者の選任が要ります。車を増やすときは、台数によって要る届けが増えることを覚えておきます。
個人で始めたら開業届も
運輸支局への届出とは別に、個人で事業を始めたら税務署に開業届を出します。国税庁は、提出時期を「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。」と案内しています(国税庁 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)。提出先は納税地を所轄する税務署長で、e-Taxでも、書面の持参や送付でも出せます。

届出や選任を怠ったときの罰則
貨物自動車運送事業法は、届出をしないで事業を経営した場合の罰則を定めています。75条11号は「第三十六条第一項の規定に違反して、貨物軽自動車運送事業を経営したとき。」に、100万円以下の罰金としています。黒ナンバーを取らずに有償で荷物を運ぶと、この罰則の対象になりえます。
安全管理者を選任しなかったとき(75条6号)と、選任・解任の届出をしない、またはうその届出をしたとき(75条7号)も、100万円以下の罰金です。事故の報告をしない、またはうその報告をしたとき(81条4号)と、廃止や相続などの届出をしないとき(81条6号)は、50万円以下の過料です。国土交通省のFAQにも、同じ罰則が書かれています。

よくある質問
Q. 黒ナンバーは何日で取れますか?
運輸支局の窓口は、記載事項に問題がなければその場で連絡書が出て、所要時間の目安は5~10分程度です(京都運輸支局)。そのあと軽自動車検査協会でナンバーを変えます。ただし、仕事を始める前に安全管理者講習を受けて選任しておく必要があるので、講習の日程も含めて計画してください。
Q. 自分の軽乗用車でも黒ナンバーは取れますか?
乗車定員3名以上の軽乗用車なら、令和4年10月27日から構造変更をしないで使えます。ただし積める重さは乗る人数で決まり、4人乗りなら運転者だけで165kgです。検査協会では軽第2号様式を使います。
Q. 費用はいくらかかりますか?
運輸支局への届出に費用はかかりません。ナンバー代などは別にかかり、金額は軽自動車検査協会の近くの関係団体に問い合わせるよう案内されています。安全管理者講習の受講料も講習機関ごとに確かめてください。
Q. 自宅を営業所にできますか?
京都運輸支局の記入要領には、個人名義で1両で事業をする場合は自宅が営業所ということが考えられる、とあります。車庫は原則として営業所に併設し、できないときは2km以内です。
Q. 家族に代わりに出してもらえますか?
京都運輸支局は、代理の人でもよく委任状なども要らないと案内しています。軽自動車検査協会では、使用者以外が手続きするときは申請依頼書が要ります。運輸支局ごとの扱いは管轄の運輸支局に確かめてください。
Q. 1人でも安全管理者は要りますか?
要ります。四輪以上の軽自動車で事業をするなら、1人でも基本は自分を選任します。配偶者などの家族従業者から選ぶこともできます。令和7年4月以降に届け出る人は、事業を始める前までに速やかに選任します。
Q. バイクで配達する場合も同じですか?
二輪の自動車で有償で荷物を運ぶ場合も、貨物軽自動車運送事業の届出が要ります。二輪のナンバーの手続きは、軽自動車検査協会ではなく運輸支局の登録部門です。安全管理者の講習と選任、初任指導、業務記録は、三輪の軽自動車と二輪は対象外です。
Q. 届出の控えをなくしたらどうなりますか?
控えは再発行できません。京都運輸支局は、証明願を出せば届出されていることを証明する書面をもらえると案内しています。
Q. 開業届はいつまでに出せばよいですか?
国税庁の案内では、事業を始めた日の属する年分の確定申告期限までです。納税地を所轄する税務署に、e-Taxか書面で出します。
Q. 黒ナンバーにすると軽自動車税は変わりますか?
標準税率では、四輪の貨物用は営業用3,800円・自家用5,000円、乗用は営業用6,900円・自家用10,800円です(年額)。市区町村は1.5倍まで上げられるので、実際の額は市区町村に確かめてください。
この記事の要点
黒ナンバーは許可ではなく届出で、1台から始められます。運輸支局で経営届出書などを出して連絡書を受け取り、1か月以内に軽自動車検査協会でナンバーを変えます。令和7年4月以降に届け出る人は、事業を始める前までに講習を受けて安全管理者を選任し、業務の記録や事故報告などの義務を守ります。

参考にした一次情報
いずれも2026年9月26日に確認しました。
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov 法令検索)
- 貨物自動車運送事業法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov 法令検索)
- 自動車事故報告規則(e-Gov 法令検索)
- 地方税法(e-Gov 法令検索)
- 道路運送車両法(e-Gov 法令検索)
- 関東運輸局 東京運輸支局「貨物軽自動車運送事業者ハンドブック」
- 近畿運輸局 京都運輸支局「貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の届出について」
- 京都運輸支局 公示「貨物軽自動車運送事業の経営届出等の取扱について」
- 京都運輸支局 経営届出書(様式1)と記入要領
- 京都運輸支局 事業用自動車等連絡書
- 京都運輸支局 運賃料金表(作成例)
- 国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」
- 国土交通省 リーフレット「貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました」
- 国土交通省 よくある質問とその回答
- 国土交通省「登録貨物軽自動車安全管理者講習機関の一覧」
- 国土交通省 貨物自動車運送事業の申請・届出の様式
- 国土交通省 標準運送約款
- 軽自動車検査協会「番号変更」
- 軽自動車検査協会「軽自動車のナンバー」
- 軽自動車検査協会「軽自動車の税金等」
- 国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
届出の書類と窓口の受付は営業所を管轄する運輸支局、ナンバー代は軽自動車検査協会の近くの関係団体、講習の日程と受講料は各講習機関、税額は市区町村に、最後は直接確かめてから進めてください。




